不動産広告
(1)不動産広告では「徒歩5分」となっていたので契約したが、入居後、実際に歩いたら、10分以上かかったので、「インチキではないか?契約を解除したい」と言ったところ、業者は、「人によって歩く速度が違うから仕方ないし、解除するなら、通常の手続きとなる」と言った。業者に反論することはできないか?
(2)不動産広告では「8帖」となっていたが、実際に測ってみたら、6帖ほどしかなかったので、「インチキではないか?」と言ったところ、「畳のサイズはいろいろあるから、間違いではない」と言われた。業者の主張は間違っていないのか?
(3)不動産広告では「10帖」となっていたが、実際には、キッチン部分なども含めた広さで、居室だけだと6帖ほどしかなかった。インチキ表示ではないのか?
(4)店頭に張ってあった条件のよい物件に誘われて店内に入ったところ、「ついさっき別の人が契約してしまった」ということで、ぜんぜん違う物件を薦められた。業者の言い分を信用することができるか?
物件内見
(1)入居者がまだ住んでおり室内見学ができなかったので、入居者の退去後まで、契約を保留してほしいと言ったが断られた。諦めるしかないのか?
(2)入居者がまだ住んでいるということで、室内見学ができなかったが、「内部を見学せずに契約させるのは問題ではないか?」と業者に苦情を申し立てたが、こちらの主張は通るのか?
(3)新築物件なので実際の室内を見ていないので、完成後まで、契約を保留にしてほしいと言ったが断られた。仕方のないことか?
重要事項説明書
(1)「重要事項説明書」という書類もなく、説明もなかった。
(2)手付金支払い後に重要事項説明があったが、その際、問題が発生したので契約解除を申し入れたが、返金に応じてくれない。
(3)近くに迷惑施設があったのに説明がなかったが、不動産業者は、「重要事項として説明する項目ではない」と言うが納得できない。
(4)重要事項説明書を宅建主任者以外の人が説明したが、問題ではないのか?
(5)重要事項説明書の記載内容が実際とは異なっていたので、業者に「契約を解除したい」と言ったが、「申し訳ない」というだけで埒があかない。
契約書
(1)契約書の内容が借主に一方的に不利なので拒否したいのだが‥
(2)特約事項の一部に納得できないので、その部分のみ削除は可能か?
(3)本人がフリーターなので収入のある親に契約者になってもらうことは可能か?
(4)契約書内容が民法の規定に反しているが、それでも契約書に従う必要があるか?
(5)重要事項説明書の記載内容よりも契約書の記載内容の方が不利な規定だったので、管理会社に苦情を申し立てたが、「仲介業者が悪い」として相手にしてくれなかった。泣き寝入りするしかないのか?
(6)仲介業者で受け取った契約書内容と管理会社から送られてきた契約書の内容が異なるのだが、どちらが正しいのか?
(7)契約書の内容を見ていたら、「契約更新ごとに家賃を5%値上げする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
(8)契約書の内容を見ていたら、「家賃の支払いを1日でも遅延した場合には、即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
(9)契約書の内容を見ていたら、「契約違反を行った場合には、即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
(10)契約書の内容を見ていたら、「子供が生まれたら速やかに退去する」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
(11)契約書の内容を見ていたら、「家主が物件を必要とする場合には、即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
入居申込書
(1)入居申込書に書いた内容で入居を拒否されたが、何とかならないか?
(2)本人が高齢のため入居を拒否されたが、何とかならないか?
(3)本人が障害者のため入居を拒否されたが、何とかならないか?
入居審査
(1)家主の審査で落とされたが理由も説明されないが、家主には説明する義務があるのではないか?
(2)業者から「入居審査に1週間かかるが、まず大丈夫」と言われていたのに、「家主が納得しない」として契約を拒否された。再度、探すには交通費もかかるので、業者に損害賠償を求めたいのだが、可能か?
申込(証拠)金・予約金・手付金
(1)仲介業者に申込金として支払ったがキャンセルしても返金されない
(2)家主に申込金として支払ったがキャンセルしても返金されない
(3)仲介業者に手付金として支払ったがキャンセルしても返金されない
(4)家主に手付金として支払ったがキャンセルしても返金されない
(5)高額の申込金を請求されたが従わざるを得ないのか?
(6)高額の手付金を請求されたが従わざるを得ないのか?
(7)手付金を家主に支払って契約したが、もっとよい物件がないかと探していたら1時間後にもっとよい条件の物件が見つかった。そこで、手付金を支払った家主に連絡して解約を申し入れたが、「手付金は没収する」と言われた。たった1時間なので納得できないのだが‥‥。
(8)手付金を業者に支払い契約したが、もっとよい物件がないかと探していたら1時間後にもっとよい条件の物件が見つかった。そこで、手付金を支払った業者に連絡して解約を申し入れたが、「手付金は没収する」と言われた。たった1時間なので納得できないのだが‥。
(9)手付金を業者に支払い契約書にも署名捺印したが、1時間後にもっとよい条件の物件が見つかった。そこで、手付金を支払った業者に連絡して解約を申し入れたが、「手付金は没収する」と言われた。たった1時間なので納得できないのだが‥。
(10)手付金を持参していなかったが、業者が「立て替えておくから」と便宜を図ってくれた。しかし、事情があってキャンセルすることになったが、「キャンセルするなら貸している手付金を支払え」と言われた。やはり支払わざるを得ないのか?
(11)家賃1か月分の手付金を支払うべきところ、手持ちのお金が足りなかったので、業者にその旨を言ったら、「仕方ない」として受領してくれたが、キャンセルしたとき、「手付金は本来1か月分必要なので、足りない分を振り込め」と言われた。従わざるを得ないのか?
(12)手付金の支払いをクレジットカードでと考えていたが、「カードは受け付けられない」と言われた。ほとんどのものがカードで購入できる時代に、「カードはだめ」というのは遅れた業界だと思うが、仕方のないことか?
礼金
(1)礼金が高額なので支払いたくないのだが‥。
(2)「礼金なし」だったのに他の名目で請求された。おかしいと思うのだが‥。
(3)「礼金0」物件を探していたが、業者は「礼金0」物件以外を薦めたが、業者の言い分を信用することはできるか?
(4)礼金を支払いたくないので、住宅金融公庫で建てた物件を探したが、別の名目で礼金のような費用を徴収している。問題はないのか?
仲介手数料
(1)仲介手数料として10万円(税別)を請求されたが、高すぎるような気がするが、支払い義務があるのか?
(2)仲介手数料として「家賃1か月分プラス消費税」を請求されたが、高すぎるような気がするが、支払い義務があるのか?
(3)業界に詳しい人から、「仲介手数料は、本来、家賃の半額プラス消費税」だと聞いたが、業者は、「家賃の1か月分プラス消費税だ」と言って譲らない。業者の言うとおりに従わざるを得ないのか?
(4)家主=仲介業者の物件を契約したのに、仲介手数料を請求されたが、支払わざるを得ないのか?
(5)仲介業者にさまざまなミスがあったので、仲介手数料の支払いを拒否したいのだが、可能か?
保証金・敷引・解約引
(1)保証金と敷金は、どのような違いがあるのか?
(2)「保証金○○万円、敷引き○○万円」となっているが、敷引き金額が高額なので拒否したいのだが、可能か?
(3)「敷引き」と「解約引き」は、どういう違いがあるのか?
消毒料
(1)消毒料を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?
保証料
その他の費用
(1)カギの交換費用がかかると言われたが、支払う必要があるのか?
(2)「退去時修繕費用」を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?
(3)建設協力金を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?
(4)「礼金なし」なのに、まったく別の名目で費用を請求された。支払う必要があるのか?
残金支払い
(1)入居は1ヶ月以上先なのに、残金を3日以内に振り込むように言われたが、拒否することはできないか?
(2)契約金の残金支払いを入居日直前まで待ってほしいと言ったが断られた。
(3)残金支払い締切日までに入金できず、2日間ほど遅れただけなのに、一方的にキャンセルされてしまった。納得できないのだが‥。
契約の成立関連
(1)申込書を提出し、契約する前提で申込金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で契約できなくなった」という連絡が入った。契約する前提だったため、現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
(2)申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で入居できなくなったので、手付金の倍返しを行って解約する」という連絡が入った。現在、住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
(3)申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、家主から、「都合で入居できなくなったが、まだ契約書を交わしていないので、預かった手付金を返却する」という連絡が入った。現在、住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
(4)申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で入居できなくなったが、まだ、連帯保証人の保証書が提出されておらず契約は正式には締結されていないので、預かった手付金を返金する」という連絡が入った。現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
(5)申込書を提出し、手付金も支払い、その後、契約金の残金も支払っていたのに、入居予定日の直前になって、管理会社から、「ある事情から、入居不能になった。しかし、まだカギ渡ししていないので、法的には、『契約の履行の着手』前であるので、手付金の倍返しを行って解約する」という連絡を受けた。現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
(6)申込書を提出し、手付金も支払い、その後、契約金の残金も支払っていたが、たまたま他に条件のよい物件が見つかったので、家主に、「ある事情から解約したい。まだカギ渡ししていないので、法的には、『契約の履行の着手』前であるので、手付金の放棄で解約する」という連絡を行った。しかし、家主は、「契約金をすべて受け取っているので、手付金の放棄だけでは解約できず、礼金も返せない」と言ってきた。このような場合、礼金の返還はしてもらえないのか?
定期借家契約
(1)定期借家契約の物件を契約することになったが、ふつう、定期借家契約の場合には礼金はいらないと聞いていたが、多額の礼金がいるという説明を受けた。物件自体は気に入っているので、礼金の支払いなしに契約したいが可能か?
カギの交換
家主の契約拒否
(1)申込金を支払ったのに、数日後、仲介業者から「家主の知り合いが入居することになったので諦めて」という連絡が入りました。あとから申し込んだ人が優先されるのは納得できないのだが…。
(2)入居直前に、家主から「手付金の倍返しを行うので契約解除する」という通告を受けた。そんなことはできないと考えているが、どうすればよいのか?
(3)外国人という理由だけで、契約するのを拒否された。日本以外の先進国の多くでは、これは、「国籍による差別」に当たるので、憲法や法律違反となって認められないはずだ。物件自体は気に入っているので、契約したいのだが、何かよい方法はないか?
(4)家賃1か月分の手付金を納めて契約したのに、後日、家主から、「手付金を返すので契約を解除する」という連絡が入った。物件自体は気に入っているので、契約を続行したいのだが、何とかできないか?
(5)家賃1か月分の手付金を納めて契約したのに、後日、家主から、「手付金の倍返しを行うので契約を解除する」という連絡が入った。物件自体は気に入っているし、いまさら解約と言われても納得できない。何とかできないか?
(6)家賃1か月分の手付金を納めて契約したのに、入居直前になって、家主から、「手付金の倍返しを行うので契約を解除する」という連絡が入った。契約金の残金は入居日に手渡す予定で合意していたため、法的には、「契約の履行の着手」になるかもしれないが、だからと言って、入居日直前に、手付金の倍返しだけでキャンセルされるというのは理不尽だと思うのだが、どのように対処すればよいか?
駐輪場・駐車場
指定保険への加入
連帯保証人
(1)借主が立てた連帯保証人を認めてくれないが、何とかならないか?
(2)借主が立てた連帯保証人が審査で通らなかったが、何とかならないか?
(3)当初立てる予定だった連帯保証人に断られたので別の人に変更を希望したが、契約してくれなかった。何とかならないか?
(4)当初立てる予定だった連帯保証人に断られたので別の人に変更を希望したが、変更手数料を請求された。支払わざるを得ないのか?
(5)友人から「迷惑をかけないから書類の上だけ保証人になってくれ」と言われたが、本当に迷惑をかけられることはないか?
(6)「連帯保証人」は「保証人」と異なり責任が重大だと聞いたが、どういう違いがあるのか?
(7)「連帯保証人を2人立てよ」と言われたが、1人で済む方法はないか?
(8)連帯保証人を立てるのではなく、保証会社を利用したいのだが、家主が認めてくれない。何とかならないか?
(9)借主が、「連帯保証人を立てたい」と言っているのに、家主は、「連帯保証人は不要だが、その代わり、必ず、連帯保証会社に申し込んでもらう」と言ってきた。保証会社の利用は費用がかかるので、連帯保証人を立てることで代えたいが、何とかならないか?
(10)借主が、「連帯保証人を立てたい」と言っているのに、仲介業者は、「連帯保証人は不要だが、その代わり、必ず、連帯保証会社に申し込んでもらう」と言ってきた。保証会社の利用は費用がかかるので、連帯保証人を立てることで代えたいが、何とかならないか?
(11)本人の所得証明は仕方ないにしても、連帯保証人の所得証明まで求められたが、提出する義務はあるのか?
(12)家主が、連帯保証人の印鑑証明まで提出するように求めてきたが、悪用されないか心配なので、できれば提出したくない。何とかならないか?
契約の開始時期
(1)実際の入居は4月になるのに、契約手続きした日から契約開始となるということで、住んでもいないのに余分な家賃を請求されたが、従わざるを得ないのか?
