よくある賃貸トラブルFAQ 契約・トラブル関連 学生の部屋探し

入退去のしおり(Web公開版)    
 この「入退去のしおり」は、京大生協で住まいの契約を行った組合員に提供している冊子を一部削除・修正したものです。一般の方にも参考になると思いますので、大きな削除・修正は付け加えておりません。

<索引>

 
1.   トラブルを未然に予防するために

2.  
入居前

 (1)       契約書の内容確認
 (2)       新生活用品の準備
 (3)       一人暮らしへの心構え
 (4)       契約残金の支払
 (5)       火災共済・火災保険・学生賠償責任保険などへの加入確認
 (6)       引越手続など
 (7)       ガス会社への連絡
 (8)       入居前の解約

3.   入居直後
 (1)       入居当日にやるべきこと(チェックリスト)
 (2)       家具や家電製品の配置の仕方
 (3)       敷金返還をスムーズに運ぶためのコツ
 (4)       入居後できるだけ早めにやっておくこと

4.   入居中
 (1)       防犯対策
 (2)       家賃・共益費の支払
 (3)       ゴミ出しルール
 (4)       騒音トラブル
 (5)       共用部分の利用
 (6)       駐輪場・駐車場
 (7)       水漏れトラブル
 (8)       喫煙
 (9)       ペットの飼育
 (10)       室内の利用方法
 (11)       異常事態への対応
 (12)       結露・カビ予防策
 (13)       ダニ予防策
 (14)       火災予防策
 (15)       ガスの利用法
 (16)       電気の利用法
 (17)       水道の利用法
 (18)       病気や怪我をしたとき(する前に)
 (19)       地震が起きたとき

5.   契約更新
 (1)       更新手続
 (2)       更新料・更新手数料

6.    契約期間中の途中退去
 (1)       「途中解約条項」について
 (2)       予告期限

7.   契約終了に伴う退去
 (1)       退去通知
 (2)       退去準備(引越手配・各種手続)
 (3)       清掃・原状回復
 (4)       退去時の立会い確認・原状回復同意書等
 (5)       カギの返還

8.    敷金精算
 (1)       そもそも敷金とは?原状回復とは何か?
 (2)       工事施工単位、負担割合
 (3)       敷金の返還時期
 (4)       「修繕義務特約(修繕費用借主負担特約)」について
 (5)       国土交通省の「原状回復ガイドライン」について
 (6)       原状回復工事請求書・明細見積書について
 (7)       家主・管理会社との交渉の仕方
 (8)       交渉がうまくいかない場合の対策
 (9)       紛争の解決方法
 (10)       少額訴訟手続


入退去のしおり(Web公開版)

1.   トラブルを未然に予防するために

 これから、多くの皆さんは、数年間にわたる一人暮らしを行うことだろうと思います。

 その間、病気や事故その他のトラブルにまったく遭わないという人はまずいないと思います。

 「トラブル」は、「発生してから対策を考える」よりも、発生しないようにすること、つまり予防策が重要です。

2.   入居前

(1)      契約書の内容確認

 新入生の場合、大勢の新入生がいっせいに住まい探し・契約を行うため、契約書の内容についても、通常の住まい探しのように、ゆっくりと内容を点検してから契約するという時間的な余裕がなかったと思います。

 在校生の場合も、契約時点で、契約書の内容の隅から隅までチェックして契約したという人はほとんどいないと思います。

 しかし、いずれにしても、契約書は非常に重要な書類です。契約内容に違反するようなことがあるとトラブルに発展することもありますし、場合によれば、損害賠償を請求されるということもあります。

 そこで、必ず、契約書の内容については、眼を通していただきたいのです。

 契約書に関する解説は、こちらをご覧下さい。

(2)       新生活用品の準備

 住まいが決まったら、次は、どのようなライフスタイル(生活習慣)を送るのかを考えなければなりません。ポイントとしては、ベッド派かふとん派か?勉強するのに机を使うのかどうか?自炊をするつもりかどうか?などです。なお、クローゼットでは布団を収納できない場合が多いので、必然的にベッド派となってしまいます。

 ライフスタイルが決まれば、次は、それに合う新生活用品の準備です。

 まず、引越(代)のことも考えたうえで、自宅から持っていくものは何かを決めましょう。足りない分は、生協や家電量販店や家具店などで購入することになります。一般のお店で購入する場合には、お店ごとに配達日・時間がまちまちになりがちですので、入学式当日などに引越を考えている場合、家族が入学式に出席できないというようなケースもありますので注意が必要です。また、万一、部屋に入らなかったり、故障していたような場合、地方のお店の場合だと、返品が困難なこともありますので注意して下さい。その点、生協ならすぐに対応できるのが安心です。新品でなくてもよいものは、リサイクル品もご検討下さい。

(3)       一人暮らしへの心構え

 生活用品の準備ができれば、次に、生活そのものの準備・心構えです。

 これからは、原則として、自分ひとりで判断しなければなりませんが、社会的な経験不測につけこんで、言葉巧みに不当な契約を押しつけてくる業者もたくさんあります。相手の口車に乗ってしまわないように、「言われるままにはんこを押す」というようなことは絶対に避けなければなりません。

 自炊を考えている人は、自宅での「練習」を行っておくほうがよいでしょう。

(4)       契約残金の支払

 手付金を支払って「契約手続を行った」だけでは、入居することはできません。契約書を交わし、契約金の残金を、かならず所定の期日(家主や管理会社の指示に従って下さい)までに、振り込まなければなりません。

 万が一、所定期日までに振り込めないような事情が発生した場合には、家主や管理会社の了解を得なければなりません。

 所定の期日までに振り込まず、何も連絡しない場合には、「キャンセルしたもの」とみなされ、入居できなくなるトラブルが発生しかねませんので、必ず、期日はお守り下さい。

(5)       火災共済・火災保険・学生賠償責任保険などへの加入確認

 家主や管理会社などが指定する火災保険などに加入した場合には、その担保内容を確認しておくことをお勧めします。業者が勧める保険の場合、家主への賠償責任は必ず入っているはずですが、次のような点を念のために確認しておいたほうがよいでしょう。

     入居者の家財道具が保証されるかどうか?

     保証は、「時価」なのか「再取得価額」なのか?

     地震の際の保証はあるのかどうか?

     被害を与えた他の入居者への保証はあるのかどうか?

大学などに生協がある場合は、生協の火災共済がお勧めです。生協の火災共済の場合には、掛け金が非常に低額(4年間で7630円)でありながら、盗難保証もついています。借家人賠償保証も1000万円、家財の火災・水濡れも150万円まで保証される優れものですので、ぜひご加入下さい。

同じく生協で案内している学生賠償責任保険は、火災共済でも対応できない、他の入居者への損害賠償などについて最高1億円まで保証され、掛け金も4年間で4000円ですので、合わせてご加入下さい。

(6)       引越手続など

 引越に関連する手続としては、引越手配、郵便の転送届、住民票の転出届、友人・知人への連絡、そして遠隔地被扶養者証の手続などがあります。

 このうち、特に重要なのが、「遠隔地被扶養者証」です。端的に言えば、下宿生のための「健康保険証」です。

 作成には在学証明書が必要ですが、保護者の勤務先や自治体など、健康保険証の発行元に提出して、交付を受けます。

 なお、住民票の転出届を行うと、地元自治体による成人式などの案内が来なくなる場合がありますので、成人後に移動する人もいます。

(7)       ガス会社への連絡

 ガス設備がある場合、入居当日にガスの開栓をしてもらうために、入居前に必ず、指定のガス会社に連絡して下さい。当日は、必ず立会い確認が必要ですので、学事スケジュールに気をつけて下さい。入居当日に連絡した場合、ガス開栓ができず、入浴できなくなる場合もありますのでご注意下さい。

(8)       入居前の解約

 万一、入居前に、決定していた下宿の契約を解約する場合、契約残金の支払いの有無、解約時期、解約理由などによって、支払ったお金が返金されるかどうか?返金される場合の返金額も異なってくる場合がありますので、家主・管理会社に連絡して下さい。

 なお、解約されると、家主は、ほとんど1年間空室のままにせざるを得ず、数十万円以上の損害となりますので、よほどのやむを得ない事情がある場合を除いて、解約はご遠慮下さるようにお願い申し上げます。

 

3.   入居直後

(1)       入居当日にやるべきこと(チェックリスト)

