契約書はここを必ずチェックしよう

――とんでもない契約にさせられないために

1.借主に不利な契約書が多い

 ここでは、契約手続きの中心となる契約書の内容について、学習していきましょう。

 まず、賃貸借契約書の特徴について、基本的なことを理解しておきましょう。

 本来、契約というものは、対等な立場にある人たちが自由意志で結ぶものです。

 つまり、契約内容が不当であると思えば、契約しなければよいのです。

 ところが、住まいの賃貸借契約書の場合は、家主が事前に用意した、家主にとって都合のよい条項が並べられた契約内容を借主が了承するかどうかだけのものがほとんどです。

 家主と借主が協議して、契約内容を決めるようにはなっていないし、物理的な時間の余裕もありません。

 実際、家主が作成した賃貸借契約書の多くには、借主に不利な条項がたくさん並んでいるのです。

 また、条項の記載内容があいまいで、家主と借主とでは、解釈の幅が非常に広いものもたくさんあり、トラブル発生の元ともなっています。

 そこで、国土交通省では、家主と借主の両方の利益確保のために、賃貸借契約書の雛型として、「賃貸住宅標準契約書」を作成しています。

 従って、契約しようとしている物件の契約書が、賃貸住宅標準契約書をそのまま、あるいは多少修正しただけで使用しているような場合には、借主としては、まず安心することができます

 逆に、念入りにチェックが必要となるのは、家主や管理会社が独自で作成した契約書です。

 しかし、実際問題として、学生の住まい探しにおいては、念入りに契約書の内容をじっくりチェックする時間もありませんし、契約書は、手付金を収めたあとで実家に郵送されてくるという場合も少なくありません。

 そのため、結局は、後々、トラブルが発生したような場合にも、きちんと、学生の立場に立って、トラブルを解決してくれるようなところで、住まい探しをするのが現実的な対処方法となるのです。

2.契約の当事者は本人か保護者か

 次は、「家主と契約するのは誰にするか?」という問題です。

 新入生の多くは未成年ですので、賃貸借契約という法律上の行為には、法定代理人である保護者の同意が必要です。

 しかし、未成年である本人に代わって、保護者自身が本人のために契約することもできるのです。

 そこで、家主との間で行う契約の当事者を誰にするかを検討しましょう。

 ふつうは、未成年である本人を契約当事者とする場合が多いのですが、この場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。

 まず、メリットとしては、本人が家主と直接交渉できることで、何かトラブルが発生したときに、契約当事者として強い交渉が可能であるということです。

 また、保護者が連帯保証人になれることが多いので、第三者の連帯保証人を探す必要がありません。家主にとっても、保護者が連帯保証人になってくれる方が何かと都合がよいでしょう。

 一方、本人契約のデメリットとしては、本人の社会的な経験不足につけこまれて、不利な状況に追い込まれることがけっこうあるということです。

 特に、退去時の敷金返還などの際には、家主や管理会社からの一方的な敷金精算がなされることがよくあります。相手が学生だと、なめてかかる管理会社もあるのです。

 次に、保護者が契約当事者になる場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。

 保護者が当事者となることのメリットとしては、社会経験のなさにつけこまれる可能性が低くなるということがあげられます。

 一方、デメリットとしては、トラブル発生時などに、現場にいない上、状況がわかりづらいため、直接交渉がしにくいことと、第三者の連帯保証人を立てなければならないということがあげられます。

 結局、どちらの場合にも、メリットとデメリットが存在しているのです。どちらかが有利とは必ずしも断言できないのです。

 従って、ふつう通り、本人が契約当事者となりながら、デメリットである社会経験のなさにつけこまれるという弱点の克服方法を整理しておくというのがもっともよいでしょう。

 弱点の克服方法は、主に4つあります。

 一つ目は、アルバイトをはじめ、どんどん社会の中に出て行くことで自ら社会経験を積むことです。社会経験は、机の上で得られるものではありません。社会に出て行く経験を積むしかないのです。

 二つ目は、「あの学生はしっかりしている」ということを家主や管理会社に日頃からアピールしておくことです。

 何か問題点やトラブルが発生したときに、きちんと主張すべきことを主張しておくと、退去時などに「あの学生はうるさいから、いい加減なことはできない」と思わせることができます。

 三つ目は、何かトラブルが発生したときには、社会経験の豊富な保護者にすぐに相談することです。自らの経験不足をおぎなうためです。

 そして四つ目には、本人の社会経験不足をよく知った上で、何か問題が発生したときに「本人の味方になってくれる」ところで物件の紹介を受けることです。例えば、大学・学校自体や大学生協あるいは大学・学校の推薦する業者などがそれに該当するでしょう。


3.契約期間(1年または2年)

 予備知識編でもふれたように、学生の住まいの契約期間は、1年間、あるいは2年間というものが多いのです。しかも、1年間でも厳密には365日とは限らないという事情があるのです。

