入居中に建物関係で発生しやすいトラブル
を項目別に分けています。項目をクリックすると、具体的な質問が出てきます。

設備の故障 共用部分の問題 階下のテナントの問題
設備の故障

(1)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。契約書に記載されている以上、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

(2)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。仕方なく、修繕費用を支払ったが、家主に支払ってもらうことはできないのか?

(3)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には何も記載されていないのに、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。このような場合でも、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

(4)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンはサービスで付けているので、修繕費用までは負担できないと言ってきた。家主の主張に道理があるのか?

(5)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンは前の入居者が付けたものなので、修繕費用の負担はできないと言ってきた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

(6)入居後、雨漏りがするのに気づき、家主に修繕を求めたところ、「半額負担してほしい」と言ってきた。おかしいと思うのだが、家主の主張に従う必要があるのか?

(7)築後30年以上する建物だったが、雨漏りはするわ、建具はがたついておりまともに開け閉めできないわ、給湯器もよく故障しがち、トイレの水もよく流れないなど、あまりにもひどい状態だった。そこで、家主に「ちゃんと生活できるようにすべての部分を修繕せよ」と迫ったところ、家主の弁護士と名乗る人から、「修繕費用が高額になるので負担できない。いやなら礼金・敷金も含めて全額返すので退去してほしい」と言ってきた。家賃が安く住み続けたいが、修繕もしてもらいたい。こちらの主張を通すのは難しいか?

(8)水道の水の出があまりにも悪いので、家主に改善を求めたところ、家主は「行政の水道課にも改善を申し入れたが、改善は難しいと言われた。それに、建物が古いので水の出が悪いのはある程度は仕方ないこと」と言ってまともに取り合ってくれない。きちんと使えるようにするには、どのようにしたらよいでしょうか?

共用部分の問題

(1)家主から、「共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書にそういうことは明記されていないが、家主からの通告には従わざるを得ないのか?

(2)家主から、突然「来月より共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書に確かに明記されているが、契約書に記載があれば従わざるを得ないのか?

(3)共用部分の照明が夜遅くなると消されてしまい、深夜に帰宅することが多いので、暗くて防犯上も問題だと思う。家主に照明を付けるように言ったが、「共益費が安いので無理。どうしてもと言うのなら、共益費を値上げするが、他の人にはあなたのせいだと言ってもよいのか?」と言われた。どうすればよいのか?

(4)共用部分に荷物を置きっぱなしにしている人がおり、悪戯で火でも付けられたりしたら困るので、管理会社に注意を求めたが、掲示板に警告文を張るだけで、いつまでも同じ状態が続いている。歩きにくく危険でもあるので何とかしてほしいのだが、どうすればよいか?


階下のテナントの問題

(1)階下のテナントが変わり、『ステーキ屋』になった。開店して以来、肉の焼ける匂いが一階のエントランスはもちろんエレベーターの中にこもり、最上階の部屋まで臭いが上がってくる。洗濯物も臭いがつく為、ベランダに干せない。あきらかに日常生活に支障をきたしている。最早引越しをするしかない(したい)と思うのだが、このように不可抗力で入居した時と生活環境条件があきらかに変わり引越しを余儀なくされる場合、『敷金・礼金全額返済請求』やたとえば『引越し代半額負担』など、仲介業者や大家へ請求できるのか?

設備の故障

(1)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。契約書に記載されている以上、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

→  風呂釜は、明らかに設備機器であり、生活上、必要不可欠な設備ですので、風呂釜の故障の原因が、借主の故意や重大な過失、あるいは善良なる管理者の注意義務違反にある場合でなければ、家主が修繕を行うべきです。
  契約書に、「すべての修繕費用は借主負担とする」というような特約事項が入っていたとしても、そのような規定は、判例上も認められていませんし、消費者契約法が施行された2001年4月以降の契約であれば、消費者契約法の第8条5項に規定する「消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項」に該当しますので、その規定は無効となります。
  従って、どの時期に契約したものであっても、風呂釜の修繕は家主が  行うべきです。
  そこで、家主に、判例や消費者契約法の趣旨を説明し、納得してもらうように努めなければなりませんが、家主がまったく耳を貸そうとしない場合には、いつまでも風呂に入れないということになってしまいます。
  万一、そのような場合になれば、入居者が自らの費用で修繕を行ったうえ、すぐにその領収書(コピー)をもとに、家主に対して、「必要費償還請求権」(民法第608条1項にもとづく)によって、支払い後すぐに返還請求してください。
  「必要費償還請求権」というのは、民法上、明文化された規定ですので、家主に対して、堂々と請求することができます。
  家主が、その請求すら無視するようであれば、家主に内容証明の文書で通告し、修繕費に見合う分まで、家賃の支払いとの相殺を行うようにしてください。


(2)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には借主負担であると明記されているので、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。仕方なく、修繕費用を支払ったが、家主に支払ってもらうことはできないのか?