     新生活用品の荷受

   生協や家電量販等で購入した新生活の配達日となっている場合には、配達時間帯には、必ず室内で待機が必要です。

   なお、オートロック玄関の物件で、電話で各室に連絡するようになっている場合には、電話がついているかどうかを確認し、自分で設置する場合にはすぐに設置しないと、配送業者が建物の前に来ても入れないことがありますのでご注意下さい。

     引越荷物の荷受

   引越荷物の荷受も上記と同じような注意が必要です。

     電気のチェック

   関西電力に電話して下さい。分電盤(ブレーカー)や玄関ドアについているハガキに住所・氏名等を記入の上、投函して下さい。

     ガスのチェック

   ガス設備がある場合には、入居前に連絡したガス会社により、ガスの開栓をしてもらいますが、本人の立会いが必要となります。

     水道のチェック

   蛇口をひねればそのまま使える場合が多いですが、水道局に電話で連絡をする必要な場合もありますので、家主・管理会社に確認して下さい。

     電話

   NTTの電話工事が局内工事のみで終わっている場合には、発信できるかどうかを確認して下さい。

     照明器具取付

   入居者が、ご自身で照明器具をつけることになっている場合には、暗くなってしまう前に、照明器具を付けなければなりません。

   なお、「照明器具持込」でありながら、実際には照明器具がある場合には、前の入居者が残しているだけですので、自分の好きな照明器具に取り替えることが可能です。

     表札掲示

   一般的には、表札を掲示しないと、郵便物や宅急便がうまく届かないというトラブルが発生しても文句が言えなくなります。しかし、女性の場合には、ストーカー被害などを恐れて、「氏名」ではなく、「苗字」だけにしたり、わざと掲示しない人もいますので、最終的には、本人意思で決めることになるでしょう。

     ご近所への挨拶

   共同住宅では、騒音問題をはじめ、さまざまなトラブルや困ったことが起こることがあります。ご近所(上下左右)の入居者に挨拶しておくことで、トラブル予防になったり、困ったときに助け合えることもありますので、ぜひ挨拶だけは行っておきましょう。なお、ご近所の人がまだ入居していない場合もありますので、不在の場合には、簡単なあいさつ文を書いた手紙などを入れておくという方法もあります。

     家主への挨拶

   カギ渡しのときに家主と会う場合は、すでに挨拶を済ませているはずですが、管理会社からカギを受け取った場合も、できれば、家主に「○○号室に入居した○○です。これからよろしくお願いします」と、一報しておくほうがよいでしょう。

     ゴミ処理

   引越荷物から出たゴミや配送された家電製品等の段ボール箱については、その処理方法について、家主や管理会社に確認して下さい。自分勝手な判断で廃棄すると、家主・管理会社あるいは近隣住民から苦情が寄せられる場合もありますので、ご注意下さい。

(2)       家具や家電製品の配置の仕方

家具や家電製品を室内に配置するときの注意事項は次のとおりです。

A)       畳やカーペットやクッションフロアに置く場合には、置いた跡がつきにくいように、ダンボールなどのクッション材をはさんだほうがベターです。

B)       冷蔵庫を置く場合、壁から10センチ程度離して設置しないと、いわゆる電気焼けが発生し、クロスの張替トラブルが発生する可能性があります。排熱が直接当たる部分にはダンボールを置いて電気焼けを防止する方法もあります。

C)       タコ足コンセントは火災の危険がありますので、絶対に避けなければなりません。コンセントが足りない場合は、安全装置のついたマルチタップ類を使用して下さい。

D)      家電製品は、コンセントの位置を考えて配置しないと、延長コードが必要になったり、部屋の掃除がしにくくなります。

E)       電気キッチンやキッチンのついていない物件で、携帯用のガスコンロを使用するのは、通常、禁止されていますし、非常に危険でもあります。なぜなら、そのような物件の換気扇は、ガスコンロを使うことを想定していないため換気性能が低く、長時間ガスコンロを使用していると、一酸化炭素中毒などに陥る可能性があるからです。

F)       室内に洗濯機を置く場合は、防水パンがある場合には、確実に排水口にホースをつなぎ、水があふれないようにして下さい。

(3)       敷金返還をスムーズに運ぶためのコツ

A)       フローリングは騒音も出やすく傷つきやすいので、重い家具の下には緩衝材を貼り付けたほうがよいでしょう。また、キャスター付のイスで傷がついた場合、修繕費用は借主負担とされていますので、カーペットを敷くなどして、傷がつかないようにして下さい。

B)       玄関は、防水されていない場合が多いので、雨に濡れたかさなどに注意して下さい。ひどい場合は、コンクリートの中にしみこみ、階下に被害を与えることもあります。

C)       キッチンは、油汚れに注意しましょう。汚れたらすぐにふき取るように習慣づけましょう。

D)      バスルームは、湿気がこもりやすく、カビも生えやすいので、入浴後は、数時間換気扇を回し続けるようにしましょう。(換気扇の電気代はわずかですので、ケチってカビを生やすことのナイヨウニしましょう

E)       トイレは、ユニットタイプの場合の清掃は楽ですが、セパレートの場合には、定期的に清掃を行い、カビ、湿気、悪臭が発生しないようにしましょう。

F)       押入れやクローゼットには、ものを詰めすぎないようにしましょう。また、カビや湿気を招かないようにするために、こまめな換気を行いましょう。こまめな換気が「面倒くさい」と考える人は、締め切りにしないで、隙間を空けておくようにしましょう。すのこを敷いたり、湿気取り剤を入れるのも効果があります。

G)      窓ガラスは、結露しやすく、カビも生えやすいのです。仮に、カビが生えた原因への責任がない場合でも、カビをそのまま放置していた場合には、借主は、「善良なる管理者の注意義務違反(自分のもの以上に大切に扱う義務違反)」として、損害賠償責任を負うことになりますので、きちんと対処しましょう。

H)      喫煙する人は、できるだけバルコニーで吸うようにしましょう。ヘビースモーキングによりクロスの張替えが必要になる場合、天井部分も張り替えざるを得なくなると、原状回復費用が相当高くなってしまいます。なお、友人知人が訪問した場合も気をつけましょう。知人がタバコを床に落としてしまい、高額の修繕・張替費用を請求された人がたくさんいます。

I)         壁に釘を打つのは厳禁です。ポスターなどを壁に貼る場合は、貼った跡がつかないテープなどを使いましょう。また、いつも同じ位置に貼っていると、ポスターなどで隠れた部分が日焼けしないため、それ以外の部分と色違いが発生する場合がありますので、時々、気分を変えるように貼る位置も変えるようにしましょう。

(4)       入居後できるだけ早めにやっておくこと

A)       入居時の室内点検

入居時に、室内の隅々まで点検して下さい。

点検する理由は、(1)故障や不具合を発見し、すぐに対処してもらうため(2)入居時の汚損・破損を確認し、入居当時からのものであることを家主や管理会社に証明するためです。

本来は、入居時点で、入居者と家主(管理会社)が双方で立会い確認するほうがよいのですが、春先などは、入居者が非常に多く、全員に対応することが物理的に不可能な場合もあるため、実態として、立会い点検が行われないのがふつうです。

しかし、「立会い点検がないから何もしなくてもよい」と考えてはいけません。なぜなら、入居当時から存在した汚損・破損の部分を双方で確認しておかないと、すべての責任を入居者に押しつけられてしまう可能性があるからです。

そこで、付録にある「入退去時室内点検表」などを利用して、入居者自らが自己申告し、それを1枚コピーの上、家主(管理会社)に持参し、家主(管理会社)の確認印をもらうようにして下さい。なお、汚損・破損がある部分は、日付の入るカメラで写真を撮って、一緒に提出して確認を受けるようにして下さい。

万が一、家主(管理会社)が確認印を押すのをためらう場合には、「では、すぐに室内点検を行って下さい」と要求し、実際に、家主自身(管理会社)が、室内点検を行うように促してください。

それでも、家主(管理会社)が拒否するようであれば、その事実をきちんと記録にとどめておいて下さい。(敷金返還でトラブルになったときに必要になります)

なお、日付入りの写真は、後からでも日付を変えることが可能なため、より証拠としての価値を高めるために、写真の裏に切手(1円切手など)を貼り、最寄の郵便局に行って「消印をもらう」人もいます。

B)       各種届出

生協加入の際、新住所がはっきりしないために、実家の住所を記入していた人は、生協の組合員センターにて、住所変更の手続を行って下さい。そうでないと、本人に届くべき案内などが実家に送付されてしまいます。

