入居日までの諸準備について

――入居日までに確実に押さえておきたいこと

1.生活用品の準備

 前項までで、一応住まいも決まり、あとは入居日を待つということになりますが、入居日までにやらなければならない諸準備があります。これらの諸準備についても、一通り学習しておきましょう。

 まず、これから住むことになる住まいでの生活用品の準備です。

 物件の下見時に室内見学ができたときには室内の各部分の寸法を測っていたはずですが、室内の見学ができなかったときは、家主や管理会社に問い合わせて、各部分の寸法を教えてもらう必要があります。

 もう一度おさらいしておくと、必要な情報としては、居室の縦・横のサイズ、窓の位置と縦・横のサイズ、電気コンセントの位置と数、電話やテレビアンテナの端子口の位置、冷蔵庫や洗濯機置場のスペースの縦・横・奥行きなどです。

 次に検討したいのが、どのような生活を行うのかという、ライフスタイルについてです。

 よく自炊をするつもりなのか、それともあまりしないのか、ベッドで寝るのか布団で寝るのか、机で勉強するのか、それともコタツなどで食事場所と兼用するのか、掃除や洗濯は日中にするつもりか、それとも夜にするつもりか、パソコンをよく使うのか、それとも必要最少限かなどについてです。

 ライフスタイルははっきりしている方が、無駄な家具や家電製品を購入することがなくなりますし、部屋を広く使うこともできます。

 例えば、自炊をする人としない人では、必要となる冷蔵庫の大きさや冷凍室と冷蔵室の比率にも違いが出てきます。

 というのは、自炊をよくする人は、冷蔵庫自体の大きさも大きめ(120リットル以上はほしいでしょう)で、冷凍食品を保存しておくために、ある程度の大きさの冷凍室が必要ですが、自炊をしない人の場合には、冷凍室は氷とアイスクリームなどの保存くらいで、冷蔵室も、飲み物を冷やせるだけのスペースがあればよいのです。

 また、掃除や洗濯も、日中にする場合には特に問題がなくても、夜に行う予定の人は、音の静かな製品やモップなどを選ばないと隣近所から苦情が来る可能性があります。

 さらに、パソコンをよく使用する予定の人やコタツでは勉強しにくいと考える人の場合には、パソコン利用も可能なデスクを用意したほうがよいでしょう。

 ライフスタイルをある程度想定できれば、今度は、室内各部の寸法をもとに、方眼紙などを利用して居室の縮小図を描き、同じ縮尺で作成した家具や家電製品をかたどった厚紙を置いてみましょう。

 その際のチェックポイントは、コンセントや端子口のそばにちゃんと置けるかどうか、置くべきスペースに無理なく納まるかどうか、ドアの開閉などに支障が出るようなことはないかどうか、生活動線上、無理な配置にはなっていないかどうかなどです。

 こうして、あらかじめ家具や家電製品の配置を決めておけば、スペースに納まらない家具をなくなく実家に引き上げてもらったりすることもなく、また、引越し作業も楽に行うことができます。

 その次は、家具や家電製品を選ぶためのコツを知っておきましょう。

 それは、すぐに生活に必要なものを優先し、あとからでもゆっくり検討できるものは後回しにするということです。

 すぐに生活に必要となるものは、物件によって異なりますが、一般的に言えば、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ベッドまたは布団類、そして電話や携帯電話等の通信手段などです。

 家具や家電製品をどこで準備するのかという点も、その長所と短所をきちんと押さえておかねばならないことです。

 一般的には、準備方法として、次のように区分できます。@実家にあるものを持参する、A実家周辺のお店で購入する、B(大学に生協や購買部がある場合には)大学生協や大学の購買部で購入する、C住まいの周辺のお店で購入する、Dリサイクルショップなどで購入する、E(大学などでリサイクル市などを行っている場合には)リサイクル市で購入するなどです。

 もっともよいのは、@の「実家にあるものを持参する」ということでしょう。

 入学時は何かとお金がかかります。無理に購入しないでも、実家にあるものを持参することができれば、その分のお金を節約することができます。

 Aの「実家周辺のお店で購入する」という場合、必ずチェックしておきたいのは、配達日や時間帯が指定できるかどうか、配達料がかかるかどうか、組み立てや配線が自分でできない場合にはどのようなフォローをしてくれるのか、商品がもし不良品であった場合にはどのように交換してくれるのか、故障などの際のフォローはどのようにしてくれるのかという点です。

