退去後の敷金がいつ返ってくるかは、民法622条の2と国土交通省の標準契約書では「明渡し後、遅滞なく」で、日数は書かれていません。公式に日数を出しているのはUR(契約解除日から原則30日以内)と大東建託(退去日から約1か月)。契約書の敷金条項に「明渡し後○日以内」があればそれが期限で、2か月過ぎても精算書が来なければ書面で請求する段階です。
この記事でわかること
- 敷金の返還義務がいつ発生するか(明渡しが先・部屋を空けても鍵を返すまでは始まらない)
- 公式に日数を出しているUR・大東建託の目安と、民法・標準契約書に日数がない理由
- 退去連絡→立会い→精算書→合意→振込の5段階と、各段階で自分がやること
- 契約書の敷金条項で返還期限を読む場所と、期限がある・ないで変わる「遅れ」の起点
- 期限を過ぎたときの遅延損害金(年3%)の計算例と時効5年
- 遅いときの確認順(電話→書面→内容証明→少額訴訟)と2026年5月改定後の少額訴訟の手数料、ケース別14パターン
出典: 民法(e-Gov法令検索)/国土交通省「賃貸住宅標準契約書」について/同 標準契約書 本体(PDF)/国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」再改訂版(PDF)/UR賃貸住宅 よくあるご質問
退去後の敷金はいつ返ってくる?法律の答えと、公式が出している日数
答えは2段階です。法律上の返還義務は「部屋を明け渡したとき」に発生し、返す期限は「遅滞なく」。日数を決めているのは法律でなく、契約書と管理会社の運用です。
民法622条の2。返還義務は「賃貸借の終了」と「明渡し」の両方がそろった時
民法622条の2第1項は、貸主が敷金を返さなければならない場面を「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」と定めています。返す額は、敷金から未払い賃料などの債務を差し引いた残額です。
ポイントは「かつ」の一語。解約日が来ただけでは足りず、部屋を明け渡して初めて返還義務が生まれます。
国土交通省のガイドラインQ9(P.41)も同じ整理です。契約で別の時期を定めていない限り「建物を明け渡してはじめて」請求できるとし、根拠に最高裁判所の昭和49年9月2日判決を挙げています。
つまり、「敷金を返してくれるまで鍵は渡さない」は成り立ちません。明渡しが先、返金が後。標準契約書の解説(P.24)も「明渡債務と敷金返還債務とは同時履行の関係に立つものではなく、敷金返還時期は、明渡しが完了したとき」と書いています。
標準契約書 第6条。「遅滞なく」返す、差し引くなら内訳を示す
国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」(平成30年3月版)第6条は、敷金についてこう定めています。
第6条第3項 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を乙に返還しなければならない。ただし、本物件の明渡し時に、賃料の滞納、第15条に規定する原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、甲は、当該債務の額を敷金から差し引いた額を返還するものとする。
第6条第4項 前項ただし書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。
「遅滞なく」であって「30日以内」ではありません。標準契約書をもとにした契約書なら、あなたの契約書の敷金条項も同じ書き方のはずです。日数が入っているとすれば、特約欄か、管理会社が独自に作った条項です。
もう一つ効くのが第4項。差し引くなら内訳を示す義務が貸主側にあります。精算書が来ないまま減額された金額だけ振り込まれた、という状態は、この条項に反しています。
公式に日数を出しているのはUR「契約解除日から原則30日以内」と大東建託「約1か月」
「1〜2か月が目安」という数字は多くのサイトにありますが、出所を書いたものはほとんどありません。公的な統計もありません。本記事では、公式サイトで日数を確認できた2件だけを目安として使います。
返還時期の根拠別まとめ(法律・契約書・公式案内)
| 根拠 | 返還時期の定め | 日数 |
|---|---|---|