(2)契約の開始が3月25日となっていたが、実際に入居する4月に変更を申し入れたが、家主は聞いてくれなかった。家主に従わざるを得ないのか?
(3)契約の開始が4月5日となっていたが、3月末に入居したいので、家主に申し入れたが、家主に断られた。家主に従わざるを得ないのか?
解約
(1)申込金を支払っただけなのに、業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら申込金は没収する」と言われた。業者の言い分は正しいか?
(2)手付金を支払っただけで契約書には署名捺印まではしていないのに、業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら手付金は没収する」と言われた。業者の言い分は正しいか?
(3)契約金は全額支払ったが、契約書には双方の署名捺印はまだだったのに、業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら敷金以外返金できない」と言われた。業者の言い分は正しいか?
(4)契約金は全額支払い、契約書も交わしていたが、まだカギは受け取っていなかった。業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら敷金以外返金できない」と言われた。業者の言い分は正しいか?
(5)家主に手付金を支払い、契約するつもりでいたが、予定していた連帯保証人から保証を拒否されたため、家主に、「連帯保証人を立てられないので、契約を諦める」と言ったところ、家主は、「契約できないのは残念だが仕方ない。ただし、手付金は没収する」と言ってきた。しかし、連帯保証人を付けるという条件付の契約の場合は、その条件が満たされない場合には、契約そのものが成立していないはずなので、手付金も返還されるべきだと思うのだが‥。
その他のトラブル
(1)手付金を支払い、新築物件に入居する直前ですが、不動産業者から「家主からの希望で部屋を移動してほしい」という連絡が来ました。気に入った部屋から移動したくありませんが、何とかならないでしょうか?
(2)契約時に合鍵一本渡されましたが、合鍵作製は拒否されてしまいました。合鍵作成は許可がいるものなのでしょうか?
不動産広告
(1)不動産広告では「徒歩5分」となっていたので契約したが、入居後、実際に歩いたら、10分以上かかったので、「インチキではないか?契約を解除したい」と言ったところ、業者は、「人によって歩く速度が違うから仕方ないし、解除するなら、通常の手続きとなる」と言った。業者に反論することはできないか?
→ どの業者も従うべきとされている「不動産の表示に関する公正競争規約」によれば、「80メートル=1分」として計算することとされています。
したがって、道路距離(直線距離ではなく実際に歩くことができる道路の道のりを測った距離)が、「80メートル×5=400メートル」に近くなければ、誇大広告となります。
ただし、坂道や信号等は計算に加える必要はないとされていますので、広告基準に従っていたとしても、実際に歩くと多少は遠くなってしまうことが多いのです。
(2)不動産広告では「8帖」となっていたが、実際に測ってみたら、6帖ほどしかなかったので、「インチキではないか?」と言ったところ、「畳のサイズはいろいろあるから、間違いではない」と言われた。業者の主張は間違っていないのか?
→ 不動産広告では、本来、専用部分(借りる部分)の壁芯寸法(壁の中心線と反対側の壁の中心線で囲まれた部分の面積)を「平方メートル」で表示することになっています。
しかし、広さがピンとこないこともあり、居室部分を「○帖(相当)」として表示していることが多いのですが、その元の基準となる畳のサイズは、「1帖=1.62〜1.65m2」で計算することになっています。
ところが、実際の畳のサイズとしては、もっとも広い京間(関西間)だと191cm×95.5cm(1帖=1.82m2)、中京間(名古屋間)の182cm×91cm(同じく1.66m2)、江戸間(関東間)の176cm×88cm(1.55m2)、そして団地サイズは主に2種類あり、170cm×85cm(1.45m2)の場合と160cm×80cm(1.28m2)のさまざまな種類があり、本来の広告基準ではなく、家主や業者によって、まちまちの基準で表示していることがあるのです。
いずれにしても、業者の主張自体は間違っていませんが、広告の表示の仕方としては間違っているのです。
(3)不動産広告では「10帖」となっていたが、実際には、キッチン部分なども含めた広さで、居室だけだと6帖ほどしかなかった。インチキ表示ではないのか?
→ 前項で触れたように、本来は、専用面積全体を平方メートルで表示すべきところを、便宜上、居室部分の広さを「○帖(相当)」として表示することがあります。居室部分の広さとしてイメージしやすいからです。
しかし、専用面積全体を「○帖」として表示するのは合理的な理由もなく、かえって誤解を与える表示です。
こういう表示をする家主(業者)は、公正な表示をしようという気がなく、借主に誤解を与えてでも契約しようというわけですから、近づかないほうがよいでしょう。
(4)店頭に張ってあった条件のよい物件に誘われて店内に入ったところ、「ついさっき別の人が契約してしまった」ということで、ぜんぜん違う物件を薦められた。業者の言い分を信用することができるか?
→ おそらく「おとり広告」だと思います。店頭に限らず、電柱や公道に張っている張り紙、最近ではインターネットなどでの広告でも、このような「おとり広告」が氾濫しています。
業者にしてみれば、「店内に入ってくればしめたもの」というわけですが、結局は、条件の悪い物件を言葉巧みに押し付けられる可能性があります。
「おとり広告」であるかどうかを見極めるポイントとしては、物件名や所在地・写真などが明記されているかどうかです。
おとり広告は、物件名などは実在しない証拠となりうるので、絶対に明かさないのです。
物件内見
(1)入居者がまだ住んでおり室内見学ができなかったので、入居者の退去後まで、契約を保留してほしいと言ったが断られた。諦めるしかないのか?
→ 誰しも、「室内見学してから物件を決めたい」と考えるのは当然のことです。 しかし、学生などの部屋探しの場合、12月〜3月中旬に、3月末に卒業などで退去する予定の部屋を契約することになりますので、どうしても、「室内見学できない」というケースが多いのです。
入居者の退去後まで保留することになれば、3月末まで契約するかどうかもはっきりしないという状態が続くことになり、下手をすると1年間空室のままにせざるを得ないという事態も考えられるわけです。
それでは、あまりにも家主に不利ですし、また、一人が保留することで、他の人が契約することもできなくなるのです。
したがって、一人だけの利益を考えて、他の人の利益を無視するわけには行かないのです。回答としては、「諦めるしかない」のです。
(2)入居者がまだ住んでいるということで、室内見学ができなかったが、「内部を見学せずに契約させるのは問題ではないか?」と業者に苦情を申し立てたが、こちらの主張は通るのか?
→ これは、ケースによると思います。
前項のように、学生の部屋探しのように、退去予定の部屋を契約せざるを得ない場合には、業者の主張はやむをえないと思います。
なぜなら、入居者の退去後まで契約するかどうかを保留するということは、家主のリスクが大きすぎることや他の学生の契約が不可能になるという事情があるからです。
しかし、学生ではなく、一般の社会人の物件探しの場合には、退去後の家主のリスクは学生の場合ほど大きくないし、他の人の契約ができなくなるという可能性もそれほど大きくないので、業者・家主との交渉しだいで、退去後まで待ってもらうことも不可能ではないでしょう。
要は、業者・家主が認めてくれるかどうかということであって、法律上、どこかに問題があるわけではありません。
(3)新築物件なので実際の室内を見ていないので、完成後まで、契約を保留にしてほしいと言ったが断られた。仕方のないことか?
→ 通常、家主は、建物の完成後、建設会社から物件の引渡しを受けた直後から、ローンの支払いが始まります。
もし、借主希望者が、完成後まで契約を保留することを許していた場合、いつまでも入居者が確定せず、下手をすると、ローンの支払いができなくなる可能性もあります。
それに、実際問題として、賃貸の新築物件の場合、新築だからといって家賃が高いというケースもそれほど多くなく、場合によれば、既存物件よりも条件がよい場合があるので、「住み替え」希望者によって、早くから契約が始まるのです。
一人の個人の立場からすれば、「完成後、室内をすべてチェックしてから契約するかどうかを判断したい」という気持ちがあるのはわかりますが、それは他の人にとっても同じことです。
心配であれば、完成後まで契約しなければよいのです。しかし、その時点では、すべて満室になっているケースが多いでしょうが‥。
重要事項説明書
(1)「重要事項説明書」という書類もなく、説明もなかった。
→ 宅地建物取引業法によれば、仲介業者は、借主予定者に対して、契約前に、物件の重要な事項について、宅地建物取引主任者が、主任者証を提示の上で、説明することが義務づけられています。
もし、重要事項説明がなく、書類も発行されなかったとすれば、重大な業法違反になります。
万一、そういう事態が発生したときは、業者に「業法違反である」と通告し、善処を求めるべきです。
業者が善処しない場合には、都道府県庁の監督窓口(建築指導課など)に相談すれば、業者に対する指導を行ってくれると思います。
(2)手付金支払い後に重要事項説明があったが、その際、問題が発生したので契約解除を申し入れたが、返金に応じてくれない。
→ 手付金支払い(=契約)後に、重要事項説明を行うのは、重大な宅建業法違反です。
業者に対して、この点を追及し、「返金に応じなければ、都道府県庁の監督窓口(建築指導課など)に訴える」というように言えば、返金に応じると思います。
(3)近くに迷惑施設があったのに説明がなかったが、不動産業者は、「重要事項として説明する項目ではない」と言うが納得できない
→ 宅建業法第35条1項によれば、重要事項として説明すべき事項として、登記簿上の権利関係、法律に基づく制限、水道ガス電気などの整備状況、賃料のほかかかる費用についてなど、さまざまな事項について、法律で「必ず説明すべき事項」として定められています。
不動産業者は、法律上明記された項目の中に、「迷惑施設うんぬんという言葉がない」ということで、説明しなくてもよいと考えているのかもしれませんが、法律をよく見ると、第47条1項に「重要な事項の告知義務」を定めているのです。
これは、35条の法律上、具体的に明記されている事項以外でも、契約するかどうかを判断するときに大きな材料となる事項については、「重要な事項」として、必ず説明しなければならないとされているのです。
たとえば、過去に、自殺や火災などがあった物件については、35条の「重要事項」ではありませんが、47条の「重要な事項」にあたるため、必ず説明する必要があるのです。
そこで、「迷惑施設」といってもいろいろなものが考えられますが、その中身と距離がどの程度であったかによって、「契約するかどうかの判断材料として重要なポイントになるかどうか」が問題となります。この点で、業者の言い分が正しかったかどうかを見極める必要があるでしょう。
(4)重要事項説明書を宅建主任者以外の人が説明したが、問題ではないのか?