 契約期間が、1年間あるいは2年間で固定されている物件については、期間を選択する権利はありませんが、どちらかを選択することが可能な場合には、いくつかのパターンについて、在学年数に応じた総費用を試算して比較してみましょう。

 ここでは例として、4年間にかかる費用の比較の仕方を示します。

 まず、Aパターンとして、1年間契約として、契約期間終了後は3回の更新手続きを行う場合です。

 Aパターンの費用=初年度にかかる礼金+敷金+3回分の更新料
         −1回の退去精算費用(敷金の半額返還と試算します)

 次に、Bパターンは、1年間契約として、1年後に別の物件に転居して、転居後の物件に住みつづける場合です。

 Bパターンの費用=初年度にかかる礼金+敷金+次の物件にかかる礼金+敷金
         −はじめの物件の退去精算費用(敷金の半額返還と試算します)
         +次の物件探しに伴う手数料(通常は家賃1か月分)
         +同一区域内の引越し代(ワンルームなら3万円程度でしょう)
         +次の物件の2回分の更新料
         −次の物件の退去精算費用(敷金の半額返還と試算します)

 その次のCパターンは、2年間契約として、契約期間終了後は1回の更新手続きを行う場合です。

 Cパターンの費用=初年度にかかる礼金+敷金+1回分の更新料
         −1回の退去精算費用(敷金の半額返還と試算します)

 さらに、Dパターンは、2年間契約として、契約期間終了後は2年間契約の別の物件に転居するような場合です。

 Dパターンの費用=初年度にかかる礼金+敷金+次の物件にかかる礼金+敷金
         −はじめの物件の退去精算費用(敷金の半額返還と試算します)
         +次の物件探しに伴う手数料(通常は家賃1か月分)
         +同一区域内の引越し代(ワンルームなら3万円程度でしょう)
         −次の物件の退去精算費用(敷金の半額返還と試算します)

 上記以外にも、パターンにはいろいろなものが考えられますが、できれば、事前にパターン別の費用を試算してみて、家庭の経済事情を考慮したうえで、契約期間を選択できる場合には、どのような考え方で臨むのかを、あらかじめ検討しておいた方がよいでしょう。


4.契約手続日、契約開始日、入居可能日、入居予定日

 学生の住まい探しの場合には、契約や入居に関して、いろいろな「日」があります。

 これらの意味をきちんと理解していないと、結果的に不利な条件を押しつけられることになりますので注意しましょう。

 まず、「契約手続日」です。これは、「部屋決定日」でもあります。

 賃貸借契約では、業者による重要事項説明書の説明と発行があり、家主や管理会社に手付金を支払うことで部屋を決定します。

 次は、「契約開始日」です。

 文字通り、契約が開始される日のことです。

 新入生の場合には、実際に入学してくる「4月初旬」になるのがふつうですが、決定した部屋の状況によって変わってくることがあります。

 例えば、「即入居可」となっていた場合には、契約手続日が契約開始日となることがあります。

 このような場合には、実際に入居できる日が来るまで、入居できないのに費用だけが出ていくという「空家賃」が発生することになりますので、契約開始日を実際に入居できる日まで延期してもらえるように交渉しなければなりません。

 交渉が不成功に終われば、空家賃を発生させてまでその物件にこだわるか、それとも他の物件にあたり直すかを選択すればよいのです。

 その次は、「入居可能日」です。

 これは、前の入居者が退去し、部屋のクリーニングや必要な修繕・修理等が終わり、家主や管理会社の手元にカギが返却され、次の入居者にカギを手渡す用意ができる日のことです。

 契約開始日と異なるのは、入居可能日が、前の入居者の退去日が決まればほとんど自動的に決まるのに対して、契約開始日は、家主や管理会社との間で交渉の余地があるということです。すなわち、「入居可能日≠契約開始日」なのです。

 そして、「入居予定日」があります。

 これは、入居可能日・契約開始日以降で、本人が実際に入居を行う予定の日のことです。

5.使用目的

 学生の住まいの場合、使用目的は、「居住用」となります。

 従って、クラブやサークルのたまり場や事務所、営業目的の販売場所などとしての使用はできません。

 ときどき、「お金を払って借りるのだから、何に使おうが自由だ」と考えている学生がいますが、居住用以外で使用しているのが発覚したら、契約違反としてすぐに出ていかざるを得なくなるかもしれませんし、違約金を請求されることさえありますので、契約内容をきちんと理解していなければなりません。

6.入居者数

 単身者向けの物件や学生向け物件の場合には、入居者数は、通常「1人に限る」です。

 ときたま、訪ねてくるような保護者や友人・知人の宿泊については、大目に認めてくれる場合が多いのですが、いわゆる同棲などについては、契約違反となります。

 場合によれば、違約金を請求されることもあり得ます。

 もし、万一そのような「事態」が発生するような状況になったら、さりげなく、家主や管理会社に聞いておき、場合によれば、黙認してもらえるようにしておいたほうがよいかもしれません。