また、各種、必要に応じて、住所変更届を行って下さい。

C)       町内会・自治会への加入

 物件により、町内会や自治会への加入が義務づけられている場合があります。そのような場合には、所定の手続を行って下さい。

D)      非常出口・避難路の確認

 緊急時に備えて、非常出口や避難路などについても、確認しておきましょう。

E)       合いカギの作成について

 合いカギを作成する場合、契約書において、合いカギの作製が可能かどうかを確認しておかなければなりません。原則として、家主(管理会社)の同意なしに、合いカギを作ることはできません。

 

4.   入居中

(1)       防犯対策

 入居後の防犯対策としては、次のようなものがあります。

A)       玄関ドアをむやみに開けない

 オートロックの建物でも、入居者に続けば、誰でも建物内に入ることができます。中には、悪質な訪問販売などに引っかからないようにするために、見知らぬ人が訪ねてきても、むやみに玄関ドアを開けないようにしましょう。

B)       玄関・バルコニーなどは常にカギをかけておく

C)       (女性の場合)外から明らかに女性の部屋だと悟られるようにしないこと

D)      数日以上留守にする場合には新聞を止めておく

(2)       家賃・共益費の支払

 家賃や共益費の支払が、自動引落や自動振替などになっている場合はよいのですが、家主に直接持参払いとなっているような場合は、必ず支払期限を守るようにして下さい。期限内に支払わないと、遅延損害金を支払わなければならなくなります。「1ヶ月でも支払いが遅れれば退去させる」というような契約内容であったとしても、すぐに退去させられることはありませんが、だからと言って、期限を守らなくてよいということにはなりません。

(3)       ゴミ出しルール

ゴミの種類別に、いつ、どこに、どのような形でゴミを出せばよいのかを、あらためて

確認しておきましょう。

 ゴミを出す前に、ゴミを作らない(不要な袋はもらわない。買い物袋を持って買い物に行く。不要なものを買わない)ようにしましょう。

(4)       騒音トラブル

 入居中に最も多いのが、騒音トラブルです。もともと、賃貸物件、特に、小さな子供が生活しない前提で設計している学生マンションは、構造的に騒音が発生しやすい構造ですので、入居者同士お互いに、騒音を発生させないようにしましょう。

 騒音防止のために、家具などは、構造壁(コンクリートで固めた壁など)際に置くのではなく、間仕切壁側に置いて、騒音を隣室に伝えにくくしたり、フローリングの上を歩くときにはゆっくり歩いたり、洗濯や掃除は日中に行ったりするようにしましょう。ステレオを鳴らすときは、夜は音量を落としたり、ヘッドホンを利用しましょう。

 知り合いから出た騒音は、見知らぬ人から出た騒音よりも、はるかに我慢しやすいというデータがあります。ご近所の人と知り合いになっていれば、我慢もしやすいし、我慢できなくなっても、忠告しやすいので、ぜひ知り合いになる努力をしましょう。

 騒音被害を受けたときは、家主や管理会社の人に相談し、対処してもらうようにしましょう。

(5)       共用部分の利用

 共用玄関ホール、通路、階段、そしてバルコニーは共有部分です。バルコニーは見かけ上、専用部分に見えますが、緊急時の避難通路の役割も果たすため、共用部分となっています。

 共用部分には、私物を置くことはできません。特に、燃えやすいものを放置していた場合、イタズラなどで放火されたりすると、その全責任を置いていた入居者が負わなければなりませんので、注意して下さい。バルコニーに私物を放置するのも厳禁です。

(6)       駐輪場・駐車場

 駐輪場・駐車場を利用する場合、置く場所が指定されている場合には、必ず、指定の場所に置かなければなりません。

また、所定のシールを貼ることを義務づけられている場合には、その指示に従わなければなりません。(シールがない場合に撤去されても文句は言えません)

なお、駐輪場・駐車場での事故やトラブルは、通常、家主は責任を負いません。家主は、置くことを認めたに過ぎず、自転車や自動車の管理責任まで請け負っているわけではないからです。

(7)       水漏れトラブル

 水漏れトラブルは、入居中のトラブルとして、けっこう発生しています。

 水漏れトラブルを発生させると、自室内の修繕・家財道具の修繕のみならず、階下の人の部屋の損害についても、損害賠償責任を負いますので、多額の修繕費用がかかってきます。そうならないように、次の点を注意して下さい。

A)       浴室や洗濯機に水を入れたまま外出しない。

B)       洗濯機のホースなどがきちんと排水口に固定されているようにする

C)       浴室・キッチンなどの排水口を定期的に清掃し、水があふれ出ないようにする

万一、水漏れトラブルが発生した場合の対策としては、INAXが提供している「緊急時の水回り対処術」(http://www.inax.co.jp/cs/topic02/topi000.html)が非常に参考になります。さまざまなトラブルの種類ごとに、的確なアドバイスが得られます。

(8)       喫煙

 禁煙が条件となっている物件は別ですが、一般的には、喫煙自体が禁止されているわけではありません。

 しかし、喫煙している人が退去時に、壁のクロスだけでなく、天井や床までも張替えが必要として、家主との間でトラブルに発展するケースが少なくありません。

 トラブルを予防するためにも、喫煙はできるだけ室外で行うようにしたほうがよいでしょう。友人・知人にも同じようにしてもらわないと、自分の責任ではないのに、多額の費用を請求されかねません。

(9)       ペットの飼育

 通常、原則として、ペットの飼育は禁止されています。ハムスターなどの小動物、観賞用の小魚、小鳥、昆虫類などは、「ペット飼育」には該当しないと解釈されている場合もありますが、飼育を希望する場合は、念のために、家主(管理会社)に確認してからにしましょう。

 「ペット飼育可能」の物件の場合でも、「ペットを飼育してもよい」というだけで、「ペットを飼育した責任を負わなくてよい」ということではありません。

 特に、犬や猫などを飼育していた場合、原状回復費用が多額になることも多く、通常のように、「自然損耗」とはなりません。なぜなら、ペットを飼育するということは、入居者の意思(故意)だからです。故意による汚損・破損は、借主が修繕費用の全額を負担させられるケースが多いのです。

(10)       室内の利用方法

A)       玄関

 防水が不完全な場合が多いので、水濡れに注意して下さい。ドアの開閉音が大きかったり、ドアクローザーの調子が悪いときは、家主(管理会社)に連絡して調整してもらうか、防錆潤滑剤などを塗って下さい。

B)       キッチン

 悪臭が発生しないように、生ゴミの処理をきちんと行うようにしましょう。油汚れが出たときは、すぐに処置しないと、汚れが落ちにくくなります。換気扇も定期的に清掃するようにしましょう。ステンレスのシンクの汚れを放置しておくと錆びてしまう場合がありますので、汚れを落とすようにしましょう。

C)       浴室

 排水口は、ゴミや髪の毛がつまらないように、ゴミなどは毎日取り除くようにしましょう。ゴミがたまるからといって、排水口の目皿を取り外してはいけません。目皿を取り外すと、配水管を詰まらせてしまう恐れがあり、万一、入居者の責任で詰まらせた場合、高額な修繕費用を請求される可能性があります。

 入浴後は、必ず数時間、換気扇を回すようにしましょう。

 浴槽は強化プラスティック製で割れる可能性があるので注意して下さい。

D)      トイレ

 トイレットペーパー以外の紙(ティッシュペーパーなど)を使用するのは厳禁です。

 悪臭が発生しないように、定期的に清掃しましょう。万一、詰まった場合は、ラバーカップを使って詰まったものを処理して下さい。それでも、詰まりが直らない場合は、家主(管理会社)に連絡して対処してもらうようにしましょう。

E)       居室

     カーペット

タバコの火を落としたりすると張替義務が発生しますので、歩きながらの喫煙は避けて下さい。ゴミがたまると、そこにダニなども発生しやすくなりますので、掃除機で定期的に清掃して下さい。汚れがひどい場合は、中性洗剤で汚れをたたくようにして落として下さい。

     フローリング

フローリングは傷がつきやすいのが短所です。また、水にも弱いので、水をこぼした場合、すぐにふき取るようにしないとシミができてしまいます。ワックスをかけると傷がつきにくくなります。

     クッションフロア

クッションフロアは熱に弱く、重いものを置いていると跡形が残ってしまいます。歩きタバコは禁物です。重い家具などを置く場合には、大きめのクッション材を敷くことをお勧めします。