→ 宅建業法によれば、重要事項説明書の説明とそれへの署名捺印は、宅地建物取引主任者だけが行うこととされています。
従って、宅建主任者以外の人が、説明したり、署名捺印したりするのは、業法違反となります。
ただ、新入生の部屋探しなどの場合、大学などによれば、大勢の新入生がいっせいにやってくることがあり、大勢の新入生の契約手続きを同時に行うため、主任者だけが説明することになると、説明のための待ち時間が数時間に渡ってしまうというケースも現実には存在しています。
このような場合には、法律上は望ましくありませんが、現実的な対処として、主任者以外のスタッフが大筋の内容を説明した上で、主任者が説明に納得したかどうかの確認を行うという方法をとらざるを得ないところもあります。
もともと、重要事項説明は、消費者保護の観点から導入されたものなので、単に、形式的に違反しているかどうかだけを問題視するのではなく、消費者保護の立場から考えて、消費者に一方的に不利な状況になっているかどうかを問題にすべきだと思います。
(5)重要事項説明書の記載内容が実際とは異なっていたので、業者に「契約を解除したい」と言ったが、「申し訳ない」というだけで埒があかない。
→ 重要事項説明書の記載内容は、契約するかどうかを判断する上で重要となる内容を説明したものですから、記載内容自体が間違っているという場合は、業者として、何らかの責任を負わなければなりません。
「記載自体が間違っている」場合の原因としては、家主が業者に提供した情報自体が間違っていたケース、業者が過失で記入間違いしたケース、業者が故意に記載内容を変更したケースなどが考えられますが、はっきりさせなければならないのは、もし、「記載内容が間違っていなければ契約したかどうか?」です。
たとえば、遮音構造を物件選びの際に重視していた人が、鉄筋コンクリート造だと説明されていたものが、実際には鉄骨造だった場合などは、業者は、単に「すみません」では責任をおったことにはならず、契約解除する場合の損害をすべて負うべきでしょう。
しかし、建築年が1・2年事実と異なっていたというようなケースや全体の部屋数が少し食い違っていたというようなケースでは、契約するかしないかにほとんど影響はなかったはずですので、損害賠償まで求めるのは無理でしょう。
従って、ご質問のケースでは、業者に対して物件探しの際に重視するポイントとして説明していた事項が間違っていたのかどうかがポイントとなり、業者に対する責任追及の内容もおのずと異なってくるものと思います。
契約書
(1)契約書の内容が借主に一方的に不利なので拒否したいのだが‥
→ 契約というのは、本来、対等平等な2者の間において、一方からの「申し込み」と他方の「承諾」によって成立します。
これは、「諾成契約」と呼ばれており、口頭だけで成立します。たとえば、何かを買いにお店に行った場合を想定して考えればよくわかると思います。
「これをください(申し込み)」、お店「ありがとうございます(承諾)」。
日本の社会自体も、対等平等を前提としていますから、契約に関しても、「契約自由の原則」(私的自治の原則)というものがあり、人身売買や殺人依頼など、公序良俗に反するような契約は無効ですが、それ以外は、原則として、自由に契約することができるのです(なお、建物の賃貸借契約では借地借家法の強行規定に反する契約は無効であり、例文解釈と言って、契約書、契約約款中の定型的文言の解釈で、文言通りに適用すると不当な結果となる場合に、その不当性を回避するために、その文言を「単なる例文である」として、その有効性を否定する契約解釈の手法などが適用されるときも無効となります)。
「自由に契約する」というのは、契約内容も自由ですし、誰と契約しようが、逆に契約を拒否すること自体も自由なのです。さらに、契約の形式も自由なので、文書でも口頭でもかまわないのです。
民法自体も、「契約自由の原則」を前提としつつ、契約内容を取り決めなかった場合のルールを規定しているのです。
賃貸借契約も、本来は、対等平等な私人間で契約すべきです。しかし、実際には、対等平等どころではなく、立場の強い家主が一方的に定めた契約内容を、立場の弱い借主が承諾するかどうかにかかっているわけです。
ということは、単純に考えれば、借主に一方的に不利な規定を拒否したくても、家主が認めてくれなければ、結局は契約そのものが成立しないのです。
つまり、家主には、「あなたとは契約しない」という権利があるわけで、家主に「契約せよ」と請求すること自体できないわけです。
そういう状況を背景として、民法だけでは立場の弱い借主が一方的に不利であるとして、借地借家法(旧借地法、旧借家法)が誕生しました。
そのため、借地借家法では、「強行規定」というものを設け、一部の規定については、「契約書にどのような記載があっても、借地借家法の強行規定に反するもので、借主に一方的に不利な条項は無効である」としているのです。
また、2001年4月には、消費者契約法というものもできました。この法律では、「消費者の利益を一方的に奪う契約条項は無効である」としており、賃貸借契約書にどのように記載されていても、消費者契約法に違反するとされた場合には、借主は従う必要がなく、裁判しても勝訴する可能性が非常に高くなってきています。
相談内容を見ると、「借主に一方的に不利‥」ということですが、具体的な記載条項を確認する必要があります。
その条項が、借地借家法の強行規定や消費者契約法に違反すると認められる場合には、そのまま契約しても、条項としては認められませんが、できれば、トラブル予防のために、家主に「法律上認められないと思うので、削除してもらえないか?」申し出ることもできます。
ただし、言い方には気をつけないと、家主が契約そのものを拒否してくる可能性があります。
一方、上記の規定・法律に違反していない条項については、借主としては、認めなければ、契約できない可能性が強くなります。
一般的な傾向として、空室が出てもすぐに借主が見つかるような条件のよい物件の家主は強気ですので、借主から「不利な条項を削除してくれ」と申し出ても、「無理に契約してもらわなくて結構。他にいくらでも借りたいという人がいるから」という答えが帰ってくるのがオチでしょう。
従って、「借主に一方的に不利な条項がある」場合、「不利を承知でも契約したい」のか、「納得できなければ契約しない」のかをはっきりさせた上で、家主(仲介業者)との交渉に臨まなければなりません。
(2)特約事項の一部に納得できないので、その部分のみ削除は可能か?
→ 「特約事項」がある場合、一般的な規定と競合する場合には、特約が優先されます。
「特約事項の一部に納得できない」というのであれば、そのまま黙って契約するよりも、家主に対して、「できれば、その条項を削除してもらえないか?」と率直に聞いてみるのがよいと思います。
ただし、家主には、前項でも述べたように、「契約自由の原則」(私的自治の原則)がありますので、「特約事項にこだわる人とは契約しない」と言ってくる可能性もありますので、言い方には注意が必要です。
要は、「特約に不服でも契約したいのか?」それとも、「特約の削除がなければ契約しないのか?」という態度をはっきりさせておく必要があるということです。
(3)本人がフリーターなので収入のある親に契約者になってもらうことは可能か?
→ 契約の当事者は、当事者同士で納得できれば契約できますので、家主が、「親が契約者でもよい」ということであれば、契約者になってもらうことは可能です。
しかし、そのような場合には、連帯保証人をどうするのかという別の問題や親自身が契約に関する権利を持つという問題があります。
つまり、親が契約の当事者になれば、連帯保証人のなり手を親以外に捜さなければならなくなります。
それに、親子の間で意思疎通がうまくいかなくなった場合、契約更新時にトラブルとなる可能性もあります。
そこで、家主が認めてくれるのであれば、本人が契約当事者となり、親が連帯保証人になるほうが現実的だと思います。
(4)契約書内容が民法の規定に反しているが、それでも契約書に従う必要があるか?
→ 民法は、「契約自由の原則」を前提としつつ、契約内容で取り決めがない場合の取り扱いについて規定しています。
従って、契約書内容自体が、民法の規定に違反していても、公序良俗に反しない限り(人身売買契約など)、契約自由の原則により、契約内容が優先されるということになります(それ以外に借地借家法上の強行規定に反する場合や「例文解釈」として文言どおりに解釈すれば不当な取り扱いとなるような場合にも、契約内容が無効となるケースがありますが)。
いずれにしても、原則として、契約内容に従わざるを得ないということです。
(5)重要事項説明書の記載内容よりも契約書の記載内容の方が不利な規定だったので、管理会社に苦情を申し立てたが、「仲介業者が悪い」として相手にしてくれなかった。泣き寝入りするしかないのか?
→ 重要事項説明書の内容と実際の契約書の記載内容が異なる場合、原因としては、仲介業者の調査が不十分であったことが考えられます。
しかし、契約そのものは、家主と借主との間で行うものであり、「(重要事項説明書の内容と異なるから)重要事項説明書の内容にあわせてほしい」と言っても認められることは少ないでしょう。
つまり、家主(代理人としての管理会社)との間では、強い主張は難しいと思います。
しかし、仲介業者には、事実と異なったことを説明したことによって発生した損害について賠償責任を追及することが可能だと思います。
従って、仲介業者との間では泣き寝入りする必要は一切ないということです。
なお、仲介業者が誠意ある対応を見せず、単に「すみませんでした」だけで済ませるのであれば、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に、書類を持って出向き、業者への指導をお願いしてはどうでしょうか?
(6)仲介業者で受け取った契約書内容と管理会社から送られてきた契約書の内容が異なるのだが、どちらが正しいのか?
→ 仲介業者が、本来、管理会社が指定する契約書を使用すべきところを、自社で使用している契約書を間違って使用したことが原因だと思います。
そうだとすれば、正しい契約書は、管理会社が用意したものとなります。そこで、万一、管理会社が用意した契約書の内容と仲介業者で受け取った契約書の内容が大幅に異なり、仲介業者で受け取った契約内容だったから契約したという場合には、仲介業者に対して、損害賠償を行うことが可能となるでしょう。
(7)契約書の内容を見ていたら、「契約更新ごとに家賃を5%値上げする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
→ 「契約更新ごとに家賃を5%値上げする」という合理的な根拠はあるのでしょうか?
万が一、そういう根拠があれば、「不当な契約」とは言えません。
しかし、ふつうは、「更新ごとの自動値上げ」を行うような合理的な根拠はないと思います。
そういう場合には、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」に該当しますので、契約内容そのものが無効となります。
できれば、最初から削除してもらうほうがよいと思いますが、あまり強い交渉を行うと、契約そのものができなくなる(家主が契約を拒否する)可能性もあります。
入居を優先したいのであれば、あまりに強い要求は避けたほうがよいでしょうが、その代わり、契約更新時には交渉を行う必要があります。
どちらがよいとは一概に言えませんが、最終的には、借主の判断次第となります。
(8)契約書の内容を見ていたら、「家賃の支払いを1日でも遅延した場合には、即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
→ このような規定は、単なる脅しに過ぎません。
法的にも認められていません。家主としては、家賃の滞納を恐れるあまり、このような規定を設けているのでしょうが、認められませんので安心してください。
家主として契約を解除するには、借主との間で信頼関係がなくなるような事態が前提となります。
家賃の滞納で言えば、判例では、6ヶ月程度以上の滞納があれば、「信頼関係がなくなった」とみなされているようです。
いずれにしても、契約時点で削除を求める方法もありますが、強い要求をすれば、契約そのものを拒否される可能性もありますので、あまり神経質にならず、無視して契約してもよいと思います。
(9)契約書の内容を見ていたら、「契約違反を行った場合には、即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
→ 前項と同じように、このような規定も、法的には認められません。
契約違反があった場合、家主は、その是正を求め、それでも改善がまったく見られず、家主との間の信頼関係がまったくなくなってしまったというような場合に限って、退去要請が認められるのです。
契約前に削除してもらうのがベストですが、強く要求すれば、契約そのものを拒否される可能性もあります。
そこで、入居したいのであれば、あまり強く要求せずに、家主が削除してくれない場合でも、あまり神経質にならずに契約したほうがよいでしょう。
(10)契約書の内容を見ていたら、「子供が生まれたら速やかに退去する」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
→ ファミリー用の物件の契約ですか?もし、一人用の物件であれば、子供が生まれる云々の前に、複数で居住すること自体が認められないでしょう。
ファミリータイプの物件の場合には、夫婦の間に子供が生まれる可能性があり、ごく自然なことですので、このような規定は、「公序良俗に反する」として、認められていません。
無効となります。削除してもらうのが筋です。
しかし、契約時点であまりに強く要求すると、家主は、契約そのものを拒否してくる可能性があります。
家主が、法律上の考え方を素直に受け入れるかどうかはわからないからです。
そこで、入居を優先するなら、あまり神経質にならずに契約し、その後に、法的に認められないことをうまく説得するようにするか、それが無理なようなら放置し、子供が生まれても、家主の退去要請を拒否することになるでしょう。
(11)契約書の内容を見ていたら、「家主が物件を必要とする場合には、即刻退去するものとする」となっていた。そういう契約内容は不当だと思うのだが、削除を求めるべきか、それとも、法的に認められないと思うので無視して契約したほうがよいのか?
→ 家主からの退去が認められるケースは、非常に限定されています。
家主が、単に、「物件を必要とする」だけで、退去が認められることはありませんので、このような規定は、借地借家法の強行規定に違反するものであり、無効となります。
契約時に削除を求めてもよいですが、あまりに強く要求すると、家主から契約そのものを拒否されてしまう可能性もあります。
そこで、あまり神経質にならずに、そのまま契約してもよいと思います。
そして、万が一、家主から退去を求められた場合に、「契約内容の無効」を主張すればよいでしょう。
入居申込書
(1)入居申込書に書いた内容で入居を拒否されたが、何とかならないか?
→ 契約するためには、借主からの「申し込み」に対して、家主による「承諾」が必要ですが、家主が承諾しない場合には、契約が成立しません。
日本以外の先進国では、性別・人種・国籍の差別やその他の合理的な理由がないのに、入居を断るような場合、民間の家主であっても法律で罰せられるというケースが少なくありませんが、日本では、「契約自由の原則」が幅を利かせすぎているのです。
家主が承諾しない理由にはいろいろと考えられますが、家主には、入居拒否の理由を説明する義務もありませんし、家主が入居を認めない以上、何ともすることもできないのが現実なのです。
(2)本人が高齢のため入居を拒否されたが、何とかならないか?
→ 平成13年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が制定され、高齢者の入居を拒否しない賃貸住宅の登録・閲覧制度や終身借家制度などが誕生し、高齢者に対する一定の保護が前進しましたが、いまだに「高齢」を理由とした入居の拒否があとを絶ちません。
現状では、家主の「良心」に委ねるほかなく、強制的に、入居を認めさせることはできません。
家主を説得したい場合には、行政の窓口で相談し、家主への説得を行ってもらうという方法も考えられますが、根本的には、上記の法律で登録された高齢者の入居を拒否しない賃貸住宅を探すことだと思います。
(3)本人が障害者のため入居を拒否されたが、何とかならないか?
→ 他の先進国とは異なり、日本では、「契約自由の原則」が文字通り最優先されています。
障害者であるという理由で入居を拒否することは、他の先進国では、処罰の対象となるケースが多い(その代わり、障害者対策のための改善のために補助金を出したり、税金面で配慮していたりする国もある)のに対して、日本では、家主の自由となっているのです。
そこで、最終的には家主の「良心」に期待するしかないのですが、行政の窓口で相談したり、行政の窓口の担当者から、家主への説得を行ってもらったりするというのもひとつの方法だと思います。
入居審査
(1)家主の審査で落とされたが理由も説明されないが、家主には説明する義務があるのではないか?
→ 前項でも説明したように、家主には、契約自由の原則によって、誰と契約しようが、逆に契約するのを拒否しようが自由なのです。
従って、借主に対して、いちいち契約拒否をした理由を説明する義務も負わないのです。
極論すれば、「気分が悪かった」だけで契約しなかったということでもかまわないのです。
(2)業者から「入居審査に1週間かかるが、まず大丈夫」と言われていたのに、「家主が納得しない」として契約を拒否された。再度、探すには交通費もかかるので、業者に損害賠償を求めたいのだが、可能か?