| 民法622条の2 | 賃貸借が終了し、かつ、明渡しを受けたとき | 日数の定めなし |
| 国交省 標準契約書 第6条3項 | 明渡しがあったときは、遅滞なく | 日数の定めなし |
| 契約書の特約(例:ガイドライン事例16の契約) | 「明け渡し及び債務の履行を完了した後1か月以内に、敷引金を控除した残額を返還」 | 契約書の日数が期限 |
| UR賃貸住宅(公式FAQ) | 査定の上、契約解除日から原則30日以内に精算後の敷金を返還 | 30日以内 |
| 大東建託(公式FAQ) | 返金がある場合、退去日から約1か月を目途に指定口座へ振込。法人契約は1か月以上かかる場合あり | 約1か月 |
URは起点が「退去日」でなく「契約解除日」です。解約予告の日数分が残っていて先に部屋を出た場合、30日の起算は解約日から。大東建託は退去日起点で約1か月。個人契約なら、退去の翌月末までに振込がなければ遅れ気味と見ておく線が、公式の目安から引けます。
退去連絡から振込までの5段階。各段階で自分がやること
流れは5段階で、時間がかかるのは「精算書が届くまで」と「合意してから振込まで」の2か所です。遅れの多くは、この2か所のどちらかで止まっています。
退去から敷金の振込までの流れ(標準契約書と管理会社の公式案内をもとに整理)
| 段階 | 誰が何をするか | 自分がやること |
|---|---|---|
| ①退去連絡 | 借主が解約予告(契約書の定めは30日前が多い) | 解約日と退去日を書面・メールで残す。振込先口座を先に伝える |
| ②退去立会い・鍵の返却 | 貸主側が室内を確認。鍵を全部返して明渡し完了 | 写真を撮る。精算書に納得できない項目があれば署名しない |
| ③精算書(敷金精算明細)の到着 | 貸主側が原状回復費の見積を取り、差し引く額の内訳を明示(第6条4項) | 届く予定日を立会い時に聞く。項目ごとに根拠を確認 |
| ④合意 | 借主が内訳を確認し、金額に同意 | 減額に納得できない項目は書面で照会(争いのない残額は先に返金を求める) |
| ⑤振込 | 貸主側が残額を振込 | UR30日以内・大東建託約1か月が公式の目安。契約書に日数があればそれが期限 |
仲介の現場で見てきた範囲では、遅れの原因で多かったのは2つ。振込先の口座を伝えていなかったケースと、立会い後に修繕業者の見積待ちで精算書が止まっているケースでした。前者は自分で防げます。
精算書(敷金精算明細)の見方
精算書に決まった様式はありませんが、確認する場所は同じです。
敷金精算書で確認する5点
| 確認する点 | 見るところ | 気になる例 |
|---|---|---|
| 預けた敷金の額 | 契約書の頭書(3)と一致するか | 敷引・償却分が「預かり額」から最初から消えている |
| 差し引く項目と根拠 | 原状回復費の部位・数量・単価。特約の条項番号か、汚損の事実か | 「ハウスクリーニング一式」だけで内訳なし |
| 日割家賃・共益費の相殺 | 解約日までの日割分が引かれているか、二重になっていないか | 退去月の家賃を口座振替で払ったのに、精算書でも引かれている |
| 返還額と振込予定日 | 差引後の残額。振込の予定日が書いてあるか | 予定日の記載なし・「後日」のみ |
| 振込先 | 自分が伝えた口座か | 口座欄が空欄=伝わっていない |
日割家賃は、標準契約書なら1か月に満たない期間を1か月30日で日割計算する定めがあります(第4条)。解約日と退去日の関係と日割の3型は賃貸の退去連絡はいつまで?で扱っています。
差し引かれた原状回復費の項目そのものに納得できないときは、時期の問題でなく金額の問題です。通常損耗・経年変化の線引きと反論の進め方は敷金が返金されない時の請求方法に続きがあります。費目ごとの相場感は退去費用の相場へ。
契約書の敷金条項で「返還期限」を読む。期限がある・ないで遅れの起点が変わる
契約書を開いて見る場所は3つあります。頭書の敷金額、本文の敷金条項、特約欄。「明渡し後○日以内に返還」の一文があるかどうかで、遅れの扱いが法律上変わります。
期限が書いてある契約書。過ぎた日から「遅滞」
民法412条1項は、債務の履行に確定期限があるときは「その期限の到来した時から遅滞の責任を負う」としています。契約書に「明渡し後30日以内に返還」とあれば、31日目から貸主は遅滞。請求しなくても遅れの責任が始まります。