 その代わり、家賃が多少高くなったり、共益費を2人分請求されたりすることもあるようです。

7.賃料(家賃)の日割計算の有無

 賃料(家賃)は、ふつう、1ヶ月単位の額が決められています。

 契約期間に、1ヶ月に満たない端数の期間があるときは、通常は、「1ヶ月を30日間として日割計算する」ことが多いのですが、必ずしも、すべての契約がそうなっているとは限りません。日割計算を行わないという契約書もあります

 日割計算については、「家賃は日割計算するが共益費は日割計算しない」ものと、「家賃・共益費ともに日割計算する」ものに分かれています。

 また、日割計算の方法が、必ずしも「1ヶ月を30日間として日割計算する」だけとは限りません。実際の退出月の実日数で日割計算する物件もあります。

 例えば、3月10日に退去する場合、1ヶ月を30日で日割計算する物件の場合、(30−20)/30=0.33カ月分の家賃が必要ですが、実日数計算では、(31−21)/31=0.32ヶ月分となり、やや有利となります。ただし、2月に退去する場合には逆に不利になってしまいます。

 さらに細かく言えば、契約時点で契約期間に端数が出た部分については日割計算するけれども、入居者による契約期間中の途中の契約解除によって、入居期間に端数が出る場合に、日割計算してくれないことがあります。後に述べるように、入居者からの解除による場合には、契約期間に端数が出ても、日割で計算してくれないこともあるのです。

8.賃料の増減

 ほとんどの契約書には、土地や建物に対する税金(公租公課などと表現されています)や土地価格の大幅な増減、さらに、近隣の同じような建物に比較して大幅に賃料が違うことになった場合には、「協議の上」賃料を改定することができるというような規定が設けられています。

 しかし、これらの条項が実際に適用されるようなケースはほとんどありません。

 全国的な傾向としても、学生の住まいの対象となるマンションやアパートは増加の一途をたどっています。供給が過剰になる傾向にあるわけです。

 従って、家賃などが上昇する根拠はほとんどありません。

 にもかかわらず、家主や管理会社が一方的に値上げを通告してくる場合があります。

 管理会社が値上げしてくる背景としては、管理会社と家主との管理委託契約などで、税金や物価の上昇などとは関係なく、管理会社が保証家賃の値上げを契約内容に盛り込んでいる場合があるからです。

 つまり、管理会社が管理契約をとりやすくするために、家主に都合のよい条件を盛り込んでいるわけです。

 管理会社が、管理委託契約で保証家賃の値上げを盛り込むのは勝手です。

 通常、管理会社が家主に保証する保証家賃は、入居者が支払う家賃(募集家賃といいます)の90%前後でしょう。

 管理会社が保証家賃を上げれば、管理会社の手元に残る利益が少なくなります。

 しかし、管理会社の利益のために、募集家賃までがスライドして値上げさせられるのはおかしなことです。

 そこで、契約書の条項としては、賃料の増減の根拠だけをしっかりおさえておき、契約更新時などに、根拠の薄い家賃の値上げを通告してきたような場合には、その理由をただし、根拠がないと判断すれば、自分が相当と考える金額だけを支払えばよいのです。

 それでも家主や管理会社が納得しなければ、法的な手段をとってくることになる可能性は絶対にないとはいえませんが、家主側にとって勝ち目は少ないでしょう。

9.賃料の支払方法

 部屋を借りる権利と引き換えに、賃料(家賃)を支払う義務が生じます。そこで、契約書には、家賃の支払方法が指定されていることがよくあります。

 家賃の支払方法は、主に4種類に分かれます。

 一つは、家主への持参です。しかし、現在では非常に少なくなっています。

 二つ目は、家主による回収です。昔は、家主が家賃の回収に各店子を回っていたようですが、現在、このような方法をとっているケースはまずないでしょう。

 三つ目は、家主の銀行口座等への振込みです。この場合、振り込み手数料は入居者負担とされているケースが多いようです。

 四つ目が、自分が作った銀行口座等からの自動引き落としです。

 ときどき、問題とされるのは、家主の口座に振り込む際の手数料を、なぜ入居者が支払わなければならないのかということです。しかし、業界の慣習としても、民法上の原則からも、家主が負担するという特約がない以上、借主の負担とされているのです。

10.契約の更新
 
 ふつうの契約書には、契約期間が終了したときの契約更新についてふれられています。

 通常は、契約更新料を支払うことで、更新することができます。

 ただし、更新料というものは、地域の社会慣習に過ぎません。法的な根拠は乏しいものです。

 更新料を支払わなくても、そのまま居座れば、結果的に法定更新として認定される可能性は大きいでしょう。

 しかし、そんなことをすれば、間違いなく家主や管理会社との間でトラブルとなるでしょう。更新料の金額が地域の相場内である以上は、支払って更新する方がよいでしょう。

 なお、中には、「定期借家契約」などによって、契約の更新が認められていない物件もあります。

11.共益費(管理費)

 共益費や管理費については、契約書の中で、「階段、廊下等の共用部分の維持管理に必要な光熱費、上下水道使用料、清掃費等に充てる」(賃貸住宅標準契約書の記載の場合)などというように、どういう部分のどういうものに対して支出するのかを明記している場合があります。

