入居中に発生しやすいトラブル
(対家主・対人関係・建物関係以外)
を項目別に分けています。項目をクリックすると、具体的な質問が出てきます。
| 空き巣被害 | 庭木 | 不動産業者のミス | |
| 空き巣被害 (1)ピッキングによって空き巣に入られた。警察によれば、ピッキングに遭いやすいカギだということだったので、損害賠償を家主に求めたいが可能か? (2)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいカギへの交換を求めたが、「自分の費用で代えるのならかまわない」と言われた。家主は費用を負担する義務はないのか? (3)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいかぎへの交換を求めたが、「管理上、別のカギに変えるわけには行かないし、借主が費用負担しても代えることはできない」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか? (4)窓ガラスを破られ空き巣に入られたが、幸いにも被害はなかった。しかし、家主に、窓ガラスの取替えを求めたら、「家主の過失で空き巣が入ったわけではないので、自分で負担せよ」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか? 庭木 (1)一戸建てを借りているが、家主から、「庭木の剪定は借りている期間中は借主負担である」と言ってきた。庭木には興味がなく、なくしてほしいくらいだが、剪定費用まで請求されるのはおかしいと思うのだが、家主の主張どおりに負担せざるを得ないのか? (2)一戸建てを借りているが、庭木には興味がなく、邪魔になったので、自分で邪魔な部分を切っていたら、家主から「勝手に切ることは許さない。損害賠償してもらう」と言ってきた。家主の主張どおり、損害賠償に応じざるを得ないのか? 不動産業者のミスによるトラブル (1)マンションと付属の駐車場を借りて、会社からの補助は賃料の7割を受けていましたが、再度の転勤により退去の手続きをしたところ、不動産会社のミスで駐車場代の請求をし忘れていたことが判明しました。しかし、勤務先へでは1年間分遡って補助申請することはできないと言われました。本来なら補助対象であった駐車場代を、1年間分まとめて満額支払うように要求されています。不動産会社のミスで、結果的には駐車場代分の補助を受けることができなくなったのですが、この場合でも満額支払う必要があるのでしょうか? 空き巣被害 (1)ピッキングによって空き巣に入られた。警察によれば、ピッキングに遭いやすいカギだということだったので、損害賠償を家主に求めたいが可能か? → 家主には、民法上、家賃という対価を得ている以上、入居者に「使用収益させる義務」があり、そのために必要な修繕・対策を行わなければなりません。 玄関カギについては、民法上の考え方からすれば、ピッキングに遭いにくいカギに変更すべきですが、家主が「ピッキングに遭いにくいカギに変更する義務を負うか?」どうかといえば、そこまでの義務を課すという考え方が主流になっているわけではありません。 つまり、現状においては、家主は、鍵を付ける義務を負うことははっきりしていますが、ピッキングに遭いにくいカギへの変更などは、家主の努力義務にとどまっていると言えるのです。 従って、「ピッキングに遭いやすいカギだった」と言っても、社会通念上、鍵として一般的に認められる機能を果たしている鍵であれば、その損害については、家主に請求することはできないでしょう。 (2)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいカギへの交換を求めたが、「自分の費用で代えるのならかまわない」と言われた。家主は費用を負担する義務はないのか? → 前項の説明にあるように、家主は、ピッキングに遭いにくいカギへの変更義務まで課されているわけではありませんので、当然ながら、家主に費用負担を求めることはできません。 家主は、「自分の費用で代えるのならかまわない」と言っているようですが、「借主の費用であってもカギ交換を認めない」という家主もいますので、そういう点から言えば、まだ、入居者の気持ちを理解しているほうだと思います。 (3)ピッキングによって空き巣に入られたので、家主にピッキングに遭いにくいかぎへの交換を求めたが、「管理上、別のカギに変えるわけには行かないし、借主が費用負担しても代えることはできない」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか? → 前々項で述べているように、家主には、ごくふつうに流通しているカギを付ける義務はありますが、ピッキングに遭いにくい特殊なカギに交換する義務を負うものではありません。 そして、借主が負担するからと言って、借主が家主に無断で別のカギに交換することも許されていないのです。 なぜなら、借主が家主に無断でカギを交換してもよいということになれば、物件管理がしにくくなりますし、火災などの非常事態にも、家主がカギを開けることができなくなり、家主の財産を自ら守ることにも支障が出てくるからです。 しかし、ピッキングの被害が一度ならず発生したにもかかわらず、家主が依然としてカギの交換を認めないような場合には、家主として、入居者の「使用収益させる義務」を果たしていないという判断が成立する可能性が高く、従って、カギの交換を拒否したことによって発生した被害については、家主が負担すべきだということになるでしょう。 (4)窓ガラスを破られ空き巣に入られたが、幸いにも被害はなかった。しかし、家主に、窓ガラスの取替えを求めたら、「家主の過失で空き巣が入ったわけではないので、自分で負担せよ」と言われた。家主の主張に従わざるを得ないのか? → 家主には、家賃という対価を得ている以上、入居者が安全快適に生活できるようにする義務(使用収益させる義務)があります。 空き巣によって窓ガラスが破られたわけですが、窓ガラスが破られたままに放置しておくことは、家主の使用収益させる義務を果たさないということになりますので、家主に責任がなくても、自然災害の場合と同じように、ガラスの取替えなどの修繕義務を負うのです。 そこで、家主に、民法上の責任があることを納得してもらえるように交渉しなければなりませんが、家主が納得せず、費用を負担しないような場合には、借主が修繕費用を立て替えた上で、すぐに、家主に対して、「必要費償還請求権」(民法第608条1項)により、費用の請求を行ってください。 庭木 (1)一戸建てを借りているが、家主から、「庭木の剪定は借りている期間中は借主負担である」と言ってきた。庭木には興味がなく、なくしてほしいくらいだが、剪定費用まで請求されるのはおかしいと思うのだが、家主の主張どおりに負担せざるを得ないのか? → 契約書の「契約の目的」には、どのような記載がされているのでしょうか? 「契約の目的」、つまり、借主が、家主から何を借りているのかをきちんと確認しなければなりません。 もし、「庭」が契約の目的に入っているとすれば、借主は、善良なる管理者の注意義務を負っていることになりますが、プロの庭師に、借主の費用で剪定を頼まなければ注意義務違反であるとまでは言えないと思います。 借主としては、「庭木に興味がない」からと言って、まったく手入れを怠るのであれば、善良なる管理者の注意義務違反に当たるでしょう。 例えば、庭木の枝が、専用部分を越えて、隣地や公道にはみ出しているような場合、借主は、はみ出た部分の始末を行わなければならないのです。 一方、「庭」が契約の目的に入っていなければ、庭を借りているわけではありませんので、当然のことながら、庭木の剪定費用などを支出する必要はありません。 (2)一戸建てを借りているが、庭木には興味がなく、邪魔になったので、自分で邪魔な部分を切っていたら、家主から「勝手に切ることは許さない。損害賠償してもらう」と言ってきた。家主の主張どおり、損害賠償に応じざるを得ないのか? → 契約書の中で「庭」が契約の目的に入っている場合、借主は、善良なる管理者の注意義務がありますので、その範囲内で、敷地外に出た枝などを切り取ることは可能ですが、「邪魔になった」からと言って、家主に無断で切り取ることは許されないというべきでしょう。 誰が考えても明らかに問題がないと思われる場合でなければ、家主に一報の上で、自分で切り落としてよいかどうかを確認すべきでしょう。 その点で言えば、善良なる管理者の注意義務違反であると言えるでしょう。 一方、借主が勝手に庭木を切ることを許さないというのであれば、家主としても、契約書や特約事項などで、「庭木を切る場合には、家主の了解を得ること」などの規定を設けていれば、トラブルにはならなかったと思いますので、家主としての落ち度もあると言えます。 そこで、双方に一定の落ち度がありますので、借主だけが損害賠償責任を追及されるのは不当だといえますので、よほど無茶苦茶な剪定でなければ、家主への一定の謝罪で十分だと思います。 実際上、家主としても、庭木を剪定したことによる「損害」を立証するのは困難ですし、自らの落ち度も考慮すれば、一方的な費用請求は不当というべきでしょう。 不動産業者のミスによるトラブル (1)マンションと付属の駐車場を借りて、会社からの補助は賃料の7割を受けていましたが、再度の転勤により退去の手続きをしたところ、不動産会社のミスで駐車場代の請求をし忘れていたことが判明しました。しかし、勤務先へでは1年間分遡って補助申請することはできないと言われました。本来なら補助対象であった駐車場代を、1年間分まとめて満額支払うように要求されています。不動産会社のミスで、結果的には駐車場代分の補助を受けることができなくなったのですが、この場合でも満額支払う必要があるのでしょうか? → 「不動産会社のミス」と言いますが、毎月の支払いの中で、駐車場代が入っていなかったことを気づかなかったのですか? 「気づかなかった」とすれば、ご相談者にも落ち度があります。なぜなら、駐車場を利用していた場合には、駐車場代を支払うのは自明のことであって、「請求されなかったからわからなかった」ということで責任逃れ(減免の要求)を行うことはできません。 このような場合の商法による消滅時効は5年間ですので、法的には全額支払う義務があります。ただし、不動産業者の落ち度もあるわけですし、そのために、補助金を受けられなくなったことに対して、何らかの補償交渉を行うことは可能でしょう。 なお、賃貸借契約自体は会社が行っており、借主としては、家賃の一部を負担するだけだったような場合には、本来の家賃(プラス駐車場代)の支払い義務者は会社(会社が法的な意味での借主です)ですので、会社の担当者自身が、「駐車場代が含まれていないことに気づかなかった」ことになります。 このような場合だったとすれば、借主としては、補助金差し引き後の支払額に駐車代が含まれているかどうかは気づきにくかったと思われますので、会社側と不動産業者側のミスのほうが大きいでしょう。 |