     たたみ

直射日光と湿気に弱いこと、クッションフロアと同じように、重い家具を置くと、跡形が残ってしまうので、やはりクッション材を敷いておくことをお勧めします。 

F)       バルコニー

 バルコニーは、その見かけとは異なり、原則として、共用部分となります。従って、借主は、バルコニーを使用することは可能ですが、緊急時には避難路ともなるため、私物を放置することは禁止されています。万が一、私物を放置していたために、事故が発生した場合には、借主が損害賠償責任を負うことになりますので注意してください。

(11)       異常事態への対応

A)       玄関ドアの速度が速すぎる(遅すぎる)

 ドアクローザーの速度調整弁をドライバーで少し回して開閉速度を調整しますが、1速目と2速目の速度調整を極端に変えたり、2回転以上回すと内部から潤滑油が漏れてきて故障する場合がありますので、自分でうまく直せない場合には、家主や管理会社に調整の依頼を行ったほうがよいでしょう。

B)       玄関ドアががたついている

 ドアの蝶番ねじが緩んでいる場合が多いので、大きめで力の入るドライバーでしっかりと締めなおすようにします。小さなドライバーで締めようとすると、ねじ穴がつぶれてしまう場合がありますので注意しましょう。

 ドアがきしむような場合は、自転車油などの潤滑油を差せばよいでしょう。

 ドアクローザーから油が漏れてくるようなときは、家主や管理会社に、器具の交換をしてもらいましょう。

C)       電気のブレーカーが落ちた

 電気のブレーカーには、アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、配線用ブレーカーなどの違いがありますので、その違いによって、対処法が異なります。

まず、ブレーカーが作動した場合には、使用していた電化製品のスイッチをすべて切り、次に、玄関上部などにある分電盤を開け、どのブレーカーが、「OFF」になっているのかを確認しましょう。

   ブレーカーは、その種類により、原因がある程度推測できます。

   「アンペアブレーカー」が「OFF」になっている場合は、全体の電力を使いすぎています。

   「漏電ブレーカー」の場合には、回路のどこかで漏電している可能性がありますので、すぐに電力会社まで連絡するようにしてください。

「配線用ブレーカー(安全ブレーカー)」の場合には、上記に述べた電力消費量い多い電化製品の同時使用などで、「OFF」となった回路を使いすぎたためです。

通常は、「ON」に戻すことで、元通りに使用できるようになりますが、再度、ブレーカーが落ちるような場合にも、関西電力まで連絡するようにしてください。

D)      ガス臭いにおいがする

まず元栓を閉め、玄関、窓などを全開してガスを外に排出します。その際、照明器具をつけたり、換気扇を回すと、スイッチの際の火花によって爆発する恐れがありますので、絶対に電化製品にスイッチを入れないようにしてください。そして、ガス会社に連絡してください。

なお、都市ガスは空気より軽く、LPガスは空気よりも重いので、ガスを排出する際は、ガスの特性によって排出場所を工夫してください。

E)       ガスが止まった

   ガスのマイコンメーターが設置してある場合(玄関横のパイプスペースに設置しているケースが多い)には、赤ランプが点滅点滅していれば、ガス漏れがないか確認し、ガス臭くない場合には、次の要領で操作するか、家主や管理会社に連絡をして、対処してもらいましょう。

(1)     ガス器具の栓をすべて止め、ガスの元栓を閉めます。

(2)     復帰ボタンのキャップをはずします。

(3)     復帰ボタンを奥まで押して、手を離します。ボタンは元に戻り、赤ランプが再び点滅します。

(4)     約3分待ちます。

(5)     再度マイコンメーターを確認し、赤ランプが消えていれば、ガスが使えます。

F)       蛇口の継ぎ目から水漏れする

(1)     まず、蛇口を締めて、ナットをゆるめパイプを取り外します。

(2)     古いUパッキンを新しいものに取り替えます(ホームセンターやスーパーなどで同じものを購入しますが、これは借主負担となります。)が、上下(溝があるほうが上)を注意して交換します。

(3)     再び、ナットを締めます。

(4)     水を流してみて、水漏れがなくなっていたらオーケーです。

G)      蛇口を締めてもパイプの先から水漏れする

(1)     内部のコマパッキンの磨耗が原因ですので、あらかじめコマパッキンを購入しておきます。スパナやピンセットも用意しておきましょう。

(2)     玄関横のパイプスペースなどにある止水栓を完全に閉めます。(自分の部屋のものであるかどうかをはっきりと確認しておかないと、蛇口をはずしたときに水が溢れて大変なことになります。)

(3)     グランドナットに布などを当てながら、スパナでゆっくりとゆるめて抜き取ります。

(4)     スピンドルを左に回しながら抜き、ピンセット等でコマパッキンをつまみ出します。

(5)     新しいコマパッキンと交換します。

(6)     外した時の逆の順番に、締め過ぎないように取り付けていきます。

(7)     止水栓を開けます。

(8)     ゆっくり水を出し、蛇口を締めたときに水漏れがなくなっていることを確認します。

H)      トイレの水がスムーズに流れない

(1)     ロータンクのそばにある止水栓を右に回して閉めます。

(2)     水が止まらない場合は、ロータンクの上蓋をはずし、中のゴムフロートを持ち上げるアームが引っかかっていたり、チェーンが絡まっていたりしないかどうかを確認し、問題があれば調整します。

(3)     ゴムフロート自体にゴミなどが付着している場合には、歯ブラシなどで取り除きます。

(4)     止水栓を回して水の出が止まった場合は、浮き玉がはずれていないか、どこかに引っかかっていないかどうかを確認してください。

I)         便器に水が流れてこない

(1)     止水栓が閉まっていないかどうかを確認します。閉まっていれば開けるようにします。

(2)     ロータンクの上蓋をあけ、中のチェーンがはずれていないか確認し、はずれていればつなぐようにしてください。

J)        手洗い管から水が出ない・止まらない

(1)     ロータンクの上蓋をはずし、中の浮き玉を上下に動かして調整してください。

(2)     水量の調整を行う場合には、マイナスドライバーで止水栓を調整します。水量を減らすときは右に、増やすときは左に回すようにします。

(3)     それでも直らない場合は、家主や管理会社に連絡してください。

K)      トイレが詰まった

 ラバーカップで詰まり物を吸い上げるようにしますが、その際、水は流さないようにしてください。ラバーカップの使い方は次のようにします。

(1)     便器の排水口にラバーカップをぴったりと押し付け、空気が入らないように密着させます。

(2)     ラバーカップの上のほうの棒を持ち、押したり、引いたりを何度も繰り返します。

(3)     詰まり物が出てきたら、それを取り除きます。(無理に流そうとすれば、また詰まってしまいます。)

L)       浴室の水が流れにくい

 排水口が髪の毛や石鹸カスによって詰まっていることが多いので、それを取り除き、内部まで清掃します。排水口の目皿はこまめに清掃するようにします。

M)     給湯器のお湯が出ない

(1)     まず、コンセントがはずれていないか、異常がないかどうかを確認します。

(2)     給湯器の下にあるバルブの開きが正常であるかどうかを確認します。

(3)     それでもお湯が出ないときは、給湯器のメーカー名、型番、(製造年)をメモの上、ガス会社に連絡してください。

(4)     製造年から、法定耐用年数(13年)を超えているような場合は、給湯器の取替えが必要ですので、家主や管理会社に連絡の上、家主の費用で交換してもらいます。

(12)       結露・カビ予防策

 日本では、高温多湿の気候であるにもかかわらず、もともと内断熱工法が多く、断熱構造自体も貧弱な場合が多いので、建物内で結露が起こりやすいのです。

 しかし、「結露が発生するのは自分の責任ではない」と言って、結露を放置しておくと、カビが生えますし、夏場などにはダニが大量発生してしまい、自分自身の健康を害するばかりか、退去時に、結露を放置した責任を負わなければなりません。

 そこで、結露予防策として、水蒸気の出やすい調理中は必ず換気扇を回しておくこと、時々、窓や押入れ・クローゼットなどを開けて空気を流通するようにすること、室内に洗濯物を干さないこと、窓ガラスやアルミサッシに付いた水滴は拭き取るようにすること、窓ガラスに結露予防のためのフィルムを貼ること、梅雨時はエアコンのドライ機能を利用して湿度の調整を行うことなどが上げられますので、これらの対策を施すようにしましょう。