→ 前項・前々項にも触れているように、家主の審査自体については、何ら責任追及することができません。
しかし、仲介業者が説明していたことによって損害が発生したわけですから、仲介業者に対しては、損害賠償請求が可能だと思います。
問題は、仲介業者がどこまで損害賠償請求に応じるかですので、粘り強い交渉が必要となるでしょう。
申込(証拠)金・予約金・手付金
(1)仲介業者に申込金として支払ったがキャンセルしても返金されない
→ 申込金、申込証拠金、予約金、その他どのような名称であっても、手付金以外の名目で業者に対して支払ったお金については、契約をキャンセルした場合、返金されなければなりません。
業者が万一返金に応じない場合には、宅建業法違反となりますので、業者に「業法違反だから返金せよ」と迫り、それでも返金しない場合には、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に相談すれば、業者も返金に応じるものと思います。
(2)家主に申込金として支払ったがキャンセルしても返金されない
→ 家主に直接「申込金」などとして支払った場合でも、仲介業者に支払った場合と同じく、契約を解除する場合には、全額返還されるべきです。
しかし、問題なのは、仲介業者の場合には、行政の監督窓口からの指導によれば、すぐに従う可能性があるのに対して、家主の場合には、「監督窓口」そのものが存在しないことです。
従って、家主が素直に返金に応じない場合には、少額訴訟などの法的手続きによらなければ返金に応じない可能性があります。
しかし、少額訴訟の費用と手間を考えれば、少額訴訟すること自体、費用倒れに終わる可能性もあります。
なお、家主に申込金を支払っていても、仲介業者でその物件を紹介されていた場合には、仲介業者に責任追及することが可能だと思いますので、仲介業者との交渉が必要です。
(3)仲介業者に手付金として支払ったがキャンセルしても返金されない
→ 本来、手付金として受け取ることができるのは、契約の当事者である家主だけです。
仲介業者が便宜的に受け取る場合には、家主からの代理権が必要であり、家主から、手付金の受領を認めるという委任状等を提示する必要があるとされています。
業者が、家主の代理権を証明するものを提示すれば、仲介業者でも、手付金として受領することができるので、手付金支払い後にキャンセルする場合には、解約手付金扱いとなり、手付金の返金は不可能になっても仕方がないでしょう。
ところが、よくあるケースとしては、実際には、代理権そのものを得ずに、仲介業者が受け取っているケースです。
以前は、仲介業者が、代理権なしに便宜的に手付金を受け取ることも慣習として黙認されるケースが多かったのですが、最近は、厳密に解釈するようになってきています。
一方、賃貸借契約そのものは、手付金の授受によって成立するという考え方が多いですので、仲介業者が預かった手付金が家主の元に届けられ、家主が契約書を発送した(契約の着手と考えられます)あとは、手付金は、解約手付金として扱われてもおかしくないと思います。
つまり、仲介業者が預かってから一定の期間が経過すれば、解約手付金として処理されても仕方がないと思います。
「一定の期間」は、通常、1週間もあれば十分でしょう。
逆に言えば、仲介業者に手付金として支払った場合でも、正式の代理権がなかったとき(支払い時に代理権を証明するものを提示されなかったとき)は、支払い直後であれば、キャンセルした場合には、返金に応じるべきであると解釈されるようになってきたのです。
なお、いずれにしても、手付金として支払う場合には、「キャンセルする場合には返金されない」ということを覚悟して支払うべきだと思います。
なぜなら、手付金を支払えば、借主だけでなく、家主に対しても強い拘束力があるからです。
安易に、「仮押さえ」するつもりで手付金を支払うべきではありません。
(4)家主に手付金として支払ったがキャンセルしても返金されない
→ 賃貸借契約は、借主からの「借りたい」という申し込みに対し、家主の「了解しました」という承諾があり、借主から家主に対して手付金が支払われた時点で成立すると考えられます。
従って、家主に「手付金」として支払った場合には、原則として、解約手付金となるので、借主からキャンセルするには、手付金の放棄が必要となります。
手付金として支払った以上、返金されないのが当然ということになります。
(5)高額の申込金を請求されたが従わざるを得ないのか?
→ 申込金などは、手付金とは異なり、契約を解除する場合には返還しなければなりません。
従って、本来、高額な申込金を要求すること自体おかしなことです。
逆に言えば、高額な申込金を要求するような業者(家主)については、何か、問題を隠しているように思われます。
このようなケースでは、申込金を安くしてもらうというよりも、申込金を払うこと自体避けたほうが無難だと思います。
(6)高額の手付金を請求されたが従わざるを得ないのか?
→ 賃貸借契約の手付金としては、通常、家賃の1か月分が相場です。
それよりもはるかに高額な手付金を要求するような場合には、何か、問題点を隠している場合が少なくないと思います。
つまり、発覚すればキャンセルしたくなるような問題点があり、もし、借主が見つけた場合、キャンセルするには手付金の放棄が必要となるので、高額な手付金を取っていたほうがキャンセルしにくくなるからです。
このようなケースでは、手付金を相場にしてもらうだけでなく、手付金の支払い前に、問題点が隠されていないかどうか、もっと調査しておいたほうがよいと思います。
(7)手付金を家主に支払って契約したが、もっとよい物件がないかと探していたら1時間後にもっとよい条件の物件が見つかった。そこで、手付金を支払った家主に連絡して解約を申し入れたが、「手付金は没収する」と言われた。たった1時間なので納得できないのだが‥‥。
→ 賃貸借契約を行うには、借主が「借りたい」という申し込みだけでなく、家主の「了解しました」という承諾が必要であり、さらに、借主は手付金を納める必要があります。
そして、いったん借主が手付金を納めたら、借主側から契約の解除を行うためには、手付金の放棄が必要となります。
このような手付金の性格を「解約手付け」と呼んでいますが、これは借主だけを束縛するのではなく、家主側から契約を解除する場合には、「手付金の倍返し」、すなわち、預かった手付金の返還とさらに手付金と同額の費用を借主に支払わなければならないのです。
従って、手付金を納めた以上、借主から契約を解除するには、手付金の放棄が必要なのです。
そこには、時間は一切関係ないのです。
手付金を返還してもらえるケースとしては、家主が説明していたことが事実と違っていたり、家主側に何らかの問題点があったりする場合です。
また、非常に高額の手付金を支払っているような場合、家賃1か月分を超える部分については返還を認められる可能性があります。
手付金を納めるというのは、それだけ双方を拘束するものなので、安易に「仮押さえ」のために手付金を納めるということは許されないのです。
(8)手付金を業者に支払い契約したが、もっとよい物件がないかと探していたら1時間後にもっとよい条件の物件が見つかった。そこで、手付金を支払った業者に連絡して解約を申し入れたが、「手付金は没収する」と言われた。たった1時間なので納得できないのだが‥。
→ このケースは、前項のケースとよく似ていますが、違うのは、手付金を納めた相手です。
前項のように、家主に直接手付金を納めた場合には、キャンセルするには手付金の放棄が必要ですが、仲介業者の場合には、家主の代理権を得ていたかどうかが、ひとつの判断ポイントになります。
家主からの代理権を得ずに(家主からの委任状を提示せずに)手付金を支払っていたような場合であれば、仲介業者には、手付金を受け取る権利はありませんから、たとえ、業者が「手付金である」と呼んでいたとしても、本来は、預かり金でしかありませんから、キャンセルすれば返還されなければなりません。
従って、仲介業者に、「家主の代理権を証明する文書も見ていないので、手付金を受領する代理権はないはずである。
つまり、本来、手付金としては受領できないはずなので、支払ったお金は法的には単なる預かり金であるため、キャンセルする場合には返還しなければならない」と主張してください。
それでも、返還に応じない場合には、都道府県庁の業者監督窓口に申し出れば、業者に対する指導を行ってくれるでしょう。
(9)手付金を業者に支払い契約書にも署名捺印したが、1時間後にもっとよい条件の物件が見つかった。そこで、手付金を支払った業者に連絡して解約を申し入れたが、「手付金は没収する」と言われた。たった1時間なので納得できないのだが‥。
→ 前項とほとんど同じ相談内容ですが、前項と違うのは、契約書への署名捺印していることです。
もし、契約書に、家主・借主双方が署名捺印を行っていた場合には、「契約成立」と解釈されるため、手付金の無条件返還は不可能になるでしょう。
なぜなら、家主の署名捺印があるということ自体、家主が、仲介業者に契約行為の代理権を与えていた証拠であると解釈できるからです。
つまり、時間の経過には関係なく、原則として、手付金の返還はできないということです。
手付金の返還がされるケースとしては、家主や業者の説明が事実と異なるような場合に限られるでしょう。
いずれにしても、手付金を納めるときは、安易に考えてはいけないのです。
(10)手付金を持参していなかったが、業者が「立て替えておくから」と便宜を図ってくれた。しかし、事情があってキャンセルすることになったが、「キャンセルするなら貸している手付金を支払え」と言われた。やはり支払わざるを得ないのか?
→ 宅建業法の第47条第1項の3では、いわゆる「手付貸与の禁止」を制定しています。
つまり、仲介業者は、契約の誘引のために、手付金を立て替えるというような申し出を行えば、実際にそれが実行されていない場合でも重大な業法違反となるのです
従って、このような場合にキャンセルが発生したときには、一切お金を支払う必要がありません。
それでも、業者がしつこく言ってくるようであれば、「都道府県庁の業者監督窓口に訴える」と言えば、業者は、それ以上何も言ってこなくなるはずです。
(11)家賃1か月分の手付金を支払うべきところ、手持ちのお金が足りなかったので、業者にその旨を言ったら、「仕方ない」として受領してくれたが、キャンセルしたとき、「手付金は本来1か月分必要なので、足りない分を振り込め」と言われた。従わざるを得ないのか?
→ この相談も、前項の内容とよく似ています。
やはり、仲介業者は、「手付貸与の禁止」という宅建業法の規定に違反しています。
業者に、その旨を伝えれば、それ以上、追及はしてこないと思いますが、それでもしつこく言ってくるようであれば、「都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に相談する」と言えば、追及を諦めると思います。
(12)手付金の支払いをクレジットカードでと考えていたが、「カードは受け付けられない」と言われた。ほとんどのものがカードで購入できる時代に、「カードはだめ」というのは遅れた業界だと思うが、仕方のないことか?
→ 本来、手付金は、家主が受け取るべきお金です。
仲介業者の懐に入ったり、利益になったりするお金ではありませんから、クレジットカードでの決済自体なじまないのです。
従って、ふつう、クレジットカードで支払いを決済することはなく、「遅れた業界」ということにはならないのです。
礼金
(1)礼金が高額なので支払いたくないのだが‥。
→ 礼金というのは、法律上、特に規定のないお金です。
礼金のやり取りは、単なる慣習に過ぎません。
従って、礼金を支払おうが、支払いを拒否しようが、当事者の自由なのです。
問題は、家主が礼金の支払いを求め、借主がそれを拒否した場合に、家主が契約を拒否するだろうということです。
借主にも、物件を選ぶ自由があるのに対して、家主は、誰と契約するかの自由があるのです。
従って、「礼金が高額なので支払いたくない」と言っても、家主が認めてくれなければ、契約できないだけなのです。
契約そのものを強制することはできないからです。
(2)「礼金なし」だったのに他の名目で請求された。おかしいと思うのだが‥。
→ 「礼金なし」ということで、顧客を誘引しておいて、物件の内見を済ませておき、いざ重要事項説明の段階になったときに、はじめて、「○○金として○○万円が必要」というように説明するような業者がいます。
契約直前の段階になって初めて説明するので、時間的な余裕もなく、諦めて支払いに応じる人もいるでしょう。
しかし、これは、実際には、礼金と同じようなお金であるのに、「礼金なし」として契約を誘導する詐欺的な手口です。
そこで、このような手口に遭遇した場合には、支払いを拒否し、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に訴えるべきだと思います。
このような業者を温存させておくことは、業界としても許されないはずです。
(3)「礼金0」物件を探していたが、業者は「礼金0」物件以外を薦めたが、業者の言い分を信用することはできるか?
→ 業者がなぜ推薦するのかをきちんと確認する必要がありますが、業者の主張が間違っているとは限りません。
なぜなら、もともと、礼金というお金自体、家主が任意に決定しているお金ですから、礼金を取る慣習の地域において、「礼金0」という場合には、他の物件と比較して競争力がなくなっているケースや何らかの問題点があるケースが多いからです。
従って、業者が、その点を説明した上で、借主が希望する条件に合う物件の場合には、礼金が必要だというケースが少なくありません。
つまり、業者の「信用」には一切関係のないことだと思います。
(4)礼金を支払いたくないので、住宅金融公庫で建てた物件を探したが、別の名目で礼金のような費用を徴収している。問題はないのか?
