入居中に家主さんとの関係で発生しやすいトラブル
を項目別に分けています。項目をクリックすると、具体的な質問が出てきます。

入居者以外の立入 入居者以外の宿泊 長期不在 同棲
ペット飼育 ゴミ処理 家賃の滞納 家賃の値上げ
家主からの退去通告 物件の競売 家主の交代 居住以外での使用
共益費に関するトラブル 契約期間中の途中解約 契約名義人の変更 家賃の違い
入居者の死亡 賃借権の相続 定期借家契約での途中退去 部屋の移動
入居者以外の立入

(1)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「入居者以外立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

(2)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「異性の人は管理上立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

(3)契約書には確かに「入居者以外の立ち入り禁止」という記載はあったが、友人と一緒に部屋に入ろうとしたら、管理人が「入居者以外は立ち退いてくれ」と強行に追い出してしまった。管理会社に苦情を申し立てたが、「契約書に書いてある通りだ」として埒があかない。このままでは友人を失いかねない。何とかよい対策はないのか?

入居者以外の宿泊

(1)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「入居者以外は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

(2)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「同性の友人ならよいが、異性の友人は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

(3)契約書には、確かに「入居者以外の宿泊禁止」という記載があったが、友人が宿泊しているところを家主に見つかってしまった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と強行に主張している。何とか住み続ける方法はないものか?

(4)契約書には、確かに「家主の承諾を得ずに入居者以外の宿泊はしてはならない」という記載があったが、無断で友人を宿泊させていたところ、家主に見つかり、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われてしまった。友人を泊めるのにいちいち家主の承諾を得なければならないということ自体納得できないが、家主に従うしかないのか?

(5)契約書には、契約者以外の宿泊に関しての記載は一切なかったので、夏休みで留守をする間、友人に貸していたところ、家主に見つかり、「無断で貸していたので契約違反であり、違約金を支払って即刻退去せよ」と言ってきた。友人は何も悪いことはしていないので納得できないが、家主の主張に合理性はあるのか?

長期不在

(1)契約書には特別な規定がなかったので、家主に断ることなく、長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反である」と言われたという。家主だけでなく実家からも厳しい叱責を受けたが、契約書に書いていないので納得できないのだが‥。

(2)契約書には「1ヶ月以上の長期不在となる場合には、家主への通告が必要」となっていたが、家主には連絡せずに長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反であるので退去してもらう」と言われ、荷物を引き上げてきたという。契約違反は事実だとしても行き過ぎだと思うのだが、家主に損害賠償請求をすることはできないのか?

同棲

(1)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「契約違反なので出て行け」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

(2)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「同棲するなら家賃と共益費、敷金をアップさせる」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

(3)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」として、実家に通報されてしまい、住まいを引き上げることになってしまった。家主に損害賠償を請求したいのだが、可能か?

(4)契約書には「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」と勘違いされ、「違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。対抗するにはどうすればよいか?

(5)契約書には、確かに「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が1泊しただけなのに、家主から「同棲している」ということで、「敷金没収、違約金家賃3か月分を支払って退去せよ」というような請求されてしまった。契約書にこういう規定が載っているのは確かだが、たった1泊だけでこのような厳しい措置をとられるのは納得できないのだが‥。

ペット飼育

(1)「ペット飼育不可」の物件で、室内だけで飼うペット(ハムスター)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

(2)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(猫)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

(3)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(子犬)を室内だけで飼っていたところ、他の入居者に見つかり、家主に通報されてしまった。家主は「契約違反だが、家賃の値上げをすることと、退去時に全面改装する費用負担を承諾すれば飼ってもよい」と言ってきたが、やはり、家主に従うしかないのか?

(4)「ペット飼育不可」の物件でペットを飼っていた。しかし、他の入居者もペットを公然と飼っていたのに、家主から、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。「他の入居者も同じではないか」と反論したが、家主は納得しない。自分だけ退去を命じられるのは納得できないのだが‥。

(5)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類に特に規定はなかったので、小型の室内だけで飼う犬を飼っていたところ、家主から「犬の鳴き声がうるさいという苦情が絶えないので、犬を何とかしてほしい」と言ってきた。「ペット飼育可ではないか?」と反論したが、家主は聞き入れてくれない。何かよい対策はないか?

(6)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類や数に特に規定はなかったので、数種類のペットを飼っていたところ、家主から「ペットの数が多すぎて、臭いもきつい。ペットの数を1種類だけにしなければ退去してもらう」と言われたが、家主に従うしかないのか?

(7)「ペット飼育可」の物件だが、ペットに子供が生まれてしまった。それが家主の知るところとなり、家主から「ペットは1匹のみしか認めないと契約書にも書いている。すぐに処分せよ」と言ってきた。小さなペットの子供を処分してしまうのはかわいそうなので、何とかペットを守ってやりたいのだが、何かよい方法はないか?

(8)突然、管理会社より「ペット飼育可能なマンションにします」との通知がきた。現在入居している殆どの住民は、この件について反対しており、管理会社に連絡を取ったが、こちらの言い分は全く聞いてくれない。どうすればよいか?

(9)ペット、特に、猫の毛に対するアレルギーがあるので、「ペット飼育不可」のマンションに生活しているのに、家主に無断でペットを飼育している人がいる。ペット飼育をやめてもらいたいが、どのように対処すればよいか?

(10)ペット、特に、猫の毛に対するアレルギーがあるので、「ペット飼育不可」のマンションに生活しているのに、家主は、その人に、ペットの飼育を認めてしまったという。ペット飼育をやめてほしいが、「ペット飼育不可」の条件は、家主が自分の都合だけで変えることはできるのか?どのように対処すればよいのか?

(11)ペット、特に、猫の毛に対するアレルギーがあるので、「ペット飼育不可」のマンションに生活しているのに、同じマンションの最上階に住んでいる家主自身が猫を飼っていることがわかった。同じマンションに住んでいながら、家主だからといって、ペットを自由に飼うというのはおかしいと思うのだが、どのように対処すればよいか?


ゴミ処理

(1)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「ゴミ回収は入居者同士で話し合って解決してほしい」と言って取り合ってくれない。今は、入居者の有志で後始末をしているが、何とかならないものか?

(2)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、特定の人なので、家主から警告してもらったが、それでもルールを守らないために、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「本人には警告しており、本人も努力すると言っているが直らない」と言うばかり。何とかならないものか?

(3)自治体のゴミ回収ではなく、業者による毎日回収をしているが、毎月「ゴミ回収代」として費用を請求される。自治体なら無料なので、入居者が費用を負担するのは納得できないのだが‥。

(4)業者のゴミ回収が夜中に行われるため、騒音で起こされてしまう。管理会社に苦情を申し入れたが、「回収ルートと時間が決まっているので我慢してもらうしかない」と言われた。何とかならないのか?

家賃の滞納

(1)契約書には「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」と書いていたが、うっかりして家賃を1か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

(2)契約書には「家賃を3ヶ月分以上滞納すれば即刻退去させる」と書かれていたが、うっかりして家賃を3か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

(3)契約書には「家賃を1日でも滞納すれば、年利30%の滞納補償金および滞納手数料5000円を支払うこととする」と書いていたが、うっかりして家賃を所定の期日に振り込まなかったところ、管理会社から、「契約違反なので、滞納補償金と手数料を請求する」と言われた。契約書に明記されていたら、従わざるを得ないのか?

家賃の値上げ

(1)契約期間中に、家主から「3ヵ月後の家賃から値上げする」という通告が来た。契約書には、「家賃の値上げを行う場合には3ヶ月前に通告する」となっていたものの、一方的な値上げであっても、契約書にあれば従わざるを得ないのか?

家主からの退去通告

(1)家主が「自分が住むことになったので退去してほしい」と言ってきたが、従わざるを得ないのか?

(2)契約書には、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」と記載されていたが、実際に、家主から「自分の息子夫婦が住むこととなったので、契約どおり退去してほしい」と言ってきた。契約書に記載されている以上、従わざるを得ないのか?

(3)家主から、「建物が古く取り壊すので退去してほしい」と言ってきた。家主は「退去してもらうための正当事由がある」と言っているが、正当事由があるので立退き料も出さないと言っている。泣く泣く退去するしかないのか?

(4)家主が退去通告をしてきたが、「敷金を全額返却する代わりに立退き料は出さない」と言ってきた。従わざるを得ないのか?

(5)分譲マンションの一室を賃貸で借りていましたが、家主が「売却するから退去してほしい」と言ってきました。契約期間はまだ残っているのですが、このような場合、引越し代や立退き料はもらえるものでしょうか?また、エアコンを取り付けましたのですが、置いていくか、買取してもらうことはできるのでしょうか?

(6)家主が住んでいる一戸建ての一部屋を貸間として借りていたところ、家主が、「建て替えることになったので、できるだけ早く退去してほしい」と言ってきた。退去したくなかったので、「借地借家法の正当事由に当たらないのでは」と言った。そうすると、後日、家主の代理人の弁護士という人から、「貸間には借地借家法が適用されないので、民法の規定通りに退去してもらうことになる」と言ってきた。本当に、貸間には借地借家法が適用されないのか?

物件の競売

(1)住んでいる物件の家主が破産し、物件が競売された。新しい家主から、「退去してほしい。立退き料は一切出さないし、敷金返還もない」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?

(2)住んでいる物件の家主が倒産し、物件が競売された。新しい家主から、「あなたの契約は競売開始手続き(差押登記)後の契約なので短期賃貸借の保護もないので、即刻退去せよ」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?

家主の交代

(1)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「私は敷金を受け取っていないので、敷金を納めてほしい」と言ってきた。こういう場合、敷金を再度支払わなければならないのか?

(2)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「契約書を変更し、家賃も値上げするので、同意できなければ退去してくれ」と言ってきた。こういう場合、新たな家主の主張に従わざるを得ないのか?

居住以外での使用

(1)居住用で借りている物件だが、今度独立することになり、自宅兼事務所として使用したいので管理会社に申し出たが、「事務所として使用するなら退去してもらう」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

(2)居住用で借りている物件だが、室内で英会話教室を開くことになり、管理会社に申し出たところ、「業務としての利用はできない」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

(3)居住用で借りている物件だが、内職を行っていたところ、家主から、「居住用として貸しているのであって、仕事を持ち込むなら退去してもらう」と言われてしまった。家主の主張に従うしかないのか?

(4)アパートの隣の部屋が、突然事務所に改装されたが、元通りにさせることはできないか?

共益費に関するトラブル

(1)電気代や水道料が高く、管理会社が手数料を上乗せ請求しているが、何とか適正な請求に変更してもらいたいのだが…。

(2)先日、管理会社より、急に共益費が値上げになると連絡がありました。更新の際に値上げされたという話は聞いたことありますが、契約期間内でも値上げに応じないといけないのでしょうか?

契約期間中の途中解約

(1)「学生専用マンション」に住んでいるが、契約途中で解約を申し入れたところ、家主から、「途中解約はできないので契約期間終了までの家賃を支払え」と言われた。確かに、契約書には、そのように記載されているが、これは消費者契約法に反する条項なので無効ではないか? 

(2)賃貸借契約に明記されている通りに退去を申し出たところ、「学生の入居時期からはずれているので、今すぐ退去するか損失となる半年分の家賃を支払え」と言われた。このような場合、家主の主張に従わざるを得ないのか?

(3)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「来月退去する」と言ったところ、「契約期間の途中では解約できないという契約内容だ。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってほしい」と言ってきた。びっくりして契約内容を確認したところ、確かに、途中解約に関する事項はなかった。無茶苦茶な要求だと思うが、支払う義務はあるのか?

(4)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「来月退去する」と言ったところ、「途中解約するには、退去予定月の3ヶ月前までに連絡することになっている。どうしても来月退去するなら、2か月分の違約金を支払ってもらう」と言ってきた。びっくりして契約内容を確認したところ、確かに、「3ヶ月前までに通知すること」となっていた。次の物件への引越し代も必要なので違約金まで支払いたくないが、支払う義務はあるのか?

(5)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「来月退去する」と言ったところ、「途中解約するには、退去予定月の6ヶ月前までに連絡することになっている。どうしても来月退去するなら、5か月分の違約金を支払ってもらう」と言ってきた。びっくりして契約内容を確認したところ、確かに、「6ヶ月前までに通知すること」となっていた。次の物件への引越し代も必要なので違約金まで支払いたくないが、支払う義務はあるのか?

(6)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「2ヵ月後に退去する」と言ったところ、「契約書には確かに2ヶ月前までとなっているが、これは、特別な事情がある場合であって、借主の勝手な都合での解約を認めるものではない。それでも、どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってほしい」と言ってきた。無茶苦茶な要求だと思うが、支払う義務はあるのか?

(7)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「2ヵ月後に退去する」と言ったところ、「2ヶ月に1日足りないので、実際には1ヶ月前の通知となるので、1か月分の違約金を支払ってもらう」と言ってきた。たった1日だけ遅かったが、わずか1日の遅れで1か月分の違約金はおかしいと思うが、支払う義務はあるのか?

(8)家主との間で、契約期間を特に定めずに、口頭だけで契約していたのだが、事情により、途中で退去することになり、家主に「2ヵ月後に退去する」と言ったところ、「解約する場合には家主の承諾が必要と言っていたはずだ。勝手な解約は承知できない。」と言ってきた。「勝手な解約」と言われても困るのだが、文書で契約書を交わしていないため、解約することはできないのか?


契約名義人の変更

(1)家賃補助の関係で、会社名義で賃貸マンションに入居していたが、家賃補助制度の廃止により、個人名義に変更しなければならなくなった。これに対し、不動産会社は、契約者変更になるため、敷金・礼金、契約時手数料(1ヶ月分)を要求してきた。不動産業者の言うとおりに支払う義務はあるか?

(2)このたび、結婚することになったので、婚約者が会社に住宅手当を申請する関係から、婚約者名義に変更したいと申し出たが、家主から拒否された。何とかならないか?

(3)友人が退去する物件の条件がよかったので、「代わりに自分が住みたい」ので、名義変更をしたいが、可能か?

(4)賃借権のいわゆる「名義変更」については、家主が快く承諾してくれたので問題ないと思われたが、管理会社から、多額の「名義変更手数料」なるものを請求された。支払いに応じなければならないか?