 これらの点を確認しておかないと、いくら安く購入したつもりでも、あとあとのトラブルフォローがないと、かえって高くつくことになるでしょう。

 配達日や配達時間の指定もできないと、新学期のあわただしいスケジュールの中で、ずっと配達されるまで下宿で待機していなければなりません。

 Bの「大学生協や大学の購買部で購入する」という場合、価格については激安とは言えませんが、学生自身が製品開発に関わった、使いやすい製品があったり、あとあとのトラブルフォローの点で安心できるでしょう。また、家電製品から家具類までを一括して揃えられるので、荷受が1回で済むというメリットがあります。

 Cの「住まいの周辺のお店で購入する」という場合には、トラブルフォローの面で安心できるケースが多いと思いますが、購入時期によれば、自分が希望する商品がない場合が出てくる可能性があります。

 Dの「リサイクルショップなどで購入する」というのも、これからはもっと積極的に考えていきたいことです。しかし、自分が希望する商品が必ず見つかるとは限らず、商品保証も限定的なことがあります。

 Eの「(大学などでリサイクル市などを行っている場合には)リサイクル市で購入する」という手も悪くありませんが、どこの大学・学校でもやっているとは限らず、しかも、その多くは4月初旬の特定日のみの実施という場合が多いようです。その上、購入希望者が多いので、人気商品については抽選になったりします。抽選にもれれば、結局は、他のお店で探すしかありません。

2.電気・ガス・水道の手続き

 入居当日から電気・ガス・水道が使えるように、これらについても、必要な手続がある場合には、忘れずに手続をしておかなければなりません。

 ただし、実際の手続は、入居者本人が行う場合、家主が代行して行う場合、管理会社に連絡すれば管理会社が行ってくれる場合など、さまざまなパターンがあります。

 そこで、自分が住む物件がどのようなパターンなのかを、家主や管理会社に確認しなければなりません。

 もし、「入居者本人で手続を行ってください」というのなら、どこに連絡すればよいか、連絡先と電話番号を確認しましょう。

 電気・ガス・水道の中で、もっとも重要なのは、ガスに関する連絡です。というのは、ガスについては、指定のガス工事会社による立会い開栓作業が行うことが多いからです。入居当日に連絡したのでは、当日には間に合わないというケースもあるのです。

 電気については、ほとんどの場合、入居当日、配電盤を開け、ブレーカーを上げて「ON」にするだけで使えるケースがほとんどです。

 しかし、入居当日に、必ず、電力会社の営業所に連絡しておかなければなりません。なぜなら、前の入居者が退去日を連絡していないケースがあり、電力会社では、次の入居者に代わった正確な日がわからないために、前の入居者が使用した分についても、次の入居者に請求してしまう可能性があるからです。

 水道については、通常は、特別な手続を行う必要はありません。

3.電話の手続き

 電話の手続については、住まいによっては、一切手続が必要でないこともありますので、まず、自分が住む物件の電話設備がどのようになっているかの確認が必要となります。

 電話の設備が「引込可」などとなっている場合には、電話を部屋まで引くためには、通常は、電話加入権を用意しなければなりません。

 電話加入権は、NTTに直接申込むと、7万円以上かかりますが、不動産業者や大学生協など、「名義変更物件」、いわゆる中古加入権を販売しているところで申し込むと、格安で手に入ります。

 中古だからといっても、電話回線が中古であるわけではなく、使用時の違いはまったくありません。違う点としては、NTTに直接申し込んだ場合には、電話工事日がその時点で決定されるのに対して、中古加入権の場合には、電話加入権の取次会社を通じるために、数日後の連絡となることが多いことです。

 また、中古加入権の場合には、電話番号を選ぶことができないということも特徴です。

 現在、ほとんどの学生が携帯電話を持っています。

 そこで、住まいには電話回線を引かず、携帯電話だけで生活する人もいます。

 しかし、インターネットを利用して情報の受発信を行うのが当たり前になりつつある世の中なので、携帯電話だけでは、通信コストが非常に高くついてしまいます。

 就職情報も、インターネット上しか入手できないという企業も出てきています。企業側からすれば、インターネットも使いこなせない学生は不要だという意思の表れでしょう。そこで、いずれは、インターネット接続のための手続きを行うことになるでしょう。