→ 建築主(家主)が、共同住宅を建築する際、住宅金融公庫の融資を受けるためには、「権利金・礼金・敷引き・更新料を受け取ることができない」という条件がついています。
従って、礼金という言葉を使っていれば契約違反であることははっきりしますが、「礼金」という名称でなくても、住宅金融公庫が「礼金である」と認定した場合、融資が引き上げられる可能性もあると思います。
住宅金融公庫融資を利用しているかどうかは、登記簿を確認すればわかります。
借主としては、調査して、「本来、礼金などを支払う必要はない」として家主と折衝することも可能ですが、無理やり契約したとしても、のちのち、家主との間の関係が悪化することも覚悟しなければならないでしょう。
礼金は一時的な出費ですが、入居後の長い期間、家主との間でうまくいかなくなる可能性や退去時のことも考えれば、強い主張がよいとは思えませんし、家主から、「あなたとは契約しない」と宣言されれば、「礼金を支払う、支払わない」ということ自体、無意味なことになってしまいます。
そのあたりのことを考慮に入れて、家主にどのように持ちかけるのかを考えなければなりません。
仲介手数料
(1)仲介手数料として10万円(税別)を請求されたが、高すぎるような気がするが、支払い義務があるのか?
→ 宅建業法第46条および建設省告示1552第3によれば、賃貸借契約の媒介においては、借賃(通常は家賃のことです)の1か月分プラス消費税が限度とされています。
そして、告示の後段で、「居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる金額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き借賃の1か月分の2分の1に相当する金額以内とする」としています。
つまり、業者は、借主に対して事前に「1か月分支払うこと」を承諾させていなければ、家賃の半額プラス消費税以上の報酬を請求してはいけないとされているのです。
しかし、実態としては、ほとんどの業者がこのルールを守らず、事前の承諾なしに、「家賃の1か月分プラス消費税」を請求しています。
そこで、相談内容を見ると、「10万円の手数料を請求」ということですので、まず、家賃がいくらなのかをご確認ください。
手数料金額が家賃の1か月分プラス消費税よりも高額であれば、明らかに宅建業法違反ですし、「事前の承諾をしていない」ということであれば、家賃の半額プラス消費税分を超える部分については、支払い義務がありません。
業者が、どうしても「支払え」と言ってくるようであれば、「では、都道府県庁の業者監督窓口に相談する」と言えば、ふつう、業者は、支払請求を取り下げるでしょう。
(2)仲介手数料として「家賃1か月分プラス消費税」を請求されたが、高すぎるような気がするが、支払い義務があるのか?
→ 前項で述べたように、宅建業法および建設省告示によれば、居住用の建物の賃貸借の媒介においては、借主の事前の承諾があれば、「借賃(家賃)の1か月分+消費税」まで、承諾がなければ、「0.5か月分+消費税」が限度となります。
高すぎるかどうかは、この基準に照らして判断してください。
(3)業界に詳しい人から、「仲介手数料は、本来、家賃の半額プラス消費税」だと聞いたが、業者は、「家賃の1か月分プラス消費税だ」と言って譲らない。業者の言うとおりに従わざるを得ないのか?
→ 宅建業法および建設省告示では、居住用の建物の賃貸借契約の媒介を依頼した場合は、本来、借主の事前の承諾がなければ家賃の半額プラス消費税ですが、不動産業界の慣習では、事前の承諾の有無に関係なく、家賃の1か月分プラス消費税というのが実態です。
そこで、業界の慣習に従うか、それとも、法律上の規定どおりの主張をして、業者とやりあうかは、本人次第ということになります。
法律上は、0.5か月分を上回る分は支払う必要はありませんが、業者から、「それでは契約できない」と言われれば、行政に訴えるなどして、一定の手間と時間をかけることになってしまうでしょう。
業者が素直に、「半月分でよい」と言えばよいですが、「絶対1か月分は必要」と言ってきたときにどうするのかは、本人の考え方次第でしょう。
(4)家主=仲介業者の物件を契約したのに、仲介手数料を請求されたが、支払わざるを得ないのか?
→ 仲介手数料は、法律上は、媒介報酬というもので、家主と借主との間で、媒介(仲介)することの手数料ですから、不動産業者自身が家主であり、その業者と直接契約するのであれば、媒介(仲介)そのものがありえません。
従って、仲介手数料を支払う必要は一切ありません。それでも、業者が「支払え」といってくる(あるいは支払わされた)のであれば、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に行き、業者に対する指導をしてもらいましょう。
(5)仲介業者にさまざまなミスがあったので、仲介手数料の支払いを拒否したいのだが、可能か?
→ 宅建業法上、仲介業者は、賃貸借契約の媒介行為を行えば、当然ながら報酬を請求することができます。
従って、「さまざまなミス」によって発生した損害と、業者が要求する報酬を比較することになりますが、常識的に言えば、「さまざまなミス」をしておきながら、報酬だけは請求するというのはおかしいでしょう。
業者との交渉が必要ですが、納得できない場合には、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に相談してみることをお勧めします。
保証金・敷引・解約引
(1)保証金と敷金は、どのような違いがあるのか?
→ 保証金と敷金の違いとしては、実態としては、ほとんど同じような意味で使われていることが多いのですが、厳密に言えば、次のような違いがあるとされています。
1 保証金は、事務所、店舗やテナントなどの主に法人契約によく使われ、敷金は、個人の住居の契約によく使われています。
2 保証金は、約定によって、退去時に敷引き(解約引き、償却などと呼ぶ場合もあります)があることが多いのに対し、敷金は、通常、敷引きがなく、実費精算です。
3 保証金は、法律上規定のないお金ですが、敷金は、民法第316条,第619条などに規定のあるお金です。ただし、判例では、敷引きのない保証金は「敷金」と同じ扱いとなっているようです。
4 保証金は、約定がないと権利の承継がありません(次の家主に引き継がれない)が、敷金は原則として新しい家主にも引き継がれます。
5 保証金=敷金+礼金という解釈もあります。つまり、保証金方式をとっている場合には、同時に、敷引きなどがある代わりに、礼金を取ることがなく、敷金方式をとっている場合には、敷引きがない代わりに、礼金を取る地域が多いということです。
(2)「保証金○○万円、敷引き○○万円」となっているが、敷引き金額が高額なので拒否したいのだが、可能か?
→ 敷引きというのは、退去時に、自動的に敷引き金額を差し引く代わりに、原則として、借主に原状回復費用を請求しないという慣習ですが、この敷引き金額には、原状回復に要する費用と礼金部分の費用が含まれていると解釈されています。
敷引きは、家主が決めているものですので、家主との交渉しだいで安くしてくれればよいのですが、ふつうは、特別な事情(需要の多い春などの時期を過ぎても空室となっているなど)がないと、家主は敷引き額を安くしてくれることはないでしょう。
従って、「拒否できるか?」という質問に対しては、「おそらく不可能」というのが回答ということになります。
(3)「敷引き」と「解約引き」は、どういう違いがあるのか?
→ 「敷引き」も「解約引き」も、意味としてはほとんど同じ意味で使われていますので、「違い」というのもほとんどないと思われます。
ただ、若干のニュアンスの違いとしては、「敷引き」が、契約終了の退去時に、保証金から差し引かれる費用というだけの意味であるのに対して、「解約引き」は、契約終了時だけでなく、契約期間中の途中退去時の「違約金」的なニュアンスがあります。(しかし、実態としては同じと理解してもよいと思います)
消毒料
(1)消毒料を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?
→ 家主が請求するにしろ、仲介業者が請求するにしろ、どちらにしても支払う必要はありません。
家主には、家賃という対価を取って他人に物件を貸す以上、借主に「使用収益させる義務」があります。
つまり、借りる人が、安全快適に生活できるようにするのが家主の務めなのです。
従って、万一、「消毒しないと住めない」状態であるなら、家主の費用と責任で消毒すべきなのであり、借主に請求するなどもってのほかです。
ただ、家主が「消毒料」などを請求するケースはほとんどないと思います。実際には、仲介業者が勝手に請求しているケースが多いのです。
なお、仲介業者は、消毒料等の請求に正当性がないことを自覚していることが多く、あとから訴えられないように、「消毒しておいたほうが安心だから、消毒しておきましょうか?」というように持ちかけ、あくまで、借主の希望によって任意で消毒を行っているという姿勢の場合がよくあるので、きっぱりと断ることが重要です。
その他の費用
(1)カギの交換費用がかかると言われたが、支払う必要があるのか?
→ 家主は、家賃を取っている以上、借主の生活が安全快適に行えるようにする義務があります(使用収益させる義務)ので、玄関のカギの交換は、本来、家主の義務というべきものでしょう。
しかし、カギを交換しなかったからといって、安全性がまったくなくなるわけではなく、カギを交換したほうがより安全だというだけです。
逆に言えば、家主がカギの交換をしなくても、家主の義務を果たしていないとまでは言えないわけです。
従って、家主には、カギの交換義務はないとされているのです。
ただし、ピッキングに何度も遭ったような物件の場合には、家主には、安全性を確保するためにカギの交換義務が発生するとされており、それでもカギの交換に応じずに借主が被害に遭った場合には、家主は損害賠償責任を負うとされています。
いずれにしても、家主にはカギの交換義務まではないのですが、一方で、借主にもカギの交換義務はあるはずはないのです。
しかし、契約書上で、約定として、借主のカギの交換義務を定めていたような場合、借主が承諾すれば、私的自治の原則(契約自由の原則)によって、借主にはカギの交換費用の負担を求められることになるのです。
契約書上に、借主によるカギの交換費用負担が明記されているかがひとつのポイントですが、借主が安全性のリスクを承知で「カギの交換はしなくてよい」という態度を鮮明にした場合には、費用負担に応じる義務は免除してもらうべきでしょう。
なお、横着な家主の場合には、「ローテーション」と言って、予備のシリンダーとの交換だけを行っているだけなのに、「シリンダーの取替費用」として、新規の取替費用を請求するような場合がありますので、新品かどうかを確認しておいたほうがよいでしょう。(入居者が代わるたびに、予備のシリンダーと交換するわけですが、ずっと以前の入居者が使っていた可能性があります)
(2)「退去時修繕費用」を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?
→ このようなお金を支払うのは、あらかじめ固定費用を支払うことで、退去時の原状回復費用をめぐるトラブルを予防するためです。
「敷引き」「解約引き」なども同じような意味合いで支払われるものです。
このように固定費用を負担する代わりに、退去時の実費請求を免除するという方法は、原状回復トラブルを予防する上で、ひとつの方法として認知されています(住宅金融公庫融資を利用した物件では、固定費用の負担は認められていないようですが)。特別に問題があるということではありません。
ただし、入居時に、このような費用を支払ったにもかかわらず、退去時には、別途実費請求などということがないかどうかだけは、念のために確認しておいたほうがよいでしょう。
いずれにしても、どうしても、このような費用の支払いに納得できなければ、契約しなければよいのです。
契約するつもりであれば、支払いに応じるべきだと思います。
(3)建設協力金を支払えと言われたが、支払う必要があるのか?
→ このようなお金は、「礼金」と同じような性格のお金です。
法律上はまったく規定のないお金ですが、家主が支払いを求める場合、支払いを拒否すれば、家主が契約に応じないだけです。
契約は、借主からの「申し込み」だけで成立するのではなく、家主の「承諾」が必要ですが、支払いを拒否すれば、家主が承諾しないでしょう。
どうしても、その物件にこだわるなら支払わざるを得ないでしょうし、支払いを拒否するのであれば、他の物件を探すことになるでしょう。
(4)「礼金なし」なのに、まったく別の名目で費用を請求された。支払う必要があるのか?
→ 「礼金なし」といっても、最初から別の名目での費用請求を明記している場合は、それほど大きな問題ではないと思いますが、「礼金なし」ということで顧客を誘っておきながら、実際には、別の名目で費用を請求するという場合は、詐欺まがいの手口だと言わざるを得ません。
従って、支払うべきかどうかのポイントは、「別の名目の費用」がどの時点で提示されたかという点と「礼金なし」という文句の取り扱いがどうだったかという点です。
広告などで最初から明記されていたなら、単に、呼び方が「礼金」ではなかったというだけなので、それほど問題だとは思えません。
しかし、「礼金なし」という文句を大きく謳っていたとすれば、小さな字で別の名目の費用を掲載していたとしても、消費者を欺く広告と言わざるを得ないでしょう。
もっと問題であるのは、「礼金なし」で誘っておき、物件の内見まで済ませたあと、契約手続き前の重要事項説明の段階になって初めて、「別の名目の費用」を提示してきた場合です。
このような場合には、すでに契約直前まで隠していたことになりますので、借主が諦めて支払うことを狙っているわけですので、非常に悪質だと言わざるを得ません。
万一、そういうケースであるならば、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に訴え出るべきでしょう。
悪質な宣伝を行う業者を放置しておくべきではありません。
残金支払い
(1)入居は1ヶ月以上先なのに、残金を3日以内に振り込むように言われたが、拒否することはできないか?