 このように明記している契約書はよい方です。

 共益費(管理費)等の明細を一切明記していない契約書もありますが、そのような場合には、共益費に何が含まれているのかをあらかじめ確認しておいた方がよいでしょう。

 また、本来、共益費(管理費)は、実費を入居者の数で按分し、年間を通して合計した金額を12で割って月の平均額を算出するものですが、家主によれば、家賃と同様に考えていることも少なくありません。

 例えば、空家賃などが発生するような場合、家賃だけでなく、共益費についても請求してくる家主がいますが、住んでもいないのに、請求するのはおかしいはずです。

 共益費(管理費)等の日割計算については、借主自らの申し出で途中退去する場合でも、家賃と違って、実際に住んだ日数分を負担すればよいはずです。

12.(保証金)

 敷金(保証金)は、契約から生じるさまざまな債務(お金を支払う義務)を保証するために、家主に預けておくべきお金です。

 敷金に関する意味内容としては、大きく分けると、次の2種類のものがあります。

 第一は、部屋の明渡し時に、借主の債務がなければ、「全額を返却する」というものです。間借り物件などに多いものです。

 第二は、「敷引き」や「償却」などと称して、敷金の一部については、返却しないということを定めているものです。

 礼金などを収受していない地域や物件で、「礼金なし」だからと喜んでいたら、結局は、「敷引き」や「償却」などの形で、礼金と同じように戻ってこないケースがよくあります。このような場合には、「敷引き」や「償却」の金額や率を必ず確認しておく必要があります。

 また、敷金から、借主の債務を差し引いて返却する場合に、その債務の「内訳の明示」をするという規定(例えば、ルームクリーニング代○○円、クロスの張替○○u/○○円など)がある方が望ましいので、そういう規定が盛り込んであるかどうかをチェックしておいた方がよいでしょう。

 敷金の金額が、「家賃の○ヶ月分」というような表示がされている場合、契約更新時などに、家賃の増減に応じて、敷金が増減される場合があります。敷金の増減の可能性がある場合には、契約書に明記されていなければなりません。確認しておきましょう。

 なお、敷金については、借主の未払い等がある場合に、借主側から「敷金から差し引いておいてくれ」というような要求をする権利は認められていません。

13.禁止・制限事項(特約事項)

 契約書の中で、一般的な契約条項に付け加えて、特約事項として、特別に、禁止したり制限を設けたりしている場合があります。

 これらの主なものについても一応は知っておきたいものです。

 第一は、「転貸等の禁止」です。

 つまり、借主が勝手に、他人に部屋を貸し出してはいけないということです。

 学生の場合には、ときどき、長期旅行や帰省するからといって、その間、友人などに勝手に貸していたりするケースがありますが、家主に無断で転貸することは、契約違反となり、違約金を支払って出ていかざるを得ないということになることもあります。

 誰かに転貸したい場合が出てきたら、必ず、家主の事前の承認が必要です。

 第二は、「改造・改装の禁止」です。

 改造はもちろんのことですが、クロスなどを自分のお気に入りのものに張り替えたりすることも、原則禁止です。

 無断で許可なく張り替えると、退去時にもとのクロスに替えるための張替費用を請求されることになるでしょう。

 第三は、「石油ストーブ等の持込禁止」です。

 これは、家主からすれば、火災の心配から禁止している事項です。石油ファンヒーターやガスストーブ、ガスファンヒーターならどうかなどについては、家主によって考え方はまちまちです。確認した方がよいでしょう。一般に認められているのは、エアコン、電気ストーブ、電気コタツなどです。

 しかし、もし仮に石油ストーブの持込が禁止されていない場合でも、一酸化炭素中毒を起こさないためにも、ワンルームにおいては、使用しないほうがベターです。

 第四は、「楽器演奏」、「大音量でのテレビ・ステレオ視聴」、「マージャン」等の禁止です。

 その理由はおわかりだと思います。騒音防止のためです。楽器演奏については、禁止事項として明記されていない場合でも、原則禁止と考えた方がよいでしょう。

 もし、室内で楽器を演奏したいなら、「防音設備の完備された物件」を探す必要があります。そういう物件は、音楽大学や音楽科のある大学・学校の周辺に少しはあります。

 第五は、「学生運動、宗教活動等の禁止」です。

 「学生運動の禁止」というのは、かつて、学生運動が激しかった時代の名残でしょう。過激派といわれるような活動家がおり、さまざまな事件を発生させていたわけですが、いまだに、「学生運動の禁止」などという時代錯誤の禁止事項を契約書に入れているものにお目にかかることがあります。

 学生運動それ自体を禁止するのは、思想信条の自由を定めている憲法違反とも言えるものです。無視してもかまいませんが、そういう時代錯誤の家主のいる物件に住むかどうかを判断した方がよいでしょう。