→  もともと、風呂釜などの設備機器の場合には、家主が修繕費用を負担  すべきです。
  契約書には、「修繕費用は借主が負担する」と明記されていたということですが、このような特約事項は、判例や消費者契約法では認められていないのです。
 つまり、無効となるのです。
  にもかかわらず、契約書に従って、借主が「仕方なく、費用負担した」場合、契約自由の原則によって、「借主負担を自ら認めたため家主に費用請求はできない」のかどうかが判断のポイントになるでしょう。
  民法との関係では、借地借家法上の強行規定に反するかどうか、公序良俗違反かどうか、「例文解釈」と呼ばれている、文言どおり適用すると不合理な結果となる場合に、その規定を無効とする法律上の考え方によるかどうかなどを考えた場合、特約が有効とされる可能性があります。
  しかし、民法よりも優先される消費者契約法によれば、契約条項そのものが無効となりますので、契約内容を「有効」と錯覚したために、費用負担を認めたのであって、もともと「無効」であるならば、費用負担には応じなかったはずと考えられます。
  つまり、借主が費用負担したのは、「錯誤によって無効である」という主張ができると思います。
  消費者契約法は、2001年4月以降の契約にしか、直接的な適用はありませんが、それより前の契約であっても、消費者契約法の趣旨は生かされなければなりません。
  そこで、家主に対しては、「費用負担したのは、借主が負担する義務があると錯覚していたためであり、「必要費償還請求権」(民法第608条1項にもとづく)によって、支払った修繕費用を返してほしい」という請求をしてください。
  それでも、家主が支払いに応じなければ、前項で述べたように、家賃との相殺を主張してください。


(3)風呂釜が故障したので、家主に修繕を依頼したところ、契約書には何も記載されていないのに、借主の費用で修繕してほしいと言ってきた。このような場合でも、家主の言い分には従わざるを得ないのか?

→  風呂釜は、生活上必要不可欠の設備ですので、故障の原因が、借主の故意や重大な過失、善良なる管理者の注意義務違反にある場合でなければ、家主が修繕しなければなりません。
  民法上も、家主には家賃という対価を得ている以上、入居者に使用収益させる義務があるため、修繕義務を負うことになっています。
  従って、家主に「家主の費用ですぐに修繕せよ」と主張してください。
  しかし、家主がすぐに修繕しないようであれば、家主に、「自分で修繕するがすぐに費用を支払ってほしい」と通告し、自ら修繕し、すぐに、「必要費償還請求権」(民法第608条1項にもとづく)にもとづいて、家主に請求してください。
  家主が、それにも応じないのであれば、「家賃との相殺をする」と通告し、修繕費養分の家賃の支払いを拒否してください。


(4)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンはサービスで付けているので、修繕費用までは負担できないと言ってきた。家主の主張に道理があるのか?