→ 「契約金の残金をいつまでに支払うか?」という点については、法律上、特別な規定はありません。
しかし、常識的にいえば、入居日が1ヶ月以上も先であれば、「契約金の残金を3日以内に入れよ」という合理的な理由はないと思います。
逆に、仲介業者や家主がそのように言う裏には、何かあるのではないかと疑ったほうがよいかもしれません。
昨今、家主自身が自己破産などに陥るケースもあり、入居日がかなり先なのに、あまりに早く契約金を納めていた場合、入居日までの間に、何らかのトラブルが発生した場合、支払った契約金がきちんと保全されないケースも考えられます。
そこで、行政サイドや業界団体などでは、契約残金の支払いをできるだけ入居日直前にするように指導しています。
その上、家主自身としては、入居日直前でもかまわないとしているのに、自転車操業している業者などでは、契約金を早く支払わせて、それを運用しているようなケースもあるようです。
従って、家主に直接連絡を取るようにし、「残金の支払いを入居日直前まで待ってほしい」と交渉し、家主の承諾を得るようにしたほうがよいでしょう。
家主自身が、そのような申し出を拒否するような場合には、それでも契約するかどうかを、再度考え直すことが必要でしょう。
(2)契約金の残金支払いを入居日直前まで待ってほしいと言ったが断られた。
→ 建物の売買契約などでは、当事者双方のリスクを軽減するために、同時履行と言って、売買代金の支払いと不動産の移転登記手続きを同時に行うことが多いのですが、賃貸借契約ではどうなのかということがポイントです。
つまり、賃貸借契約においても、「同時履行の抗弁権」を主張できるかどうかということです。
「同時履行の抗弁権」を主張するためには、次の3つの要件を満たす必要があるとされています。
ひとつは、ひとつの双務契約(どちらも何らかの義務を負っている契約)から生じた双方の債務が存在すること、賃貸借契約は、家主には借主に物件を引き渡す義務があり、借主には家主に契約金を支払う義務がありますので、これに該当します。
二つ目は、相手方の債務が履行期にあること、賃貸借契約では、借主の立場からすると、家主の履行期(=物件の引渡し日=カギ渡し日)はまだ来ていませんので、この点は要件を満たしていません。
そして、三つ目が、相手方が自己の債務の履行又は履行の提供をせずに履行を請求してきたこと、つまり、賃貸借契約においては、カギ渡し日を過ぎたのに、カギ渡しをしないのに、契約金の支払いだけを要求してきたという場合ですが、これもカギ渡し前ですから、用件には該当しません。
つまり、入居直前まで契約金の支払いを保留するということは、法律上では認められないということになり、家主との協議次第ということになるのです。
一般に、家主は、入居直前のキャンセルを恐れるために、契約金の支払いを早めにしてもらおうとしますので、どうしても、入居直前まで費用を用意できないのであれば、その説明をきちんと行う一方で、「キャンセルは行わないし、万が一契約金の支払い前にキャンセルする場合でも、契約金は全額支払う」というような念書を家主に提出して了解を得るというような方法を検討してみてはどうでしょうか?
(3)残金支払い締切日までに入金できず、2日間ほど遅れただけなのに、一方的にキャンセルされてしまった。納得できないのだが‥。
→ 「契約」というものは厳しいものです。
借主の立場からは、「たった2日間」というように見えますが、家主からすれば、「きちんとルールを守らないルーズな人」というように映りますから、入居前から「契約を守れない人」というレッテルを貼られることになります。
当然、家主からすれば、そういう人を入居させるかどうかという判断を行うわけですので、家主として、契約を解除するということになれば、約束通り、キャンセルされてしまい、支払った手付金も没収されてしまうのです。
借主が納得しようがしまいが、契約で決められた支払い締切日を守らなかったわけですから、キャンセルされても仕方ないのです。
やむを得ない事情等で、どうしても、締切日までに入金ができそうにないということがわかったら、すぐに家主に連絡をいれ、事前に了解を得ておくべきだったのです。
ふつうの家主であれば、数日程度の遅れであれば、事前に承諾を求めるようにしておけば、了解してくれる可能性は強いでしょう。
契約の成立関連
(1)申込書を提出し、契約する前提で申込金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で契約できなくなった」という連絡が入った。契約する前提だったため、現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
→ 契約が成立するには、借主の申し込みに対する、家主の「承諾」が必要ですが、承諾前の段階だとすれば、契約そのものが成立していないことになりますので、家主に対して責任追及することはできません。
ただし、「後日」というのが、申し込みした時点から相当期間(例えば1ヶ月など)を経過していたというような場合には、家主の同義的な責任追及は可能かもしれません。
仲介業者に、契約できなくなったという理由を聞き、仲介業者に何らかのミスがなかったかどうかを確認した上で、他の物件探しで、仲介業者に特別な配慮を求めるように交渉しましょう。
(2)申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で入居できなくなったので、手付金の倍返しを行って解約する」という連絡が入った。現在、住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
→ 手付金を支払っていたということは、家主が契約の承諾していたという前提がありますので、契約が成立していたということです。
その場合、家主がカギを渡すとか、借主が契約金の全額を支払っていた(契約の履行に着手していた)ということがなければ、解約手付けとして、家主は、預かった手付金を返し、さらに同額を借主に支払う(手付金の倍返し)ことで、契約を解除することができるのです。
逆に言えば、家主が手付金の倍返しを行えば、それ以上の責任を逃れることができますので、借主としては、他の物件を探すしかないのです。
(3)申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、家主から、「都合で入居できなくなったが、まだ契約書を交わしていないので、預かった手付金を返却する」という連絡が入った。現在、住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
→ 契約が成立するには、家主の承諾が必要ですが、契約書への双方の署名・捺印がなければ契約が成立しないというわけではありません。
したがって、家主から契約を解除するには、手付金の倍返しを行う義務があります。
契約書は、契約した内容を双方が覚えておくための書類だということを、家主にきちんと理解してもらい、手付金の倍返しを行うように交渉してください。
(4)申込書を提出し、手付金も支払っていたのに、後日、仲介業者から、「家主の都合で入居できなくなったが、まだ、連帯保証人の保証書が提出されておらず契約は正式には締結されていないので、預かった手付金を返金する」という連絡が入った。現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
→ ほとんどの賃貸借契約では、「(連帯)保証人の確保」という条件がついていますが、これをどのように理解するかによって、契約が成立しているかどうかという判断が分かれてきます。
一部の都道府県によれば、「保証人の確保」は契約の「停止条件」として取り扱っています。
「停止条件」としてとらえると、保証人の保証書が提出されるという「条件」が満たされて初めて、「契約の成立」とみなされることになります。
逆に言えば、それまでは、契約が成立していないとみなされるわけですので、仲介業者の主張の通りということになりますので、他の物件を探さざるを得なくなります。
しかし、正確に言えば、「保証人の確保」は、「停止条件」ではなく、「解除条件」なのです。
「解除条件」としてとらえると、「万が一、保証人の確保ができなかった場合には、成立していた契約を解除する」ということになります。
似ているようですが、法的な意味としてはまったく異なるのです。
なぜ、「解除条件」であるかと言えば、家主にとっては、万が一、借主側が保証人を立てられないという事態に陥った場合でも、契約を解除する、保証会社の利用をしてもらう、保証人なしでも契約する(他の入居者を見つけるのが困難な場合など)などの選択肢があり、その時点で、解除するかどうかを判断することができるからです。
いずれにしても、保証人の確保は、契約の解除条件ですので、契約としてはそれ以前に成立していることになります。
したがって、契約の続行を求めるか、やむを得ず、家主が解除してくる場合でも、手付金の倍返しを求めるべきでしょう。
(5)申込書を提出し、手付金も支払い、その後、契約金の残金も支払っていたのに、入居予定日の直前になって、管理会社から、「ある事情から、入居不能になった。しかし、まだカギ渡ししていないので、法的には、『契約の履行の着手』前であるので、手付金の倍返しを行って解約する」という連絡を受けた。現在住んでいる物件の退去通知も行ったため、いまさら契約できないといわれても困るのだが、何とかならないか?
→ 手付金の支払い後、借主が手付金の放棄で、家主が手付金の倍返しで、解約できるのは、「相手側が契約の履行に着手するまで」となっています。
借主から解約できるのは、家主からカギを受け取るまでとされているのに対し、家主から解約できるのは、借主が契約の履行に着手する(=契約金の残金をすべて支払うなど)までです。
つまり、カギ渡し前だという理由で解約することができるのは、借主であって、家主ではないのです。
借主が契約金をすべて振込んでいたような場合には、家主は手付金の倍返しでは済まされず、借主が負った損害についてすべてを弁償しなければなりません。
具体的には、入居できなくなったことで発生する費用(次の物件の契約のための費用や引越し代など)は、家主が負担しなければなりません。
(6)申込書を提出し、手付金も支払い、その後、契約金の残金も支払っていたが、たまたま他に条件のよい物件が見つかったので、家主に、「ある事情から解約したい。まだカギ渡ししていないので、法的には、『契約の履行の着手』前であるので、手付金の放棄で解約する」という連絡を行った。しかし、家主は、「契約金をすべて受け取っているので、手付金の放棄だけでは解約できず、礼金も返せない」と言ってきた。このような場合、礼金の返還はしてもらえないのか?
→ 前項でも述べているように、借主が手付金の放棄で解約できるのは、契約の相手側(家主)が「契約の履行に着手するまで」とされています。
そして、家主の「契約の履行に着手」することは、カギ渡しが代表例とされています。
今回のケースでは、借主としては、契約の履行への着手行為として、契約金のすべてを支払っていますが、契約の相手側の家主は、まだ契約の履行に着手しているとは言えないというのが一般的な解釈ですので、手付金の放棄で解約できることになります。
しかし、契約金の残金まで支払っていながら、「他に条件のよい物件を探していた」という行為自体は、家主に対する裏切り行為ではないでしょうか?
つまり、判例などによれば、手付金の放棄だけで解約することはできることになりますが、家主のリスク(次の入居者を急きょ探すことになるため、すぐに入居者が見つからない可能性がある)を考慮すれば、礼金の一部は支払ってもよいと思います。
定期借家契約
(1)定期借家契約の物件を契約することになったが、ふつう、定期借家契約の場合には礼金はいらないと聞いていたが、多額の礼金がいるという説明を受けた。物件自体は気に入っているので、礼金の支払いなしに契約したいが可能か?
→ 「礼金」というのは、敷金などとは異なり、もともと、法的にはっきりした根拠のないお金です。
ふつうの賃貸借契約においては、「家賃の前払い」的なものであるとか、「賃借権設定の対価」であるとか、立退き料支払いのための準備金的なものであるとか、さまざまな解釈がされています。
ところで、定期借家契約の場合には、立退き料の支払いが不要であるため、通常は、礼金が不要とされています。
しかし、定期借家契約では、礼金は取れないという制限はありませんので、礼金が設定されている場合もあります。
家主との交渉で、礼金の支払いを免除してもらうか、それが不可能なら、諦めて契約するか、それとも、契約そのものをやめるかのいずれかになるでしょう。
家主の契約拒否
(1)申込金を支払ったのに、数日後、仲介業者から「家主の知り合いが入居することになったので諦めて」という連絡が入りました。あとから申し込んだ人が優先されるのは納得できないのだが…。
→ 契約が成立しているかどうかがポイントです。
契約が成立するためには、借主が申し込みをした上で、家主が承諾していなければなりません。家主が明確に承諾の意思を示していればよいのですが、家主からの承諾を得ていなければ、契約として成立しているとは言えません。
一方、管理会社が、家主の代理権を得て、手付金の受け取りを行っている場合には、契約が成立していると言えますので、領収書や手続き書類をみて、支払ったお金が、手付金なのか、それとも単なる申込金なのかを確認してください。
単なる申込金である場合には、契約が成立しているとは言えませんので、法的には何の権利もありません。
家主には、借主を選択する権利がありますので、まだ契約が成立していない段階では、あとから申し込んだ人を契約させることに何の法的問題も生じないのです。つまり、申し込みの順序は、契約優先の順序ではないので、残念ながら、あきらめるしかないでしょう。
ただし、もし、「手付金」として支払っていた場合には、「解約手付」として「手付金の倍返し」、つまり、支払った手付金の倍額の返金を受けることができます。
(2)入居直前に、家主から「手付金の倍返しを行うので契約解除する」という通告を受けた。そんなことはできないと考えているが、どうすればよいのか?
→ 契約そのものは、借主からの「申し込み」と、それに対する家主の「承諾」によって成立します(これを「諾成契約」と呼んでいます)。
しかし、それだけだと、契約したかどうかが明確にならないため、建物の賃貸借では、手付金の授受が必要とされています。
つまり、借主が手付金を支払うことで、契約が成立することになるのです。その後、契約期間開始までに契約解除する場合には、借主からの場合には、「手付金の放棄」、家主からは、「手付金の倍返し」を行うという法律上の規定(ルール)があります。
したがって、家主から契約解除する場合には、手付金の倍返しが必要となります。
逆に言えば、手付金の倍返しを越える請求を行うことはできないのです。
(3)外国人という理由だけで、契約するのを拒否された。日本以外の先進国の多くでは、これは、「国籍による差別」に当たるので、憲法や法律違反となって認められないはずだ。物件自体は気に入っているので、契約したいのだが、何かよい方法はないか?