ガイドラインの事例16(神戸地裁平成14年6月14日・P.79)に出てくる契約は、まさにこの型です。「明け渡し及び本件契約に基づく債務の履行を完了した後1か月以内に、敷引金28万円を控除した残額を賃借人に返還する」。期限が数えられる書き方なので、過ぎたら催促の根拠になります。
期限が書いていない契約書。「請求した日」から遅滞
「遅滞なく」だけの契約書や、時期の記載がない契約書は、民法412条3項の「期限を定めなかったとき」に当たります。この場合、貸主が遅滞の責任を負うのは「履行の請求を受けた時から」。
ここが、電話で待つより書面で請求する意味です。請求の記録が残っていなければ、遅れの起点も決まりません。「いつ返ってくるか」を聞くだけでなく、「○月○日までに返還してください」と日付を入れて求める。それで初めて、遅れがカウントされ始めます。
遅れた分の遅延損害金は年3%。額は小さいが、請求書に載せる意味がある
金銭債務の遅れには、民法419条で法定利率の遅延損害金が付きます。損害の証明は要りません。法定利率は民法404条で年3%(2020年4月以降)。3年ごとに見直され、法務省の資料では2026年4月1日からの第3期も基準割合が0.4%で、変動なしの3%です。
計算例を置きます。返還されるべき残額が10万円で、期限から60日遅れた場合。
- 10万円 × 年3% = 3,000円(1年分)
- 3,000円 × 60日 ÷ 365日 = 約493円
金額は小さいですが、請求書に「年3%の遅延損害金を付して」と1行入れる意味はあります。こちらが法的な起点を理解している、と相手に伝わるからです。担当者レベルで止まっていた案件が、この1行で決裁に回ることも。
時効は「請求できると知った時から5年」
敷金返還請求権も債権なので、民法166条の消滅時効にかかります。権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年。退去から半年、1年経っていても請求は可能です。ただし、放置した期間が長いほど精算書や写真がそろわなくなるので、気づいた時点で動くほうが得です。
契約書の特約欄には、敷引・償却・クリーニング特約など返還額を減らす条項が入っていることがあります。特約の読み方全体は賃貸契約書の見方で、クリーニング特約は退去の掃除はどこまで?で扱っています。
返金が遅いときの確認順。電話→書面→内容証明→少額訴訟
動く順番は4段階です。いきなり内容証明を送るより、まず書面で「内訳と振込予定日」を聞く。それで動く案件が大半で、内容証明と少額訴訟は最後の2段です。
敷金の返金が遅いときの4段階(動く時期と実費)
| 段階 | いつ動くか | やること | 実費(2026年9月時点) |
|---|---|---|---|
| ①電話・メールで確認 | 公式目安(約1か月)または契約書の期限を過ぎたら | 精算書の到着予定日と振込予定日を聞く。口座が伝わっているか確認 | 0円 |
| ②書面で請求 | ①から2週間返答がない、または退去後2か月を過ぎたら | 「○月○日までに、内訳の明示と残額の返還を」と日付入りで求める。メールでも可・記録を残す | 0円 |
| ③内容証明郵便 | ②の期限も過ぎたら | 同じ内容を内容証明で。配達証明を付ける | 内容証明の加算料金480円(2枚目以降1枚290円増)+一般書留料金+基本料金 |
| ④少額訴訟 | ③にも応答がなく、請求額が60万円以下 | 簡易裁判所へ。原則1回の審理 | 申立手数料 書面3,500円〜8,500円(10万円まで〜60万円)・電子2,400円〜7,400円。2026年5月21日以後の申立て・郵便費用込み |
少額訴訟の手数料は、2026年5月21日から制度が変わりました。従来は「訴額10万円ごとに1,000円」に郵便費用を別で納めていました。
新法適用の申立てでは郵便費用が手数料に一本化され、書面か電子かで額が分かれます。古い記事の「10万円なら1,000円」は、旧法適用の事件の額です。
内容証明の文例と、少額訴訟の進め方(証拠のそろえ方・期日の流れ)は敷金が返金されない時の請求方法にまとめています。本記事に置くのは、②の書面の型だけ。
メール文の型(精算書が届かない・振込予定日が分からない場合)
件名:敷金精算書の送付と返還時期のご確認(○○マンション○号室)
