失敗しない「不動産業者」の選び方

――「不動産業者」の種類や違いを理解しよう

1.物件を紹介しているところの違いを知ろう

 「住まいをどこで探すのか?」を検討する場合、まず、その前提として「どこで住まいの紹介をしているのか?」を知っていなければなりません。

 そして、紹介しているところによって、どのような違いがあるのかを知っておかねばなりません。

 まず、「どこで住まいの紹介をしているのか?」という点です。

 「新入生の部屋探しのポイント」でも少し触れたように、新入生の住まいの紹介は、不動産業者に限らないのです。

 大学・学校自体が紹介している場合、大学生協が紹介している場合などがあり、そして、中には家主が直接紹介していることもあります。

 次に、紹介しているところによる「違い」についてです。

 不動産業者の場合は、あとで詳しく述べますので、不動産業者以外での住まい紹介の「違い」に焦点を絞りましょう。

 第一番目は、大学や学校自体が住まいの紹介をしている場合です。

 この場合、大学や学校は、地元の家主さんたち(一部の不動産業者も含むこともあります)に対して、学生のために物件情報を提供してくれるよう、「住まいの登録」を受け付けます。

 福利厚生の一環で紹介していますので、家賃や礼金などで制限を設けていることもあります。

 いずれにしても、大学や学校では、登録された物件の情報について簡易に調査した上(通常現地調査は行われないことが多いようです)で、物件の掲示を行ったりして、学生に住まいの紹介を行います。

 宅地建物取引業者としての事業ではないため、通常、紹介手数料は無料です。

 しかし、ふつうは、住まい紹介のために特別なスタッフがいるわけではないので、特別なサービスを求めることはできません。

 例えば、住まいの契約はすべて直接家主と行い、物件に関するクレーム等は大学に持ち込まないこと、日曜日等には紹介は行わず、比較的紹介時間も限られていることが多いようです。

 第二番目は、大学生協が住まいの紹介を行っている場合です。

 この場合、大学生協によってかなり紹介方法が異なっているのが現実です。

 大学生協は、宅地建物取引業者として登録を受けて住まいの紹介事業を行っているところと、協定した不動産業者の紹介を行っているところに大きく二分されます。

 また、大学と並行して住まいを紹介している場合と、大学から「住まい紹介業務の移管」を受けて、大学に代わって住まいを紹介している場合など、さまざまなバリエーションがあります。

 大学生協は、学生や教職員が出資して、自らの「要求の実現」のためにさまざまな事業活動を行っていますが、その一環として住まいの紹介事業を行っています。

 斡旋手数料を取ることが多いのですが、一般業者よりも割安になっていることがほとんどです。

 しかし、一般業者と異なるのは、一般業者がどちらかといえば、「家主の代理」として「借り手を募集」するのに対して、出資者である学生(新入生も含みます)の利益のために、「貸し手(家主)を募集」するというスタンスの違いです。

 住まいの紹介の現場では、一般業者との違いはほとんどないように見えますが、住まいのトラブルなどが発生したときの解決の仕方が大きく異なっているといえます。

 住まいのトラブルの多くは、入居者である学生と家主との間で起こることが多いのですが、トラブルが発生したとき、大学生協は、学生の立場から、「家主を説得することで解決する」というのが基本ですが、一般業者の場合には、家主の立場から、「入居者を説得することで解決する」ということが少なくありません