 それでも、万一結露が発生した場合には、すみやかに水分を拭き取り、結露予防策を強化してください。

(13)       ダニ予防策

 ダニは、高温多湿でえさとなるほこり・ゴミが多い環境を好む種類が多いので、ダニ予防策は、結露対策に加えて、ほこり(ふけなどの動物性のゴミはダニの大好物です)・ゴミなどが貯まらないように掃除をこまめに行うことが重要です。

 和室の場合、畳の上にカーペットを敷いている人がいますが、これは、もっともダニが生息しやすい環境となりますので、避けたほうがよいでしょう。どうしても、カーペットを敷く場合には、掃除機をこまめにかけて、ダニの増殖を防ぐようにしましょう。

(14)       火災予防策

 タバコの火の不始末は、火災の原因の上位を占めています。寝タバコは厳禁です。

冬場、電気ストーブなどをつけっ放しで寝ていたところ、毛布がストーブにかかって火災を起こしてしまった学生もいますので、寝るときは火災の心配のあるものは必ず切っておくようにしましょう。

その他、電気のたこ足配線は、火災の原因のひとつです。絶対にやめるようにしてください。

万一のときに備えて、できれば小型の消火器を備えておきましょう。

(15)       ガスの利用法

 住宅用に供給されているガスには、都市ガスとLPガス(プロパンガス)の2種類があります。さらに、都市ガスには、地域ごとに規格の違いがありますので、ガスの種類と規格を確認せず、実家から持ってきても使えないケースが多いので注意しましょう。なお、京都市の場合には、都市ガスの規格は「13A」です。

 ガスは、使用法を誤まると大事故につながりかねませんので、注意して使用して下さい。

     ガス器具の使用について

鍋やフライパンなどは、必ずガス台の大きさに合ったものを使用して下さい。大きすぎるものを使うと、壁などを焦がす恐れがあり、火災の原因にもなります。また、自動点火式のガス器具でも、必ず点火状況を確認するようにしてください。

       ガス漏れ警報機について

ガス漏れ警報機が設置してある場合は、定期的な点検が行われているかどうかを確認しておいてください。自分で設置を希望する場合、家主や管理会社の了解を得てから、取付場所・方法についてはガス会社に相談してください。

(16)       電気の利用法

 電気コンセントのたこ足配線は絶対に避けてください。また、飼養していないコンセントは、キャップをするなどして、中にほこりが溜まらないようにしてください。

 各室で使用できる電気の容量は決まっており、分電盤内に「アンペア数」で表示されています。同じコンセントから、電力消費量の多い電気コタツとヘアードライヤーなどを同時に使用すると、自動的にブレーカーが働く場合がありますので、どちらか一方を使用するか、離れた位置にあるコンセントから電気を供給するようにしてください。

また、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、パソコンなど、アース線のついている家電製品は、必ずアース線を接続し、感電事故が起こらないようにしてください。(ガス管にアース線をつけると爆発の危険がありますので、絶対に接続しないでください。)

(17)       水道の利用法

 通常、2階建てのアパート・ハイツの場合には、水道局からの水道が直接、各部屋に供給されていますが、3階建て以上の建物の場合には、いったん、貯水槽に溜めた上で、ポンプで圧力をかけたり、屋上等にある高架水槽にポンプアップし、そこから各部屋に供給する場合もあります。

 貯水槽などを利用している場合には、水道局の責任は貯水槽までであり、そこから先は、家主の責任で各部屋に水を供給することになっています。

 貯水槽の清掃や点検は、定期的に行うことが義務づけられていますが、 罰則規定があっても強制力がないために、家主次第になっているのが現状です。

 水道の水が着色していたり、異臭があるような場合には、家主や管理会社にきちんとした調査をしてもらい、場合によれば、調査データを見せてもらえるように交渉しましょう。

 貯水槽などがある場合、水がもっとも危険な季節は夏から初秋にかけてです。

というのは、下宿の特性として、夏場はほとんどの入居者が帰省や旅行で不在になることが多く、水の使用量が極端に少なくなり、貯水槽の中で、水道局から来た水の塩素成分がなくなってしまい、雑菌が大量繁殖する場合があるからです。特に、太陽熱が直接当たる高架水槽のある物件では、夏場から初秋にかけては、生水は禁物です。

(18)       病気や怪我をしたとき(する前に)

 下宿生が、最も心細くなるのは、病気や怪我をした場合です。実家なら、自分で動けない場合でも、家族の人が助けてくれますが、一人暮らしの場合にはそういうわけにはいきません。

 そこで、まずは、病気や怪我の予防のために、日常からの健康管理に気をつけましょう。

 若いからといって無理を続けていると、若い人ほど、病気の進行も早いので、思わぬ重症になってしまう場合もありますので、体調が思わしくないと感じた場合は、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

 次に、病気などをした場合にも、買い物やちょっとした手助けを気軽に頼める友人たちを必ず作っておきましょう。風邪などでまったく動くこともままならないのに、誰も手助けを頼む人がいないことほど心細いことはありません。日頃からのお付き合いを大切にしておきましょう。そして、友人が手助けを求めてきたら、できるだけの支援をしてあげるようにしましょう。同じ物件内のご近所さんに友人ができれば、お互いに非常に心強くなれます。努力してみる価値があります。

 病気や怪我などで通院するような事態になったときは、医療費の補助を受けるための手続が必要になる場合もありますので、実家に連絡しておきましょう。

(19)       地震が起きたとき

 まずは何はともあれ、火の始末をします。ガスなどは元栓を閉めてください。揺れが激しい場合、大きな家具などの側やガラスのそばを避け、机などがある場合には、机の下で様子をみるようにします。

 揺れがそれほど激しくない場合は、玄関ドアを開けておくようにします(激しい揺れでドアが変形し、脱出できなくなることを予防するためです)。

 エレベーターがある場合にも、非常停止する場合がありますので、非常階段を利用して、避難するようにしてください。

 

5.   契約更新

(1)       更新手続

 契約期間の終了が近づいてくると、家主や管理会社から、「契約更新のご案内」などが送られてきますので、契約を更新する場合は、所定の手続を行ってください。万が一、家主や管理会社から連絡がない場合も、事前に家主や管理会社に連絡し、トラブルが発生しないようにしましょう。

 更新手続の際、家主や管理会社から、「契約条件の変更」の要請がある場合、借主に一方的に不利な変更である場合には、更新手続を行う前に、家主や管理会社と話し合いを行いましょう。

 話し合いをしても解決できず、一方的な変更を要請され続けるような場合は、生協に相談し、不利な変更にならないようにアドバイスを受けるようにしてください。

 逆に、あなたが契約したときの条件と比較して、同じ物件内で、今年入居した新しい入居者の条件がよくなっているような場合(家賃や礼金などが大幅値下げになっているなど)は、家主に対して、契約条件の変更(新しい入居者と同じように条件をよくしてもらう)を申し出ることができます。

 しかし、家主が、条件変更に応じない場合には、原則として、従来の条件で契約更新することになります。

(2)       更新料・更新手数料

  契約更新する際には、契約時に定められた更新料を支払わなければなりません。

  なお、契約更新手続は、家主と借主との間で行いますが、家主の代わりに、家主の代理人として管理会社が代行する場合、更新手数料を請求する場合があります。

  本来、更新手数料は、業務の代行を依頼した家主が管理会社に支払うべき性質のものですが、業界の慣習として、借主負担とされている場合が多いのです。

  このような更新手数料は、本来的には支払う必要がないはずですが、契約の特約として、更新手数料の支払いが義務づけられている場合、特約として有効とされる可能性と、消費者契約法(付録を参照してください)によって、「無効である」とされる可能性もあり、判断が分かれるところです。

 

6.   契約期間中の途中退去

(1)       「途中解約条項」について

 契約期間中に、何らかの事情によって、契約を解除しなければならなくなったとき、まず確認すべきことは、契約書の条項の中に、「途中解約条項」があるかどうかです。

 法律上は、「契約期間を定めた契約(通常の契約の場合)」は、「途中解約条項」のない契約であっても無効ではないため、「途中解約条項のない契約」も存在するのです。

 というのは、本来、契約は、家主と借主の双方による合意で成立しているため、例えば、「契約期間は2年間」としていた場合、2年間は、家主は物件を提供し、借主は家賃を支払い続けるという約束をしているわけですから、一方が勝手に解約することはできないはずだからです。

 しかし、やむを得ない事情により、借主が解約せざるを得ない事情が出てきた場合にも、「解約を認めない」というのでは、借主があまりにかわいそうなので、「途中解約条項」を定めるようにしてきたのです。