他の入居者との家賃の違い

(1)住んでいる物件の他の部屋の入居者募集がが数千円安くなっていた。そこで、管理会社に、家賃減額をお願いしたら、「いやなら退去してもよい」と言われてしまった。何とか、家賃減額を勝ち取る方法はないか?

(2)入居中、同じ間取りなのに、他の人よりも家賃が高いことがわかった。そこで、家主に、「同じ間取りで安い家賃の人もいるので、それに合わせて値下げしてほしい」と言ったが拒否された。何とかならないか?

(3)同じ条件で入居していた人が、家主との交渉で、家賃の値下げをしてもらったという。そこで、同じように、家主に交渉したところ、「家賃の値下げをした人がいるからといって、事情も違うし、同じように家賃の値下げに応じるつもりはない。」と一蹴されてしまった。「では、その事情を教えてほしい」と言ったが、それも、「個人のプライバシーに関わることなので話すことはできない」と言われた。自分だけ、家賃の値下げをしてもらえないのは、不公平だと思うのだが、何とかならないか?


(4)家賃そのものではないが、後から入居した人が、礼金を一切支払わずに入居していることを知った。そこで、家主に、「礼金を支払わずに入居した人もいるので、自分が支払った礼金を返却してほしい」と言ったが、拒否された。何とかならないか?

入居者の死亡

(1)先日借家で一人暮らしをしていた祖母が亡くなると大家さんの態度は急変し、敷金の返還はもちろん拒否し、遺族が1〜2年家賃を払い続けてほしい・・・と言うのだが、そこまでしないといけないのか?

賃借権の相続

(1)民間アパートに住んでいた父(借主・同居中)がなくなったので、家主に、名義変更してそのまま住みたいと申し出たが拒否された。退去せざるを得ないのか?

(2)民間アパートに住んでいた父(借主・別居中)がなくなった。条件のよい物件であり、遺産相続として引き継ぎたいが、名義変更を家主から拒否された。賃借権を相続することはできないか?

(3)公営住宅に住んでいた父(借主・別居中)がなくなった。条件のよい物件であり、遺産相続として引き継ぎたいが、名義変更を家主から拒否された。賃借権を相続することはできないか?

(4)民間アパートに住んでいた父(借主・別居中)がなくなった。条件のよい物件であり、遺産相続として引き継ぐことになったが、家主から、名義変更料を請求された。支払いに応じなければならないか? 

(5)内縁の夫(相続人なし)が亡くなったので、家主に、名義変更してそのまま住みたいと申し出たが拒否された。退去せざるを得ないのか?

(6)内縁の夫(相続人あり)がなくなったので、家主に、名義変更してそのまま住みたいと申し出たが、「家主としては引き続き住んでもかまわないと思うが、相続人がいるのであなたは住むことはできないでしょう」と言われた。家主に退去させられるわけでもないのに、実際に退去させられるのでしょうか?

(7)内縁の夫がなくなり、夫の親族が賃借権を相続したため、夫の親族から、退去するように言ってきた。しかし、夫の親族には立派な自宅があるので、アパートに住む必要はなく、嫌がらせのために退去を求めてきているのだが、どうしても退去しなければならないのか?


定期借家契約での途中退去

(1)定期借家契約で一戸建ての借家を借りていたが、このたび、自宅を新築することになったので、家主に契約解除を申し出たが、「定期借家契約なので途中解約はできない。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言ってきた。家主の主張は横暴だと思うので、支払いに応じたくはないのだが‥。

(2)定期借家契約で一戸建ての借家を借りていたが、このたび、勤め先から異動の辞令が出て、急きょ、引越しせざるを得なくなったので、家主に契約解除を申し出たが、「定期借家契約なので途中解約はできない。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言ってきた。家主の主張は横暴だと思うので、支払いに応じたくはないのだが‥。

(3)定期借家契約でワンルームマンションを借りていたが、このたび、病気により、急きょ、長期入院することになったので、家主に契約解除を申し出たが、「定期借家契約なので途中解約はできない。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言ってきた。家主の主張は横暴だと思うので、支払いに応じたくはないのだが‥。

(4)定期借家契約で一戸建ての借家(延べ面積150平方メートル)を借りていたが、このたび、老親が倒れて寝たきり状態になってしまったため、その介護のため、急きょ、実家に帰らざるを得なくなり、家主に契約解除を申し出たが、「定期借家契約なので途中解約はできない。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言ってきた。家主の主張は横暴だと思うので、支払いに応じたくはないのだが‥。

(5)定期借家契約で一戸建ての借家(延べ面積250平方メートル)を借りていたが、このたび、老親が倒れて寝たきり状態になってしまったため、その介護のため、急きょ、実家に帰らざるを得なくなり、家主に契約解除を申し出たが、「定期借家契約なので途中解約はできない。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言ってきた。家主の主張は横暴だと思うので、支払いに応じたくはないのだが‥。

部屋の移動

(1)契約時には、日当たりのよい上階の部屋が満室だったので、仕方なく日当たりのよくない部屋に入居していたが、このたび、上階の部屋が空いたので、家主に、部屋の移動を申し入れたいと思うのだが、可能か?

(2)契約時には、日当たりのよい上階の部屋が満室だったので、仕方なく日当たりのよくない部屋に入居していたが、このたび、上階の部屋が空いたので、家主に、部屋の移動を申し入れた。家主は、「部屋の移動はかまわないが、いったん敷金の精算をしてもらうことになる」と言ってきた。引き続き住むのに、家主の主張は無茶苦茶だと思うが、どのように交渉すればよいか?

(3)契約時には、日当たりのよい上階の部屋が満室だったので、「上階が空いたときには優先的に移動してもよい」という約束を交わした上で、仕方なく日当たりのよくない部屋に入居していたが、このたび、上階の部屋が空いたので、家主に、部屋の移動を申し入れたところ、「部屋の移動はかまわないが、現在の部屋のクリーニング代は支払ってほしい」と言ってきた。契約時にはそういう約束を行っていないので、一切の費用の支払いなしに、部屋の移動をしたいのだが‥。

(4)契約時には、日当たりのよい上階の部屋が満室だったので、仕方なく日当たりのよくない部屋に入居していたが、このたび、上階の部屋が空いたので、家主に、部屋の移動を申し入れた。家主は、「部屋の移動はかまわないが、管理会社を通じて手続きをしてくれ」と言ってきた。そこで、管理会社に、家主の承諾を得たので、部屋移動の手続きをしたいと申し入れたところ、「書類作成手数料として更新手数料と同じ金額を支払ってもらう」と言われた。1万円以上の費用になるので、拒否したいのだが、だからといって、部屋移動もできないのも困るし、どうすればよいか?

入居者以外の立入

(1)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「入居者以外立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

→  家主、そして家主の代理人としての管理人には、入居者が安全快適に生活できるようにする義務があります。
 通常は、その安全快適に生活できるようにするために、不審者が建物内に入ろうとするのをチェックするのが、管理人の役目ということになります。
  しかし、入居者の友人であれば、「不審者」でないことははっきりしていますので、その友人が、入居者を訪ねることを阻止する権限などはあるはずはないのです。
 警察権力ですら、私人の行動を勝手に阻止することなど許されていないわけですから、管理人の行動がいかに異常なものかわかるでしょう。
  一般的に、「入居者立ち入り禁止」というのは、建物と入居者の安全管理上、不審者の出入りを抑制するための意味合いで立てられているに過ぎず、友人の出入りを阻止する効力を持つものではありません。
  従って、以上の点について、管理人および家主に対して抗議を行い、二度と同じようなことを行わないように申し入れておいたほうがよいでしょう。
  家主や管理人だからと言って、何も言わなければ、友人などを誰も呼べないさびしい暮らししかできなくなってしまうでしょう。


(2)契約書には「入居者以外の立ち入り禁止」などという記載はまったくなかったのに、実際には、管理人が監視カメラでチェックし、「異性の人は管理上立ち入り禁止なので建物内には入れない」と、友人を追っ払ってしまった。そんなことが許されていいのか?

→  前項でも述べているように、管理人に友人の出入りを制限する権限などありません。
 それは、異性同性を問わずにです。


(3)契約書には確かに「入居者以外の立ち入り禁止」という記載はあったが、友人と一緒に部屋に入ろうとしたら、管理人が「入居者以外は立ち退いてくれ」と強行に追い出してしまった。管理会社に苦情を申し立てたが、「契約書に書いてある通りだ」として埒があかない。このままでは友人を失いかねない。何とかよい対策はないのか?

→  契約書に「入居者以外の立ち入り禁止」と書かれているような場合、このような特約はどこまで有効なのかということが問題となります。
  一般的には、契約自由の原則によって、公序良俗や借地借家法上の強行規定に反していない限り、どのような特約も可能です(「例文解釈」として定型的な文言どおりに解釈すると不当な取り扱いとなる場合にも特約が否定される場合もあります)が、「入居者以外の立入禁止」という特約自体に合理性があるかどうかがひとつの判断ポイントになります。
  まず、「入居者以外の立入禁止」という特約がどういう意味を表しているのかを確認しなければなりません。
  通常、「入居者以外の立入禁止」という場合でも、入居者の親や親族などが立入できないわけではないでしょう。
 つまり、「入居者」という言葉は、表示上は簡易に表示するために「入居者」としていますが、実際には「入居者および入居者の関係者」という意味を表していると解釈できるのです。
  そして、入居者の友人・知人も、当然ながら、「入居者の関係者」であるわけです。
  従って、「入居者」という言葉が、「入居者および入居者の関係者」を意味するという場合には、このような表示には、入居者の安全性を実現しようという合理性があるといえますが、家主の解釈として、「入居者」=「入居者本人のみ」というのであれば、入居者の家族も立ち入れないということになりますので、このような表示に合理性はないと言えます。
  そのような観点から言えば、管理人および管理会社のとった行動が行き過ぎであることははっきりしています。
  従って、管理人および管理会社に、以上の点から、友人を追っ払ったことについての謝罪と二度と追い出さないようにする旨の言質をもらっておくようにした方がよいでしょう。


入居者以外の宿泊

(1)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「入居者以外は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

→  通常、一般的には、賃貸借契約した本人および家族以外の人が住むことはできません。
 しかし、それは、「住む」ことが禁止されているだけで、数日程度の「宿泊」まで禁止されているわけではありません。
  まして、契約書に記載のない事項についてまで、家主にとやかく言われる筋合いはありません。
  契約者以外の無関係の人が「住む」ことが禁止されているのは、そうした人が住み続けることが許されると、本来の入居者以外の人によってトラブルが発生したり、駐輪駐車スペースが占領されてしまったり、建物そのものもより傷みが激しくなるからであり、その点で合理性があると言えます。
  しかし、単なる数日程度の宿泊であるなら、そのような心配もほとんどありませんし、入居者の利便性を考えると、家主としての受忍限度以内と考えられるのです。
  また、入居者は、家賃を支払って借りている以上、誰を泊めようが、基本的には自由なのです。
 それは、契約者が借りたレンタカーに、誰を同乗させようと契約者の自由であるというのと同じことです。
  家主が、宿泊する人も選別するのは、入居者のプライバシーの侵害に当たるのです。
  従って、家主に対しては、このような観点から、「家主の主張には合理性がなく、法的にも認められない」ということを理解してもらうようにしなければなりません。
 ただし、今後のお付き合いもあるので、「権利」として主張するというよりも、社会常識として考えても友人の宿泊は問題ないのだということを理解してもらえるようにうまく交渉したほうがよいでしょう。


(2)契約書には「入居者以外の宿泊禁止」などという記載はまったくなかったのに、友人が宿泊したところ、「同性の友人ならよいが、異性の友人は宿泊できないので、今度宿泊したら退去してもらう」と言われてしまった。家主の言い分に従うしかないのか?

→  前項でも述べているように、友人を宿泊させるのは、入居者の自由です。
 家主として、それを規制する合理的な理由はありません。
 そして、当然ながら、「友人」は、異性・同性を問いません。
  家主が、「同性の友人ならよいが、異性の友人は宿泊できない」と言っているのは、家主自身の古い価値観から言わしめていることでしょうが、それは家主の勝手な価値観であり、自分自身がどのように思っていても自由ですが、その古い価値観を他人に押し付けるのは問題です。
  家主の中には、「自分は実家の親代わりのつもりで接している」という気持ちで、悪気があって、そのように言っているわけではない場合も多いのですが、「親代わり」というのも、実は自分勝手な思いであり、入居者が頼みもしないことでしょう。
  いずれにしても、家主との交渉は、権利を主張するという態度ではなく、現代社会の価値観をうまく納得してもらうように説得するようにしなければならないでしょう。
  それでも、家主が納得しないようであれば、仕方がありませんので、「家主には家主の価値観を押し付ける権限は一切ない」ということをきっぱりと宣言するしかないでしょう。


(3)契約書には、確かに「入居者以外の宿泊禁止」という記載があったが、友人が宿泊しているところを家主に見つかってしまった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と強行に主張している。何とか住み続ける方法はないものか?

