部屋情報はここを必ずチェックしよう

――部屋ごとの情報解読のノウハウ

1.部屋の所在階とエレベーターとの位置関係

 前項では、物件全体に関する資料の見方をお話してきましたが、この項では、空室として登録された個別の部屋に関する資料の見方について学習していきましょう。

 まず、空室登録された部屋が何階にあるのかということです。

 通常は、上階に上がれば上がるほど日当たりはよくなりますが、逆に、防音性能は若干悪くなりがちです。最上階は、屋上の断熱構造が貧弱な場合、特に西日本にある物件では、夏は暑苦しくなることがあります。

 エレベーターが設置されている物件の場合、エレベーターのすぐそばの部屋は、深夜などにエレベーターの音が非常に気になることがあります。エレベーターのすぐそばの部屋を避けるか、その部屋を契約しようとするときには、防音構造についてチェックした方がよいでしょう。

2.部屋の位置

 住まいとして検討している部屋が、物件全体の中でどの位置にあるのかは、物件平面図でチェックしましょう。そして、窓(バルコニー)がどの方角を向いているのか、建物全体の構造から見て、日当たりやエレベーターや階段などからの距離に問題がないかどうかを確認しておきましょう。

 また、住宅地図と照らし合わせ、部屋と周囲の建物との位置関係をみて、南側に大きな建物がないかどうか、建物同士が近づきすぎていないかどうかを確認しましょう。

 さらに、周囲の建物の種類(例えば、個人宅なのか、ビルなのか、アパートなのかなど)を確認することで、日当たり状況についてもある程度推定することも可能になります。というのは、個人宅やアパートなら2階建てがふつうであり、日当たりが問題となる可能性が少ないからです。

3.入居可能日と日割家賃、空家賃

 入居可能日というのは、前の入居者が退去した後、ルームクリーニングや修理・修繕等の作業が終了し、家主や管理会社のもとに部屋のカギが戻り、入居準備が整う日のことです。通常は、前の入居者の退去後、5〜7日後となることが多いようです。

 入居可能日については、家主や管理会社によって、物件全体がほとんど揃っている物件(例えば、退去は前月20〜25日には完了させ、翌月の1日に入居できるようにしているなど)と、部屋ごとにまちまちの物件の2通りに分かれます。

 一般的な傾向としては、学生専用マンションなどでは、入居可能日が揃っていることがよくあり、一般物件の場合には部屋ごとに入居可能日がまちまちとなっていることが多いようです。

 入居可能日についての表記の仕方には、不動産業者によって多少のばらつきがあるようです。

 学生の住まいの入居可能日は、その多くが「4月初旬」や「3月末日」です。必ずチェックしておきたいのは、入学式の日程と入居可能日との関係です。できれば、入学式の前日までに入居できるところの方があわてずにすみます。

 入居可能日が「即入居可」などとなっている場合は、既に空室となっており、いつでも入居ができるということですので、室内の見学もできるし、入学式を落ち着いて迎えることができるでしょう。

 しかし、「即入居可」物件については、次の点を確認しておきたいものです。

 まず第一は、いつから「即入居可」となっているのかという時期のチェックです。

 というのは、「即入居可」となってそれほど時間が経過していないのなら問題ありませんが、前年の春からずっと空室だった物件の場合には、何か問題点があるに違いないからです(例えば、条件の割に家賃が高いなど)。

 第二は、「即入居可」の場合、手付金を支払って契約した日が契約開始日となると、契約が終了する年の契約終了日が3月末日になるかどうかのチェックです。

 なぜ、チェックが必要かといえば、例えば、2月中旬に契約し、契約期間が2月中旬から翌年の2月中旬になる場合に、3月末まで住もうとすると、たった1ヶ月の延長のために、更新料を取られたりする可能性があるからです。

 従って、4月から契約期間が始まるようにするか、それとも契約の終了期限が3月末になるようにするかについて、家主や管理会社と交渉しておいた方が、あとあとのトラブルを防止できるでしょう。

 第三は、日割家賃や空家賃が発生しないかどうかのチェックです。

 例えば、3月中旬に「即入居可」の物件を契約し、契約期間がすぐにスタートする場合、「日割家賃」として日割で家賃や共益費を負担させられることがあります。

 また、契約期間は4月から開始するとしても、実際には入居しないのに、「空家賃(からやちん)」として請求されることもあります。

 良心的な家主や管理会社なら、日割家賃や空家賃については免除してくれることが多いと思いますが、中にはがめつく請求してくることもあるので、その場合には交渉して免除を求めるか、他の物件にあたり直す方がよいでしょう。