→ 日本は、他の先進国に比較して、「契約自由の原則」を過大に重視していると思います。
他の国では認められないような「国籍による差別」が、「契約自由の原則」のもとで、堂々と認められているからです。
確かに大きな問題です。しかし、そういう法律がある以上、家主は、その法律に守られているわけです。
つまり、家主が、外国人というだけで契約を拒否しても、それを無効扱いすることはできないのです。
家主の理解のある物件を根気強く探すようにしてください。
自治体や地元の外国人支援団体などに相談してみるのも、一つの方法だと思います。
(4)家賃1か月分の手付金を納めて契約したのに、後日、家主から、「手付金を返すので契約を解除する」という連絡が入った。物件自体は気に入っているので、契約を続行したいのだが、何とかできないか?
→ 通常、賃貸借契約は、借主からの申込と手付金の支払い、そして、家主の承諾と手付金の受け取りによって成立します。
そして、契約の成立後は、納めた手付金は、解約手付けとみなされ、家主から契約解除するには、手付金の倍返しが必要となります。
従って、家主が契約を解除するには、手付金の返還だけでは不十分です。
一方で、手付金の倍返しを行えば、「契約の履行の着手」(つまり、契約金をすべて納める)までは、契約を解除することができるのです。
契約そのものを続行したいのであれば、家主の契約解除は無効であることを主張して、契約手続きを引き続き進めてもらうように交渉しなければなりません。(早く、契約金をすべて納めてしまい、手付金だけで契約解除できなくするという方法もありますが、場合によれば、大きなトラブルに発展する可能性もありますので、お勧めできません。)
(5)家賃1か月分の手付金を納めて契約したのに、後日、家主から、「手付金の倍返しを行うので契約を解除する」という連絡が入った。物件自体は気に入っているし、いまさら解約と言われても納得できない。何とかできないか?
→ 「契約の履行の着手」、つまり、手付金を支払って後、契約残金の支払いが行われるときまでは、家主は、預かった手付金の倍返しで、契約を解除することができます。
これは、法的に認められたことなので、「納得できない」と言っても、ダメなのです。諦めるしかありません。
(6)家賃1か月分の手付金を納めて契約したのに、入居直前になって、家主から、「手付金の倍返しを行うので契約を解除する」という連絡が入った。契約金の残金は入居日に手渡す予定で合意していたため、法的には、「契約の履行の着手」になるかもしれないが、だからと言って、入居日直前に、手付金の倍返しだけでキャンセルされるというのは理不尽だと思うのだが、どのように対処すればよいか?
→ 確かに、法的には、「契約の履行の着手」前なので、手付金の倍返しだけで、契約を解除することはできるでしょう。
しかし、入居日直前に、形式的な手続きだけで契約を解除するというのは、あまりにも一方的であり、解約する「権利の乱用」と言えるのではないでしょうか?
家主が契約を解除する理由を問いただし、合理的な理由がないと思われる場合には、入居できなくなったことによって発生する損害の賠償請求も考えなければなりません。
実務上は、仲介業者に善処を依頼し、契約の解除そのものを撤回してもらうことを最優先に交渉してもらい、それが不可能なら、次善の策について、仲介業者の道義的な責任も考慮に入れて、何らかの対策を出してもらえるようにしましょう。
連帯保証人
(1)借主が立てた連帯保証人を認めてくれないが、何とかならないか?
→ 連帯保証契約というのは、家主と連帯保証人との間で行うものです。
そして、家主は、連帯保証人として認めるかどうかの権限を持っているのです。逆に言えば、家主が認めない以上、借主としてはどうしようもないのです。
従って、対策としては、別の連帯保証人を用意するか、連帯保証を行う保障会社との契約で家主の理解を得るか、当該物件での契約を諦めて他の物件を探すかなどのいずれかを行うことになるでしょう。
(2)借主が立てた連帯保証人が審査で通らなかったが、何とかならないか?
→ 「連帯保証人が審査で通らなかった」という場合、さまざまなケースが考えられます。
まず、家主自身が連帯保証人として認めないケース、次に、管理会社が独自に行う審査で認めないという判断がされるケース、そして、家賃回収などをクレジット会社との契約で行っているような場合には、クレジット会社の信用調査によって不適格とされるケースです。
いずれにしても、借主が希望する連帯保証人を認めない場合、家主や管理会社に責任追及することができず、他の連帯保証人を見つけるか、連帯保証を行う保障会社との契約などを行うことが必要になるでしょう。
(3)当初立てる予定だった連帯保証人に断られたので別の人に変更を希望したが、契約してくれなかった。何とかならないか?
→ 家主は、誰と契約しようと、反対に契約を拒否しようと、あくまで自由なのです。
日本では、私的自治の原則(契約自由の原則)が広く認められており、私人間では、契約を拒否したからといって、原則として、相手を責めることはできないのです。
(4)当初立てる予定だった連帯保証人に断られたので別の人に変更を希望したが、変更手数料を請求された。支払わざるを得ないのか?
→ 仲介業者は、宅建業法上、賃貸借契約の仲介においては、借主から媒介手数料以外の手数料を収受することはできません。
連帯保証人についても、連帯保証人の契約後の変更ではなく、仲介業者にとって、特に手間がかかったわけではないはずですから、「変更手数料」なるものを請求する合理的な理由が見当たりません。
従って、仲介業者に対しては、変更手数料などの支払いを拒否すべきですし、それでも、「支払え」という場合には、都道府県庁の業者監督窓口(建築指導課など)に相談すればよいでしょう。
なお、家主が直接「変更手数料」を請求する場合にも、いったん決まった連帯保証人が変更になるわけではなく、手数料を収受する合理的理由がありません。
従って、家主が請求してくる場合も拒否できます。
(5)友人から「迷惑をかけないから書類の上だけ保証人になってくれ」と言われたが、本当に迷惑をかけられることはないか?
→ とんでもありません。
賃貸借契約の保証人は、通常、「連帯保証人」というものであり、非常に重い責任を負わせられます。
「書類の上だけの保証人」であれば、家主が認めるはずがありません。
それに、連帯保証契約は、借主と連帯保証人との間の契約ではなく、家主と連帯保証人との間の契約ですから、連帯保証契約に直接関与しない借主が「書類の上だけ」といっても、なんら効果がありません。
また、借主から、「連帯保証は形の上だけなので、連帯保証人には一切責任を負わせません」というような念書をもらっていたとしても、法的には、そういう念書は一切効果がないとされていますので注意が必要です。
(6)「連帯保証人」は「保証人」と異なり責任が重大だと聞いたが、どういう違いがあるのか?
→ 一般の「保証人」の場合には、まずは債務者から請求してくれ(催告の抗弁)、債務者に弁済する資力があるからそれを執行せよ(検索の抗弁)という二つの抗弁権がありますが、「連帯保証人」には、これらの抗弁権がないのです。
つまり、一般の保証人は、本人に請求して、まったく支払いが不可能になったときだけ弁済する義務を負うのに対して、連帯保証人は、本人とまったく同じ義務を負うのです。
もっといえば、本人に請求せず、連帯保証人に直接請求されても、連帯保証人は支払いを拒否できない(=抗弁権がない)のです。
連帯保証人になることは、本人と同じ立場になるということなのです。
(7)「連帯保証人を2人立てよ」と言われたが、1人で済む方法はないか?
→ 連帯保証人を複数立てるというのは、家主が、借主の債務(家賃の支払い)を、より確実にしておくために求めるものです。
連帯保証契約は、家主と連帯保証人との間の契約であり、連帯保証人を何人立てるのか、特定の人を連帯保証人として認めるか否かなどは、家主が、借主との相談なく、一方的に決めるものです。
したがって、家主が、複数の連帯保証人を必要とする以上、原則として、複数の連帯保証人を立てなければ、契約を拒否される可能性が強くなります。
しかし、それでも、複数の保証人を立てるのが困難であるという場合には、次のような対策を検討してみてください。
まず、「連帯保証人が一人でも大丈夫」だということを、家主にはっきり示すことですが、借主の支払いが確実であることを証明する(説明する)ことです。
二つ目は、上記と同様に、一人の連帯保証人の資力が十分であることを証明する(説明する)ことです。
そして三つ目に、保証会社を利用して、一人だけの連帯保証人を補完するという提案を家主に行う(実際には、仲介業者を通じてですが)ことです。
(8)連帯保証人を立てるのではなく、保証会社を利用したいのだが、家主が認めてくれない。何とかならないか?
→ 連帯保証人を立てるのか、それとも、連帯保証人に代わるものとして保証サービスを行う業者を利用するのかを選択する権限は、残念ながら、借主にあるわけではありません。
家主が判断して決めることなのです。
したがって、原則としては、家主が保証会社の利用を拒否する場合には、保証会社を利用することはできません。
しかし、多くの家主は、保証会社のサービス内容に通じているわけではありません。
とりあえず、よくわからないものについては、誰でも拒否反応を示す場合が多いわけですから、家主が拒否する場合も、単に、「よくわからないから」という場合もあるでしょう。
そこで、利用したい保証会社のサービス内容について、家主に対して、きちんと説明してみてください。
保証会社のサービスは、通常の連帯保証人と比較して、メリットもデメリットもあると思います(詳細については、各保証会社のそれぞれの商品内容を調べてください)ので、家主に説明すれば、家主が必ず納得するとは限りませんが、やってみる価値はあるだろうと思います。
(9)借主が、「連帯保証人を立てたい」と言っているのに、家主は、「連帯保証人は不要だが、その代わり、必ず、連帯保証会社に申し込んでもらう」と言ってきた。保証会社の利用は費用がかかるので、連帯保証人を立てることで代えたいが、何とかならないか?
→ 連帯保証人を立てるのか、それとも連帯保証会社を利用するのかについての選択権は、原則として、家主にあります。
したがって、家主が連帯保証会社の利用を求めてきた場合には、従わざるを得ないということになります。
しかし、家主に対して、当該の連帯保証人の資力が大きく、保証会社を利用するよりも安心であることを証明することができれば、家主が態度を変えてくれるかもしれません。
(10)借主が、「連帯保証人を立てたい」と言っているのに、仲介業者は、「連帯保証人は不要だが、その代わり、必ず、連帯保証会社に申し込んでもらう」と言ってきた。保証会社の利用は費用がかかるので、連帯保証人を立てることで代えたいが、何とかならないか?
→ 前項でも述べているように、連帯保証人を立てるのか、それとも連帯保証会社を利用するのかについての選択権は、原則として、家主にあります。
逆に言えば、仲介業者に選択権があるのではないということです。
仲介業者は、高額な手数料目当てに、保証会社の利用を薦めているのかもしれませんし、家主が、保証会社の利用を求めているのかどうかもわかりません。
そこで、家主に対して、連帯保証人を立てることで、保証会社の利用をしたくないということを、直接交渉してみてください。
それでも、家主が、「保証会社を利用せよ」というような場合には、従うか、それとも、保証会社の利用をしなくてもよい物件を探すのかのどちらかを選択してください。
(11)本人の所得証明は仕方ないにしても、連帯保証人の所得証明まで求められたが、提出する義務はあるのか?
→ 家主が、連帯保証人の所得証明を求めるのは、借主本人に対して求める以上に、必要だと思うからです。
なぜなら、借主本人は身近にいる上、家賃の滞納などを行ったりすれば、すぐに、借主本人に追及することができるのに対し、連帯保証人の場合には、会ったこともないという場合も少なくない上、その資力に問題が発生したとしても、確認するすべがほとんどないからです。
したがって、家主が、連帯保証人の所得証明を求めるのはおかしなことでも何でもありません。
所得証明の提出がいやなら、それに代わるようなもの(在職証明や預金残高証明とか)などによって、家主に納得してもらうか、それとも、連帯保証人の所得証明を必要としない物件を探すということになるでしょう。
(12)家主が、連帯保証人の印鑑証明まで提出するように求めてきたが、悪用されないか心配なので、できれば提出したくない。何とかならないか?
→ 家主が、連帯保証人の印鑑証明を求めるのは、認印の場合には、連帯保証人であることを正確に確認できないからです。
家主として、連帯保証人が連帯保証するという意思を確実に確かめておきたいわけですが、そのためには、連帯保証人の実印と、その実印が確かなものであるという印鑑証明が必要なのです。
「悪用されないか?」という心配は、絶対ないとは言えませんが、だからといって、提出を拒否すれば、契約できないことになるでしょう。
万が一、印鑑証明を悪用されるようなことがあれば、別途、損害賠償を請求することになりますが、通常は、そこまで心配していたら、多くの契約ができなくなるでしょう。
契約の開始時期
(1)実際の入居は4月になるのに、契約手続きした日から契約開始となるということで、住んでもいないのに余分な家賃を請求されたが、従わざるを得ないのか?