→  契約前に、仲介業者で受けた「重要事項説明書」の内容を確認してください。
  重要事項説明書で、空調設備の欄に「エアコンあり」というような記載がされていれば、その記載が仲介業者のミスでなければ、家主の主張は通らなくなります。
  つまり、家主が設置した設備であれば、故障の原因が、借主の故意・過失や善良なる管理者の注意義務違反でなければ、家主には修繕する義務があるのです。
  重要事項説明書には、「エアコンなし」とか「エアコン持込可能」というような記載であったのに対して、実際には、エアコンが付いていたというような場合は、エアコンは家主が設置したのではなく、前の入居者が設置したものをそのままにしていたというようなケースでしょう。
  そのような場合には、家主の付けた設備ではありませんので、当然のことながら、家主に修繕義務はありません。
  「エアコン」という設備は、「生活上必要不可欠な設備」に近いとしても、それがなければ生活できないというわけではありませんので、家主に設置義務があるとはいえないのです。
  ちょっとややこしいのは、重要事項説明書では、「エアコンあり」となっていたのに、家主に話をすると、「そのエアコンは、前の入居者が付けたままにしていたのであって、家主がつけたのではないから、修繕義務は負わない」というように言ってきた場合です。
  このような場合には、本来、家主は、仲介業者に対して、「空調設備としては、『エアコン設置可能』ですが、実際には、前の入居者が置いたままのエアコンがあります」というような正確な説明をしておくべきだったのに、「エアコンあり」というような説明をしたために、仲介業者や借主が誤解する元となってしまったのです。
  いずれにしても、誤解を与えたのは家主の責任ですし、「エアコンあり」という言葉を信用して契約したわけですから、家主のミスを借主に転化するようなことは許されません。
  従って、このようなケースでも、家主が修繕費用を負担すべきです。
  家主の責任であるにもかかわらず、家主が修繕を行わない場合には、必要費償還請求権(民法第608条1項にもとづく)を行使するという方法もありますが、エアコンが、生活上必要不可欠な設備であるかどうかは判断が分かれると思いますので、エアコンが、「必要費」に当たるかどうかも判断が分かれるものと思います。
  つまり、家主が修繕しない場合、借主が修繕費用を負担して、家主に、必要費償還請求権で費用の返還を求められるかどうかといえば、少し、判断が分かれる可能性があります。
 必要費償還請求権が認められるという前提で、エアコンの修繕を行ったとしても、その費用をすぐに償還請求できるかどうかは即断できないということです。
  家主に修繕をしてもらうためには、粘り強い交渉が必要になると思います。


(5)エアコンが故障したので、家主に修繕を依頼したところ、エアコンは前の入居者が付けたものなので、修繕費用の負担はできないと言ってきた。家主の主張に従わざるを得ないのか?

→  契約前の仲介業者で受けた重要事項説明書では、空調設備のところがどのような記載になっていたかが、ポイントの一つです。
 前項に述べたとおりです。
  前の入居者が付けたエアコンであったとしても、家主が、仲介業者には「エアコンあり」という連絡をしており、仲介業者が家主の申告にもとづいて、重要事項説明書に「エアコンあり」という記載を行っていたような場合には、家主が修繕費用を負担すべきですし、その理由は前項で述べたとおりです。


(6)入居後、雨漏りがするのに気づき、家主に修繕を求めたところ、「半額負担してほしい」と言ってきた。おかしいと思うのだが、家主の主張に従う必要があるのか?

→  雨漏りのように、建物の構造の不具合によって発生した故障・不具合については、家主が修繕費用を負担するべきです。
  従って、家主の主張には、まったく合理性がありませんので、入居者負担は断固拒否すべきでしょう。
  家主の主張が認められるためには、支払っている家賃があまりにも低く、「使用貸借」(無料で借りている)と事実上変わらないような場合だけです。
  ほとんど無料同然で借りていたような場合で、住んでいた期間が長ければ、家主の「半額負担してほしい」という主張は、一定の合理性があると判断できるので、半額負担することもやむを得ないかもしれません。


(7)築後30年以上する建物だったが、雨漏りはするわ、建具はがたついておりまともに開け閉めできないわ、給湯器もよく故障しがち、トイレの水もよく流れないなど、あまりにもひどい状態だった。そこで、家主に「ちゃんと生活できるようにすべての部分を修繕せよ」と迫ったところ、家主の弁護士と名乗る人から、「修繕費用が高額になるので負担できない。いやなら礼金・敷金も含めて全額返すので退去してほしい」と言ってきた。家賃が安く住み続けたいが、修繕もしてもらいたい。こちらの主張を通すのは難しいか?

→  民法上、家主は、家賃という対価を得ている以上、入居者が安全・快適な生活ができるようにする義務(使用収益させる義務)がありますので、原則として、修繕費用は家主負担です。
  しかし、いくら家賃を得ているからと言って、修繕費用が莫大な費用となる場合には、家賃を得ているメリットよりも、費用負担のほうが大きくなってしまいます。
 そうなれば、何のために他人に物件を貸しているのか、意味をなさなくなってしまいます。
  そこで、修繕費用が、家賃の数十か月分以上の高額になるような場合には、家主の修繕義務は免除されるという判断がなされているのです。
  従って、家主側の弁護士が言っていることは間違いではなく、家主に修繕を求めることはできないのです。


(8)水道の水の出があまりにも悪いので、家主に改善を求めたところ、家主は「行政の水道課にも改善を申し入れたが、改善は難しいと言われた。それに、建物が古いので水の出が悪いのはある程度は仕方ないこと」と言ってまともに取り合ってくれない。きちんと使えるようにするには、どのようにしたらよいでしょうか?