 いずれにしても、もし、「途中解約条項」がない契約であれば、解約できないために、契約期間の終了までの家賃を支払わなければならなくなります。これは大変なことです。

なお、2001年4月以降に契約したものについては、消費者契約法が適用されますので、「途中解約条項のない契約」は「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」に該当すると考えられるため、条項そのものが無効であると判断されるでしょう。実際、判例においても、たとえ途中解約条項がなくても、契約期間終了まで家賃を支払わせ続けるのは不当であり、「契約期間を定めない契約」の場合は3ヶ月前の予告が必要としていることに鑑み、さらに、次の入居者を見つけるための期間を3ヶ月程度とれば十分と考えられるため、3か月分程度の家賃負担を超える負担は不当であるというような判断がなされています。

(2)       予告期限

途中解約が可能な契約の場合、契約書の中に、「借主から解約する場合には○ヶ月前までに通知を行うこと」というような規定があるはずです。

従って、まず、その予告期限がいつまでなのかを確認する必要があります。

予告期限をクリアーしている場合、家主や管理会社に、「通告」をするわけですが、法的には、口頭での通知でも問題ありませんが、口頭だけで通告していた場合、あとから、家主などから、「そんなことは聞いた覚えがないので、違約金を支払ってもらう」などと言われた場合に、「通告した」という証拠が何もないので、違約金を支払わされる羽目に陥る可能性があります。

そこで、家主や管理会社に対する通告は、文書で行わなければなりません。

通常、家主や管理会社のところに行って、「退去届」などを提出することになりますが、念のために、そのコピーをもらっておいたほうがよいでしょう。

ちょっと気をつけなければならないのは、更新手続を行わなかったために、「法定更新」と呼ばれる状況になっている場合です。

法定更新状態になっている場合、「契約期間を定めない契約」に変わっていますので、元の契約書では、「解約する場合は1ヶ月前までの通知が必要」というような規定であったとしても、契約期間を定めない契約として「3ヶ月前までの通告が必要」となるという点です。

つまり、きちんと合意更新せず、法定更新状態になってしまった場合には、3ヶ月前までに通告しないと、3か月分の違約金を支払うことになってしまうのです。

 

7.   契約終了に伴う退去

(1)       退去通知

 契約終了に伴って退去する場合、契約書に定められた「退去通知時期」に注意しなければなりません。退去通知するかどうかは、別の表現をすれば、契約を更新するかどうかと同じです。一般的には、「借主から解約する場合には、○ヶ月前までに通告すること」となっていますので、その期限を守らなければなりません。

 ときおり、「解約通知時期の規定は、契約期間中の『途中解約』の場合の規定であり、契約終了時には適用されないのではないか?」という疑問を持つ人がいますが、一般の賃貸借契約では、家主側が更新拒絶しなければ、原則として、契約自体は存続することになってしまいます。

 所定の期限までに退去するかどうかの返事をしないでそのまま住み続けていると、法律上は、契約更新したとみなされてしまいますので、今度は、「更新料の支払い」をめぐって、家主との間でトラブルになる場合もありますので注意してください。

 トラブル予防のためにも、必ず、所定の通告期限を守ってください。

(2)       退去準備(引越手配・各種手続)

 退去通知を出せば、今度は、引越の手配や各種の手続を行うことになります。

 引越については、上手に引越するために、時期ごとに準備すべき事柄がありますので、「引越チェックリスト」などを活用してください。

 各種の手続としては、公共料金(電気・ガス・水道など)の精算、電話の移転手続、ゴミ処理手続、郵便局の転送届、新聞等の停止通知、そしてカギの返還があります。

 公共料金の精算は、引越予定日の1週間ほど前に各営業所に連絡し、退去日までの精算を行って下さい。精算を行わずに退去すると、各営業所では退去日がわからないため、退去日以降に使用された分の費用まで含めて請求されてしまいますので注意して下さい。

 電話は、「116」番に電話をかけ、移転手続を行って下さい。

 ゴミ処理については、退去日までにすべて終えるように、計画的に処分するようにして下さい。万一、ゴミ処理をきちんと終えずに退去すると、家主や管理会社から、高額のゴミ処理費用を請求される可能性があります。

 郵便局の転送届は、郵便局にある転送届の用紙に必要事項を記入して投函するだけで、1年間、新しい住所のところに転送してもらえます。

 最後に、カギの返還を行いますが、詳細については後述をご覧下さい。

(3)       清掃・原状回復

 退去日が近づいてきたら、原状回復義務の一環として、清掃しなければなりません。

 特約として、ハウスクリーニングを行うことになっている場合、「自ら清掃しても、あとから業者が清掃するから無意味じゃないの?」という声も聞きます。

 しかし、後々のことを考えると、清掃しておいたほうがよいでしょう。

つまり、後の敷金返還で家主(管理会社)との間で揉めた場合、ハウスクリーニング特約自体、その有効性をめぐって争うことになる場合もあります。ちゃんとした清掃がまったくなされていなかった場合、家主(管理会社)側が、「入居者はまったく清掃義務を果たしておらず、やむを得ず業者を導入せざるを得なかった」という正当性を主張する根拠を与えてしまうからです。

清掃は、油汚れの多い換気扇などは、特に念入りに行っておきたいものです。

清掃以外には、借主の義務として、原状回復義務を果たさなければなりません。

「原状回復義務」というのは、8.「敷金精算」で詳しく述べるように、「入居当時の状態に戻す」ことではありません。自然損耗や経年劣化などによる汚損・破損などは、借主として責任を負う必要はないのです。

しかし、「原状回復義務をめぐる高額請求トラブル」が多い現状では、できるだけトラブルを予防するための措置を実行しておいたほうがよいでしょう。

そこで、まず、「自分でできる原状回復」を参考にして、できる限り、修繕・修復を行っておくようにしましょう。

(4)       退去時の立会い確認・原状回復同意書等

 「退去時の立会い確認」というのは、借主の責任で汚したり傷つけたりした部分をはっきりさせ、家主との責任分担を決めるための非常に重要な業務です。

 借主の原状回復義務は、通常、家主が預かっている敷金の中から行われます。つまり、家主が自分のお金で原状回復(のための修繕)費用を負担するのではなく、他人である借主のお金で修繕を行うわけです。

 従って、家主は、他人(借主)から原状回復費用を出させるために、「借主に費用を負担させる合理的な理由がある」ということを証明しなければならないのです。難しい表現を使えば、「(借主の修繕費用負担に関する)挙証責任は家主にある」ということです。

 しかし、横着な家主(管理会社)の中には、退去時に双方の立会い確認を行うのではなく、退去してしまってから、一方的に、借主の責任範囲を決めつけるという場合があります。

 このような横着な家主(管理会社)に対しては、「自分の責任範囲をはっきりさせるために、必ず立会い確認をしてほしい」と交渉してください。実際に、立会い確認をしてくれるようになればよいのですが、立会い確認してくれなかった場合でも、後日、敷金返還でトラブルになった場合、「家主としての義務を果たさなかった」という事実を明確に残すことができます。

 退去時の立会い確認を行う場合、入居時に作成した「入退去時室内点検表」を利用し、「入居時の状況」と「退去時の状況」の比較を行い、入居時になかった汚損・破損が、借主の原状回復の対象となります。

 その上で、その汚損・破損のうち、借主に、故意・過失・善良なる管理者の注意義務違反(自分の持ち物以上に大切に扱う義務違反)に該当せず、自然損耗・経年劣化(8.「敷金精算」を参照してください)に該当する場合は、借主は責任を問われないはずです。

 家主(管理会社)の中には、「修繕費用借主負担特約」などを根拠に、すべての修繕負担を借主に押し付けてくる場合がありますが、後述するように、そのような特約は認められない可能性が強いのです。

 立会い確認時に、「原状回復同意書」などに、署名捺印を求められることがありますが、借主として納得できない場合には、署名捺印してはいけません。(いったん、署名捺印すると、後から「あれは自分の本意ではない」と言っても認められないケースが多いからです。)

(5)       カギの返還

  退去時の立会い確認が終了すれば、家主(管理会社)から預かったカギの返還を行います。このとき、家主(管理会社)の同意を得て作製していた合いカギがある場合も一緒に返還しなければなりません。

  なお、カギの返却は、家主(管理会社)との約束の日までに行わなければなりません。返却日を忘れてしまい、家主(管理会社)からの督促などによって返却することになった場合、遅れた分の日割り家賃を請求される可能性もありますので注意してください。

 

8.   敷金精算

(1)       そもそも敷金とは?原状回復とは何か?