4.掃除・洗濯・炊事等の練習

 親元から離れて、はじめて一人暮らしをする人が大半だと思います。

 一人暮らしをするまでは、掃除・洗濯・炊事はもちろん、身の回りの世話のほとんどを、親、特に母親に頼っていた人が多いでしょう。

 しかし、一人暮らしをすると、そういうわけにはいかなくなります。原則として、身の回りの世話は自分がするしかないのです。

 そこで、一人暮らしを開始する前に、掃除・洗濯・炊事の基本について、母親などから、しっかりと教えておいてもらうようにしましょう。

 「掃除・洗濯・炊事の練習」などというと、多くの学生は、「いまさら、特別な練習などしなくても、いざとなればできる(はずだ)」と思い込んでいます。

 しかし、何事にも基本があるのです。きちんと基本を身につけていないと、とんでもないミスを犯したり、お金を無駄にしたり、人に迷惑をかけることもあるのです。

 例えば、ある学生の場合には、お米を洗うのに食器洗い洗剤を使っていましたし、ある学生は、深夜に電気掃除機を使い、近隣住民からきついお叱りを受けました。

 まとめ買いした方がよいものとまとめ買いをしない方がよいものの区別についても、教えておいてもらいましょう。まとめ買いをした方がよいものはたくさんありますが、まとめ買いをしない方がよいものとしては、お米が代表例としてあげられます。安いからといって10キロ入りを購入すると、保管場所に困るのと、精米後のお米は日が経つと味がだんだん落ちてくるのです。

 特に、自炊をする人は、常温で保存しておくものと冷暗所で保存しておくものの区別も、しっかりと把握しておきましょう。例えば、さつまいも、なすび、ねぎ、バナナなどは、冷蔵庫で保存すると、かえって悪くなってしまうのです。

 洗濯の仕方についても、衣類の種類によって、洗い方が違うことを学習しておきましょう。合成洗剤とせっけんの違い(長所と短所)も知っておきましょう。そして、健康と環境のために、できるだけせっけん製品を使うようにしたいものです。

5.郵便局への転送依頼

 実家に届けられる自分宛ての郵便物を、新しい住まいに転送してもらえるようにするには、郵便局に置いている転送依頼のハガキに必要事項を書き込んで、実家の最寄の郵便局に出しておくと、1年間は転送サービスをしてくれます。

 しかし、保護者が、学生本人の名義で行っている各種の積み立てなどの通知も、同じように転送されてしまいます。

 従って、必ず転送手続を行わないと困るというわけでもありません。進学後に、連絡をとり合う予定の人には、別途必ず、転居通知を行うという場合には、わざわざ転送手続を行わないほうがよいかもしれません。

6.仕送り口座の開設

 親元から離れて生活することになりますので、その生活費の援助を受けるために、仕送り用の口座を開設しなければなりません。

 そこで、どこで、仕送り用の口座を開設するのがもっとも便利かということを考えなければなりません。そのためのチェックポイントは、次のようなものです。

 第一に、新しい住まいや大学・学校周辺には、どの金融機関の自動支払機があるのかということです。いまどき、現金書留で仕送りを送る人は皆無です。ほとんどの人が、金融機関に口座を開設して、キャッシュカードで仕送りを受け取るようにしています。

 そこで、生活に便利なところにある自動支払機は、どこの金融機関であるのかというチェックがまず必要なのです。

 第二に、実家の周辺に、その金融機関の支店や支局があるかどうかのチェックです。実家の近くの金融機関で口座を開設した場合、もし、仕送りを受け取る金融機関が違えば、その都度、出金手数料が取られてしまうからです。

 結局、多くの学生は、全国どこにでもある郵便局に口座を開設しています。

 そして、口座を開設するときに、キャッシュカードを2枚作っておくのです。

 そうすると、親元ではキャッシュカードで入金することができ、学生もキャッシュカードで簡単に引き出すことができるからです。

 自分の口座への入出金ですので、手数料も一切かからないわけです。

 ただし、デメリットとしては、多くの学生が郵便局で口座を開設しているために、月末・月初は、大学・学校周辺の郵便局の自動支払機前は長い列ができることがあることと、銀行などに比べると、自動支払機が使える時間帯などが短めであるということです。

 また、家賃などの支払いのために、郵便局ではなく、家主指定の銀行口座を作らないといけないこともあります。

 郵便局だけにしか口座を開設していなければ、長蛇の列に我慢して並ばなければならないこともありますし、いざ、お金を引き出そうとしても、郵便局の自動支払機が閉まっていたら、どうすることもできません。

 そこで、学生の中には、通常の仕送り口座を郵便局にしておき、アルバイトなどで貯めたお金などは、大学周辺の銀行に口座を持つことで、リスクの分散を図っている人もいます。