→ まず、行政の水道担当課に行って、事情説明を行い、どのような解決方法があるかを相談したほうがよいでしょう。 
 通常、行政の責任範囲は、建物近くまでの道路の水道管の敷設までで、そこから建物に引き込む工事以降は、すべて所有者の責任(負担)になると思いますが、水道の圧力が不足している原因の調査(漏水があるとか、水道管が詰まっているとか、もともと契約している水圧が低いとか)を行い、通常の生活ができるようにするための修繕工事を行ってもらうのが原則でしょう。
 家主は、家賃を徴収する以上、民法上の「使用収益させる義務」を負っており、水道を通常の状態で使えるようにしてもらうことは借主としての当然の権利です。きちんと修繕工事を行うように、強く要求すべきでしょう。
 そのためには、まず、事実関係と費用負担すべき人の所在(家主の責任であることの確認)をきちんと確認するために、市の水道課に行って相談したほうがよいでしょう。


共用部分の問題

(1)家主から、「共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書にそういうことは明記されていないが、家主からの通告には従わざるを得ないのか?

→  共用部分の清掃や維持管理のために、「共益費」や「管理費」などの名目で、家主が徴収していると思います。
 「共益費は無料」という場合には、家賃に共益費部分も含んでいると解釈されます。
  家主は、家賃や共益費を徴収している以上、入居者に使用収益させる義務がありますので、共用部分の清掃は、家主が行わなければなりません。
 まして、契約書に記載されていないのに、入居者に清掃を求めるとすれば、家賃や共益費の支払いとの二重負担を求めることになります。
  従って、家主の言い分は無茶苦茶な要求ですので、従う必要は一切ありません。
  しかし、そんな無茶な要求であっても、家主の要求を受け入れてしまい、共用部分の清掃を行う入居者が出てくると、かえって、入居者間に不協和音を与えてしまうことになり、結果的に、他の入居者も清掃をやる羽目になるかもしれません。
  そこで、家主の要求が無茶苦茶であり、家主に従う必要もないので、入居者全員で拒否するように、他の入居者に働きかけたほうがよいでしょう。
  そして、入居者の連名によって、家主に対して、「家賃や共益費の負担と合わせて、清掃を求めるのは二重負担になるため、一切拒否する」という通告を行ったほうがよいでしょう。


(2)家主から、突然「来月より共用部分の清掃を入居者に手分けしてやってもらう」という通告を受けた。契約書に確かに明記されているが、契約書に記載があれば従わざるを得ないのか?

→  契約書に「共用部分の清掃は入居者が手分けして行う」というような  記載がある場合、従う義務があるかどうかということですが、「清掃義務」という規定は、借地借家法上の強行規定に違反する規定ではなく、公序良俗に反しているともいえず、消費者契約法に定めた「消費者の利益を一方的に害する規定」とも言えないため、特約としては、一応有効となるでしょう。
  ところで、共益費としては、いくら支払っているのでしょうか?
  もし、共益費としての金額が、近隣の同等物件に比較して、明らかに安いという場合には、「共用部分の清掃費が入っていない」という理解が可能ですが、他の物件と同じような共益費の負担を求めているのであれば、「共用部分の清掃を手分けして行う」ことは、二重の負担を求めることになり、非常に不合理です。
  一般的には、有効となる規定であっても、結果的に、二重負担となるような契約であれば、「公序良俗に反している」という判断もできますし、消費者契約法の趣旨にも反しているといえますので、その点を家主に交渉すればよいでしょう。
  また、実務上も、入居者が平等に共用部分の清掃を行うということ自体、非常に難しいことです。
 平等な負担をめぐって、入居者同士がもめたり、不満に感じるような事態が発生したりすることは、火を見るよりも明らかだと思います。
  それに、清掃業者による共用部分の清掃費用は、通常の共益費の範囲内で十分まかなえると思いますので、家主に、「共益費で清掃費用はまかなえるはず」という主張を行ったほうがよいでしょう。
  なお、家主との交渉は、他の入居者とも協議し、入居者の総意であることを前提として交渉に臨んだほうがよいでしょう。


(3)共用部分の照明が夜遅くなると消されてしまい、深夜に帰宅することが多いので、暗くて防犯上も問題だと思う。家主に照明を付けるように言ったが、「共益費が安いので無理。どうしてもと言うのなら、共益費を値上げするが、他の人にはあなたのせいだと言ってもよいのか?」と言われた。どうすればよいのか?