→  契約書の特約事項として、「入居者以外の宿泊禁止」という項目がある場合、まず、このような特約の有効性があるのかどうかという問題があります。
 次に、こうした条項はどのように解釈するのが妥当なのかという問題、さらに、契約違反が事実だとした場合、そのペナルティーとしてはどこまでが妥当なのかという問題があります。
  まず、「特約の有効性」ですが、公序良俗に反しておらず、借地借家法の「強行規定」に反していない特約であれば有効ですが、「入居者以外の宿泊禁止」という特約が公序良俗に反しているとは言えませんし、借地借家法上の「強行規定」にも触れていない条項ですので、特約としては有効です。
  次に、特約内容の解釈についてですが、通常、「入居者以外の宿泊禁止」という場合であっても、入居者の家族や親族の宿泊まで禁止するというのは行き過ぎでしょう。
 なぜなら、入居者の家族や親族の宿泊まで禁止しなければならないほどの合理的な理由が見当たらないからです。
  そこで、「入居者以外の宿泊禁止」の合理的な解釈としては、「入居者本人および入居者の関係者以外の宿泊禁止」であるという解釈が成り立ちます。
  しかし、一方で、入居者が自分に無関係の人を宿泊させるということ自体考えられないことですので、「入居者の関係者であれば誰でも宿泊可能」ということであれば、わざわざ特約を定める必要もないはずです。
  従って、これら2つの考え方を総合すれば、「入居者以外の宿泊禁止」の合理的な解釈としては、「入居者および入居者と緊密な関係にある人以外の宿泊禁止」ということで、「関係者」に一定の枠をはめるというのが妥当な解釈だと言えます。
  そうすると、単なる友人の宿泊については、特約によって禁止されていると考えられます。
  そこで、三つ目の問題点が重要となります。
 つまり、友人の宿泊自体は、契約に違反するにしても、だからと言って、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」という家主の主張が認められるかどうかということです。
  一般的に、家主側から入居者に対して退去を求めることが可能になるのは、違反の是正を求めたにもかかわらず、いっこうに是正する姿勢を見せず、ずっと契約違反の状態が続き、最終的に、家主との間の信頼関係が破壊されてしまっているという状態になったときです。
  その点からすれば、家主は、違反の事実を告げただけで、すぐに違約金の支払いと退去を求めており、あまりにも一方的過ぎるといえます。
  従って、友人の宿泊自体が契約違反に当たるとしても、家主の主張が直ちに認められるわけではなく、家主が何度も是正を求めたにもかかわらず、入居者がまったく改めようとしない状態が数ヶ月続いたような場合に初めて、家主の主張が認められることになります。
  結論的には、入居者は、友人の宿泊が契約違反に当たるものかどうかを判断した上で、仮に契約違反に当たるとしても、住み続けることが可能ですし、家主が強硬に主張しても追い出されることはありません。(法的に認められません)


(4)契約書には、確かに「家主の承諾を得ずに入居者以外の宿泊はしてはならない」という記載があったが、無断で友人を宿泊させていたところ、家主に見つかり、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われてしまった。友人を泊めるのにいちいち家主の承諾を得なければならないということ自体納得できないが、家主に従うしかないのか?

→  前項と同じように、まず、特約そのものの有効性を吟味し、その次に、特約の解釈の妥当性、そして、契約違反を前提とした場合のペナルティーについて検討してみましょう。
  まず、特約そのものの有効性ですが、特約は公序良俗に反せず、借地借家法上の「強行規定」に反していなければ有効です。
  この特約によれば、入居者以外が宿泊する場合、いちいち家主の承諾を得なければならないとしており、家主は、当然ながら「否認」する権利をもっていることになりますが、個人のプライバシーに関すること(入居者との関係など)をいちいち家主が吟味し、家主の一存で判断するというのは、封建社会の領主ならともかく、民主社会の常識に反しており、公序良俗に反すると考えられます。
  一方、家主の側からしても、入居者の友人の宿泊に関して、いちいち承諾するかどうかの権利を保有すべき合理的な理由も見当たりません。
  従って、このような特約そのものが無効であると考えられます。
  次に、万一、上記のような解釈が認められない場合でも、入居者の家族や親族が宿泊する場合には、いちいち家主の許可を得る必要はないはずです。
 つまり、「入居者以外」と言っても、前項で述べているように、実際には、「入居者および入居者の身内以外」の意味であると解釈することができます。
  そうすると、友人は、入居者の身内ではありませんので、家主の承諾が必要ということになります。
  ところが、三つ目の問題として、家主の承諾を得なかったからと言って、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」という家主の主張が認められるほどの重大な契約違反であるかどうかがポイントとなりますが、重大な違反とはいえないことは、前項で述べたとおりです。
  従って、本来、特約としても無効と考えられますし、仮にその主張が認められなかったとしても、家主の主張が認められるほどの重大な契約違反とは言えませんので、家主に従う必要もありませんし、法的に退去させられることもありません。


(5)契約書には、契約者以外の宿泊に関しての記載は一切なかったので、夏休みで留守をする間、友人に貸していたところ、家主に見つかり、「無断で貸していたので契約違反であり、違約金を支払って即刻退去せよ」と言ってきた。友人は何も悪いことはしていないので納得できないが、家主の主張に合理性はあるのか?

→  入居者が住んでいるときに友人を宿泊させていた場合には、前項までで触れてきたように、たとえ契約違反に当たるとしても、即刻退去させられるというようなことはありません。
  しかし、「(家主に)無断で貸していた」というのは、無断転貸になります。
 民法第612条1項では、借主が家主の承諾なく無断転貸することを禁止しており、無断転貸した場合には、同条2項で家主は契約解除できると定めています。
  従って、民法上では、無断転貸は契約解除の理由となりますので、借主は退去せざるを得ないということになりますが、機械的に法律を適用すれば、法律を知らない借主にさまざまな事情があっても即刻退去させられてしまいます。 
  そこで、判例においては、「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情のある場合には解除権は発生しない」としているのです。
  つまり、明らかに、家主との信頼関係を裏切るような事情がなければ、家主といえども契約解除はできないとしているのです。
  一般的には、「夏休みの留守中に友人に部屋を貸した」という場合、家主との信頼関係を裏切るほどの事情があったとまでは言えないと思います。
  従って、無断転貸した事実については、家主に対しては謝罪しつつ、即刻退去という要求については、受け入れることはできないということをうまく説得しなければならないでしょう。


長期不在

(1)契約書には特別な規定がなかったので、家主に断ることなく、長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反である」と言われたという。家主だけでなく実家からも厳しい叱責を受けたが、契約書に書いていないので納得できないのだが‥。

→  「長期旅行」の期間が定かではないため、はっきりしたことは言いづらいのですが、一般論で言えば、家主への連絡を一切せず、長期不在をすることは、家主との信頼関係の破壊につながる行為と言わざるを得ません。
  契約書には、長期不在に関する記載がなかったとしても、常識的な判断あるいは善良なる管理者の注意義務の一環として、長期不在となる場合には、家主への連絡が必要だと思われます。
  つまり、無断での長期不在が続けば、契約解除されても仕方がないと思  われます。


(2)契約書には「1ヶ月以上の長期不在となる場合には、家主への通告が必要」となっていたが、家主には連絡せずに長期旅行に出かけていたところ、家主から実家に連絡があり、「無断で長期不在となっており、契約違反であるので退去してもらう」と言われ、荷物を引き上げてきたという。契約違反は事実だとしても行き過ぎだと思うのだが、家主に損害賠償請求をすることはできないのか?

→  契約違反であることに争いはないようなので、問題となるのは荷物の撤去の是非ですが、このような場合には、特約事項として、「借主が無断での長期不在・行方不明などになった場合、連帯保証人は借主の荷物を撤去し明け渡す」というような条項を定めている場合があります。
  連帯保証人に対して、荷物の撤去と明け渡しを行うような特約があれば、家主は契約の特約事項に従って行動したに過ぎませんし、あらかじめ、契約本人、連帯保証人も認めていたことですので、家主に対する損害賠償請求は不可能でしょう。
  しかし、そのような特約がない場合に、連帯保証人から荷物の引き上げを申し出たのか、それとも、家主の強硬姿勢に応じざるを得ず、やむを得ず荷物を引き上げてきたのかで、家主に対する対応が異なるでしょう。
  連帯保証人自ら、「家主さんにご迷惑をかけるので荷物を引き上げる」というように言っていたのであれば、家主に対して、損害賠償追及は難しいでしょう。
  連帯保証人が、家主からの強い要請に応えざるを得ないという形で荷物の引き上げを行った場合には、無断の長期不在期間がどの程度であったかによって、家主との信頼関係が破壊されたかどうかが判断されることになり、それによって、家主の主張が行き過ぎかどうかを判定することになるでしょう。
  常識的な線で言えば、数ヶ月以上にわたる無断の長期旅行が行われ、家賃もその間未払いとなるような場合には、家主との間の信頼関係がなくなったと判断できるのではないでしょうか?
  そこまでいかないような旅行期間であったり、家賃がきちんと支払われていたりするような場合には、信頼関係がなくなったとまでは言えませんので、家主の行動は行き過ぎであり、家主のとった行動に対しては、損害賠償追及が可能になると思います。


同棲

(1)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「契約違反なので出て行け」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

→  まず、家主が「契約違反」という理由を確認しなければならないでし  ょう。
  よくあるのは、契約書に「一人用」、「入居者は1人に限る」というような記載がある場合です。このような場合には、確かに契約違反となります。
  しかし、「契約違反」の事実があるということと、「退去しなければならない」ということは直接結びつけることはできないとされているのです。
  つまり、入居者は、借地借家法や判例でも保護されており、契約違反の事実があったとしても、家主との間の信頼関係が破壊されてしまったというような事情がなければ、家主から契約解除はできないとされているのです。
  契約違反となる事実そのものがなく、家主が、単なる「風紀上の理由」などで退去せよというような場合には、当然のことながら、退去する必要はありません。
  「同棲」が契約違反に当たる場合、家主から、「同棲は契約違反だからやめるよう」に注意を受けておきながら、いくら注意されてもいっこうに態度を改めようとしない期間が数ヶ月以上にわたり、家主との間での信頼関係がなくなってしまったというような場合には、退去しなければならなくなる可能性があります。


(2)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、同棲しているところを家主に見つかった。家主は「同棲するなら家賃と共益費、敷金をアップさせる」と言うが、家主の主張に従うしかないのか?

→  ひとりで生活する場合と同棲する場合を比較すると、共用部分を使用する度合いが2倍になるため、共益費は2倍請求されても仕方がないと思います。
  家賃についても、同棲する場合のほうが、建物を使用する度合いが2倍になるため、建物の汚損・破損の進行が早くなるため、その修繕費用アップの裏づけとして、家賃の一定額の増加もやむを得ないでしょう。
  敷金も、家賃と同じ理由から、一定額のアップは仕方がないと思います。


(3)契約書には「同棲禁止」とか「友人の宿泊禁止」とかの記載は一切なかったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」として、実家に通報されてしまい、住まいを引き上げることになってしまった。家主に損害賠償を請求したいのだが、可能か?

→  家主が勝手な憶測によって、実家に無断で連絡するなど、入居者のプライバシーを侵害し、結果的に住まいを引き上げざるを得なくなったわけですから、家主の責任は重大だと考えられます。
  家主自身には、悪気があったわけではなく、「親心」から実家に通報したのかもしれませんが、現代社会においては、個人のプライバシーに土足で踏み込んだことになりますので、家主の責任は重大です。
  ただし、「実家に引き上げざるを得なかった」という理由についても、どの程度、入居者本人自身の判断があったのかということについてもチェックが必要です。
  なぜなら、入居者本人自身の判断として、「引き上げ」を選択したのか、それとも、実家からの圧力によって、なくなく「引き上げ」したのかどうかによっても、家主の責任追及についての度合いが変わってくるでしょう。
  家主に対する損害賠償は、現状復帰とそれまでに要した費用の合計額が基準となり、さらに精神的な意味での慰謝料が加わる場合もあるでしょう。


(4)契約書には「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が訪問していただけなのに、家主から「同棲している」と勘違いされ、「違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。対抗するにはどうすればよいか?

→  まず、家主に事実関係を正確に理解してもらうことが先決でしょう。
  事情を理解してもらえればよいですが、理解してもらえない場合には、「即刻退去せよ」というような家主の主張については、きっぱりと拒否することが必要でしょう。
  借主が、契約違反に当たる事実がなく、家主の主張を拒否しているにもかかわらず、退去させようとしても、法的にも認められませんので、安心して生活してください。


(5)契約書には、確かに「友人の宿泊および同棲禁止」の記載があったが、たまたま異性の友人が1泊しただけなのに、家主から「同棲している」ということで、「敷金没収、違約金家賃3か月分を支払って退去せよ」というような請求されてしまった。契約書にこういう規定が載っているのは確かだが、たった1泊だけでこのような厳しい措置をとられるのは納得できないのだが‥。

→  契約書の特約事項に記載があるからと言って、すべての特約が認められるわけではありません。
  「同棲」を禁止する特約があり、それに違反した事実があったとしても、ただちに退去させるというような特約は認められません。
  通常、契約違反の事実があったとしても、家主との信頼関係が破壊されてしまったというような特段の事情があって初めて、家主からの契約解除ができるとされています。
  一般的に言えば、契約違反の事実を指摘されていながら、借主がいっこうに契約違反をやめようとせず、数ヶ月間が経過したような場合に、「信頼関係が破壊された」という判断が可能となるでしょう。


ペット飼育

(1)「ペット飼育不可」の物件で、室内だけで飼うペット(ハムスター)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

→  本来、「ペット飼育不可」を契約の条件とするのであれば、その解釈が人によって異なることのないように、動物の具体的な名前を例に上げて解釈をはっきりさせておくべきでしょう。
  なぜなら、一般的に「ペット飼育不可」の解釈としては、「臭いや鳴き声などで他の入居者に迷惑のかかる恐れがあったり、室内を傷めたりする恐れのある動物の飼育は禁止するが、室内だけでの飼育が可能で鳴き声をほとんど出さない小動物の場合は認める」という場合が多いからです。
  本件の場合には、一般的な「ペット飼育不可」というだけで、細かな記載がなかったために、借主は「ハムスターぐらいよいだろう」と考えていたのに対して、家主は「ハムスターであろうがペットには違いない」ということで、家主からのクレームとなったのだと思います。
  従って、借主は、ハムスターを飼育することは契約違反に当たらないと考えていたのですから、違反を承知で飼育していた場合の責任とは大きく異なりますし、家主も、詳細な記載をしていなかったという落ち度がありますので、いわば過失相殺によって、家主は「次回からは気をつけて」程度の注意をするくらいにとどめ、現在飼育中のハムスターは認めるようにすべきでしょう。
  ところが、家主はいきなり「違約金を支払って即刻退去せよ」と言っているようですが、仮に契約違反に当たる場合であったとしても、即刻退去させることはできません。
  家主が契約違反に当たる事実をつかんだ場合、まず、契約違反であり違反をやめるように注意し、それでも何度注意してもやめようとせず、最終的に「家主と借主との間の信頼関係がなくなってしまった」というような状態になって初めて、退去を求めることが可能になるのです。
  逆に言えば、家主の一方的な主張に恐れることはないのです。それよりも、まず、家主の「誤解」を解くようにしたほうがよいでしょう。
  ハムスターをケージで飼育しているならば、臭いや鳴き声の問題もなく、他の入居者に迷惑をかけるようなことはありませんし、室内を傷つけることもないはずですので、家主に、飼育している状況を見てもらって、犬や猫を飼育しているのとはわけが違うということを理解してもらうことが先決です。
  それでも、家主が飼育を認めない場合に、飼育を続けるには、2つの対応法があります。
  ひとつは、家主の意向を無視して、「契約書の解釈の仕方が違うだけ」ということで、あくまで契約違反ではないとして飼育を続ける方法です。
  このような場合に、家主が退去を求めてきても、法律上許されませんし、裁判に発展しても、裁判官などは「他人に迷惑をかけない小動物の飼育を禁止する合理的理由はない」という判断をするでしょう。
  もうひとつは、一応は契約違反であることを認めたうえで、家主には「わかりました。ペットを処分します」と言っておきながら、隠れて飼育続ける方法です。
 家主といえども、入居者の部屋に無断で入ることはできませんので、家主に見つかる可能性は少なく、「わかりました」の一言で安心するでしょう。


(2)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(猫)を飼っていたところ、家主に見つかった。家主は「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言うが、何とかこのまま住み続ける方法はないか?