○月○日に退去立会いを終え、鍵をお返ししてから○日が経ちましたが、敷金精算書がまだ届いておりません。
賃貸借契約書第○条(敷金)では、明渡し後に敷金を返還すること、差し引く場合はその内訳を明示することが定められています。
つきましては、○月○日までに、敷金から差し引く費用がある場合はその内訳(部位・数量・単価・根拠となる条項)と、返還予定額および振込予定日をお知らせください。振込先は立会い時にお伝えした下記口座です。
銀行名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義
期限までにご返答がない場合は、書面での請求に切り替えさせていただきます。
相手を責める言葉は入れず、条項と日付だけで組み立てます。振込先を再掲するのは、口座未提出が遅れの原因になっている場合を一度で潰すためです。
平行線になったら、消費生活センター(188)か、東京都内の物件なら東京都の賃貸ホットライン(03-5320-4958)に相談してください。
ケース別。返ってくる時期と、誰に何を確認するか
同じ「遅い」でも、原因の場所が違えば聞く相手も変わります。14のケースに分けました。
敷金の返還時期 ケース別の見方(民法・標準契約書・公式案内をもとに整理)
| ケース | 返還の時期・見方 | 確認する相手・やること |
|---|---|---|
| 標準的な流れ(精算書が届き、金額に同意) | 契約書の日数、なければ公式目安(UR30日・大東建託約1か月) | 目安を過ぎたら管理会社に振込予定日を確認 |
| 精算書が来ない | 貸主には差し引く額の内訳を示す義務(標準契約書第6条4項) | 書面で内訳と予定日を日付入りで求める |
| 精算書は来たが、減額に同意していない | 争いのない残額は先に返還を求められる。減額分は別に照会 | 項目ごとの根拠を書面で。反論は敷金が返金されない時の請求方法 |
| 振込先を伝えていない | 遅れの原因が自分側。伝えた日が起点になる | 口座を書面・メールで送り、受領の返信をもらう |
| 家賃の滞納がある | 貸主は敷金を滞納分に充当できる(民法622条の2第2項)。残額が返還対象 | 充当後の残額の内訳を確認 |
| 最後の月の家賃を敷金で払いたい | 借主から充当は請求できない(同条同項・標準契約書第6条2項) | 家賃は払い、退去後に敷金を受け取る |
| 連帯保証人・保証会社が付いている | 返還先は借主本人。保証人・保証会社は関係しない | 精算書の宛先と振込先が本人か確認 |
| 敷金なし物件 | 返るものがない。逆に原状回復費の請求が来る側 | 請求の根拠は敷金・礼金なし物件の注意点と退去費用の相場 |
| 敷引・償却特約がある | 差し引き後の残額が返還対象。敷引特約は有効とされた例がある(ガイドライン事例16) | 契約書の敷引額と精算書の預かり額を照合 |
| 保証金(関西)の場合 | 名目を問わず敷金と同じ扱い(622条の2「いかなる名目によるかを問わず」)。敷引部分は最高裁H23.3.24(事例42)で有効とされた例 | 敷引後の残額と返還時期を契約書で確認 |
| 管理会社が途中で変わった | 返還義務は貸主。新しい管理会社が精算を引き継ぐ | 新管理会社に、精算の担当と進捗を確認 |
| 大家が変わった(物件が売却された) | 新しい所有者が敷金返還債務を承継(民法605条の2第4項) | 新所有者(または管理会社)に請求。旧大家との精算状況も聞く |
| 大家が亡くなった | 相続人が返還義務を引き継ぐ。窓口が決まるまで時間がかかる | 管理会社に相続人の窓口を確認。請求は書面で記録を残す |
| UR賃貸住宅 | 契約解除日から原則30日以内に精算後の敷金を返還。精算額が敷金を超える分は退去までに支払い | 30日を過ぎたら管理サービス事務所へ |
| 鍵を返していない・荷物が残っている | 明渡しが完了していないので返還義務が始まらない | 鍵を全部返す。鍵の扱いは退去時の鍵交換費用は払うべき? |
大家が変わったケースは見落とされがちです。2020年4月施行の民法605条の2第4項で、賃貸人の地位が移転したときは敷金の返還債務も譲受人が引き継ぐと明文化されました。「前のオーナーに預けたお金なので知らない」は通りません。
よくある質問
Q1:退去してから敷金はいつまでに返ってきますか?