→  もともと共益費には、共用部分の清掃費や維持管理に必要な費用が含まれていると解釈されています。
  さらに、家主としては、家賃という対価を得ている以上、入居者の生活が安全快適に送れるようにする義務(使用収益させる義務)がありますので、夜間も安全に通行できるようにするのが、家主の義務です。
  「共益費が安い」ということですが、近隣の同等物件と比較して、本当に、「安い」といえるのでしょうか?
  明らかに、「安過ぎる」という場合でも、共用部分の維持管理がきちんとできるとして、金額設定したのは家主ですから、仮に、「計算が間違っていた」としても、家主が責任を負うべきです。
  なぜなら、借主は、家賃や共益費の金額を確認してから契約したのであり、契約後に、一方的に値上げすることができるのなら、いくらでも詐欺まがいの手法が通用することになるからです。
  従って、家主に対しては、「家主の義務として、共用部分の照明を点灯すべきである」と主張してください。
  それでも、家主が照明をつけようとしないのであれば、他の入居者との連名で要望書を提出し、「照明が付かないことで、万が一、事故が発生した場合には、家主が全責任を負う」という念書への署名・捺印を求めたりしてはどうでしょうか?
  それも受け入れられないのであれば、やはり、他の入居者といっしょに行動し、共益費の一部の支払いを拒否するなどして、家主からの妥協を引き出すようにするしかないでしょう。


(4)共用部分に荷物を置きっぱなしにしている人がおり、悪戯で火でも付けられたりしたら困るので、管理会社に注意を求めたが、掲示板に警告文を張るだけで、いつまでも同じ状態が続いている。歩きにくく危険でもあるので何とかしてほしいのだが、どうすればよいか?

→  管理会社は、家主の代理人として、共用部分の管理をきちんと行うべきです。
 単に、警告文を貼り付けるだけで効果がなければ、直接、該当する入居者と面会し、荷物の撤去を求め、二度と同じようなことをしないように、念書を取るなどすべきでしょう。
  しかし、管理会社がきちんとした対応をしないのであれば、家主にきちんとした対応を行ってもらうしかないでしょう。
  まず、家主に対して、管理会社の業務怠慢を告げ、家主自身にも現場を確認してもらい、家主から、直接、該当する入居者への警告、念書の徴収などを行ってもらうようにしたほうがよいでしょう。
  なお、共用部分の問題については、管理会社や家主との交渉は、できるだけ、一人だけで行なうことを避け、他の入居者と一緒に行動するほうが効果的だと思います。


階下のテナントの問題

(1)階下のテナントが変わり、『ステーキ屋』になった。開店して以来、肉の焼ける匂いが一階のエントランスはもちろんエレベーターの中にこもり、最上階の部屋まで臭いが上がってくる。洗濯物も臭いがつく為、ベランダに干せない。あきらかに日常生活に支障をきたしている。最早引越しをするしかない(したい)と思うのだが、このように不可抗力で入居した時と生活環境条件があきらかに変わり引越しを余儀なくされる場合、『敷金・礼金全額返済請求』やたとえば『引越し代半額負担』など、仲介業者や大家へ請求できるのか?

→ 法的に言えば、「あきらかに日常生活に支障をきたし」ているということで、そのことをきちんと証明することができれば、損害賠償請求が可能です。
 問題は、「あきらかに日常生活に支障をきたし」ているということを、家主が納得できるように証明できるかどうかということです。
 それが可能なら、損害賠償請求の一環として、支払ったお金の返還や引越し代の負担なども可能でしょう。
 しかし、その証明ができず、家主から、「それは感じ方の違いだけのことであり、客観的な損害が発生しているとはいえない」と返されるようであれば、当然ながら、費用の請求はできないでしょう。
 したがって、まず、「あきらかに日常生活に支障をきたし」ていることを、家主に理解してもらえるようにしなければなりません。
 仲介業者と交渉してもまったく無意味です。
 入居後に、家主物件のテナントが代わったことについては、何の責任も発生しないからです。
 家主には、民法上の「使用収益させる義務」がありますので、その義務が果たせていないということの交渉ですので、交渉相手は、家主です。