 もちろん、一言で「業者」と言っても千差万別であり、中には、大学生協以上に、丁寧に対応しているところもあります。

 問題は、一般業者の場合は、外からでは、丁寧に対応する業者かどうかという見分けが簡単にはつかないことです。

 第三番目は、家主が直接、住まいの紹介をしている場合です。

 地域によれば、家主や家主組合などが直接、住まいの紹介をしていたり、大学・学校の周辺で、新入生と思しき親子連れを見つけると、直接声をかけてくる家主がいたりします。

 家主との直接契約では、大学や大学生協、それに不動産業者の介在などが一切ないため、当然のことながら手数料などがかかりません。

 家主にとっても、不動産業者に支払う手数料が節約できるというので、熱心に新入生に声をかける人もいます。

 しかし、家主との直接契約は、不動産業者での契約以上に慎重にするべきです。

 ふつう、不動産業者や大学生協などを通して契約していると、入居者と家主との間で何かトラブルなどが発生したら、不動産業者や大学生協が介入してきます。

 そうすると、家主がある程度折れざるを得ないという場合も少なくありません。

 そこで、不動産業者や大学生協からの介入を嫌って、直接契約を行う家主がいます。「介入を嫌う」というのは、家主が自分の思うようにしたいからです。

 もともと、社会的な経験の乏しい学生と、長年、学生とのトラブルに対処してきた家主との直接交渉では、圧倒的に家主が有利な立場に立っています。

 その上、不動産業者や大学生協からの介入がなければ、学生との間でもめごとが発生してもまったく怖くありません。

 そこで、悪質な家主になると、不当な契約条件を押し付けてきたり、退去時の敷金精算をきちんと行わなかったり、無茶苦茶なことをしてくるのです。

 しかし、そのようなトラブルが発生しても、入居者の学生は、不動産業者や大学生協に仲介役を頼むこともできず、かといって、家主を相手取って訴訟に持ち込む勇気もなく、結局、泣き寝入りをせざるを得ないというケースがあるのです。

 つまり、「家主と直接契約する場合はリスクを覚悟せよ」ということなのです。
 
2.不動産業者の種類と特徴、問題点も知っておこう

 「新入生の住まいの紹介は、不動産業者に限らない」とはいっても、一般的に言えば、不動産業者で住まいの紹介を受ける場合も少なくありません。

 そこで、まず、不動産業者の種類とその特徴、そして問題点についての知識を得ましょう。

 住まいを借りるときに訪れる不動産業者には、大きく分けて、賃貸仲介業者と賃貸管理業者という2つの種類の業者があります

 まず一つ目は、賃貸仲介業者です。

 家主と借主の間に立って、物件の紹介を行う業者です。

 賃貸仲介業者の中にも、いくつかのタイプに分かれます。大雑把に区分すれば、家主から直接依頼を受けて、主に依頼を受けた物件を紹介する元付業者と、家主からの依頼は受けず、借主の希望条件をもとに、あちこちの業者から集めた物件を紹介するブローカー的な客付業者です。

 前者と後者では、新入生が訪問したときの対応に違いが出てきます。

 まず、前者のタイプの元付業者では、新入生の希望条件を聞き取りながら、自社が扱う物件の中で、比較的条件の合う物件を紹介します。

 業者は、「自社扱いの物件の中で、訪問した新入生の希望条件が満たされるということを新入生とその保護者に納得させる」ことに専念します。

 言い方を代えれば、新入生の希望条件に合う自社扱い物件がなくても、逃げられないように、手持ち物件でその条件がほとんど適うということを言葉巧みに説得しなければなりません。

 もちろん、同じ元付業者であっても、新入生の希望条件に合わなければ、自社物件以外の物件をていねいに探す業者と、とにかく強引に自社物件に誘導しようとするような業者に一応は分かれます。

 それでも、いくら良心的な業者でも、新入生の来店が残り少なくなったときに、自社物件にまだ大量の空室が残っていた場合には、多少強引にでも自社物件に誘導してしまうでしょう。

 従って、新入生が不利益を蒙らないようにするためには、取り扱っている物件数・部屋数、4月から入居できる空室数、さらには訪問時点での空室数がどれくらいあるのかを確認したほうがよいでしょう。ただし、素直に教えてくれるとは限りませんが……。

 そして、他の新入生に比べて、訪問時期が遅くなるようであれば、残り少ない物件に誘導されてしまう可能性がありますので注意が必要です。

 後者の客付業者の場合には、前者とは異なり、新入生の希望条件を比較的素直に聞いてくれる可能性はあります。しかし、問題点もなくはないのです。

 問題点の一つ目は、何かトラブルが発生したときに、どこがどのように責任を負ってくれるのかはっきりしないことがあることです。

 借り手と家主との間には、客付業者、元付業者、物件管理会社という性格の異なる業者がいくつも介在していることもあるからです。
 
 例えば、「住まいに欠陥がある」としてクレームを言ったときに、「うちは紹介しただけなので、クレームは家主(管理会社)に直接言ってくれ」などとしてきちんと対応しないなどのケースです。

 あるいは、クレームにきちんと対応する姿勢があったとしても、客付業者の発言力が弱く、結果的に納得できるような形での解決ができないこともあります。

 問題点の二つ目は、客付業者が、勝手に礼金などを上乗せしている場合があることです。

 例えば、家主(あるいは元付業者)からの条件は、「礼金10万円」となっているのに、客付業者が勝手に「礼金15万円」などと表示し、差額の5万円を不当に徴収しているようなケースもあります。