 「宗教活動の禁止」も微妙な問題をはらんでいます。

 例えば、宗教の布教活動を物件内部でするのは禁止できる場合があるにせよ、自分の部屋で行う宗教行為まで禁止するのは、やはり行き過ぎであり、憲法違反になってしまうでしょう。

 たとえ、世間を騒がせた某宗教に加入していることが発覚したとしても、それだけで追い出すことはできないでしょう。

 他の入居者や近隣の住民に迷惑を一切かけず、通常の生活を送っているだけなら、思想信条に関わる禁止は行き過ぎだと思います。

 第六は、「ペット飼育禁止」です。

 これは、一般にもよくある禁止事項です。

 例外的に認められる場合があるのは、室内だけで飼え、騒音・においを出さない、熱帯魚や小動物だけです。ただし、必ず認められるかどうかは確認が必要です。

 第七は、「入居者以外の立寄り禁止」です。

 このような規定を設けている物件は多いのですが、その運用については千差万別です。

 一応は、「禁止」していても、別段何もチェックしていない物件から、同性だけは立寄りを認める物件、家主や管理人の了解を得なければならない物件、いかなる理由があっても、親・兄弟以外の立寄りを一切認めてくれない物件まであります。中には、夜に各部屋までチェックしに来て、室内にいた友人を追い出すようなところさえあります。

 そこで、このような禁止事項がある場合、許容範囲はどこまでなのかをあらかじめ聞いておいた方がよいでしょう。そうしないと、友人の一人も呼べない、さびしい生活になってしまうかもしれません。

 第八は、「入居者以外の宿泊禁止」です。

 これも、「立寄り禁止」と同じように、その運用は千差万別です。あらかじめ、許容範囲を確認しておいた方がよいでしょう。

 このように厳しい禁止事項を設けている場合、家主サイドからすれば、「大事な子供たちを預かっているから、何かあったら大変だ」というような理由で、そうした禁止事項を設けていることが多く、本来は、けっして、「家主が悪い」というわけではないことが多いのです。

 しかし、家主の世代と現代の若者の世代間には、その考え方に大きなギャップがあるのがふつうです。

 学生の住まいの家主になる以上、現代の若者の気持ちを理解してもらえるようになるしかないのです。

 第九は、「廊下や階段等の共用部分に物品を置くことの禁止」です。

 ときどき、ゴミやたまった新聞紙・雑誌類を積んでいる学生を見かけることがありますが、禁止事項として明示されていようがいまいが、当然のことながら、共用部分に物品を置くことは禁止されています。

 第十は、「事前連絡なしの長期旅行・帰省」についてです。

 例えば1ヶ月以上もの間、部屋を留守にするような場合には、家主や管理会社に、その旨の連絡をしておく必要があります。

 それは、防犯、家賃支払い等の管理上の問題からです。

 ひどい学生になると、新聞を止めずに長期旅行に出かけるため、郵便受けやその周辺に新聞が散乱したり、空き巣に狙われたりするため、家主や管理人が後始末を行っているケースもあります。これは、禁止事項というよりも、社会的なマナーの問題です。

14.修繕と原状回復に関する事項

 修繕と原状回復に関する事項については、時に、すべての修繕を借主の責任に押しつけるような契約事項が記載されていることがあります。

 借主にすべての修繕負担があるように記載されている契約書であっても、通常は、単に、家主の修繕義務を回避しただけのものであるとされており、裁判などでは、家主側の主張はまず認められません。

 しかし、例外的に、契約手続時に、家主がきちんとその旨を説明し借主が承諾していれば、有効な規定と認められるという判例も存在しています。

 ただし、学生の住まい探しの場合には、家主がきちんと説明し、借主がその点を正確に理解する時間的な余裕はないため、もし万一訴訟になったとしても、家主側の主張が認められるケースは少ないでしょう。

 基本的な考え方としては、「大修繕は家主の責任、小修繕は借主の責任」というのが本来の原則です。

 大修繕というのは、建物にもともと備えつけられている設備の故障や不具合、生活に支障が起こるようなトラブルを解決するための修理・修繕であり、費用もかなり多額になることが多いものです。

 例えば、入居者の責任ではない原因による風呂釜の破損や雨漏り、エアコンの故障などがあげられます。

 これに対して、小修繕は、水道の蛇口のゴムパッキンの交換や室内の蛍光灯の交換、あるいはふすま紙・障子紙・畳表など、入居者の生活による消耗品の故障や不具合に原因があるような修理・修繕です。費用も少額なため、入居者の責任によって修繕すべきものとされています。

 原状回復の問題については、家主や管理会社が一方的な解釈を行っていることに原因があることが多いのです。

 しかし、なぜ、家主や管理会社が、原状回復の解釈を「まっさらのような状態にして返還すること」としているのか、少し冷静になって考えてみると、借主側にも、一部、問題がある場合があります。