→  猫は、ペットの中でも、尿の臭いが室内に残りやすく、壁や床を傷つけたりするケースが多いので、「ペット飼育不可」となっている物件では、水槽で飼育する魚類・ハムスターなどの小動物などと異なり、常識的に言っても、猫の飼育はできないはずです。
  それを家主に無断で飼育していたわけですから、契約違反であることは明らかです。
 飼育している猫の数が複数ともなれば、家主との信頼関係が破壊されていると言えないこともないでしょう。
  契約違反であることは明らかですが、「即刻退去」せざるを得ないかといえば、いきなり退去させられることはないでしょう。
  まず、猫の処分をどうするかということです。
 家主が飼育し続けることを認めてくれない場合に、住み続けることを優先するのであれば、可及的速やかに、猫の処分を行わなければならないでしょう。
  「猫の処分はかわいそう」というのであれば、違約金を支払って退去することもやむを得ないでしょう。
 ただし、このような場合にも、即刻退去しなければならないというわけではなく、次の物件が見つかるまでの相当期間は住み続けることができるはずです。
  猫を飼育し続けながら、住み続けようとする場合には、家主が法的手段を講じて退去を迫ってくる可能性がありますが、家主によれば、諦めて事実上の飼育を認めてしまう場合もよくありますので、家主の動向に注意が必要となります。
  なお、いずれにしても、退去時には、原状回復のための費用が高額になることを覚悟しておかなければならないでしょう。
 壁のクロスの全面張替えから、床の補修、ハウスクリーニング、場合によれば消臭作業なども加わり、原状回復費用そのものが高額になりがちだからです。
  それに、猫の飼育は契約違反であり、借主が「故意」に汚損・破損させたと判断されても仕方ないという理由もあるからです。


(3)「ペット飼育不可」の物件で、ペット(子犬)を室内だけで飼っていたところ、他の入居者に見つかり、家主に通報されてしまった。家主は「契約違反だが、家賃の値上げをすることと、退去時に全面改装する費用負担を承諾すれば飼ってもよい」と言ってきたが、やはり、家主に従うしかないのか?

→  犬や猫などを室内で飼育していると、飼育していない場合と比較すると、どうしても、室内の各部が傷みやすくなります。
 そして、家主には、借主に使用収益させる義務があるために、一般的な修繕義務を負っていますが、当然のことながら、修繕費用も飼育していない場合よりも高額になる恐れがあります。
  そこで、高額になる可能性のある修繕費用をまかなうために、ある程度の家賃の値上げを行うことは不合理とは言えません。
  また、家主は、「契約違反だから即刻退去せよ」と言っているわけではなく、飼育することをやむを得ないこととして、認めるための条件を提示してきているわけですから、良心的な家主といえるでしょう。
  問題は、家賃の値上げ幅です。
 ペットを飼育しているために、そうでない場合と比較して、退去時の原状回復に要する修繕費用がアップするわけですが、その差額分を契約期間で月割にした金額が目安になるでしょう。
  たとえば、契約期間があと1年間残っていたとして、契約更新せずに退去する場合に、修繕費用のアップ額(予測額)が10万円ほどならば、月1万円近くとなってしまいますが、一方で、家主は、退去時のクロス等の全面張替え費用負担を承諾せよと言っていますので、退去時に、全面張替え費用を負担するのであれば、修繕費用としてのアップはおかしいということになります。
  そこで、家賃のアップについては、その合理的な説明を求め、退去時の全面張替え費用請求については、どの部分にいくらかかるのかを確認したうえで、家賃のアップとあわせて、妥当だと思われる金額をはじき出すことになるでしょう。
  そのためには、原状回復に要する費用の相場もつかんでおき、家主の一方的な主張の言いなりにならないようにしなければなりません。
  なお、「契約違反である」と言ってきたときに、「ペットを処分します」ということにするのであれば、家賃の値上げなどは一切認める必要はないでしょう。


(4)「ペット飼育不可」の物件でペットを飼っていた。しかし、他の入居者もペットを公然と飼っていたのに、家主から、「契約違反なので違約金を支払って即刻退去せよ」と言われた。「他の入居者も同じではないか」と反論したが、家主は納得しない。自分だけ退去を命じられるのは納得できないのだが‥。

→  駐車違反しているところを警察に注意されたところ、「他の人も駐車違反しているのに、なぜ私だけ処分するの?」と言っても、警察が取り合ってくれないのと同じように、借主が契約違反をしたかどうかは、他の入居者の行動にはまったく関係のない話です。
  事実関係として、はっきりさせなければならないのは、契約違反の事実があり、その事実を家主に注意されたわけですから、まずは家主に対する謝罪が必要でしょう。
 それを、謝罪するどころか、「他の人もペットを飼っている(契約違反している)のに‥」という「理屈」で逃げようとしたわけですから、家主が態度を硬化させたのも、致し方のないことでしょう。必要なのは、「反論」ではなく、「謝罪」だったはずです。
  いずれにしても、一切の謝罪がなかったことが、家主の態度を硬化させた理由だと思います。
  そこで、家主に対して、きちんと謝罪を行い、その上で、条件付でのペット飼育を認めてもらえないかどうか(例えば、退去時には、内装の全面張替え費用を負担するなど)について交渉し、それでも「ダメ」と言われるようであれば、ペットの飼育を諦めざるを得ないでしょう。
  そして、「退去せよ」という通告を取り下げてくれるのかを確認し、謝罪しても「退去せよ」という主張を崩さなかった場合には、対抗策を考えなければなりません。
  しかし、ペット飼育という契約違反の事実があったとしても、すぐに「退去しなければならない」ということではありません。
  判例などの考え方では、契約違反の事実があり、家主がそれを指摘して直すように警告したのに、借主がいっこうに態度を改めようとしない期間が相当経過した場合、家主と借主との間の「信頼関係が破壊されてしまった」という判断ができるので、家主として、契約を解除することができるとされているのです。
  家主が謝罪を受け入れず、「即刻退去せよ」と言ってきたとしても、それだけでは退去する義務はないと考えられます。
  家主が、「法的手段に訴えてでも退去させる」と言っても、裁判では、上記のような考え方をすることが多いので、家主の主張がそのまま認められることはないでしょう。


(5)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類に特に規定はなかったので、小型の室内だけで飼う犬を飼っていたところ、家主から「犬の鳴き声がうるさいという苦情が絶えないので、犬を何とかしてほしい」と言ってきた。「ペット飼育可ではないか?」と反論したが、家主は聞き入れてくれない。何かよい対策はないか?

→  「ペット飼育不可」ではなく、「ペット飼育可能」の物件である場合、問題になる背景の一つに、新築の時点では「ペット飼育可能」ではなかったのに、入居者確保のために、「ペット飼育可能」に変更したケースがあります。
  最近のように、新築の計画段階から、「ペット飼育可能」としている場合(もっと積極的に、「ペット共生マンション」というようなコンセプトで宣伝している物件もあります)、設計・設備上も「ペット飼育可能」に合わせて、ペットの糞尿の始末をするスペースを作ったり、ペット専用の出入り口があったり、壁も腰壁(腰の付近までの壁)までは、傷つきやすいクロスではなく、合板を貼って傷がつきにくいようにしたり、床材のフローリングには樹脂塗装を施して傷がつきにくくしたり、丈夫な抗菌クッションフロアなどを採用したりなどしています。換気システムや遮音構造にも工夫している物件もあるようです。
  しかし、単に、家主の思いつきで、それまでの「ペット飼育不可」から、「ペット飼育可能」に変更したような場合には、設計・設備上は、従来のままですので、さまざまな問題点が出てくることが多いのです。
  「他の入居者からの苦情が絶えない」という理由のひとつにも、「(家主が勝手に『ペット飼育可』にしたために)ペットの鳴き声でうるさい」ということが上げられると思います。
  他の入居者にしてみれば、「ペット飼育不可」ということで、ペットの飼育を諦めてきたのに、新しく入居した人がペットを飼育しており、そのことについて、家主から承認を求める連絡なども一切なかった場合、誰もよい気持ちがするはずがなく、ペットのちょっとした鳴き声にも、過剰に反応してしまうケースも多いのです。
  つまり、他の入居者からの「鳴き声でうるさい」という苦情は、ペットの飼い主よりも、どちらかといえば、家主の勝手な行動に対する意味合いのほうが強い場合が多いのです。
  家主としても、いったん「ペット飼育可」とした以上は、ペットが鳴き声を発するのは誰が考えても当然のことですから、家主としての責任、つまり、他の入居者に対する説明責任、ペットをめぐる苦情の解決を行うこと、ペット飼育のルールを作ること、退去時の原状回復に関して特約事項を設けること(ペット飼育をすれば内装の傷みが激しくなるので、修繕・張替え費用が高額になりやすいので、それらの費用負担のルールを特約としてあらかじめ取り決めておくこと)などを果たさなければなりません。
  本来は、「ペット飼育不可」から「ペット飼育可」に変更した場合には、建物の設備にも手を加えるべきでしょうが、入居者確保のために、無理やり「ペット飼育可」にした家主には、そんな金銭的余裕もないと思いますが、最低限、ルール作りくらいはきちんと行うべきでしょう。
  いずれにしても、今回のケースでは、よほど鳴き声のひどい犬でなければ、家主が問題の解決を図るべきでしょう。
  家主に対しては、上記の点を説明して、家主に了解を求めるようにしてください。


(6)「ペット飼育可」の物件だが、ペットの種類や数に特に規定はなかったので、数種類のペットを飼っていたところ、家主から「ペットの数が多すぎて、臭いもきつい。ペットの数を1種類だけにしなければ退去してもらう」と言われたが、家主に従うしかないのか?

→  この相談についても、前項で述べたような家主の問題がないかどうかがひとつのポイントです。
  前項で述べたペットを飼育するルールをまったく作っていなかったのかどうかもポイントです。
  実際に、どのようなペットが何匹いるのかが書いてありませんので、はっきりしたことは言えませんが、常識的には、ペットの種類は「1〜2種類まで」、数も「ひとつのかご・ケジに入る程度」でしょう。
  つまり、熱帯魚などの小魚であれば、数十匹いてもひとつの水槽ですから問題ありませんが、犬や猫では、その物件の種類(戸建住宅かマンション・アパートか)、物件の専用面積(広いほど数を増やせるでしょう)、そして、ペットの大きさにもよりますが、せいぜい3匹程度まででしょう。
  もし、ペット飼育のルールがなかったり、不整備だったりする場合には、常識的な判断に従うしかないでしょう。
  「常識的な判断」自体、人によっても若干異なってくるでしょうが、最低限のラインでは共通認識を持つことができるでしょう。
  いずれにしても、具体的な状況(どんなペットが何匹いるのか?)がはっきりしませんので、家主と交渉して、妥協案を探るしかないでしょう。


(7)「ペット飼育可」の物件だが、ペットに子供が生まれてしまった。それが家主の知るところとなり、家主から「ペットは1匹のみしか認めないと契約書にも書いている。すぐに処分せよ」と言ってきた。小さなペットの子供を処分してしまうのはかわいそうなので、何とかペットを守ってやりたいのだが、何かよい方法はないか?

→  まず、ペット飼育に関するルールがどのようになっているのかがポイントの一つとなります。
  きちんとしたペット飼育ルールなら、「ペットの避妊措置」についても何らかの記載があると思います。
  つまり、犬・猫などのペットは、避妊・去勢などの措置をすることを義務付けたり、その証明を提出させたりするなりしています。
  そのようなルールが決められていない場合でも、契約書には「1匹のみ」となっているのであれば、生まれたペットの子供を手離すしかないでしょう。
  ただし、せめて、「新たな飼い主が見つかるまでの間(ただし最長で○ヶ月)」というような約束をすることで、家主の了解を得るようにしなければならないでしょう。
  それ以外の方法としては、「ペット共生物件」への引越を行うという方法ですが、借主が住んでいる物件に空室が目立つ場合には、家主に対して「ペットを殺すわけには行かないので、どうしてもペットを処分せよというのであれば退去するしかない」と言って、家主の妥協を引き出そうとしてみることです。


(8)突然、管理会社より「ペット飼育可能なマンションにします」との通知がきた。現在入居している殆どの住民は、この件について反対しており、管理会社に連絡を取ったが、こちらの言い分は全く聞いてくれない。どうすればよいか?