→ 常識的には、契約手続き日=契約開始日というわけではなく、契約手続き(手付金支払い)→契約書締結→契約残金支払い→カギ渡し=契約開始となるのがふつうです。
ところが、契約手続きの時点で空室になっているような場合、家主は早く家賃を徴収しようと、入居者の利便を図るようなそぶりで、カギ渡しまで行い、契約開始を行うようなケースがあります。
このようにならないようにするためには、契約前の重要事項説明の時点で、契約開始日の確認を行っておき、万一、すぐに入居できないのに、契約開始日が始まるというような場合には、契約開始日を遅らせてもらうように交渉すべきでしょう。
しかし、重要事項説明の時点で、そのような問題点に気づかず、家主から家賃の請求をされてはじめて気づくような場合には、仲介業者の重要事項説明が不十分であったということで、仲介業者に掛け合うことになるでしょう。
いずれにしても、家主から請求されるままに支払うのではなく、仲介業者を通しながら、仲介業者の説明不足を訴えて、家賃の支払いを実際の入居日からになるように交渉することが必要でしょう。
(2)契約の開始が3月25日となっていたが、実際に入居する4月に変更を申し入れたが、家主は聞いてくれなかった。家主に従わざるを得ないのか?
→ 契約をいつから開始するかというのは、家主と借主との協議で決めることですが、実態としては、家主が一方的に決めた契約開始日を借主が承諾するかどうかの判断をするだけでしょう。
「契約の開始が3月25日になっていた」ということを知ったのが、契約の開始前であれば、借主から変更を申し出て、家主が受け入れてくれなければ契約しないという方法もありますが、契約したあとで、借主から変更を申し出ても、いったん契約として確定していますから、家主が受け入れてくれなかったとしても、家主が悪いわけではありませんので、家主に従わざるを得ないでしょう。
(3)契約の開始が4月5日となっていたが、3月末に入居したいので、家主に申し入れたが、家主に断られた。家主に従わざるを得ないのか?
→ 前項と同じような問題に見えますが、実は、かなり性質の異なる問題です。
前項の場合には、家主次第で変更が可能な場合が多いと思いますが、入居日を早めるというのは、不可能なケースが多いからです。
というのは、通常、前の入居者の退去後、クリーニングや内装の張替えなどで1週間程度の期間を見ておく必要がありますので、もともと入居可能日は、前の入居者の退去の1週間程度後に設定されていることが多いからです。
借主の立場からすれば、「たった数日早くしてほしいだけなのに‥」ということであっても、物理的に入居が不可能なケースが多いからです。
また、内装の張替えなども、実際には1日程度で終わるにしても、ピーク時期には、内装業者の職人さんの日程調整が難しく、特定の1日だけで工事予定を組むのが難しく、「○月○日から○月○日の間で工事を終わるようにしてほしい」という依頼の仕方が多いからです。
解約
(1)申込金を支払っただけなのに、業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら申込金は没収する」と言われた。業者の言い分は正しいか?
→ もともと、仲介業者が申込金などを受け取ることは望ましいことではないとされています。
しかし、借主が物件を押さえておくために、特別に依頼したような場合には、例外的に申込金などの受取を認めています。
その際、お金の有効期限やキャンセルの際に返還すること、契約に結びつく場合には契約金に充当することなどを明確にしなければならないとされているのです。
従って、申込金、申し込み証拠金、預かり金、予約金など手付金以外の名目で業者が受け取ったお金は、原則として、借主からキャンセルする場合には、返金しなければなりません。
また、手付金以外では契約成立とはなりませんので、業者の言い分そのものが間違っています。
しかし、業者の中には、素直に返還に応じない業者もありますので、その際は、「手付金以外の名目で受領したお金は返還すべきであり、どうしても返還しないというのなら、都道府県庁の監督窓口(建築指導課など)に相談する」というように言えば、返還に応じるものと思います。
(2)手付金を支払っただけで契約書には署名捺印まではしていないのに、業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら手付金は没収する」と言われた。業者の言い分は正しいか?
→ 通常の契約の場合には、諾成契約と言って、一方の「申し込み」と他方の「承諾」があれば、お金のやり取りがなくても契約が成立しますが、賃貸借契約の場合には、手付金というお金を支払うということで、借主の意思を明確にし、家主に対しても安易に契約を反故しないようにさせるようにしています。
つまり、賃貸借契約の成立には、手付金の授受が必要なのです。従って、手付金を支払えば、契約書に署名捺印していなくても、契約そのものは成立しているわけです。
問題は、手付金は、本来、家主が受け取るべきお金ですから、仲介業者に支払ったお金が、手付金として認定されるかどうかということになります。
この点は従来曖昧なままでしたが、仲介業者が、手付金として受け取るためには、家主から、手付金授受の代理権を得ていることの証明を提示しなければならないとされています。
つまり、代理権も何もないのに、業者が勝手に「手付金」と呼んでいたとしても、それは法的には、手付金とは認められず、単なる預かり金に過ぎず、従って、キャンセルする場合には返還しなければならないということです。
これらの点から、仲介業者の言い分が正しいかどうかを判断してください。
仲介業者の言い分がおかしいのに、お金の返還に応じない場合には、都道府県庁の業者監督窓口に相談してください。
(3)契約金は全額支払ったが、契約書には双方の署名捺印はまだだったのに、業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら敷金以外返金できない」と言われた。業者の言い分は正しいか?
→ 賃貸借契約そのものは、借主が手付金を支払い、家主がそれを受領することで成立します。
契約書は、成立した契約内容を文書で表したものであり、契約書を交わしていなければ契約が成立しないというわけではないのです。
手付金だけ納めていたような場合のキャンセルでは、手付金の放棄だけでよいのですが、契約金の残金も支払われていますので、キャンセルする場合には、手付金の放棄だけで済むかどうかがポイントになります。
つまり、前家賃や礼金、火災保険料、仲介手数料などについての返金があるかどうかということです。
「前家賃」は、物件として利用収益していない以上、返還すべきでしょう。
「礼金」は、法律上の定めのないお金ですので、家主との交渉次第ですが、キャンセル時期が入居日に近ければ、返還交渉は困難でしょう。
法律に定めていないお金であり、「家賃の一部」という考え方をとれば、返還すべきということになりますが、慣習的に支払われているお金ですので、家主が返還しないと言えば、「返せ」と言っても認められないでしょう。
「火災保険料」は、契約期間が始まっていないので、返金してもらうべきでしょう。
「仲介手数料」は、契約そのものは成立していることから、契約成立に関わった仲介手数料の支払いはやむを得ないという考え方と、契約が完了していない(入居していない)ので仲介手数料の支払いは不要であるという考え方があります。
従って、「業者の言い分は正しいか?」という質問に対する回答としては、「必ずしも正しいとは言えないが、返金のためには強い交渉が必要」ということになります。
(4)契約金は全額支払い、契約書も交わしていたが、まだカギは受け取っていなかった。業者から「契約は成立しているのでキャンセルするなら敷金以外返金できない」と言われた。業者の言い分は正しいか?
→ 前項と同じような質問に見えますが、カギの受取だけがまだというケースです。
契約書も交わしているということですので、前項よりも、キャンセルするペナルティーとしては大きくなるでしょう。
そして、もっとも重大なポイントとしては、本来のカギの受取日(契約開始日)との関係です。
つまり、「カギを受け取っていない」という時点が契約開始日より前であれば、前項と同じように、家主との間で粘り強い交渉が必要となるでしょう。
ところが、「カギを受け取っていない」のが、契約開始日当日のことである場合、つまり、契約開始日になったものの、まだカギを受け取っていなかっただけというような場合は、契約そのものは開始されていますので、「敷金以外は返金する」というのであれば、まだましであるということになります。
なぜなら、契約開始後のキャンセルとみなされれば、「契約期間中の途中解約」扱いとなりますので、違約金まで支払う義務が出てくるからです。
まして、「カギを受け取っていない」と言っても、すでに契約開始日が過ぎていたような場合には、途中解約扱いになってしまいますので、違約金まで支払う必要がでてくるのです。
(5)家主に手付金を支払い、契約するつもりでいたが、予定していた連帯保証人から保証を拒否されたため、家主に、「連帯保証人を立てられないので、契約を諦める」と言ったところ、家主は、「契約できないのは残念だが仕方ない。ただし、手付金は没収する」と言ってきた。しかし、連帯保証人を付けるという条件付の契約の場合は、その条件が満たされない場合には、契約そのものが成立していないはずなので、手付金も返還されるべきだと思うのだが‥。
→ 不動産の賃貸借契約においては、連帯保証人を付けるのは一般的なことです。
連帯保証人を付けるという条件付の契約に違いないのですが、これは、「停止条件付契約」ではなく、「解除条件付契約」です。
「停止条件付契約」という場合には、条件が成就されたときにはじめて契約が有効に成立することになりますが、「解除条件付契約」という場合には、条件が成就されなかったときに、契約そのものがなかったことになりますが、それまでは契約は成立しているのです。
連帯保証人を付けるという条件は、借主が連帯保証人を見つけられなかった場合、家主は、契約をなかったものとするか、契約そのものは維持しながら保証会社などの利用を迫るか、他の入居者を見つけにくいような場合には、連帯保証人なしに契約をそのまま生かすかなどの選択を行うことができます。
要するに、連帯保証人を立てられないというのは借主の事情に過ぎないわけで、契約そのものは成立していますので、手付金を放棄しないと契約解除はできないのです。
このことは、別の見方をすればよくわかると思います。
つまり、手付金を支払ったあとでも、借主が「保証人を立てられなくなった」と言えば、手付金の放棄をすることなく、契約を解除できるとすれば、あまりにも家主に不利な状況になってしまうのです。
その他のトラブル
(1)手付金を支払い、新築物件に入居する直前ですが、不動産業者から「家主からの希望で部屋を移動してほしい」という連絡が来ました。気に入った部屋から移動したくありませんが、何とかならないでしょうか?
→ 手付金が家主に渡った時点で、解約手付金を受領したことになり、契約が成立しています。契約そのものは、当該の部屋についてのものですので、「他の部屋への移動」というのは、厳密には、当該の部屋の契約解除ということになります。
解約手付金の受領後で、契約期間が来ていない時期ですので、家主から解約する場合には、「手付金の倍返し」が必要というのが原則です。
したがって、手付金の倍返しを受けて、他の物件を探すことは可能です。
しかし、他の物件を探すのではなく、同じ物件の他の部屋への移動で我慢せざるを得ない場合には、「手付金の倍返し」を受けると、他の部屋への移動を拒否される可能性があります。
そこで、家主側の要求に対しては、何らかの補償交渉を行う必要がありますが、家主がそれも拒否するような場合も考えておかなければなりません。
どうしても、その物件に住みたいというような場合、あまり厳しい要求を出すと、家主から契約解除される可能性が出てくるでしょう。そのあたりが検討のしどころです。
なお、管理会社の事務作業のミスによって、部屋移動が発生した場合でも、管理会社としては、「家主の都合で」と言ってくるような場合もありますので、実際の事情はどうなのか、補償についての家主の考え方を確認するうえでも、直接、家主に確認するようにしたほうがよいでしょう。
管理会社に家主の名前・住所を確認してください。
あるいは契約前に仲介業者で受けた重要事項説明書で、家主の名前・住所を確認してください。
(2)契約時に合鍵一本渡されましたが、合鍵作製は拒否されてしまいました。合鍵作成は許可がいるものなのでしょうか?
→ まず、部屋の鍵の性質から考えてみましょう。
部屋の鍵というのは、入居者が安全に生活できるように、家主が、民法上の「使用収益させる義務」の一環として用意したものです。
借主には、部屋の鍵を、「善良なる管理者の注意義務」をもって使用・保管する義務があります。そして、「善良なる管理者の注意義務」の観点から考えれば、借主がむやみに合鍵を作製することは許されないと言うべきでしょう。
つまり、借主は、カギについては、使用・保管することが許されているだけで、家主に無断でカギを交換したり、複製を作ることは許されないのです。
家主としては、家主の知らないところで、合鍵が作製されていれば、入居者以外が合鍵を入手する可能性があり、入居者に対する安全配慮義務も果たせなくなる可能性があります。
別の角度からこの問題を考えてみましょう。
部屋の鍵は、室内で利用するのではなく、室外で利用するわけですが、室外はすべて共用部分ですので、借主には、単に、利用する権利しか与えられていません。
ちなみに、これは、分譲マンションであっても同じことで、たとえば、分譲マンションの区分所有者であっても、玄関ドアの外側の色を勝手に変更することは許されないのです。
つまり、部屋の鍵は、共有部分に属するものと言えますので、借主が勝手に複製を作ることは許されないのです。
ここまでは一般論です。
しかし、万一、ご相談者がお住まいの物件がファミリータイプの物件であるのであれば、上記の原則を修正する権利が出てくる可能性が大きいでしょう。
というのは、ファミリータイプの物件の場合、その物件に住む家族のそれぞれが合鍵を持たないと、実生活上の支障が生じる恐れが大きく、一つの鍵しか持てないとすれば、家主の「使用収益させる義務」を全うすることができないからです。
ファミリータイプの物件であるにもかかわらず、家主が鍵の複製を拒否する場合には、借主は、家主に事情説明し、合鍵作成の覚書などで、「やむを得ず鍵の複製を作るが、退去時にはすべての複製鍵を家主に提供する」ことを約束してから、合鍵作成を行ったほうがよいでしょう。
したがって、単身者用の物件とファミリー用の物件では、合鍵作成についての考え方はまったく異なるということになります。
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