 敷金というのは、契約期間中に借主が家主に対して負担する賃料債務その他一切の債務の担保のために差し入れられた金銭のことです。つまり、滞納家賃や原状回復費用など、借主が負う負債を確実に支払ってもらうために、家主が預かっている「人質」のようなものです。

 借主が、家賃を滞納していた場合、借主は、「敷金から差し引いておいてくれ」などという権利は認められていませんので、いくら敷金があっても、家賃は必ず支払わなければなりません。

 借主の原状回復義務とは、法的には、「物件内に持ち込んだ家財道具などの撤去義務」(民法第598条・第616条)のことですが、家主(管理会社)の中には、「入居当時の状態に戻すこと」というように勘違いしている場合が多いので注意が必要です。

 法的には、借主は、故意(わざと)・過失(誤まって)により汚損・破損させた場合や、善良なる管理者の注意義務違反(自分のもの以上に大切に取り扱う義務違反)によって汚損・破損させた場合には、損害賠償責任を負いますが、自然損耗(通常の生活上でやむを得ずに発生した汚損・破損)や経年劣化(年月の経過によって発生した汚損・破損)については責任を負わないとされています。

(2)       工事施工単位、負担割合

 借主の責任によって修繕が必要になった場合、借主の費用で修繕することになりますが、「借主がどこまで負担すべきか?」ということが問題となります。

 例えば、壁のクロスの一部を過失で汚してしまった場合、借主は修繕義務がありますが、修繕義務があるのは、「汚した部分を含む壁の一面のみ」です。ほんの少しの面積しか汚れていなかったとしても、壁の一面については張替え義務を負うのです。

これは、内装業者の職人さんが工事を行うための最小限度の単位であり、「工事施工単位(最小施工単位)」と呼んでいます。

ところが、家主(管理会社)の中には、「一面だけを張り替えた場合には、色違いが発生するので、壁の全面を張り替えるので、全額を負担せよ」と言ってくる場合があります。

しかし、借主に責任があるのは、「壁の1面のみ」であって、それ以外の面については、借主の責任はありません。

それ以外の面の張替えは、「色合わせ」のためですが、「色合わせ」は、いわゆるグレードアップの一種であり、次の入居者確保のために、家主が行うものであるため、家主が費用負担すべきものです。

さらに、借主が張替え責任を負う壁のクロスについても、家主として、一定期間ごとに張替えしなければならないため、借主の責任がない場合には、家主が張替え費用の負担を行わなければなりません。従って、借主が費用負担すべき場合にも、家主と費用の按分をするべきなのです。

借主と家主が、どういう負担割合で負担するのかは、最終的には話し合いで決着をつけなければなりませんが、考え方の基準は、付録の「原状回復費用負担割合表」を参考にしてください。

  このような考え方からすれば、一般的に考えられている「長く住めば住むほど借主の費用負担が多くなる」のではなくて、「長く住めば住むほど借主の費用負担は少なくなる」のです。

(3)       敷金の返還時期

 敷金は、物件の明け渡し後に、借主の原状回復の費用負担を差し引いてから、返却されますが、未払いの公共料金などがある場合にも、差し引かれますので、通常、退去後の1〜2ヵ月後になります。

 もし、3ヶ月以上経過しているにもかかわらず、敷金の返還がないような場合には、すぐに家主(管理会社)に返還するように交渉しなければなりません。

(4)       「修繕義務特約(修繕費用借主負担特約)」について

 本来、家主は、家賃という対価を得ている以上、借主に対して、「使用収益させる義務」を負っており(民法第601条)、家主は、使用収益させるための修繕義務を負っています。

 ところが、契約書の中には、本来、家主が負担すべき修繕義務を借主に転嫁させるような契約が少なくありません。

 一般に、特約があれば、原則として、法律上の規定よりも優先されることになりますので、このような「修繕義務特約(修繕費用借主全額負担特約)」が有効であるかどうかが問題となるのです。

 判例によれば、このような特約は、原則として認められず、認められるためには、「特段の事由」が必要とされています。

 「特段の事由」とは、次の3つの要件をすべて満たすこととしています。

A)       特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること

B)       賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること

C)       賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること

 つまり、よほどの特殊な事情がなければ、このような特約は認められないということです。

 なお、2001年4月以降に契約した場合には、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は向こうである」に該当するので、この点からも、この特約は認められません。

(5)       国土交通省の「原状回復ガイドライン」について

 国土交通省(旧建設省)は、原状回復におけるトラブルが多いため、トラブル解決に役立てるために、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発表しています。

 問題なのは、ガイドラインはあくまで「指針」であるため、ガイドラインに法的な強制力がないことです。

 従って、「ガイドラインではこうなっている」というだけでは、家主(管理会社)を説得することができない場合が多いのです。

 しかし、ガイドラインの内容を知っているかどうかで、原状回復をめぐる交渉をうまく運べるかどうかのポイントとなりますので、できる限り、学習しておきたいものです。

(6)       原状回復工事請求書・明細見積書について

 さて、家主(管理会社)から、原状回復に関する工事の見積書や費用の請求書が送られてきたら、今度は、それらの見積もりや請求が合理的なものであるかどうかを調査しなければなりません。

A)       工事の「見積書」の場合

(ア)  それは工事の明細まで書かれていますか?

 明細がなければ、明細を要求しましょう。

(イ)  意味不明の明細が入っていませんか?

 意味不明の明細は、内容を確認しましょう。

(ウ)  借主に責任のない工事の見積もりが入っていませんか?

 借主に責任がないと思われる部分ははずすように要求しましょう。

(エ)  工事の「単価」は相場の範囲内ですか?

 付録の相場表と比較して高すぎる場合は、「相場よりも高すぎる」ことを主張し、「相場以上の金額は支払わない」と言いましょう。

(オ)  工事の「面積」は妥当な広さですか?

 面積の算出方法を確認しましょう。また、工事施工単位を越える部分は拒否しましょう。

(カ)  家主の負担割合はどうなっていますか?

 家主の負担割合について確認しましょう。

(キ)  見積書の発行元はどこですか?

 家主(管理会社)の場合には、工事業者の見積書をすぐに送るように要求しましょう。ファックスがあれば、「いますぐファックスで送ってほしい」と言ってください。

「すぐに送れない」という場合は、工事業者の見積もりに上乗せしている場合です。上乗せしていないのであれば、工事業者の見積書そのものを送付すればよいからです。

後日、工事業者の見積もりが送られてきた場合には、工事業者に、上記の内容を確認しましょう。費用を上乗せしているような場合には、工事業者はきちんと答えられないでしょう。

B)       費用の「請求書」の場合

(ア)  費用の明細まで書かれていますか?

 明細が書かれていなければ、明細を要求しましょう。

(イ)  意味不明の明細が入っていませんか?

 意味不明の明細は、内容を確認しましょう。

(ウ)  借主に責任のない費用の請求が入っていませんか?

 借主に責任のない部分の費用は請求からはずすように交渉しましょう。

(エ)  請求書の発行元はどこですか?