→ 契約書や特約事項として定められている項目は、家主と借主との間で、合意して双方が守るべき事項を記載しています。
 したがって、「ペット飼育禁止」という特約事項は、借主が守るのは当然ですが、家主側(家主の代理人としての管理会社も)も守る義務があります。
 「管理会社の承諾を受けずにその行為をしてはならない」としている規定は、管理会社がペット飼育の許諾を自由にすることができるという解釈ではなく、借主がペットを飼育希望する場合に、ペットの種類や条件等を考慮の上、例外的に許可する場合でも、他の入居者に迷惑をかけることがないかどうかを確認するための規定だと考えられます。
 従来、ペット飼育不可の共同住宅であったものが、「ペット飼育可能」となると、ペットの臭いや鳴き声、糞尿の後始末などで、生活環境としては、悪化する可能性が大きく、「ペット飼育不可」物件が多い賃貸業界では、ペット飼育を希望する借主が殺到する可能性もあるでしょう。(そこが家主側の狙いでもあるわけですが…)
 家主は、家賃を徴収している以上、借主に対して、「使用収益させる義務」を負っていますが、ペット飼育可能にすることは、ペット飼育を希望しない借主にとって、大きなマイナスとなるのは明らかです。
 ペットの飼育は、誰もが好むものとは限りませんので、「ペット飼育不可」が条件の物件を選んだ借主は、ペット飼育可能になれば、契約の目的がまっとうできないということにもなります。
 最近の「ペット共生型マンション」では、ペット飼育を可能にするために、きちんとした管理規約を作成し、設備的にも、ペットの糞尿を洗い流せたり、傷がつきにくい内装にしたりなど、さまざまな工夫を行っています。
 そこで、家主側(管理会社)に対しては、まず、「契約違反である」ことを認めさせる必要があります。
 それが、家主側からの譲歩を得る前提となるでしょう。
 もし、契約違反であることすら認めないようであれば、「契約の目的がまっとうできない」として、他の入居者と合同で、家賃の供託などを行ってはどうでしょうか?
 そうすれば、家主側は、調停等での話し合いに応じ、妥協策を提案してくることになるでしょう。
 契約違反であることは認めた上で、「空室が埋まらない以上、仕方ないので認めてくれ」というような場合には、ペット飼育のためのルールを入居者の承諾を得ながら作成すること、ペット飼育可能に変更するに当たって、ペット飼育のための設備を設けることなどをしてもらいましょう。
 そして、「ペット飼育は我慢ならない」という入居者については、他の物件に引越しするための諸費用の支払いを約束してもらうように交渉したほうがよいでしょう。
 いずれにしても、このような問題は、個々の入居者と管理会社との間で行うのではなく、入居者全員の合意の下で団体交渉を行ったほうが効果的です。

(9)ペット、特に、猫の毛に対するアレルギーがあるので、「ペット飼育不可」のマンションに生活しているのに、家主に無断でペットを飼育している人がいる。ペット飼育をやめてもらいたいが、どのように対処すればよいか?

→ まず、確認すべきことは、「ペット飼育不可」と言っても、すべてのペットの飼育ができないというわけではなく、室内だけで飼育することができ、鳴き声や糞尿の後始末などの問題がほとんどないような小動物(小型水槽で飼育できる魚類やハムスターなど)は、例外的に飼育が認められるというケースが多いので、どのようなペットを飼育しているのかをはっきりさせることです。
 そして、明らかに許可されないようなペットを飼育していることがはっきりしている場合には、家主に事情説明し、まずは、直接苦情を言ってもらうのではなく、ロビーの掲示板などで警告表示をしてもらい、しばらく様子を見る方法もありますが、我慢しがたいという場合には、家主から直接注意をしてもらうことになるでしょう。
 いずれにしても、「ペット飼育不可」というのは、借主と家主との間の契約事項ですので、他の入居者から苦情を言うよりも、家主から苦情を言って是正してもらうようにしたほうがよいでしょう。


(10)ペット、特に、猫の毛に対するアレルギーがあるので、「ペット飼育不可」のマンションに生活しているのに、家主は、その人に、ペットの飼育を認めてしまったという。ペット飼育をやめてほしいが、「ペット飼育不可」の条件は、家主が自分の都合だけで変えることはできるのか?どのように対処すればよいのか?

→ 「ペット飼育不可」という特約は、基本的には、借主に対して設けられた規定です。
 そして、「ペット飼育不可」という特約をつけているということは、ペットの嫌いな人やペットにアレルギーを持つ人から裏返して見れば、「ペットが飼えない物件だから選んだ」ということになります。
 また、「ペット飼育不可」という契約内容は、家主と借主とのあいだで交わした決まりであり、その意味は、「借主はペットを飼育してはいけない」ということと併せて、「本物件内ではペットを飼育してはいけない」ということを表していると解釈できます。
 したがって、家主だからといって、契約内容を一方的に破ることは許されないと解すべきです。
 家主は、おそらく、空室対策として、苦し紛れに「ペット飼育可能」に変更したものだと思いますが、一人の人に、「ペット飼育可能」とした以上、他の入居者が、ペット飼育を始めても苦情を言えなくなるでしょう。
 そうすると、ペット飼育にまつわるさまざまなトラブルが増えることも予想されます。
 しかしながら、家主は、すでに、ペット飼育を認めてしまっていますので、今後の対策としては、まず、家主に対して、今後の対応方針について聞き取りをし、納得できるかどうかを確認してください。
 納得できない場合には、代替案を提案して、家主に善処を求めることになるでしょう。
 次に、現在、ペットを飼育している人の飼育ルールを確認し、これも納得できるように交渉することになるでしょう。
 そして、ペット飼育による悪臭発生などを防止するための、最低限の設備の設置や改造などもお願いすることになるでしょう。

(11)ペット、特に、猫の毛に対するアレルギーがあるので、「ペット飼育不可」のマンションに生活しているのに、同じマンションの最上階に住んでいる家主自身が猫を飼っていることがわかった。同じマンションに住んでいながら、家主だからといって、ペットを自由に飼うというのはおかしいと思うのだが、どのように対処すればよいか?

→ 前項で述べているように、「ペット飼育不可」という契約内容は、家主と借主とのあいだで交わした決まりであり、その意味は、「借主はペットを飼育してはいけない」ということと併せて、「本物件内ではペットを飼育してはいけない」ということを表していると解釈できます。
 したがって、家主だからといって、契約内容を一方的に破ることは許されないと解すべきです。
 そのことを家主に理解してもらわなければなりません。
 家主の中には、「『ペット飼育不可』というのは、借主に対して要求していることであり、家主はそれに拘束されない」と考えている人もいるでしょう。
 家主が、別の物件に住んでいるのであれば、そのように考えることができますが、同じ物件に住んでいる以上、ペット嫌いの人のことも考えれば、家主といえども、ペット飼育を行うことは許されないはずです。
 家主に対する交渉方法ですが、契約時の仲介業者からうまく説得してもらうようにお願いしてみる方法、他の入居者と一緒に交渉することで、家主に対する圧力を増やす方法など、さまざまな方法を検討してみてください。



ゴミ処理

(1)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「ゴミ回収は入居者同士で話し合って解決してほしい」と言って取り合ってくれない。今は、入居者の有志で後始末をしているが、何とかならないものか?

→  家主の考え方が間違っていると思います。分譲物件と勘違いしている  のでしょう。
  分譲マンションなどでは、それぞれの入居者自身がオーナーであり、管理責任者ですので、入居者同士が話し合って解決するしかありません。
 そのために管理組合を結成するのです。
  しかし、賃貸物件においては、それぞれの入居者はオーナーではありません。管理責任も自分が借りている部分のみです。
  ゴミ回収場所のような共用部分については、その管理は、管理責任者である家主自身が行うべきなのです。
  便宜上、入居者が共同管理しているような場合にも、それは自主的なものであり、管理責任は、あくまで家主にあるのです。
  家主は、家賃という対価を得て、他人に物件を貸している以上、入居者に使用収益させる義務があるのです。
  ゴミの回収を入居者にきちんと行わせ、ゴミの散乱を防止し、それでもゴミが散乱して誰も後始末をしないような場合には、家主がきちんと後始末をしなければならないのです。
  そこで、入居者の連名で、家主に対して、「家主には、入居者に対して使用収益させる義務があると同時に、共用場所をきちんと維持する義務があるので、ゴミが散乱している場合には、家主自身の責任で解決に当たってほしい」と言ってください。


(2)ゴミの回収ルールを守らない入居者がおり、特定の人なので、家主から警告してもらったが、それでもルールを守らないために、いつもゴミ回収場所がゴミで散乱してしまう。近隣からも苦情が来るので、家主に苦情を申し立てたところ、家主は、「本人には警告しており、本人も努力すると言っているが直らない」と言うばかり。何とかならないものか?

→  居住ルールを守らない入居者がいるのに、それを放置しておくことは、他の入居者にも悪影響を与え、誰もがルールを守らなくなれば、物件全体が荒れてきますので、嫌気がさした入居者は出て行き、荒れ放題の物件では新たな入居者はなかなか出てこないでしょう。
  結局、居住ルールを守らない入居者を放置しておくことは、最終的に、家主が多大なダメージを受けることになってしまうのです。
  そこで、迷惑を受けている入居者の連名によって、家主に、次のように申し入れてはどうでしょうか?
  ルールを守らない入居者に対して、家主は、荒れ放題の物件にならないようにするため、毅然とした態度で、「今後、ルールを守らなかった場合には、即刻退去します」というような念書を取ってもらい、「努力しているが直らない」というようなあいまいな状況を認めないようにすること。
 さらに、ゴミ散乱状態が解決するまでの間は、家主自身の責任で、ゴミの散乱を片付けるようにすること。
  それでも、いっこうに、ルールを守る気配がないのであれば、家主の責任で、ルール違反者の退去を求めなければならないでしょう。


(3)自治体のゴミ回収ではなく、業者による毎日回収をしているが、毎月「ゴミ回収代」として費用を請求される。自治体なら無料なので、入居者が費用を負担するのは納得できないのだが‥。

→  このような問題は、本来、契約前に「解決」しておくべき問題です。
  学生マンションなどでは、入居者である学生が、ゴミ出しルールを守らないケースがよくあり、家主や管理会社が後始末をしなければならないということが少なくありません。
  つまり、ゴミ出しルールは、主に。次のような5つのルールがあります。
  指定されたように分別すること、指定された袋に入れること、指定された曜日に出すこと、指定時間帯に出すこと、指定の場所に出すこと‥。
  しかし、これらのルールをすべて守ることができない入居者が、一定の割合でいるのが現実でしょう。
  仮に、100人が居住しているマンションで、わずか2〜3名のルール違反者がいても、結果的にゴミが散乱してしまい、近隣からの苦情に発展することになるのです。
  そこで、このような現実を背景に、最初から、民間のゴミ回収業者と契約し、「毎日回収」を行っている学生マンションがあるのです。
 そして、入居者には、ゴミ回収費用として按分負担してもらっているのです。
  問題は、このような点については、契約前の重要事項説明で、必ず説明されているはずですので、万が一、説明がなかったとすれば、仲介業者の責任ですが、学生が契約する場合、多くの場合、重要事項説明を熱心に聞いているのは保護者であり、本来、きちんと内容を把握しておくべき本人(学生)は、「すべて親任せ」というような態度で、重要なポイントも聞き漏らしていることが少なくないのが現実なのです。
  相談者が、「聞き漏らしていた」かどうかはわかりませんが、そういうようなことはなかったかどうかを確認してみることが必要です。
  契約期間中に、自治体回収から、業者回収に切り替えになった場合にも、家主や管理会社が一方的に「悪い」とは言えないでしょう。
 それだけのメリットを入居者が受けるわけですから、負担する費用が許容範囲内(日額30〜50円として月額1000〜1500円程度)であれば仕方ないのではないでしょうか?
  しかし、一方で、費用負担以外については、別の問題を指摘する声もあります。
  つまり、自治体回収では、分別回収が義務付けられているにもかかわらず、業者回収の場合、多くは分別しないため、ゴミを出すほうは気楽なのですが、ゴミの捨て場所の負担が増えたりして環境問題を悪化させる元となったり、入居者の環境マインドを醸成しないなどの点で問題ありという声もあるのです。


(4)業者のゴミ回収が夜中に行われるため、騒音で起こされてしまう。管理会社に苦情を申し入れたが、「回収ルートと時間が決まっているので我慢してもらうしかない」と言われた。何とかならないのか?

→  まず、回収時間帯の変更ができないかどうかを、管理会社から、ゴミ回収業者に申し入れてもらうことが先決でしょう。
 それが、まったくだめだという場合には、どれくらいの騒音なのかによって対応策が異なってくるでしょう。
  深夜の騒音については、交通騒音の場合における建物の屋内における騒音基準というものが定められていますので、その基準を上回っているかどうかがひとつのポイントになります。
  その基準は、夜間(午後10時〜翌朝6時)は40デシベル以下というものです。
  しかし、実際問題として、ゴミ回収車の騒音が「一瞬の間、40デシベルを越えていた」としても、その事実を持って、「騒音基準違反である」と言えるかどうかは、判断が分かれるでしょう。
  なぜなら、もともと交通騒音の場合には、しょっちゅう車の往来がある場合の騒音基準であるのに対して、ゴミ回収車の場合には、ほんの2〜3分程度の時間だけのことだからです。
  そのことから考えると、多少、ゴミ回収車の騒音が、交通騒音の基準を上回っていたとしても、受忍限度であると言えるのではないかと思います。
  なお、別の角度から、この問題を考えると、同じ物件で、ゴミ回収車の騒音問題で苦情を言っているのは何人くらいいるのかもポイントになります。
  つまり、このような苦情が、非常に限られた入居者だけ(一人だけ)というような場合には、騒音自体の問題よりも、物音を騒音として捉えてしまうということに問題があるように思います。
 音に対して、過剰な反応をしている可能性があるのではないかということです。
  もし、そういうことであれば、耳栓をして自己防衛するとか、一度、病院などで診察してもらって、原因を調べてもらうという手もあります。
  そういう問題ではなく、建物の物理的な構造に起因すると考えられる場合には、窓ガラスを2重窓にしたり、エアタイトサッシに代えてもらったりして、遮音構造を増強したほうがよい場合もあります。


家賃の滞納

(1)契約書には「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」と書いていたが、うっかりして家賃を1か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