 家主や元付業者も、そのことに気づいていても、「まあ、お客さんをつけてくれたのだから……」として、黙認することが多いのです。

 従って、このような業者で物件の紹介を受けた場合は、客付業者のいないところで、家主や元付業者に、第三者を装ってさりげなく、「○○マンションの家賃・礼金等を教えてください」などと聞いてみてください。

 もし万一、客付業者の条件と異なっていたら、そのような業者で契約するのはやめましょう。

 そういう違いがなく、その業者で契約しようとする場合には、「トラブルが発生したらきちんと貴社の責任で対応しますか?」ということを念押ししておいたほうがよいでしょう。そこで、嫌な顔をするようなら、誠意のない業者だと思って間違いないでしょう。

 いずれにしても、元付業者にしても、客付業者にしても、それぞれに一長一短があるということです。

 そして、元付業者か客付業者のどちらであるのかを知るには、物件を紹介するパンフレットなどがあれば、電話で、「掲載されている物件のうち、貴社の専任物件と流通物件(オープン物件ともいいます)の比率はどれくらいですか?」などと聞いて、専任物件(自社のみで取り扱っている物件)が少なく、流通物件(どこの業者でも取り扱える物件)が多ければ、客付業者と考えたらよいでしょう。
 
 ちなみに大学生協などは、家主や不動産業者から登録を受けている場合には、元付業者的な性格を持っていますが、新入生の希望に合わせて、提携する数多くの不動産業者に照会していることが多いので、客付業者的な性格も併せ持っています。

 何より安心できることは、ふつう、家主との特別な契約関係はないので、家主に無理な義理立てをする必要がなく、強引に新入生を誘導する必要が一切ないことです。

 素直に、新入生の希望に合う物件を一緒に探すことが可能なのです。それに、トラブルが発生したときに、学内にお店があるのですぐに文句を言いに行くことができることもメリットでしょう。

 二つ目の業者は、賃貸管理業者です。

 賃貸管理業者は、原則として、自社が管理している物件のみの紹介ですので、物件については詳しい情報が得られます。

 管理業が本業なので、仲介時にボルようなことはまずおこないません。

 しかし、入居後や退去時などに、何らかのトラブルが発生した場合には、本来、家主(管理会社)と借主との間で、第三者としての調整役を行う仲介業者は存在しないことになりますので、よほどしっかりしていないと、借主に不利な解決しか行われないというトラブル事例も多数発生しています。

 注意事項として知っておきたいことは、宅地建物取引業法では、「不特定多数を対象にして、反復継続的に取引(賃借の代理や媒介を行うことなど)を行うもの」を規制対象にしていますので、賃貸仲介業者は適用されるのですが、賃貸管理業者は適用されないことです。

 つまり、賃貸管理業者との間で発生したトラブルについては、業者を取り締まってくれるはずの法律では面倒を見てくれないのです。
 確かに、多くの賃貸管理業者は賃貸仲介業者も兼ねていることが多いので、結果として、規制の対象とはなりますが、すべての賃貸管理業者が規制の対象になっているわけではないのです。

 そこで、賃貸仲介業を兼ねていない賃貸管理業者との間で、直接契約を行った場合、もしトラブルが発生しても、法律上の規制対象外であるため、借主が納得できるような形でのトラブルの解決が難しくなる可能性が高くなります。なお、これは、先に述べた家主と直接取引きした場合でも同じことです。

 もし、賃貸管理業者との間で直接契約を行う場合には、その業者が宅建業者であるかどうかを必ず確認しておく必要があるのです。

3.不動産業者の得意・不得意

 不動産業者の得意・不得意という角度から、不動産業者を区別してみましょう。

 まず、「大学や学校周辺の物件を探す」という場合には、大学や生協、そして、大学・学校の近くにある不動産業者に、たくさんの物件情報が集まっています。これらに絞って住まい探しを行えばよいでしょう。

 次に、「交通の便利な駅周辺の物件を探す」という場合には、その駅前でもっとも立地条件のよい不動産業者を訪問するのがよいでしょう。

 なぜなら、近隣の家主の多くは、一見客が一番来やすい場所にある業者に、斡旋の依頼をするからです。

 その次は、「地域を限定するのではなく、希望する条件にこだわって広い範囲で物件を探す」というような場合には、支店数の多く、情報がネットワークで結ばれている大手業者が便利でしょう。