 家主(管理会社)から発行されている場合には、工事業者の請求書のコピーをすぐに送ってもらうように交渉しましょう。「すぐに送れない」というような場合は、工事業者の請求に上乗せしている場合でしょう。

もし、家主(管理会社)が「すでに業者に支払っているので支払ってもらうしかない」というように言えば、実際に支払ったはずの工事費用の領収書コピーをすぐに送るように交渉しましょう。

(7)       家主・管理会社との交渉の仕方

A)       事前にきちんとした知識・情報を得ていること

 まずは何はともあれ、「知識は力なり」です。交渉をうまく運ぶ最大のポイントは、どれだけ知識・情報を持っているかです。

B)       「学生」だとなめられないようにすること

 家主や管理会社は、毎年のように、退去する学生とやりあっている可能性があります。そして、学生が泣き寝入りすることが多いため、学生だということでなめられる場合が少なくありません。

 相手が、なめてかかっていると思われる場合は、ある程度までは、「なめられている真似」を行い、相手が油断して、相手の不利になるような言動を暴露しないかどうか様子をみますが、証拠集めができれば、なめられたままでいるのではなく、毅然とした態度で交渉に臨むようにしましょう。

C)       納得できない点はすべて問いただすこと

 わからない点や納得できない点については、「きちんと説明してもらわないと納得できない」と、毅然とした態度で説明を求めるようにしましょう。

D)      「証拠」が残るように工夫しておくこと

 口頭での交渉は、証拠が残りませんので、できる限り、録音するなどして、自分が有利となる証拠を残すようにしましょう。

E)       安易に署名捺印しないこと

 相手の言うままに、署名捺印してはいけません。いったん署名捺印すると、いくら内容自体が不当であったとしても、後から翻すことが難しくなります。

(8)       交渉がうまくいかない場合の対策

A)       すぐに諦めてしまわない

 諦めは禁物です。逆に言えば、家主や管理会社は、借主が諦めてしまうように、あるときは脅迫まがいの大声を出したり、あるときはなだめすかしたり、またある場合には、家主の苦しい精神的な状況などを持ち出してくるかもしれませんが、請求自体が不当であると思われる場合は、諦める必要はありません。

B)       同じようなトラブルの相談事例を研究する

 インターネット上では、さまざまなトラブル事例について、その解決方法についてアドバイスしています。例えば、生協担当者のホームページでもある「よくある賃貸トラブルFAQ」(http://chintaifaq.net/)や「住宅ねっと相談室」(http://www.so-dan.net/)、「All  About  Japanおすすめリンク集」(http://allabout.co.jp/house/rentalhouse/subject/msub_trouble.htm?FM=mc)などを参考にして、参考になるアドバイスをゲットしてください。

C)     他の入居者と合同で交渉する

 家主や管理会社は、相手が「弱い」とみると、強気で対応する場合が多いのですが、逆に、相手が「強い」場合には、無茶な要求をすぐに取り下げる場合もよくあります。

 そこで、トラブル内容によっては、自分ひとりで交渉に当たるのではなく、他の入居者にも呼びかけて、他の入居者との連名(合同)で交渉に当たるようにしたほうが、よりよい解決ができる場合があります。

D)       保護者同伴での交渉に切り替える

 これも、上記と同じように、自分の立場を強くするための作戦のひとつです。この方法によって、なかなか解決しなかったトラブルがすぐに解決できたというようなケースもあります。

(9)       紛争の解決方法

  家主や管理会社との交渉(「相対交渉」、「示談」、「和解契約」など)がうまくいかない場合、裁判に頼るしか解決方法はないでしょうか?

  そんなことはありません。裁判以外に紛争を解決する方法(代替的紛争処理方法=ADR(Alternative Disputes Resolutions)がいくつかあるのです。

これらADRと呼ばれる解決方法は、世の中が複雑で、インターネットなど新しい分野の訴訟が増え続ける中で、訴訟だけに頼るのでは解決に時間がかかり過ぎるところから注目を集めてきています。そして、実は、ADRには、裁判にないさまざまな特徴・メリットがあるのです。

A)       フォーマル(形式・手続)にこだわるのではなく、当事者が自由に行動しやすく処理が迅速であることです。

B)       リーガル(法律の条文)にこだわりすぎず、実情を重視して判断することです

C)       弁護士以外の専門家にも参加させることが多いことです。

D)      裁判所や行政機関のような公的機関だけでなく、民間の機関でもADRを行っていることです。

E)       コストが安いことです。

F)       裁判と異なり非公開で行われることが多いので、プライバシーを他人に見られることが少ないことです。

G)      ADRで解決できなくても裁判という最終手段が残っている場合があることです。

H)      もっとも重要なこととして、第三の解決方法を提示することで、裁判のような「Win-Lose」関係ではなく、「Win- Win」関係も不可能ではないということです。

例えば、クロスの張替え費用をめぐる訴訟が起こる背景として、家主は次の入居者を見つけやすくするためにクロスの張替えを行うのですが、その費用を借主に転化しようとすることが上げられています。それに対して、納得できない借主が「家主が負担せよ」と訴えた場合、裁判では、「家主が負担せよ」、「借主が負担せよ」、「家主と借主で按分負担せよ」という判断のいずれかとなります。

しかし、ADRでは、「家主は次の入居者が確保できればよいので、借主が一定期間内に次の入居者を見つけてきた場合には、クロスの張替え費用だけでなく、他の費用も含めて敷金を全額返金してあげるという案はどうか?そして見つけられなかった場合のみ費用を折半してはどうか?」というような、どちらにもメリットのある「第三の解決策」を提案することができるのです。

つまり、裁判では、訴える人(原告)の訴えた内容に対して、「合理性があるかどうか?」だけの判断がなされるために、どうしても原告の知識・情報の範囲内の解決しかできないのに対して、ADRでは、幅広い知識を持つ第三者である専門家によって、「もっとよい解決方法はないか?」として「第三の解決策」を考え出してくれる可能性があるのです。

それでは、代表的なADRを見ていきましょう。

まず、ADRの分類方法として、「裁判所が関与するもの」、「裁判所が関与しないもの」に分けてみると、前者では、「民事調停、和解」、後者では、「仲裁、調停、あっせん、相談」などが上げられます。

A)       「民事調停」

「民事に関する紛争につき当事者が互いに譲歩して、互いの条件を理解し実情に即した解決を図ること」(民事調停法第1条)であり、性質上は和解と同じく当事者間の話し合いによる解決方法です。

調停は、原則として、紛争の相手方の住所地を管轄する簡易裁判所において行われます(合意により地方裁判所を管轄とすることもできます)が、裁判官と民間から選任された2人以上の調停委員で組織された調停委員会により、調停案を提示してお互いの歩み寄りを促し、調停が成立した場合には、「調停調書」に内容が記載されると、確定判決と同一の効力をもちます。

しかし、調停が不成立となった場合でも、裁判所が当事者双方に妥当を思われる解決案を「決定」として提示することができ、当事者の異議がなければ、調停の成立と同等の効果が発生するとされています。

B)       「和解」

 裁判所が関与する「和解」ですが、裁判所の面前で紛争当事者が互いにその主張を譲歩して行う和解のことです。

「裁判上の和解」には2種類あり、簡易裁判所における起訴前(訴え提起前)の和解(即決和解ともいいます)と訴訟係属中にされる訴訟上の和解です。

和解が成立し、「和解調書」が作成されると、起訴前の和解も裁判上の和解の場合もいずれの場合も確定判決と同一の効力をもつとされています。(民事訴訟法267条)。

C)       「仲裁」

 1名又は数名の「仲裁人」に紛争解決の判断をさせる手続ですが、重要なポイントとしては、仲裁においては、第三者(仲裁人)の判断に拘束され、当事者間において確定判決と同一の効力(仲裁手続法)をもつとされているということです。これは、次の「調停」と大きく異なる点です。

 京都弁護士会などが行っている「仲裁」は、経験の豊かな弁護士や元裁判官などが仲裁人となって、双方の話をじっくり聞きながら、お互いに納得のいく解決をめざしています。

D)      「調停」

 公正・中立な第三者が、当事者の間の争点を整理した上で、当事者間で自主的な解決がなされるように助言、援助、調整などをしたり、事案について作成した意見を受諾するよう勧告をしたりするもので、国民生活センター、消費生活センターなどが有名です。

E)       「あっせん」

 これも、「調停」とほとんど同じものですが、民間業者(団体)などが行っている場合に、「あっせん」と呼んでいるケースが多いようです。例えば、宅建協会などでの業務が有名です。

F)       「相談」

 もっとも基本的なトラブル解決策です。専門知識を有する機関などで、よい解決法のアドバイスを受けるための活動です。生協における「住まいのトラブル相談」も、この活動のひとつです。

(10)       少額訴訟手続

 家主や管理会社との交渉やADRでもうまく解決できない場合、最終的な解決手段としては、「訴訟」という方法が残されています。

 しかし、一般的な訴訟では、弁護士に依頼するなどして、費用も高額になり、日数も長期にわたってしまいます。

 そこで、敷金の返還訴訟などにおいては、費用も安く、時間も短くて済む、少額訴訟手続という制度を利用することができます。

 少額訴訟手続の特徴は、以下の通りです。

A)       60万円以下の金銭支払い請求に限ります。

B)       審理は原則として1回のみ、直ちに判決が言い渡されます

C)       証拠書類や証人は、審理の日に調べられるものに限ります

D)      分割払いや支払猶予の判決もできます

E)       判決に対する不服申し立ては異議申し立てに限ります

 詳細については、インターネット上に詳細な情報がありますので、そちらをご覧ください。