→  日本には、「契約自由の原則」(私的自治の原則)というものがあります。
 つまり、誰と契約しようがしまいが自由であり、契約内容も原則として自由、契約の方式も自由であるというものです。
 その前提には、独立・対等・平等な市民間においての契約については、できるだけ当事者の自由に任せようという国の判断があります。
  従って、原則としては、どのような契約も自由であり、契約する際に、署名捺印しているということは、契約事項を承認しているということになりますから、従わざるを得ないということになります。
  ところが、居住用の建物の賃貸借契約においては、家主が一方的に定めた契約事項を、借主が承諾するかどうかだけの権利しかないため、もともと、対等・平等ではないのです。
  そのような違いを放置して、当事者の自由に任せておくことは、家主が好き放題の契約を定めることを容認することになり、良好な社会秩序にも悪影響を及ぼすことになります。
  そこで、いくつかの制限を設けて、好き勝手な契約ができないようにしているのです。
  まず、第一は、借地借家法上の「強行規定」に違反していないことです。
  契約内容が、借地借家法上の「強行規定」に反している規定は無効であるとされていますので、それに違反していないかどうかが問題となりますが、家賃の滞納については触れられていませんので、この点からは、契約は有効です。
  二つ目に、契約内容が公序良俗に反していないかどうかです。
  「公序良俗」の法律用語としての意味は、「現代社会の一般的秩序を維持するために要請される倫理的規範」とされています。
  殺人依頼の契約、愛人契約などの誰が考えても公序良俗に反している契約以外でも、男女によって定年年齢が異なるようなケースでも、性別による不合理な差別として、公序良俗違反とされた場合もあります。
  そこで、「1ヶ月の滞納による契約解除」が、社会の秩序を壊すほどの不合理な契約内容かどうかが問題となりますが、人によって判断が分かれるでしょう。
 逆に言えば、誰が考えても、「公序良俗違反である」とも言えないレベルですので、「公序良俗違反により契約は無効」とは言えないでしょう。
  三つ目は、法律用語で言うところの「例文解釈」による契約内容の無効とはならないかという点です。
 これは、少しややこしいのですが、不動産の賃貸借契約などで、文言どおりに解釈することで、結果があまりにも不当なことになってしまう場合、契約内容そのものを「単なる例文である」として、その効力を否定するものです。
  しかし、これまでのところ、短期間の家賃の滞納による契約解除を、「例文解釈」によって無効であると判断されたケースはないようです。
  四つ目は、2001年4月に施行された消費者契約法による「消費者の利益を一方的に害する規定は無効である」という規定に違反していないかどうかという点です。
 この点については、長期的な契約関係を前提とした建物の賃貸借契約において、わずか1ヶ月分だけの滞納によって契約解除を行うことは、「消費者の利益を一方的に害する」規定だという判断を行うことが可能かもしれません。
 ただし、まだ、消費者契約法の規定を取り上げた判例がないため、必ず、そのような解釈になるかどうかははっきりしていません。
  そこで、最終的には、これまでの判例で蓄積されてきた考え方によって、契約内容を判断することになるでしょう。
  判例での考え方は、「信頼関係破壊の理論」と呼ばれているものです。
 つまり、居住を目的とした長期間にわたる賃貸借契約においては、単に契約違反にあたる事実があるだけでは契約を解除して退去させることができず、「家主と借主との間の信頼関係がなくなってしまった」というような状況になって初めて、家主からの契約解除を認めるようにして、借主の居住権を守ろうとしているのです。
  従って、「家賃を1ヶ月でも滞納すれば即刻退去させる」という契約条項は、「明らかに無効である」とまでは言えませんが、かといって、それだけで適用されるわけではなく、借主に家賃の支払いの資力があるにもかかわらず家賃を滞納し、家主が納めるように何度も督促したのに、数ヶ月以上も滞納を続け、もはや、借主は、「家賃を支払うという約束を守るつもりがない」と判断されるような状況になった場合に契約解除することができるとされているのです。


(2)契約書には「家賃を3ヶ月分以上滞納すれば即刻退去させる」と書かれていたが、うっかりして家賃を3か月分滞納してしまったところ、家主から、「契約違反なので、違約金を支払って退去してもらう」という通告を受けてしまった。契約書に明記されているのであれば、泣く泣く退去するしかないのか?

→  前項で解説しているように、家賃の滞納による契約解除は、契約書に記載されている通りに行うことはできず、家主と借主との間に、「信頼関係がなくなってしまった」というような状況になって初めて、契約解除が可能であると解釈されています。
  その観点から相談内容を見ると、確かに、借主は3ヶ月間家賃を滞納していたわけですが、「うっかりして」いたということが、ひとつのポイントになります。
  つまり、借主が家賃を滞納している間、家主は、借主に対して、一度も家賃の督促を行わなかったようなのです。
  借主からすれば、わざと滞納を続けていたというよりも、うっかりミスにより、家賃の滞納が続いてしまったということですが、こういうケースはけっこうあるものです。
  例えば、学生などの場合、家賃の支払いが、契約者本人が支払うのではなく、実家から振込をすることになっているようなケースがありますが、実家からの振込がうっかりミスで滞納されていても、本人はまったく気づかなかったというような場合です。
  そうすると、形式的には、契約条項をそのまま適用すれば退去させられることになってしまいますが、借主と家主との間の「信頼関係が破壊されてしまった」というような事情は認められませんので、家主側からの契約解除は不可能なのです。


(3)契約書には「家賃を1日でも滞納すれば、年利30%の滞納補償金および滞納手数料5000円を支払うこととする」と書いていたが、うっかりして家賃を所定の期日に振り込まなかったところ、管理会社から、「契約違反なので、滞納補償金と手数料を請求する」と言われた。契約書に明記されていたら、従わざるを得ないのか?

→  「滞納補償金」というのは、「遅延損害金」のことです。
 家賃のような金銭債務については、通常は、利息制限法の制限利息の1.46倍までであれば、その約定が認められていますが、元本10万円未満であれば年20%、同じく10万円以上100万円までなら年18%が制限利息ですので、約定としては、10万円までの利息は、20%×1.46=29.2%、100万円までの利息は、18%×1.46%=26.28%以下でなければなりません。
  ところが、契約書では、「年利30%+手数料5000円」ということになっていますので、法律で認められた上限を超えていることになります。
  従って、法律の上限を超えた部分については、支払う義務はないということになります。
  さらに、その契約が2001年4月1日以降に契約されたものであれば、消費者契約法が適用されますので、消費者契約法第9条によって、年14.6%を越える部分については、支払う必要がないとされています。
  いずれにしても、契約書の内容どおりにする必要はないということです。


家賃の値上げ

(1)契約期間中に、家主から「3ヵ月後の家賃から値上げする」という通告が来た。契約書には、「家賃の値上げを行う場合には3ヶ月前に通告する」となっていたものの、一方的な値上げであっても、契約書にあれば従わざるを得ないのか?

→  契約書に、家主側からの家賃の一方的な値上げ条項がある場合、それに従う義務があるかどうかということですが、借地借家法上は、従う義務まではないとされています。
  まず、常識的に考えて、契約期間が2年間程度までであれば、契約期間中に、家賃を一方的に値上げせざるを得ないという合理的な理由は滅多に発生しないでしょう。
  契約期間が10年以上の長期契約である場合、契約期間中に、物価や諸税の増減、近隣の同等物件の家賃の増減などにより、契約書に定めた家賃が不相応になる可能性が大いにありますので、家賃の値上げ通告条項を設けていたとしても、一方的で不当であるとまでは言いづらいでしょう。
  しかし、契約期間が2年以内であれば、物価や近隣の同等物件の家賃相場の増減幅もそれほど大きくなく、家賃の値上げが必要なら、契約更新時に借主と交渉すればよいので、契約期間中の家主による一方的な値上げ通告条項は不当な条項であるといえるでしょう。
  そこで、借地借家法の第32条では、諸税、土地価格の増減、経済事情の変動、近隣の同等物件の家賃相場との格差の広がりによって、家賃が不当になったときは、家主・借主の双方は、家賃の増減について、請求することができるとしています。
  ところが、経済事情の変動などに一切関係なく、家主の一方的な裁量によって、家賃の値上げが可能であるとする契約条項は、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する規定は無効である」という規定に合致しますので、消費者契約法が施行された2001年4月以降の契約であれば消費者契約法が適用されるので、契約書の内容に従う必要はありません。
  消費者契約法の施行前の契約である場合、借地借家法の第32条2項によって、家主による家賃の値上げが不当であると思う場合、裁判で家賃が確定するまでの間、従来の家賃を供託するという方法もありますが、家賃の確定のためには、不動産鑑定士による鑑定が必要となり、その費用については、家主との折半が必要となります。
 それだけでも10万円程度の費用がかかってしまいます。
 実際に、裁判を起こすのは利口ではないと思いますので、消費者契約法の趣旨を理解してもらい、家主に妥協を迫るようにしたほうがよいでしょう。


家主からの退去通告

(1)家主が「自分が住むことになったので退去してほしい」と言ってきたが、従わざるを得ないのか?

→  いくつかのケースによって、対処の仕方が異なってきます。
  まず、「契約期間が定まっている通常の賃貸借契約」の場合です。
  この場合、家主側から入居者の退去を求めるには、借地借家法の第26条により、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に「契約更新しない」という通告をすることと、退去を求める「正当事由」が必要とされています。
  そこで、まず、家主がいつ退去を求める通知をしてきたかが問題となります。
  もし、家主からの通告が、「契約終了の1年前から6ヶ月前までの間」でなければ、「正当事由」をうんぬんする前に、そもそも、家主の主張自体が認められなくなります。
  なぜなら、「契約終了の1年前から6ヶ月前までの間」というのは、借地借家法上の強行規定であり、これに反するものは無効だからです。
  通告時期が適法に行われた場合は、「正当事由」の有無が問題となります。
  借地借家法の第28条によれば、「建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない」としています。
  もう少しわかりやすく言えば、家主が「自分で住む」と言っても、それだけで正当事由とはならず、借主が建物を必要とする事情との比較によって、家主の事情のほうに正当性があると判断される場合に限って、家主の主張が認められる場合とか、借主が建物をどのように使っているのか(別荘のようにしか使っていなければ、家主の正当事由が認められるでしょう)、家主が、財産上の給付、すなわち、立退き料をいくら支払うと言っているのかなどを、総合的に判断して、家主に正当事由があるかどうかを判定することになっているということです。
  そして、通常は、入居者保護のために、家主が必要とする事情よりも借主が必要とする事情のほうが認められやすいため、相当額の立退き料を支払って「正当事由を補完する」ことによって、立退きを認めるというのが一般的です。
  従って、単に、家主が「自分で住むから」というだけでは、立退き義務はないのです。
  次に、「契約期間を決めない通常の契約」の場合です。
  一般的には、契約の最初の時点から、契約期間を決めないという場合は少なく、当初、契約期間を決めていたのに、契約終了時に合意更新せず、結果的に、「法定更新」となった場合には、「契約期間を定めない契約」となってしまいますので、「契約期間を決めない通常の契約」というのは、「法定更新した場合の通常の契約の場合」も同じことです。
  このような場合には、家主から契約解除を求める場合には、6ヶ月間の猶予が必要になり、さらに、家主としての「正当事由」が求められるのです。
  三つ目は、「定期借家契約」(1年以上の契約期間)の場合です。
  定期借家契約の場合には、原則として、「正当事由」の有無は関係なく、家主から契約解除することができます。
  しかし、定期借家契約の場合でも、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に、「期間満了によって契約が終了する」という通知を行わないと、借主が住み続けることを拒否できないとされており、実際の通知を行ってから6ヵ月後に契約を終了させることができます。
  なお、1年未満の「定期借家契約」の場合には、家主からの通知そのものは必要ありませんが、家主からの契約期間中の途中解約は認められていません。


(2)契約書には、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」と記載されていたが、実際に、家主から「自分の息子夫婦が住むこととなったので、契約どおり退去してほしい」と言ってきた。契約書に記載されている以上、従わざるを得ないのか?

→  まず、契約内容が、「契約期間の定めがある通常の賃貸借契約」であるかどうかを確認してください。
 以下は、そういう場合の対処策です。そうでない場合には、前項を参照してください。
  契約書の中に、「家主が必要になったときは物件を明け渡すこととする」というような規定があったとしても、このような規定は、借地借家法上の強行規定に反するため、一切無効です。
  借地借家法では、家主から退去を求めるためには、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することと、家主の「正当事由」が必要とされています。
  この「正当事由」は、借主保護のために、家主が物件を必要とする事情と借主のそれとを比較して、家主が必要とする事情のほうに正当性がある場合のみ認められることになっており、通常は、借主の事情のほうが優先されます。
  しかも、家主自身ではなく、家主の家族が住むということになれば、「息子夫婦がその物件に住まざるを得ない」というような特殊な事情がなければ、家主としての正当性は認められないでしょう。
  このような場合には、家主は、通常、財産上の給付、すなわち、立退き料を支払うことで、「正当事由の補完」を行うことが必要です。
  そこで、家主は、相当額の立退き料、近隣の同等物件に引越するための諸費用(礼金、仲介手数料、保険料などの契約に必要な諸費用、引越代、それまで住んでいた物件との間に家賃の差額があれば、最初の契約更新までの家賃の差額分など)を支払うべきでしょう。
  入居者としては、「家主としての正当事由がないため、立退きを拒否する。どうしても、退去せよというのであれば、相当額の立退き料を支払え」という要求を行うことができます。


(3)家主から、「建物が古く取り壊すので退去してほしい」と言ってきた。家主は「退去してもらうための正当事由がある」と言っているが、正当事由があるので立退き料も出さないと言っている。泣く泣く退去するしかないのか?

→  まず、契約内容が、「契約期間の定めがある通常の賃貸借契約」であるかどうかを確認してください。
 以下は、そういう場合の対処策です。
 そうでない場合には、前々項を参照してください。
  建物が古くなって、入居者の退去を求めるための「正当事由」として認められるケースは非常にまれです。
  一般に、「正当事由」として認められるのは、建物の朽廃(きゅうはい)による場合がありますが、これは、天井が一部落ちたり、柱が傾いたりして、まともな生活ができないような状態ですので、現代においては、そういう状態の物件を賃借に出すケースもまれであり、借りる人もまずいないはずです。
  「朽廃」に当たらない場合でも、地震による倒壊の可能性が強い場合などは、「正当事由」として認められる可能性が高いといえます。
  それ以外には、まともに住むことができるようにするためには、大修繕が必要であるのに対して、大修繕しても、建物全体の使用期間が短い場合には、大修繕する費用倒れとなりますので、借主が大修繕を求めてきたのに家主として受け入れられないときは、家主から退去を求める正当事由があると判断されることもあります。
  しかし、いくら正当事由があるからと言って、立退き料を一切出さずに認められるというケースは少ないようです。
  従って、正当事由が認められる場合にも、一定額の立退き料を請求することが可能です。
  家主が立退き料の支払いを拒否する場合には、「立退き料が支払われるまで、立退きを拒否する」と言って、引き続き、居住することが必要でしょう。
  そうしないと、いったん、退去してからになると、家主としても、立退き料を支払う必然性を軽視するでしょうし、裁判所の判断としても、借主が物件を必要とする事情を軽く見る可能性もあると思います。


(4)家主が退去通告をしてきたが、「敷金を全額返却する代わりに立退き料は出さない」と言ってきた。従わざるを得ないのか?