 一人暮らし用の貸家や貸間を希望する場合には、大学や生協にしか期待できないでしょう。

 しかし、ファミリー向きの貸家となれば、地元で古くから営業している昔ながらの風情のある業者の方が、たくさんの情報を抱えている可能性があるのです。

 こうした業者の得意分野を知っておくと、住まい探しがスムーズにできるでしょう。
 
4.不動産業者の収益構造

 不動産業者の選択のためには、業者の収益構造を知っておくことも参考になります。

 そこで、ここでは大雑把に、業者がどのようにして利益をあげているのかを紹介しましょう。

 まず、賃貸仲介業者の場合です。

 宅地建物取引業法では、業者が仲介して契約が成立した場合にのみ報酬を請求でき(成功報酬といいます)、一般的には「家主・借主の双方から合わせて借賃の1ヶ月分」が限度ですが、住まい(事務所や倉庫ではないということです)の仲介では、依頼者の事前の承諾がなければ、片方から取れる報酬は0.5ヶ月分が限度であるという規定があります

 しかし、これは、法律上の規定であって、この規定を遵守している業者(大学生協も業者の一種と言えます)は、日本全国を見渡してもそれほど多くないのが実態のようです。

 業者団体はもちろんのことながら、行政もその点を知らないわけではありません。

 しかし、ほとんどの業者は、「みんなで渡れば怖くない」という調子だし、死活問題でもあるので、よほど国が覚悟を決めて取り締まる気がなければ、単に業界内に混乱を与えるだけになってしまうことから、黙認しているのでしょう。

 実態としては、借主から「借賃=家賃の1か月分」を、仲介手数料として徴収しています

 そして、家主側からは、仲介手数料の名目では法律違反になるので、広告費などの名目でやはり1か月分を請求しているのが「ふつうの業者」なのです。

 業界内において、悪質な業者というのは、「法律の規定に違反している業者」というのではなく、「家賃の1ヶ月分」を超えて、さまざまな名目でお金を巻き上げる業者のことなのです。

 一方で、新入生の立場から見た場合の悪質な業者というのは、それに加えて、家主からの広告収入が大きいからという理由で、条件の悪い物件を言葉巧みに押し付けてくる業者のことです。

 家主にとっては、一部屋を1年間空室のままにしておけば、年間数十万〜100万円くらいの収入がまったくなくなるということになります。

 そこで、新入生の希望に合わないような条件の悪い(遠い、狭い、暗い、古い、きたない、環境が悪い、家賃が高い)物件の家主は、不動産業者に通常支払う「家賃1か月分」ではなく、もっと高額の報酬の支払いを約束して、「何とか新入生を捕まえてくれ」と頼むのです。

 悪質な業者からすれば、新入生を1人でも契約できれば、新入生から家賃1か月分、家主から広告費として2〜3か月分、さらにさまざまな名目で費用の上乗せをすれば、「1件10数万円」という高額な報酬を得ることができるのです。だから、必死でキャッチセールスを行ったりするのです。

 「分かれ(「手別れ」と呼ぶ地域もあります)」という業界用語があります。

 これは、借主から取る手数料は客付業者がもらい、家主から取る広告費は元付業者が取るということを表していますが、こういう言葉が存在していること自体、本来、法律の規定からすればおかしなことなのですが……。

 次に、賃貸管理業者の場合です。

 この場合、業者の収益は、家主から徴収する家賃の数%〜10%程度の管理収入が主体となります。

 それに、管理業務、清掃業務やリフォーム業務などに付随する手数料などが加わります。

 管理収入は、いつも満室状態にしていないと費用の請求が難しくなりますし、空室が多ければ、管理委託契約の更新時に、家主から管理委託契約を解除されてしまう場合もあります。

 また、賃貸管理会社の多くは、宅建業の免許を持っていますので、新入生の契約を取れれば、仲介手数料を得ることもできるのです。

5.パンフレットの立派さだけで選ぶな

 入学試験などの際には、いろいろな業者が住まいを紹介するパンフレットを配布していることがあります。このような場合、パンフレットの立派さだけで選んではいけないのです。