7.恩師・友人・知人への挨拶と転居通知

 高校時代にお世話になった恩師や友人・知人などへの挨拶も忘れずに行っておきましょう。そして、進学後も引き続き、連絡を取り合う予定の人には、新しい住所を通知しておきましょう。

8.住民票の移動はどうするか

 通常、住居を移転すると、住民票を移動しておかなければなりません。

 しかし、未成年の人が多く選挙権もないので、すぐに住民票を移動するかどうかは考えた方がよいでしょう。

 というのは、成人式の案内などは、住民票にもとづいて行われることがよくあるからです。成人式には、高校時代の友人たちが、久しぶりに一堂に会します。もし、住民票を移動していたら、その人は、実家の近くで行われる成人式には招かれない可能性が大きいのです。

 そこで、住民票の移動は、成人式以後に行う人が多いのです。

 ただし、それまでに、パスポートの取得のために住民票が必要となる場合があります。このような場合、都道府県によれば、学生証があれば住民票がなくても手続ができることもあります。そうでなければ、実家のある自治体でパスポートを取得するか、住民票を移動するのかを検討すればよいでしょう。

9.健康保険証の発行

 従来、健康保険証は、「一家に一枚」が原則でした。ところが、2001年4月より、「1人1枚」に配布されることになりました。それまでは、一人暮らしをする学生には、「遠隔地被扶養者証」というものを発行しておいてもらう必要があったのですが、その必要もなくなりました。しかし、忘れずに持っていくようにしましょう。

 なお、その上で、健康保険証でカバーできない自己負担分を軽減するために、大学生協の学生総合共済や一般の保険会社の保険にも加入しておいた方がよいでしょう。

 大学生協のある大学の場合には、学生総合共済への加入がお勧めです。その理由は、病気の入院時などの場合、一般の保険会社なら1週間目程度からしか保険金は出ないことが多いのに対して、学生総合共済では入院の初日から出ますし、1週間以内の治療費については、医師の診断書が不要となっていたり、保護者が在学中に亡くなったときには、そのために学生生活を続けられない人をなくすために、卒業するまで毎月10万円が支給されるようになっているからです。

10.引越し当日の段取りについての打ち合わせ

 そして、最後に、引越し当日の段取りについて、一通り打ち合わせを行っておきましょう。

 まず、新しい住まいで使用する生活用品についてです。実家から持っていくもの、引越し先に配達されるもの、そして、引越し先の近くで調達するものに区別します。新居ですぐに必要となるもの、例えばトイレットペーパーやティッシュペーパーなどは、忘れずに持っていきましょう。

 引越し当日に入学式などがある場合には、誰が何をするのか、配達される荷物を誰が受け取るのかなどについて、打ち合わせを行っておきましょう。

 また、入居する物件の天井には照明器具がついておらず、自分で用意する場合には、天井までの高さがどれくらいあるのかを確認しておきましょう。

 そして、天井が高く、机などの家具を用意していない場合には、家主や管理会社の人に、脚立をその場で借りることができるかどうかを確認しておきましょう。もし、借りられないような場合には、小さな脚立を事前に用意して、マイカーなどで運ぶ必要が出てくるでしょう。

 さらに、マイカーで引越し荷物を運ぶ予定の人は、引越し先でのマイカーの駐車場所についても、あらかじめ確認しておいた方がよいでしょう。

 というのは、学生の住まいの多くには、お客様用の駐車場などがないことが多く、通路などに置いておくと、引越し荷物を積んだトラックなどが通行できなくなる可能性もあるからです。

 そこで、事前に家主や管理会社に連絡を入れ、マイカーの駐車許可を得ておくか、近隣にある時間貸し駐車場の場所を聞いておく方がよいのです。

 入居する部屋のどの位置に、何を置くのかということについても、最終的な確認をしておきましょう。

 家具や家電製品の前面が、直線になるようにしたほうが、掃除をするときに楽ですので、その点も含めて決定していきましょう。

 そして、最後に、入居した部屋に傷や汚れがある場合に備えて、日付の入るストロボ(フラッシュ)付カメラを用意しておいたほうがよいでしょう。なければ、日付の入らないカメラでもかまいませんが、現像した日がわかるように、その日付の入った袋に入れて保管しておきましょう。

 写真撮影は、デジタルカメラでも可能ですが、修正や偽造がしやすいため、「証拠」として残しておく写真としては、ネガ式フィルムのほうがよいでしょう。