→  家主から、入居者の退去を求める場合には、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に通告することが前提で、かつ、「正当事由」が必要とされています。
  家主が退去を求める理由が定かではありませんが、一般に、立退き料なしに、正当事由がそのまま認められるケースはほとんどないようです。
  従って、「敷金の全額返金」が立退き料相当額となるかどうかが問題となりますが、そもそも、敷金は、借主の故意・過失・善良なる管理者の注意義務違反がなければ、全額返金が原則ですから、「敷金の全額返金」が特別な便宜でもなんでもないはずです。
 それを特別なことであるという認識自体、家主は、通常なら敷金を一切返すつもりがないということを心ならずも暴露してしまったというべきでしょう。
  いずれにしても、敷金は原則どおり返金してもらうのは当然として、家主の正当事由が認められない以上、退去する義務もありません。
  家主の退去に同意する場合にも、相当額の立退き料を支払うように要求したほうがよいでしょう。
  相当額の立退き料の算定には、いろいろな考え方がありますが、通常、同じ地域の同等物件に引越するための諸費用(礼金、仲介手数料、保険料、最初の更新期限までの家賃の差額分)に、事情によっては慰謝料がプラスアルファされます。


(5)分譲マンションの一室を賃貸で借りていましたが、家主が「売却するから退去してほしい」と言ってきました。契約期間はまだ残っているのですが、このような場合、引越し代や立退き料はもらえるものでしょうか?また、エアコンを取り付けましたのですが、置いていくか、買取してもらうことはできるのでしょうか?

→ 本来、契約期間を定めた契約であれば、契約期間中は契約解除することはできないのが原則です。
 家主側としては、契約期間終了の6ヶ月前までに通告し、かなり厳密な正当事由があれば、契約更新を拒絶することができるに過ぎないのです。
 その点からすれば、契約期間中に、家主から一方的に退去を求めることは、法的には許されません。
 いずれにしても、退去する義務は一切ありませんし、法的に言っても、退去させられることはありません。
 家主は、物件自体を売却することは自由にできますが、借主としては、家主が交代するにすぎないのです。
 したがって、家主は、入居者がいる状態で売却することが可能ですし、そういうケースはよくあることです。
 家主が、入居者がいる状態では売却しにくいと思うのであれば、契約期間が終了するのを待って売却するか(それでも退去には正当事由が必要です)、通常の立退き料に慰謝料を大幅にプラスして、入居者に対する立ち退き交渉を行うことになるでしょう。
 エアコンについては、家主の承諾を得て設置した場合には、造作買取請求権(借地借家法第33条)によって、家主に「時価」で買い取ってもらうことを請求することができますが、承諾を得ていなければ買い取り請求できず、逆に、原状回復義務によって取り外さなければならないことにもなります。

(6)家主が住んでいる一戸建ての一部屋を貸間として借りていたところ、家主が、「建て替えることになったので、できるだけ早く退去してほしい」と言ってきた。退去したくなかったので、「借地借家法の正当事由に当たらないのでは」と言った。そうすると、後日、家主の代理人の弁護士という人から、「貸間には借地借家法が適用されないので、民法の規定通りに退去してもらうことになる」と言ってきた。本当に、貸間には借地借家法が適用されないのか?

→ 判例によれば、一軒家はもちろんながら、貸間であっても他の部分と区画されており、構造や規模から「独立的排他的支配が可能」ならば借地借家法における「建物」に該当するとして、借地借家法の適用があるとしています。
 「独立的排他的支配が可能」というのは、端的に言えば、玄関は家主と一緒に使っていても、廊下から、家主が利用する部屋を通らずに、直接借りている部屋に入ることができ、その部屋は、カギによって施錠することができ、室内においては、一般のアパートと同様に、借主が自由に使えるような状態をさすと思います。
 逆に言えば、専用のカギもなく、独立性が保障されているとはいえないようなものについては、借地借家法の適用がないということになります。
 したがって、「貸間」と言っても、すべてが借地借家法の適用がないとは言えず、実際の状況を見ないことにははっきりしたことはいえないのです。
 なお、家賃や契約書の内容などが、一般のアパートに近いような場合には、借地借家法の適用があると解するべきだと思います。


物件の競売

(1)住んでいる物件の家主が破産し、物件が競売された。新しい家主から、「退去してほしい。立退き料は一切出さないし、敷金返還もない」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?

→  まず、契約前の重要事項説明書の記載内容を確認しましょう。
  重要事項説明書の「登記事項」をチェックするのですが、抵当権の設定登記がされていたかどうかが重要なポイントです。
  一般的には、家主は、賃貸物件の建設の際、金融機関からの融資を受けていることが多いので、抵当権設定登記がすでに終わっていると思いますが、この場合には、競売が行われた場合、競落人(新オーナー)に対抗できないのです。
 そして、2004年4月1日に民法の改正(「担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律」、借主の立場から見れば「改悪」)が行われ、それ以前の扱いと大幅に変わったのです。
 どのように変わったかといえば、従来は、競落人が現れても、契約期間の残りの期間はそのまま住み続けることができ、しかも、退去時には競落人に対して、敷金の返還請求ができたのですが、民法改正後は、競落人に敷金は引き継がれることがなくなり、以前の家主に対してしか、敷金の返還請求ができなくなったのです。
 以前の家主は、物件を競売するくらいですから、敷金の返還請求をしても、敷金が返ってくるはずもありませんから、実質上、敷金を取り戻すこともできなくなったのです。
 その代わりとして、新たに制定されたのは、「明け渡し猶予制度」というもので、競落人から退去を求められても、6ヶ月間だけは居住することができるというものです。
 この問題については、さまざまなケースがありますので、次のような比較表を参考にしてください。
短期賃貸借制度
(2004年3月31日までに
締結された賃貸借に適用)
明渡猶予制度
(2004年4月1日以降の
新規の賃貸借に適用)
期間3年以内の
短期賃貸借
競売開始前の賃貸借
(競売開始前の更新)
による賃借期間が、
競落人の代金納付時
に残存
<競落後の居住>
 契約の残期間に限り可

<敷金返還>
 新しい家主に請求
<競落後の居住>
 6ヶ月間に限り可

<敷金返還>
 元の家主に請求
競売開始前の賃貸借
(競売開始前の更新)
による賃借期間が、
競落人の代金納付前
に満了
<競落後の居住>
 不可(直ちに立退き)

<敷金返還>
 元の家主に請求
期間3年を越える長期賃貸借 <競落後の居住>
 不可(直ちに立退き)

<敷金返還>
 元の家主に請求


(2)住んでいる物件の家主が倒産し、物件が競売された。新しい家主から、「あなたの契約は競売開始手続き(差押登記)後の契約なので短期賃貸借の保護もないので、即刻退去せよ」ととんでもないことを言ってきた。こんなことが許されるはずもないと思うが、どうすればよいか?

→  まず、新しい家主が主張していることが事実かどうかを、登記簿によって確認しなければなりません。
  登記簿は、法務局(登記所)にあり、誰でも閲覧が可能ですので、きちんと確認が必要です。
  その上で、新しい家主が主張していたことが事実だった場合には、立退き料も一切なく、敷金さえ返還されないのです。
  あとは、契約した仲介業者に落ち度がなかったかどうかを確認することが必要です。
  仲介業者での重要事項説明書に、「差押登記」がなかったとすれば、仲介業者の説明義務違反ということになり、仲介業者に対して、損害賠償請求が可能です。


家主の交代

(1)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「私は敷金を受け取っていないので、敷金を納めてほしい」と言ってきた。こういう場合、敷金を再度支払わなければならないのか?

→  通常の売買によって、家主が代わった場合には、新家主が敷金を受け取っていなくても、「売買価格に敷金相当額を含んでいる」と考えられていますし、前の家主の権利と義務関係をそのまま引き継ぐことになりますので、当然のことながら、敷金も引き継いでいるのです。
  従って、敷金を再度支払う必要は一切ありませんが、新しい家主に納得してもらえるようにうまく主張することが必要でしょう。


(2)住んでいる物件が売買により、家主が別の人になった。新たな家主より、「契約書を変更し、家賃も値上げするので、同意できなければ退去してくれ」と言ってきた。こういう場合、新たな家主の主張に従わざるを得ないのか?

→  売買による家主の交代の場合、新しい家主は、前の家主の権利・義務関係をそのまま引き継ぐことになります。
  従って、契約書の内容や家賃は、入居者と前の家主が交わした約束であり、権利でもあり、義務でもあるわけですから、一方的な変更はできないはずです。
  新家主が納得しない場合も、退去する義務はありませんし、新家主が退去を求める「正当事由」もないので、退去通告は拒否できます。


居住以外での使用

(1)居住用で借りている物件だが、今度独立することになり、自宅兼事務所として使用したいので管理会社に申し出たが、「事務所として使用するなら退去してもらう」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

→  入居目的が「居住専用」となっている場合に、物件内に、どの程度まで仕事を持ち込むことができるかという問題です。
  一般に、「居住専用」となっている物件を、「事務所」などとして使用することはできません。
  しかし、「事務所」と言ってもピンからキリまであり、すべての「事務所」が認められないかといえば、そんなことはないはずです。
  「事務所」に限らず、営業用途として問題になるのは、不特定多数が出入りすることで、他の入居者が安全快適に生活することに支障が出たり、入居者が駐車駐輪場を使用することに困難になったり、物件自体の傷み具合が激しくなることです。
  逆に言えば、「事務所」と言っても、「自宅兼事務所」程度であれば、不特定多数の人が出入りする頻度や数もそれほど多くないでしょうし、他の入居者が駐車駐輪場の使用に差し障るような問題がなければ、「家主との信頼関係が破壊された」とまではいえません。
  最近のように、いわゆるSOHOとして、自営業の登録場所として、便宜上、「事務所」と呼んでいるような場合の多くも、不特定多数が出入りするわけでもなく、他の入居者に迷惑をかけるようなこともないはずですから、居住専用であったとしても許されると考えられるでしょう。
  そこで、「事務所」としての実態について、管理会社および家主に説明し、「万が一、事務所としての使用によって、家主や他の入居者に迷惑をかけるようなことがあれば、事務所としての使用を中止する」などという念書を提出するなどして、理解を求めるようにしなければならないでしょう。
  それでも、管理会社や家主の理解が得られず、一方で、「事務所」としての使用を行う場合には、管理会社や家主との一悶着を覚悟しなければならず、強行すれば、裁判などに発展することになるかもしれません。


(2)居住用で借りている物件だが、室内で英会話教室を開くことになり、管理会社に申し出たところ、「業務としての利用はできない」と言われてしまった。何とか解決する方法はないか?

→  「居住専用」で借りている場合には、原則として、営業用としての利用はできないことは、前項で述べたとおりです。
  しかし、「営業用」としての実態が問題です。
  英会話教室などを行う場合には、その頻度と人数がどの程度であるのかによって、問題が発生する可能性が小さければ、管理会社や家主を納得するように努めなければなりません。
  英会話を行う頻度が多く、延べ人数も数十名以上になるような場合には、居住専用の物件としては認められないでしょう。
  いくら、人数が少なく、頻度も少ないにもかかわらず、管理会社や家主が認めてくれない場合には、どのように対処するかは、相談者次第です。
  つまり、管理会社や家主に黙って英会話教室を開催するという選択を行った場合、管理会社や家主に発覚すれば、トラブルに発展する可能性が強いでしょう。
 ただし、そのような場合でも、家主から退去させられるかといえば、家主の主張が素直に認められる可能性はそれほど大きくなく、借主として、「家主が一切認めなかったために、やむなく家主に黙って英会話教室を開いていたが、実態としても問題ないはず」という主張が認められる可能性も大きいでしょう。
  あるいは、家主が認めないのであれば、家主の主張を受け入れて、英会話教室を開くことを諦めることになるでしょう。


(3)居住用で借りている物件だが、内職を行っていたところ、家主から、「居住用として貸しているのであって、仕事を持ち込むなら退去してもらう」と言われてしまった。家主の主張に従うしかないのか?

→  「居住専用」であっても、内職程度の業務であれば、当然のことながら、行うことが可能です。
 その理由は、前々項で述べた理由によります。
  従って、いくら家主といえども、家主の主張には無理がありますので、従う必要もありませんが、できるだけトラブルを防ぐために、「仕事」の実態を理解してもらえるように説得してみたほうがよいでしょう。


(4)アパートの隣の部屋が、突然事務所に改装されたが、元通りにさせることはできないか?