 パンフレットに関するポイントの第一は、「パンフレットの体裁の立派さで選ぶな」ということです。

 パンフレットはお金さえかければ立派なものを作ることができます。

 家主から多額の広告費や協賛金を徴収すれば、その経費をまかなうこともできますし、礼金等を上乗せする業者なら、その分で分厚いパンフレットの発行も可能でしょう。

 一方、家主からの負担をそれほど求めず、礼金等を上乗せするようなあくどいこともしない業者では、立派なパンフレットは作れないでしょう。

 パンフレットに関する第二のポイントは、「条件のよい物件がたくさん掲載されているからといって安心するな」ということです。

 パンフレットに、条件のよい物件がたくさん掲載されていても、その業者と物件の家主との間には、まったく取引関係がない場合もあるのです。

 不動産業界には、不思議な常識があるようです。

 例えば、依頼も何もしていないのに、依頼者に無断で「自社物件」のように、不動産広告に掲載していることがあるのです。

 つまり、不動産業者にとっては、自社物件であろうがなかろうが、客付けさえできれば、手数料を稼ぐことができるという判断がはたらくのです。

 賃貸の場合も同様です。

 「おとり広告」とは言えないのですが、自社が直接取り扱っていない物件でも、条件のよい物件を家主に無断で掲載している場合もあるのです。

 そうすると、住まい探しをする新入生は、そういう事情を知らないので、「この業者は条件のよい物件をたくさん取り扱っている」と思って来店してくれるのです。

 来店してくれさえすれば、業者の勝ちです。

 自社物件でなくても、客付さえすれば、元付業者も「勝手に客付けするな」とは言わないことが多いのです。

 なぜなら、それが業界の常識だからです。

 元付業者にしても、家主側からの広告費は確保できるし、何よりも家主に対しての責任(とにかく空室をなくすこと)を果たすことができるのです。

 従って、パンフレットに、条件のよい物件がたくさん並んでいる場合には、こうした客付業者かどうかを確認しておく必要があるのです。

 確認方法は簡単です。

 掲載されている物件の空室状況がすぐに答えられるかどうかである程度判断できるのです。

 「空室がすぐにはわからない」という物件が多い業者は、客付け専業である可能性があります。

 こういう業者では、トラブルが発生したときの責任が果たせるのかどうかが心配です。見かけ上、条件のよい物件が並んでいるということと、安心して契約できるかどうかは別問題です。

 パンフレットに関する第三のチェックポイントは、「物件名を明示していない業者は注意せよ」ということです。

 なぜ、物件名を明示しないのかといえば、物件名を明示すれば、業者にとって不都合なことが発生するからです。

 「不都合」とは、例えば、礼金を上乗せしているような業者の場合、物件名を明示すると、他社のパンフレットにも掲載されている物件だと礼金上乗せがばれてしまう可能性があります。

 家主からクレームがくるかも知れません。

 また、物件を明示すれば、新入生は自分(や在校生への依頼)である程度の調査ができることもあります。勝手に調べられると何か不都合な点でもあるのでしょうか?

 確かに、「物件名の明示をしないほうが来店させやすい」ということもあるかもしれません。

 しかし、必要な情報をきちんと提供しない姿勢というのは、評価されるものではないでしょう?少なくとも、新入生(消費者)の立場にたっていないということは言えるでしょう。

 パンフレットに関する第四のチェックポイントは、「できるだけ情報の詳細を掲載しているかどうか」です。

 業者の立場からすれば、詳細な情報を出すことで、新入生が逃げていくより、都合のよい情報だけでイメージだけで来店してくれるほうがよいということになります。

 しかし、各業者のパンフレットを見ると、「情報公開」という姿勢にはほど遠いという場合も少なくありません。

 新入生の場合、第一章のなかで、ゆっくり時間をかけて物件を探すという余裕がないということを述べました。

 従って、一般の不動産広告以上に、「できる限り詳細な情報を提供する」という姿勢がほしいものです。

 ところが、お金に関する記載が不十分(更新料や火災保険料、その他必要経費の記載がないなど)だったり、設備に関しても、例えば「キッチンあり」というような表示はあっても、「ガスか電気か」、「一口か二口か」などの詳細については触れていないことが多いのです。

 洗濯機置き場があるかどうかの記載さえもないことがあり、まして「室内かベランダか」についての表示までされているのは非常に少ないのです。

 第五のチェックポイントとしては、「数多くの物件が掲載されているか」ということも一つの参考になります。

 しかし、自社物件以外にも勝手に掲載されていないかどうかを確認しないと、単純に、「たくさん掲載されているからよい」ということにはならないというのは先に述べたとおりです。