 というのは、住まいを探すときに、少しでも、クロスが汚れていたり傷がついていたら、「ここが汚れている」とか、「ここに傷がある」などと細かく指摘したりすることです。

 住まい探しのときの傷・汚れのチェックは、入居してからの傷・汚れの確認とは、意味が根本的に違うのです。

 そこで、家主・管理会社側は、「やっぱり、まっさらに近い状態にしないとなかなか入居してくれない」と思い、神経質なほど、クロスの張替を行ったりするのです。そして今度は、その入居者が退去するときに、また同じようにクロスの張替等を行おうとし、その費用を入居者に押し付けてくるのです。

 私は、このような状態を、「原状回復における『悪魔の循環』」と名づけていますが、どこかで、このような悪循環を断ち切らなければ、いつまでも、家主と借主との間で、無用なトラブルがなくならないのです。それに、必要以上の内装替えは、資源の無駄使いとゴミの拡大を意味するのです。

 原状回復と関連して、借主に、ルームクリーニング(ハウスクリーニング)費用負担を求めるような記載が入っていることがあります。

 これも問題となっています。

 本来、借主は、通常の掃除を行って出て行けばよいわけで、プロの業者によるルームクリーニングまで行う義務はないのです。

 ところが、家主としては、プロによって徹底的にクリーニングすることで、次の入居者に入ってもらえやすくするのです。従って、国土交通省のガイドラインにおいても、ルームクリーニング費用は、原則として、家主側の負担であると明記されているのです。

 にもかかわらず、日本全国で、ルームクリーニングの費用は、借主の負担としていることが圧倒的に多いのです。

 本来の姿と現実があまりにもかけ離れているため、裁判事例などによれば、次の要件を満たしていれば、ルームクリーニング費用の請求もやむをえないという妥協的な考え方をしているようです。

 それは、ルームクリーニングを行う必然性があること(プロに頼まないときれいにならないこと)、そして、契約書等でルームクリーニング費用を借主が負担する旨が明記されていること、さらに、借主自身も、その点についてきちんと了解していること、その上で、ルームクリーニングにかかる費用が地域での世間相場内であることなどです。ワンルームにおいては、通常2〜2.5万円前後でおさまるはずです。

15.家主からの契約解除について

 家主からの契約解除に関する事項が記載されているのがふつうです。

 例えば、「家賃等を1ヶ月でも滞納したり、禁止事項に一つでも反するような行いがあったりすれば、予告なしに退去させられることがある」などというものです。

 しかし、これらの条項を特別に恐れる必要はありません。

 通常は、数ヶ月の家賃の滞納があったとしても、催促して、一定の猶予期間を経て、それでも滞納が数ヶ月も続くような状態になり、もはや、家主と借主との信頼関係がなくなったと客観的に判断できるような状態になってはじめて、契約が解除できるとされています。

 禁止事項の違反についても同様です。

 家主側からの契約解除には、「信頼関係の破壊」が前提となっていますが、それが認められるのはかなり悪質な例のみです。

 だからといって、禁止事項に反することを奨励するのではありませんが、無用なことにびくびくしながら生活するのは、愚の骨頂です。

16.家主からの契約更新の拒絶

 家主からの契約解除については、その条件が非常に厳しく制限されています。

 しかし、契約の更新については、一定の条件が整えば、更新を拒絶することができるとされています。

 その条件としては、契約終了までの1年前から6ヶ月以上前までに、入居者に対して、「契約更新しない」という旨の通知を行わなければならないということがまず決められており、次に、その部屋を使えなければ、家主の家族の生活ができないなどというくらい重い「正当事由」が必要とされています。

 従って、学生の住まいのようなワンルームの物件に、家主の家族が住まなければならないというような正当事由は、滅多にあるものではないのです。つまり、よほどのこと(高額な立退き料の提供など)がない限り、家主からの契約更新の拒絶は不可能であるということです。

17.入居者からの契約解約について

 家主からの契約解除については、法律で厳しい制限がはめられていますが、借主からの契約解約(借主からの場合は、契約「解除」ではなく、契約「解約」と呼ぶことが多いのです)については、厳しい制限はありません。

 一般社会人を対象とした物件では、契約期間中の途中解除は、「退去の30日前までに解約を申し入れる」というのがふつうです。

 これは、通常、転勤の内示(正式発表前に本人に通告されること)があるのは10〜7日前ということが多く、一方、家主が新たな借主を募集する期間を考慮して、30日前とするのが妥当だからです。

 ところが、学生の住まいの場合には、誰かの指示により転居を求められるということは考えにくいので、一般社会人の場合よりも長めの予告を求められても仕方のないことだと思います。

 ただし、そうは言っても、4ヶ月以上前というのは、あまりにも借主の負担が大きく、認めがたいものですが、法律上は制限する規定がないため、場合によれば、「6ヶ月前までに」などというものや、契約期間中の途中解約を一切認めないというような契約もあります。

 民法の規定によれば、借主の解約権があるのは、契約期間を定めない契約か、契約期間を定める契約であっても、借主の解約権を認める条項があるものに限られているのです。

 従って、まず、「借主の解約権が明記されているかどうか」が、非常に重要なポイントとなります。借主の解約権のない契約は滅多にありませんが、もし、そのような契約条件があるなら、手付金を支払う前に、業者による重要事項説明書の中で途中解約について説明されるはずですので、その時点でクレームをつけ、途中解約権を認めないならば、契約しない方がよいでしょう。

