| 契約書についての解説 賃貸生活で何か問題が発生したとき、あるいは何かを行おうとするとき、行動の基準となるのが、賃貸借契約書です。重要なポイントはきちんと理解しておきましょう。 使用目的 一般的に住まい目的の場合、使用目的は「居住用」となります。従って、クラブやサークルのたまり場や事務所、営業目的の販売場所などとしての使用はできません。 入居者数 単身者や学生用の物件の場合は、入居者数は、通常「1人に限る」です。ときたま、訪ねてくるような保護者や友人・知人の宿泊については、大目に認めてくれる場合が多いのですが、いわゆる同棲などについては、契約違反となります。場合によれば、違約金を請求されることもあり得ます。 賃料(家賃)の日割計算の有無 賃料(家賃)は、ふつう、1ヶ月単位の額が決められています。契約期間に、1ヶ月に満たない端数の期間があるときは、通常は、「1ヶ月を30日間として日割計算する」ことが多いのですが、必ずしも、すべての契約がそうなっているとは限りません。日割計算を行わないという契約書もあります。 契約の更新 ふつうの契約書には、契約期間が終了したときの契約更新についてふれられています。 通常は、契約更新料を支払うことで、更新することができます。更新料を支払わなくても、そのまま居座れば、結果的に法定更新ということになりますが、そんなことをすれば、間違いなく家主や管理会社との間でトラブルとなるでしょう。更新料の金額が地域の相場内である以上は、支払って更新する方がよいでしょう。 なお、中には、「定期借家契約」などによって、契約の更新が認められていない物件もあります。 共益費(管理費) 共益費や管理費については、契約書の中で、「階段、廊下等の共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費等に充てる」(賃貸住宅標準契約書の記載の場合)などというように、どういう部分のどういうものに対して支出するのかを明記している場合があります。このように明記している契約書はよい方です。 共益費(管理費)等の明細を一切明記していない契約書もありますが、そのような場合には、共益費に何が含まれているのかを確認しておいた方がよいでしょう。 敷金(保証金) 敷金(保証金)は、契約から生じるさまざまな債務(お金を支払う義務)を保証するために、家主に預けておくべきお金です。敷金の金額が、「家賃の○ヶ月分」というような表示がされている場合、契約更新時などに、家賃の増減に応じて、敷金が増減される場合があります。 禁止・制限事項(特約事項) 契約書の中で、一般的な契約条項に付け加えて、特約事項として、特別に、禁止したり制限を設けたりしている場合があります。 特約事項としてよく設けられているのは、次のような事項です。 第一は、「転貸等の禁止」です。 つまり、借主が勝手に、他人に部屋を貸し出してはいけないということです。 第二は、「改造・改装の禁止」です。 第三は、「石油ストーブ等の持込禁止」です。 これは、家主からすれば、火災の心配から禁止している事項です。石油ファンヒーターやガスストーブ、ガスファンヒーターならどうかなどについては、家主によって考え方はまちまちです。しかし、もし仮に石油ストーブの持込が禁止されていない場合でも、特に、ワンルームにおいては、使用しないほうがベターです。 第四は、「楽器演奏」、「大音量でのテレビ・ステレオ視聴」、「マージャン」等の禁止です。 第五は、「学生運動、宗教活動等の禁止」です。 第六は、「ペット飼育禁止」です。 これは、一般にもよくある禁止事項です。 例外的に認められる場合があるのは、室内だけで飼え、騒音・においを出さない、熱帯魚や小動物だけです。ただし、必ず認められるかどうかは確認が必要です。 なお、ペット飼育が認められる場合でも、退去時に、原状回復費用が多額になることは覚悟しなければなりません。 第七は、「入居者以外の立寄り禁止」です。 このような禁止事項がある場合、許容範囲はどこまでなのかをあらかじめ聞いておいた方がよいでしょう。そうしないと、友人の一人も呼べない、さびしい生活になってしまうかもしれません。 第八は、「入居者以外の宿泊禁止」です。 これも、「立寄り禁止」と同じように、その運用は千差万別です。あらかじめ、許容範囲を確認しておいた方がよいでしょう。 第九は、「廊下や階段等の共用部分に物品を置くことの禁止」です。 第十は、「事前連絡なしの長期旅行・帰省」についてです。 修繕と原状回復に関する事項 修繕と原状回復に関する事項については、時に、すべての修繕を借主の責任に押しつけるような契約事項が記載されていることがあります。 借主にすべての修繕負担があるように記載されている契約書であっても、通常は、単に、家主の修繕義務を回避しただけのものであるとされており、裁判などでは、家主側の主張はまず認められません。また、消費者契約法により、無効とされます。 家主からの契約解除について 家主からの契約解除に関する事項が記載されているのがふつうです。 例えば、「家賃等を1ヶ月でも滞納したり、禁止事項に一つでも反するような行いがあったりすれば、予告なしに退去させられることがある」などというものです。しかし、これらの条項を特別に恐れる必要はありません。通常は、数ヶ月の家賃の滞納があったとしても、催促して、一定の猶予期間を経て、それでも滞納が数ヶ月も続くような状態になり、もはや、家主と借主との信頼関係がなくなったと客観的に判断できるような状態になってはじめて、契約が解除できるとされています。 禁止事項の違反についても同様です。家主側からの契約解除には、「信頼関係の破壊」が前提となっていますが、それが認められるのはかなり悪質な例のみです。 居室への立ち入り 居室への立ち入りについては、ふつう、消防設備など管理上の必要性にもとづいて行う立ち入り、物件の下見時に行う立ち入り、火事などの緊急事態に行う立ち入りなどがあります。火事などの緊急事態については、家主の管理責任において、延焼を防いだり、被害を最小限にとどめるために、居室の立ち入りが許されます。 |