法律上の期限は「明渡し後、遅滞なく」で、日数は決まっていません。公式に日数を出しているのはUR(契約解除日から原則30日以内)と大東建託(退去日から約1か月)です。契約書の敷金条項に「明渡し後○日以内」があればそれが期限。退去の翌月末を過ぎても精算書が来なければ、書面で内訳と振込予定日を求めてください。
Q2:契約書に「退去後1か月以内に返還」とあるのに、過ぎても振り込まれません。どうすればいいですか?
期限が過ぎた日から、貸主は法律上「遅滞」の状態です(民法412条1項)。日付を入れた書面で残額の返還を求め、年3%の遅延損害金を付す旨を書きます。2週間返答がなければ内容証明、それでも動かなければ60万円以下は少額訴訟という順です。
Q3:最後の月の家賃を敷金から引いてもらえますか?
できません。民法622条の2第2項は、借主の側から敷金を家賃に充てるよう請求することを認めていません。標準契約書第6条2項も同じ定めです。家賃は払い、退去後に敷金を受け取る順番になります。
Q4:敷金の返金が遅れた分の利息は請求できますか?
できます。金銭債務の遅れには法定利率(年3%)の遅延損害金が付き、損害の証明は要りません(民法419条・404条)。起点は、契約書に期限があればその翌日、なければ請求した日。10万円が60日遅れて約493円と額は小さいですが、請求書に1行入れる意味はあります。
Q5:退去して半年以上経ちます。今からでも敷金は請求できますか?
できます。敷金返還請求権の時効は、請求できると知った時から5年(民法166条)です。ただし時間が経つほど精算書・写真・契約書がそろわなくなります。手元にあるものを確認し、書面で請求してください。
Q6:UR賃貸の敷金はいつ返ってきますか?
UR賃貸住宅の公式FAQでは「契約解除日から原則30日以内」です。UR都市機構の基準で査定した修理費用などを精算した後の敷金が返還されます。起点は退去日でなく契約解除日です。精算額が敷金を超える場合は、退去までに不足分を支払う扱いになります。
まとめ
- 敷金の返還義務は賃貸借の終了と明渡しの両方がそろった時に発生(民法622条の2)。明渡しが先、返金が後
- 民法も標準契約書も期限は「遅滞なく」で日数なし。日数を決めるのは契約書と管理会社の運用
- 公式の日数はUR「契約解除日から原則30日以内」・大東建託「退去日から約1か月」。統計はない
- 差し引くなら内訳を示す義務が貸主側にある(標準契約書第6条4項)。精算書なしの減額振込は条項違反
- 契約書に期限があれば過ぎた日から遅滞、なければ請求した日から遅滞(民法412条)。だから書面で日付を入れて請求する
- 遅延損害金は年3%(2026年4月からの第3期も据え置き)。時効は5年
- 順番は電話→書面→内容証明(加算480円)→少額訴訟(60万円以下・2026年5月改定後は書面3,500円〜)
- 大家が変わっても新所有者が返還義務を承継(民法605条の2第4項)。保証金・敷引も名目を問わず敷金の扱い
契約書の敷金条項を開いて日数の有無を確かめ、立会いの日に振込先を書面で渡す。この2点で、返金の遅れの半分は起きなくなります。精算書が来て金額に納得できないときは敷金が返金されない時の請求方法、退去の日程と日割の話は賃貸の退去連絡はいつまで?で続きを確認してください。
免責事項
※本記事は民法の条文、国土交通省「賃貸住宅標準契約書」「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」、法務省・裁判所・日本郵便の公表資料、UR・管理会社の公式案内(2026年9月時点)と不動産仲介の現場で見てきた事例をもとに整理した一般的な情報です。返還時期・返還額は個々の契約書と物件の状態により異なります。個別の契約判断・法律相談は宅地建物取引士・弁護士・消費生活センター等の有資格者・公的窓口にご相談ください。