 そうでないと、どのような問題が発生しても、契約期間いっぱいまで家賃の支払いをしなければならないからです。

 途中解約権が規定されているときには、その期限が「退去の1〜3ヶ月前までに申し入れる」という場合がほとんどです。そこで、契約しようとする物件の途中解約期限が、その範囲内にあるかどうかを確認しましょう。

 なお、契約書によれば、退去に関する表現にはいろいろなものがあり、微妙に解釈が異なる場合があります。さまざまな例で考えてみましょう。

 例えば、「退去月の1ヶ月(30日)前までに申し入れる」というような規定の場合の意味は、「当月(1〜末日)に申し入れれば、翌月末に契約は終了する」と解釈が多いのです。

 従って、当月1日に申し入れた場合には、ほとんど2ヵ月後に契約終了となります。

 次に、「退去日の1ヶ月(30日)前までに申し入れる」というような規定の場合には、当月(1〜末日)に申し入れれば、申し入れ日から1ヵ月後(30日後)に契約が終了するという場合、1ヵ月後以降で翌月内の任意の退去予定日に契約が終了するという場合、そして翌月末に契約が終了する場合の3通りの解釈がされています。

 また、「退去予定日の前日から起算して、さかのぼって1ヶ月(30日)前までに申し入れる」というような規定の場合には、申し入れした日から1ヵ月(30日)後に契約が終了するという場合と、1ヵ月後以降で翌月内の任意の退去予定日に契約が終了するという場合があります。

 いずれの場合にも、家主と借主の解釈が異なるというケースがあり、借主に不利な解釈がされる場合には、家主との交渉が必要になります。
 
18.明渡し

 明渡しとは、契約期間の最終日までに、部屋の中にある私物をすべて引き上げ、入居したときと同じように空っぽにして家主に返還することです。

 時おり、問題となるのは、明渡し時には、借主の責任による原状回復を終えていなければならないということの解釈についてです。

 例えば、次のようなケースで考えるとわかりやすいでしょう。

 契約期間の最終日が3月31日であったので、その日に引越しを行い部屋の明渡しをしたところ、借主がクロスを汚していたのでクロスの張替が必要となり、内装業者の工事が4月5日にしか来てくれないということで、それまでは次の入居者が入れないため、その家賃相当分を違約金として請求されるケースです。

 通常、原状回復に伴うルームクリーニングや修理・修繕は、入居者の明渡し後に行いますので、契約期間の終了後に行うことになります。

 その間の家賃相当分を誰が負担するかという問題が発生するわけです。

 ふつうは、家主側の負担として考えられていますが、借主の負担の一種として、契約最終月の契約終了日の数日前に明渡し、原状回復のための数日間をあらかじめ確保しているような契約もあります。

19.居室への立ち入り

 居室への立ち入りについては、ふつう、消防設備など管理上の必要性にもとづいて行う立ち入り、物件の下見時に行う立ち入り、火事などの緊急事態に行う立ち入りなどがあります。

 管理上や下見のための立ち入りなどについては、借主の事前の承認が必要であると規定されていることが多いのですが、中には、借主の意向に関係なく、「家主や管理人が必要と認めたときはいつでも居室への立ち入りが可能である」というような横暴な規定を設けている契約書もあります。

 このような横暴な規定は、個人のプライバシーを無視するものであり、たとえこのような規定があっても、そのまま受け入れる義務はないでしょう。

しかし、このような規定がある物件では、あとあとトラブルが発生する可能性がありますので、できれば避けたほうが無難です。

 火事などの緊急事態については、家主の管理責任において、延焼を防いだり、被害を最小限にとどめるために、居室の立ち入りが許されます。

 従って、このような緊急事態における居室への立ち入りについては、契約書に明記されているかどうかに関わりなく認められるでしょう。

20.連帯保証人

 住まいを借りる場合には、家賃の支払いをはじめ、借主のさまざまな債務を保証してもらうために、連帯保証人を求めるケースがほとんどです。

 ふつうは、学生が契約者(乙)となり、家主(甲)との間で、賃貸借契約を交わし、保護者が連帯保証人になるというのが一般的です。そして、連帯保証人の人数は1人のみで、父親が連帯保証人になることが多いのです。

 ところで、連帯保証人というのは、ふつうの保証人とは異なります

 ふつうの保証人という場合には、借主が家賃の支払いを滞納した時、借主に請求してもなかなか支払ってくれない場合に、保証人にその支払いを肩代わりするように求められます。

