あわただしい入居当日をうまく乗り切るために

――入居日当日に必ずやるべきこと

1.カギの受け取り

 入居当日に、真っ先に行うのは、入居する部屋のカギの受け取りです。

 その際、注意しておきたいことは、カギの受け取りに予想以上に時間がかかることがあることです。

 なぜなら、大勢の新入生も同時にカギの受け取りに来ることが多く、カギを受け取るまでに、待ち時間が長くなることがあるからです。

 一つの物件のカギ渡しを行っている家主の場合には、カギ渡しに時間がかかるというケースはそれほどないでしょうが、多くの物件を扱う管理会社の場合には、長時間かかることがあります。

 そこで、管理会社でカギを受け取る場合には、事前に管理会社に、「○月○日にカギを受け取りに行きますが、カギ渡しにはどれくらいの時間がかかりますか?」ということを確認しておいた方がよいでしょう。そして、場合によれば、カギを受け取る日や時間帯をずらした方がよいでしょう。

 カギの受け取りと並んで、生活に関する注意事項についての説明が行われることが多いので、その説明もきちんと正確に理解するようにしましょう。

2.必要なものから片付けよう

 さて、カギを開けて室内に入って、まず行うことは何でしょうか?まずは、配電盤を開け、電気のブレーカーを上げて、「ON」にして、電気が使える状態にします。

 次に、入居した物件に、オートロックと連動した電話回線の設備がある場合には、電話機の接続を行わなければなりません。そうしないと、引越し業者のトラックなどが到着しても、室内にいる入居者に連絡できないからです。

 その次は、明るいうちに、部屋の天井に照明器具を取り付けましょう。もちろん、最初から、照明器具が取り付けてある場合には、取り付ける必要はありません。

 ある新入生は、あたりが暗くなってから、そろそろ照明をつけようと電灯のスイッチを入れたときにはじめて、天井に照明器具がないことを発見し、一晩、真っ暗なままで過ごす羽目におちいってしまいました。

 そこで、そういうことがないように、部屋に入ってすぐに、照明がつくようにするのです。

 その際、天井が高くて、照明器具がつけられないというケースも考えられるので、前項で述べたように、実家などから小さな脚立を用意してくるとか、肩車で代用するというようなことも考えておかなければなりません。

3.電力会社への連絡・ガス開栓の立会い確認

 電気については、配電盤のブレーカーを上げるだけで使える状態になるケースが多いのですが、入居者(電力会社との契約者)が替わったことを、電力会社に必ず連絡しましょう。

 ガスについては、開栓のための立会い確認があります。事前に、連絡を入れているはずですので、約束した時間には、立会い確認できるように準備をしておきます。

4.入居時の傷の確認

 一般社会人の入居の場合には、家主や管理会社の人が、部屋の傷などの確認のために立会いをしてくれることが多いのですが、学生の入居の場合には、めったに立会い確認がありません。

 その理由は、一度に大勢の学生が入居してくるために、立会い確認することが事実上不可能な場合が多いからです。

 しかし、だからといって、部屋に傷や汚れがあるのに、何もしなければよいというものでもありません。

 管理会社などの中には、学生の住まいには特殊事情(立会い確認が事実上不可能なこと)があるために、入居後、入居者自身がすみやかに点検を行い、その点検結果を管理会社に報告してもらうシステムを取り入れているところもあります。

 このようなシステムでは、管理会社として、きちんと確認しておいた方がよいと思われる点については、後日、入居者の申告通りかどうかの確認が行われ、その結果、入居者の申告通り、入居者が入居する前から存在していた傷や汚れが確認されれば、その分については、当然のことながら、入居者の責任ではないことが証明されるのです。

 あるいは、管理会社でもあらかじめつかんでいた傷や汚れの場合には、わざわざ確認のための訪問は行われませんが、入居者本人は、報告書の控えを保管しておけば、退去時に、入居者本人が「無実」であることを証明できるわけです。

 こうしたシステムのある物件で、入居者が邪魔くさがって、報告書を提出しないケースもありますが、その場合には、自分が傷をつけたりしていなくても、入居者の責任にされてしまう可能性がありますので、必ず、報告書は提出しましょう。

 問題となるケースが多いのは、立会い確認もなく、入居者による申告書の提出システムもない物件です。

 このような物件では、入居者は、自己防衛(自分がつけてもいない傷や汚れを証明する)のために、傷や汚れのあるところがよく写るように、日付入りのストロボ付カメラで撮影を行うのです。

 そして、後日、問題となりうる部分については、家主や管理会社に写真を渡し、「ここにこのような傷・汚れがあるので確認してほしい」と言い、室内の確認を要請します。

 それができないというのならば、「では、この傷や汚れは私がつけたものではないという証明書を発行してほしい」などと言ってください。

 たとえ、証明書を発行してくれなくても、きちんと言っておけば、退去時に、身に覚えのない傷・汚れについての責任追及をされることはなくなるでしょう。

 家主や管理会社は、きちんとした入居者にはきちんとした対応をすることが多く、いい加減な入居者には、場合によれば「吹っかける」というようなこともあるのです。

 あるガイドブック(『部屋探し・賃貸バイブル』実務教育出版)では、前の入居者が退去したときの退室精算書を家主に頼んで見せてもらいましょうというようなことが書かれていました。

 簡単にできるかどうかはともかく、言ってみるだけの価値はあると思います。

5.隣室・上下階の人への挨拶

 引越し当日の1日の作業が一通り終わったら、夜遅くなる前に、両隣、そして部屋のちょうど上下階に当たる部屋の入居者に対して、引越しの挨拶を行いましょう。

 挨拶内容は簡単でよく、「本日、○号室に引越ししてきた○○です。○○大学の新入生です。よろしくお願いします」というくらいで十分でしょう。このときの手土産などはなくてもかまいませんが、実家のある郷土のお菓子やタオル、せっけん、ティッシュペーパーなどの消耗品がよいでしょう。

 挨拶の重要性については、学生の住まいのトラブルで最も多い騒音トラブルを予防するという点でも見逃せません。

 住宅問題に取り組んでいる小菊豊久氏は、次のような調査結果を紹介しています。

 「隣近所でもまったく知らない人が出す音に対しては、約65%の人が『うるさい』と感じるという。ところが、あいさつを交し合う関係になると、35%ほどに減り、立ち話をする間柄になると20%程度になったというのだ。騒音問題は人間関係とも密接に絡んでいる。」(『マンションは大丈夫か』文春新書、2000年、P137)

 このような挨拶は、タイミングをはずさないようにしておくことが肝心です。

 いったん、タイミングをはずしてしまうと、なかなか挨拶することができず、あとあと何かトラブルが発生して初めて顔を合わすというのは、お互いに気まずいものです。一人暮らしの第一歩は、やはり挨拶から始まるのです。