 そして、第六のチェックポイントとしては、「おとり広告ではないかどうか」です。

 「おとり広告」というのは、非常に条件のよい物件の情報を掲載しておきながら、実際には、そういう条件の物件は存在しておらず、まったく別の物件に誘導するという詐欺の手口です。

 当然のことながら、「おとり広告」は詐欺であり、犯罪です。

 従って、パンフレットで堂々とおとり広告を行うという場合は少なく、証拠が残りにくい、1枚もののチラシや道路上の立て看板などで行っていることが多いようです。

 インターネット上の情報にも、一部におとり広告があるようです。

 というのは、実際の地域の相場とはかけ離れているような、条件のよ過ぎる物件情報がホームページ上で紹介されていることがあるからです。

 おとり広告には、まず、物件名が書かれていません。「条件が特別によい広告で物件名の記載がないもの」はおとり広告の可能性があります。要注意です。

 なお、最近の「おとり広告」はかなり巧妙で、法律上の規定上は「おとり広告」とは言えないような「だまし広告」が増えてきています。

 たとえば、自社のホームページ上で、他業者の優良物件ばかりを数多く集めて無断で宣伝し、問い合わせがあった顧客を自社に誘導するという手口です。

 「おとり広告」は実在しないでっち上げの物件で誘導することですが、実在する物件を広告している以上、「おとり広告」ではないため、法的には罰することが困難です。

 中には、大学生協の管理物件を無断で掲載し、自社に誘導する悪質な業者まで実在するのです。

 大学生協からは、当然ながら、「扱っていない物件を勝手に掲載してもらっては困るのでやめてほしい」と警告を出すものの、宅建業法の「盲点」をついている(「違法行為」とは言えず、「脱法行為」なのです)ため、法律で新たな規制がかけられるまでは、平気で「だまし広告」を出し続けるのでしょう。

 他者に無断掲載された一般の管理会社の場合には、業界の慣習としてもよくあることだし、「何はともあれ、契約さえ取ってきてくれればどこでもオーケー」と考えている業者も多いのですが、「安心・安全」を重視する大学生協にとっては、信用問題に関わるゆゆしき事態なのですが、行政側も及び腰のため、なかなか解決しないのです。

 いずれにしても、パンフレットやホームページを見る場合、このようなチェックポイントを念頭において、検討した方がよいでしょう。

6.業者団体への加入知名度は当てにならない

 一般の住まい探しの場合には、業者団体への加入や全国的な知名度は、業者選びの一つのポイントとなります。

 しかし、新入生の住まい探しの場合には、ほとんど当てにはなりません。

 業者が業者団体に加入している場合、トラブルが発生したときなどに、業者団体に相談することができるというようなメリットは確かにあります。

 しかし実際問題として、業者が業者団体に加入しているからといって、学生が自分で業者団体に相談するというのは至難の技と言わざるを得ません。

 よほどの度胸がないと、一人で相談に行くのはたいへんでしょう。

 それに、大学生協などは、業者団体に加入していない場合も少なくありません。その場合、大学生協が業者団体に加入していないからといって、新入生から見て、何か不利益を蒙ることがあるとは思えないのです。

 全国的な知名度も当てにはなりません。その理由は主に2つあります。

 まず、一つ目は、住まい選びには全国的なスケールメリットは何もないからです。

 例えば、「全国で○万室を扱っています」というような場合でも、新入生にとって重要なことは、大学や学校周辺に、条件のよい物件をいくつ確保しているかということであって、全国のそれではないからです。

 そして、実際問題として、全国的な知名度のある業者よりも、大学や学校周辺で以前から営業している地元業者のほうが、条件のよい物件を多数確保しているケースが多いからです。

 二つ目は、いわゆるボランタリーチェーンの場合には、看板は全国で統一されていても、実際の経営者は個々ばらばらであり、一応の統一基準はあるものの、現実の経営方針や紹介内容はそれほど統一されてはいないからです。

 つまり、コンビニのように、全国的な同じ看板を掲げていても、コンビニのように統一した運営が貫かれているわけではなく、どちらかといえば、中小業者が共同で全国展開の宣伝しているものと考えたほうがよいからです。