 ところが、連帯保証人の場合には、借主に請求せず、直接、連帯保証人に支払いを求められても断ることができないのです。

 つまり、連帯保証人は、ふつうの保証人よりもはるかに重い責任を負わせられるのです。

 だからこそ、よほどのことがない限り、連帯保証人にはなってはいけないと言われているのです。よく覚えておきましょう。

 連帯保証人の保障期間は、最初の契約期間が終了した後、更新手続において、連帯保証人の保証確認がされていない場合には、連帯保証契約が終了するという考え方もありますが、学生の住まいでは、親が連帯保証人であり、更新後も、連帯保証人の責任を逃れることは社会通念上不可能でしょう。

 連帯保証人の保証範囲については、家賃や共益費など、家主に支払うべき費用というのがほとんどです。

 従って、電話代や水光熱費など、家主以外の支払い先に対しては、保証の義務はないとする考え方も一部にはありますが、ふつうは、それらについても保証範囲にあると考えられています。

 というのも、電話代や水光熱費の未払いを放置されると、次の入居者が困るケースが多いので、結局は、家主が立替払いをせざるを得なくなるからです。

 契約書によっては、「電話代、水光熱費等、住まいに関する一切の債務」などという条項を入れることで、連帯保証人の保証範囲を広くかつ明確にしているものもあります。

21.特約事項

 一般的な契約書の内容だけでは、特定の物件においては説明が足りず不十分である場合があります。

 そこで、一般的な契約内容に付け加えて、特別な規定を設けているのが特約事項です。

 従って、特約事項については、一般的でない項目が書かれていますので、必ずチェックが必要です。

 具体的な特約事項のいくつかについては、禁止・制限事項の中で述べていますが、これら以外にもさまざまな特約があります。

 特約がある場合には、一般的な規定よりも、特約が優先されることになりますので、きちんと理解しておくことが必要です。

22.その他

 その他の事項として、知っておきたいこととして、ここでは、2点を取り上げておきたいと思います。

 一つは、「カギの交換」についてです。

 本来、カギは、安全な生活に必要不可欠なものであり、家主は、借主に対しての安全性を保障するために、カギの交換を行うべきですが、実際には、次のようなさまざまな対処方法をとっています。

 第一は、「前の入居者が使用していたカギをそのまま次の入居者にも使用させる」というパターンです。

 残念ながら、このケースがまだまだ多いように思います。借主が勝手にカギを交換することも、管理上の問題があるとして、原則禁止されているケースが多いのです。

 第二は、「家主の費用で、入居者が代わるたびにカギを交換する」というパターンです。もっとも良心的な家主ですが、それほど多くないのが現実です。

 第三は、「借主の費用で、カギを交換する」というパターンです。

 カギを交換するわけですが、本来、家主が負担すべき費用を、特約として、借主負担とするものです。

 費用としては数千円〜1万円前後という場合が多いようです。(なお、シリンダー錠などは、シリンダーごと交換すると、ふつう1万5千円程度かかります)借主が負担するわけで、望ましいこととはいえませんが、カギを交換しない家主が多い現状からすれば、安全性を確保するためには妥協が必要なのかもしれません。

 第四は、いわゆる「カギのローテーション」です。

 これは、さらにいくつかのパターンに分かれます。

 例えば、家主や管理会社にいくつかの空き錠を用意しておき、入居者が代わった部屋のカギを空き錠のカギに替え、もとのカギを他の部屋に使用したり、空き錠として置いておき、数年後に、また別の部屋で使用するというようなパターンです。

 また、入居者が代わった部屋のカギを順番に変更していく場合もあります。

 この場合には、前のカギで近くの部屋を開けることができる可能性があり、空き錠を使用したローテーションよりも安全性は低いと言わざるを得ません。

 家主や管理会社は、管理上、どの部屋のカギをどのように変更したかを説明してはくれませんが、「カギ交換はどのような形で行っているのか?」を確認すれば、ある程度はわかるでしょう。

 第五は、「特別な申し出があった場合にのみ、家主の費用でカギを交換する」というパターンです。

 原則としては、カギの交換をしませんが、「カギを替えてほしい」と強く言えば、家主の責任でカギ交換をしてくれるというものです。

 第六は、「特別な申し出があった場合にのみ、借主の費用でカギを交換する」というパターンです。

 原則としてカギの交換を行わず、「カギを替えてほしい」と強く申し出ても、「借主の費用で替えるのなら替えてもよい」というものです。

 「借主の費用であってもカギの交換をしてはいけない」というよりはまだましというものです。

 もう一つ知っておきたい項目は、「家主による代理徴収」についてです。

 つまり、本来、家主に代理権がないはずのものを、家主が勝手に代理行為を行うことで、結果的に、借主の利益を侵害しているケースがあることです。

 例えば、NHK受信料などを家主が代理徴収している場合は、家主の代理徴収権はないため、きっぱりと断るべきです。

 なぜなら、受信料契約は本人とNHKとの間で行われるべきものであり、実態として言えば、支払っていない人たちも大勢います。

 その上、「家主がまとめて徴収してくれれば、入居者の半分だけの金額でよい」というような交渉が成り立ち、家主が不当利得を得、NHK側も、留守がちなのでなかなか集金できない学生から効率よく集金できるという相互メリットがありますが、入居者にはまったくメリットはないからです。