→通常、居住用の物件においては、契約書において、事務所などの営業用に使用することを禁じていることが多いと思います。 
 なぜなら、居住者以外の不特定多数の人が出入りするようになれば、防犯上の問題や騒音が発生したり、ゴミが散乱したり、入居者用の駐車・駐輪場に、部外者が駐車・駐輪するなどして、入居者が安全快適に生活するのが困難になるからです。
 そこでまず、契約書の中に、そういう規定がないかどうかを調べてください。賃貸借契約書は、いわば、家主が一方的に用意したものを、借主が承諾して契約を成立させているわけですから、作成した側である家主自身が契約違反をし、しかも、入居者への事前の同意も得ずに工事を行ったということは、「家主と借主との間の信頼関係が破壊された」ということになるでしょう。
 つまり、契約解除の正当事由として認められる可能性が強いということです。「用法違反」の記載があれば、家主側の契約違反となりますから、「家主側の一方的な契約違反によるやむを得ない退去」として、家主を訴えることができると思います。


共益費に関するトラブル

(1)電気代や水道料が高く、管理会社が手数料を上乗せ請求しているが、何とか適正な請求に変更してもらいたいのだが…。

→ 「価格の上乗せ」ですが、水道や電気の契約の当事者は家主(あるいは管理会社)となっているはずです。
 家主(あるいは管理会社)が、契約の当事者ですので、たとえば、行政や電気会社に苦情を言っても、「こちらは入居者と直接契約していないため無関係であり、家主に苦情を言ってくれ」ということになってしまいます。
 行政サイドから見れば、契約相手である家主(あるいは管理会社)が決まった料金を支払っている以上、違法でもなんでもないのです。
 つまり、このような問題は、たとえば、家族の中で公共料金をそれぞれ按分負担している金額の問題であり、家族の構成員の一人が「高い」と言ってきても、「それは家族内の問題だから家族内で話し合ってくれ」としか言えないということなのです。
 そこで、別の角度から、この問題を考えなければなりません。
 消費者契約法という法律によれば、「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」としています。
 契約書の中で、水道代や電気代に上乗せ請求することが謳われている場合、消費者契約法に違反していないかどうかをみなければなりません。
 そして、個人が直接水道や電気の契約を行っていた場合に比較して、上乗せした金額がわずかである場合なら、「消費者契約法に反する」とは言えませんが、その開きが大きすぎる場合には、「消費者の利益を一方的に害しており、契約書の当該部分は無効である」と言えるでしょう。
 したがって、上乗せ後の金額の妥当性を見なければなりません。
 電力会社のホームページで、一般の個人が契約する電気料金と比較してください。
 一般に、電力会社と家主などとの契約は大口契約であり、小口の契約よりも割安となっていることが多いので、家主(あるいは管理会社)が得る差額は、さらに大きくなり、「手数料」と言える許容範囲を大幅に超えている場合にはボッタクリと言えるでしょう。
 つまり、こういう場合は、明らかに、消費者契約法に違反しているといえます。
 水道料金についても似たような問題があります。
 家主(あるいは管理会社)に対して、「消費者契約法に反するので、適正な水準まで値下げせよ」と迫ったほうがよいでしょう。
 ただし、「被害者」は他の入居者も同じ事なので、できれば、他の人たちと一緒に団体交渉したほうが迫力が出てくると思います。

(2)先日、管理会社より、急に共益費が値上げになると連絡がありました。更新の際に値上げされたという話は聞いたことありますが、契約期間内でも値上げに応じないといけないのでしょうか?

→ 「共益費」というのは、物件の共有部分(廊下・階段・ロビー・管理人室その他)の維持に必要となる費用(管理人費用・電気代・水道代・清掃費など)を、あらかじめ、入居者数(および専有面積)で按分して、家主が一方的に定めた費用です。
 借主は、家主が一方的に定めた費用の支払いについて、契約書で合意して入居しているわけです。
 したがって、契約期間中は、家主が一方的に定めた費用を支払う義務はありますが、逆に言えば、期間の途中での値上げは拒否することができます。
 契約期間中でも、共益費の値上げに応じなければならないのは、例えば、家主が関知することができない、電気代や水道代などの公共料金が大幅な値上げが行われたような場合で、その値上げ分のアップをお願いされたときでしょう。
 家賃と共益費の違いは、家賃は、合理的な根拠があろうがなかろうが、家主が一方的に定めることができるのに対して、共益費は、「共有部分にかかる実費を入居者数(専有面積割合)などで按分した金額」ですので、合理的な根拠が必要不可欠だという点です。
 今回のケースで言えば、家主側に対して、「共益費の算定根拠を明らかにし、値上げ額が合理的なものかどうか、そして、従来の共益費が不合理なものであったかどうかをきちんと確認させてほしい。支払いたくないのではなく、納得できる説明がほしいのである。」というように主張してください。
 そして、家主側から、共益費値上げに応じざるを得ないような特殊な事情(従来の共益費そのものが実費負担額よりも非常に低い不合理なものであり、今回の値上げで合理的なものになるということと、それに対する家主側の謝罪、つまり、間違った請求をしていたために、結果的に、契約期間中の値上げとなってしまった点についてのもの)があれば、共益費の「値上げ」にも応じざるを得ないでしょう。
 逆に言えば、そのようなきちんとした説明も謝罪もないような場合には、きっぱりと拒否をしてください。



契約期間中の途中解約

(1)「学生専用マンション」に住んでいるが、契約途中で解約を申し入れたところ、家主から、「途中解約はできないので契約期間終了までの家賃を支払え」と言われた。確かに、契約書には、そのように記載されているが、これは消費者契約法に反する条項なので無効ではないか?

→ 「途中解約条項」のない契約そのものは有効ですので、家主の主張そのものが間違っているわけではありません。
 特に、「学生専用マンション」などの場合、契約期間の途中で解約されてしまうと、翌年の4月まで空室のままで置いておかなければならないケースが多いからです。
 したがって、その物件の所在地が、学校等の近隣にあり、学生専用マンションであるなら、家主の主張が不当ということは言えないのです。
 これが、一般社会人向きの物件であったとすれば、学生専用物件のようなもんだいは少ないため、消費者契約法に違反する可能性が強いと言えるでしょう。
 そこで、途中解約する理由を明確にし、その理由が、入居者のわがままに起因するものではなく、「親が失業し、学校そのものを退学せざるを得なくなった」というようなやむを得ない事情であるのであれば、家主に対して、やむを得ない事情を理解してもらうように交渉しなければならないでしょう。


(2)賃貸借契約に明記されている通りに退去を申し出たところ、「学生の入居時期からはずれているので、今すぐ退去するか損失となる半年分の家賃を支払え」と言われた。このような場合、家主の主張に従わざるを得ないのか?

→ 賃貸契約書に、契約期間中の途中解約条項があり、その時期が1ヶ月前であれば、その時期までに通告すれば、何のペナルティーもなく契約解除できます。
 もともと、契約期間を定めた賃貸借契約では、「途中解約条項」を定めるかどうかは任意なのです。
 もし、「途中解約条項」がなければ、契約期間が終わるまで家賃を支払う義務があります。
 一方、家主が任意規定である「途中解約条項」を契約書の中に入れれば、借主が承諾して契約が成立しているわけですし、もともと、契約書の内容を定めた家主は、自ら約束した事項を守るのは当然のことです。
 確かに、「学生の入居時期からズレている」という家主の主張には同情できる余地はありますが、だからといって、自ら決めた約束を反故にすることはできるわけがありません。
 したがって、仮に裁判を行ったとしても、負けるのは家主です。
 家主の無理な主張に従う義務はありません。

(3)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「来月退去する」と言ったところ、「契約期間の途中では解約できないという契約内容だ。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってほしい」と言ってきた。びっくりして契約内容を確認したところ、確かに、途中解約に関する事項はなかった。無茶苦茶な要求だと思うが、支払う義務はあるのか?

→ 「契約」とは、契約を交わした双方が、お互いにその内容を守ることです。
 契約期間を決めて、その間は、借主は家賃を支払い、家主は物件を引き渡すという約束をした以上、どちらも、自分の勝手な都合で約束を反故にすることはできないというのが原則です。
 ところが、民法第618条では、契約期間を定めた契約の場合には、「その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは」、つまり、解約するという特約を交わした場合には、契約期間中の途中解約を認めるようにしています。
 逆に言えば、契約期間中の途中解約という特約のない契約である場合には、原則に戻って、途中解約することができないということになるのです。
 一般的には、途中解約特約のある契約が多いのですが、だからといって、すべての契約に特約があるというわけではなく、特約のない契約においては、原則通りの対応となるのです。
 したがって、家主の主張が、「無茶苦茶」というわけではありません。
 その点を念頭におきながら、家主から何らかの妥協を引き出せるように、うまく交渉する必要があるでしょう。
 交渉がうまくいかない場合には、契約期間終了まで住み続けるか、契約期間終了までの家賃を支払うかの選択をすることになるでしょう。
 なお、消費者契約法が施行された2001年4月以降に契約したものであれば、契約期間がまだ始まったばかりという時期で違約金があまりにも多額になり、借主の退去理由の正当性が認められる可能性が高いという場合には、少額訴訟において、「消費者の利益を一方的に害する」と主張すれば、借主の主張がある程度認められるかもしれません。


(4)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「来月退去する」と言ったところ、「途中解約するには、退去予定月の3ヶ月前までに連絡することになっている。どうしても来月退去するなら、2か月分の違約金を支払ってもらう」と言ってきた。びっくりして契約内容を確認したところ、確かに、「3ヶ月前までに通知すること」となっていた。次の物件への引越し代も必要なので違約金まで支払いたくないが、支払う義務はあるのか?

→ 契約期間を定めた契約で、かつ、契約期間中の途中解約権を特約として認めた契約ですが、解約通知時期については、特約として自由に定めることができます。
 そこで、解約通知時期を見ると、「3ヶ月前までに通知する」となっており、この規定は、契約期間を定めない場合における通知時期と同じですので、法的にも何ら問題ないものとみなされます。
 したがって、この特約は有効となりますので、家主の言うとおりの違約金を支払わなければならないのです。


(5)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「来月退去する」と言ったところ、「途中解約するには、退去予定月の6ヶ月前までに連絡することになっている。どうしても来月退去するなら、5か月分の違約金を支払ってもらう」と言ってきた。びっくりして契約内容を確認したところ、確かに、「6ヶ月前までに通知すること」となっていた。次の物件への引越し代も必要なので違約金まで支払いたくないが、支払う義務はあるのか?

→ 前項とほとんど同じ内容に見えますが、違うのは、「6ヶ月前までに連絡する」というところです。
 契約期間を定めた契約において、借主の途中解約権という特約を定めた場合には、その特約が有効となります。
 したがって、「6ヶ月前までの連絡」も有効と考えられるのですが、一方で、民法第617条では、契約期間を定めない契約の場合には、「3ヶ月前までの通告」でよしとしていますので、3ヶ月を超える部分については、消費者契約法に言うところの、「消費者の利益を一方的に害する条項」と判断される可能性が大きいと思われます。
 しかし、「消費者契約法違反として特約は無効である」と判断されてしまうと、今度は、契約期間終了までの家賃支払い義務が出てきてしまうという可能性もなくはないのです。
 そこで、借主としては、下手に法的手段を講じるのではなく、家主との妥協点を探るように交渉しながら、「一般的には3ヶ月前までの通告なら有効なので、違約金は2か月分に抑えてもらえないか」というような妥協案を出したほうがよいと思います。


(6)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「2ヵ月後に退去する」と言ったところ、「契約書には確かに2ヶ月前までとなっているが、これは、特別な事情がある場合であって、借主の勝手な都合での解約を認めるものではない。それでも、どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってほしい」と言ってきた。無茶苦茶な要求だと思うが、支払う義務はあるのか?

→ 契約期間を定めた契約で、契約期間中の途中解約を特約として認めた場合には、その認めるための条件がどうなっているかがポイントです。
 通常は、解約の通知時期のみ条件として定めていることが多く、今回のように2ヶ月前としているだけであれば、家主の「特別な事情がある場合」という主張は認められません。
 したがって、家主の支払い要求に応じる義務はありません。


(7)2年契約の物件だが、事情により、契約期間の途中で退去することになり、家主に「2ヵ月後に退去する」と言ったところ、「2ヶ月に1日足りないので、実際には1ヶ月前の通知となるので、1か月分の違約金を支払ってもらう」と言ってきた。たった1日だけ遅かったが、わずか1日の遅れで1か月分の違約金はおかしいと思うが、支払う義務はあるのか?

→ 契約期間を定めた契約で、特約として、契約期間中の途中解約権を認めた場合には、その条件に縛られます。
 したがって、たった1日といえども、条件に満たない場合には、違約金の支払いが生じるのは仕方ありません。おかしくありません。支払うべきでしょう。


(8)家主との間で、契約期間を特に定めずに、口頭だけで契約していたのだが、事情により、途中で退去することになり、家主に「2ヵ月後に退去する」と言ったところ、「解約する場合には家主の承諾が必要と言っていたはずだ。勝手な解約は承知できない。」と言ってきた。「勝手な解約」と言われても困るのだが、文書で契約書を交わしていないため、解約することはできないのか?

→ 契約期間を定めていない契約です(口頭かどうかは無関係です)ので、民法第617条の規定が適用されます。
 617条では、「当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。」として、建物の賃貸借の場合には3ヶ月前の予告期間が必要とされています。
 したがって、「2ヵ月後に退去する」というのでは、1か月分が満たないので、1か月分は違約金として支払う義務がありますが、解約すること自体は可能です。
 家主には、民法の規定を説明し、できるだけ納得してもらうようにしてください。
 それでも、家主が承諾しない場合には、家主の意向に関係なく、1か月分の違約金を支払って退去することができます。



契約名義人の変更

(1)家賃補助の関係で、会社名義で賃貸マンションに入居していたが、家賃補助制度の廃止により、個人名義に変更しなければならなくなった。これに対し、不動産会社は、契約者変更になるため、敷金・礼金、契約時手数料(1ヶ月分)を要求してきた。不動産業者の言うとおりに支払う義務はあるか?

→ 不動産業者とは、管理会社のことでしょうか?それとも、最初に契約したときの仲介業者のことでしょうか?
 もともと、賃貸借契約に、「名義変更」というものは存在しません。
 賃貸借契約は、家主と借主との間で結ばれるものであり、「名義変更」と呼ばれているものは、実際には、当初の借主と家主との契約を解除し、新たに別の借主と家主が契約を結ぶことを指しています。
 別の借主との間で契約を結ぶかどうかは、家主の意思次第ですが、入居者が変わらず、家主が契約変更を同意しているのであれば、敷金精算も不要でしょう。
 最初の契約時点で、礼金・敷金を誰が負担したかが一つのポイントとなります。
 企業名義で契約していたとしても、実際に、礼金・敷金を負担したのが、入居者自身であった場合、あらためて、礼金・敷金を支払うのは不合理です。
 もともと、「礼金」は、家賃の前払いや入居の権利を保障する権利金などの性格をもつとされていますが、家主に、書類の作成以外に、何ら実質的な負担が増えるわけではないので、一度支払った礼金を再度徴収するというのは、二重払いということになります。
 一方、最初の契約時点で、企業が、礼金・敷金を負担していた場合には、少し事情が異なります。
 企業としては、敷金の精算が必要となりますので、あらためて、敷金を差し入れなければなりません。
 礼金については、家主との交渉次第ということになります。
 いずれにしても、契約相手は、不動産業者ではありません。
 家主ですので、家主と直接交渉し、書類書き換えを行ってもらうようにしてください。
 家主は、「すべて管理会社に任せているので…」という場合にも、家賃1か月分も請求される理不尽さを告げて、直接手続きできるように交渉したほうがよいでしょう。
 それでも、どうしても、「管理会社を通せ」という場合にも、書類作成費用として、判例などでも、実質的に認められるのは、1万円