7.良識やマナーに欠ける業者には近づくな

 不動産業者を選ぶ場合、良識や社会的なマナーにかける業者は避けたほうが無難でしょう。

 例えば、公道・電柱・バス停などに平気で看板を立てる業者です。

 当然のことながら、違法であることを承知して行っているのです。

 公道ではなく、民家の塀に勝手に看板を立てたりするような業者もいます。いくら、自社の利益のためとはいえ、やはりモラルを疑わざるを得ません。

 また、大学や学校周辺で強引に客引きしたり、他業者の悪口を言ったりするような業者も避けたほうがよいでしょう。

 業者のなかには、一人の新入生を捕まえれば大きな収入を確保できるというので、アルバイト学生などを大量に雇い、「1人お店に連れてきたらいくらやる」というお金で動員をかけている場合があります。

 こういう業者では、ありとあらゆる手を使って客引きを行おうとしています。ひどい業者になると、大学・学校の関連会社であるかのように装ったり、生協と紛らわしい名前を勝手に名乗ってお店に誘導したりするような業者もあります。

 一方で、競合する他業者や(大学生協との取引関係が一切ない業者では)大学生協の悪口を平気で言いふらして自社に誘導しようとする手合いも存在しているのです。

 大学生協は、学生の立場で斡旋するというのが原則ですから、良識のある業者なら、大学生協と取引できないはずはないのです。

 大学生協と取引しないのは、独自のポリシーを持っている業者か、大学生協が相手にしない業者かのどちらかといっても過言ではないでしょう。

 いずれにしても、「同業他社の悪口を平気で言う」というのは、どの業界においてもまともな業者ではないと思います。

 そういう輩(やから)を相手にしていると、あとでとんでもないトラブルに巻き込まれるかもしれません。絶対に避けておきたいものです。
 さらに、大学・学校構内などで、ゲリラ的に無許可で勧誘する業者さえあります。

 ふつう、大学や学校内で、不動産業者などが無許可で勧誘するというようなことは一切認めていないはずです。

 というよりも、そういう業者にかかわらないように注意を呼びかけていることが多いでしょう。

 にもかかわらず、大学や学校の警備がゆきとどかないところを見計らって、構内で平気で勧誘する業者がいるのが現実です。

 しかも、こういう業者はずる賢いことに、その大学や学校に在籍する学生アルバイトを雇い、パンフレットやチラシを持たせてバッグに入れて歩かせ、新入生と思しき人を見つけると、おもむろにバッグの中からパンフレットを取り出して勧誘するのですから始末におえません。

 中には、同じような手口を行う家主もいるので、これにも注意が必要です。条件のよい物件の家主なら、そんなことをしなくても、新入生はちゃんと選んでくれるはずです。

8.学校が協定していたり推薦していたりする業者か?

 不動産業者を選ぶ際、ぜひとも大学や学校に聞いておきたいことがあります。

 それは、「大学や学校が協定していたり推薦していたりする業者はありますか?」ということです。

 もし、協定していたり、推薦していたりする業者があれば、そうした業者で物件の紹介を受けるほうがよいのに決まっているからです。

 多くの大学や学校周辺には、数多くの不動産業者が存在しています。ふつう、大学や学校は、最初から、どこかの不動産業者を推薦することはありません。

 ところが、大学や学校がまったく関知しない場合、いわば、業者による「客の奪い合い」が起こることも少なくありません。

 そうなると、客引き合戦で業者同士がトラブルを起こしたり、強引な客引き行為が目立ってきたりするのです。

 そして、新入生や保護者から、大学や学校に、「行儀の悪い不動産業者を何とかしろ」とか、「大学のイメージダウンにつながる」というような苦情が数多く持ち込まれることになるのです。

 その結果、大学や学校、特に私立校などでは、地元の業者にかけあって、新入生が不利益を蒙らないように、いくつかの項目からなる協定を結んだり、ルールを守ることを約束した業者を推薦したりするのです。

 その項目とは、例えば、「強引なキャッチセールスはしない」、「パンフレットの配布は指定場所でしか行わない」、「学生との間で発生したトラブル等は誠意を持って解決することとし、すみやかに大学に報告すること」、「紹介手数料は通常よりも割り引くこと」などです。

 いずれにしても、大学や学校と協定していたり、推薦されていたりする業者があれば、その業者で物件の紹介を受けたほうが、トラブルが発生したときなどに、誠実に対処してくれる可能性が高くなるでしょう。