4.居室の形と寸法

 居室部分の形としては、ほとんどの物件が、幅よりも奥行きが長い、いわゆる「長方形」の形をしています。

 基本的な考え方としては、「できるだけ正方形に近いもの」の方が、生活上の使い勝手はよくなります。

 その理由としては、正方形に近いほど、ベッドや机などの配置を自由にアレンジしやすくなるからです。

 しかし、実際には、長方形の物件がほとんどです。従って、長方形の場合、必ずチェックしておきたいポイントをお伝えしましょう。

 それは、「図面上の幅は2.6メートル以上」であるかどうかです。
 
 どういうことかと言うと、図面上の幅が2.6メートルだとすると、ほとんどの場合、その寸法は、壁と壁の中心線までの距離なので、実際の部屋の内側の距離としては、2.4〜2.45メートルくらいしかありません。この幅の中に、ベッド(約1.0メートル)、その反対側に家具や机(0.7〜0.8メートル)を置くと、残るのはわずか0.6〜0.7メートルです。つまり、使い勝手としては、部屋というよりも「通路」に近くなってしまうのです。

 理想をいえば、居室部分の幅(図面上)は、3メートル以上はほしいものです。これなら、最低でも1メートル以上残るので、部屋として機能するのです。

5.窓向き

 日本では、南向きの窓が「日当たりがよい」ということで人気です(ちなみに、南向き人気は世界共通ではないので念のため)。

 学生の住まいの場合も、南向きの人気が高く、家賃もやや高めに設定されていることもあります。

 しかし、いくら「南向き」であっても、1階の部屋や隣接する建物との距離が近ければ、日当たりがよいとは言えないこともあります。

 従って、物件資料だけを見て、「南向き=日当たりがよい」と早合点してはいけません。

 また、窓が南に面しているということは、玄関や浴室・キッチン・クローゼットなどが北側にあるという場合が多いので、築浅の物件や換気性能が悪い物件では、それらにカビが発生しやすくなることもあります。

 南向きのプラス面だけを考えていると、マイナス面もあることに気づかないので注意しましょう。

6.床の構造に関する情報

 床の構造については、次のような種類に区別できます。

 まず、一つ目に、もっとも人気の高いのが、「フローリング」と呼ばれている木質系の床です。

 ふつうは、複層フローリングというもので、ベニヤ板合板などの上に薄い無垢板を張ったものが多く利用されています。見かけは1枚板ですが、表面に出ている無垢板の厚さは数ミリしかありません。一部に単層フローリング(1枚板)のものも市場に出ていますが、コストが高く、施工上も若干難しくなるため、学生の住まいではほとんどが複層フローリングです。

 複層フローリングでは、合板の接着剤に含まれているホルムアルデヒドの溶出が問題になる場合があります(予備知識編)が、それ以外にも、ちょっと気をつけておきたいことがあります。

 それは、「いつからフローリングになっているか」ということです。

 つまり、設計段階の最初からフローリングであった物件と、和室などを途中からフローリングに内装変更したものとを比較すると、後者の場合は、防音性能が劣るケースが多いということです。

 なぜなら、コストをできるだけカットするために遮音等級の低いフローリングをコンクリートの床に直張りしていることが多いからです。

 最初からのフローリングか内装変更のフローリングかを見分けるには、建物の築年数を見れば、だいたいのことがわかります。なぜなら、フローリングの人気が出だしたのは、ここ15年以内のことであるため、築15年以上のフローリング物件は、内装変更の可能性が高いからです。

 内装変更でないフローリングの場合でも、床に物を落としたりすれば、その衝撃音が階下に響きます。

 場合によれば、歩いている音が聞こえるような物件もあるようです。フローリング物件では時々騒音問題が発生していることは知っておいた方がよいでしょう。

 フローリングに関しては、さらに注意点があります。

 それは、フローリングの特徴である傷つきやすさと関連していますが、物件によれば、フローリングのまま使用できない物件があることと、退去時の原状回復費用が高くなる場合があることです。

 「フローリングのまま使用できない」というのは、フローリングが傷つきやすいために、フローリングの上にカーペットなどを敷くことが条件になっているような物件があるのです。しかし、それではフローリングといううたい文句はおかしいのですが、現実にそういう物件があるのです。

 もう一つの「退去時の原状回復費用が高くなる場合がある」というのは、フローリングの一部を傷つけた場合、一部の張替だけでよいところを全面張替にして、その費用の全額を借主に求める家主や管理会社があるということです。

 従って、床がフローリングである場合には、これらの点を確認しておく方がよいでしょう。

 二つ目は、「クッションフロア」です。

 これは、発泡塩化ビニールのシートです。耐水性があるため、一般家庭でもキッチンなどに使われていることがよくあります。

 また、遮音性や衝撃吸収性能にも優れていますが、重い家具などを置いていると、その部分だけがへこんでしまうことがあります。

 本来は、通常の生活には家具を置くことも含まれているため、通常損耗ということで借主の責任はないはずですが、家主や管理会社によれば、退去時に「張替費用」を請求してくることがあります。

 そこで、クッションフロアの上に直接家具を置くのではなく、家具よりもすこし大き目のダンボールを間にはさむなどしてへこんだところとそうでないところの境目をなくすようにした方が、無用のトラブル防止になるでしょう。

 クッションフロアの弱点は、火に弱いということです。

 タバコの火の不始末でクッションフロアに穴をあけてしまう人が多いので、入居した人がタバコを吸うのはもちろんのこと、友人や知人が訪ねてきたときなども、タバコを床に落としたりしないように注意していないと、わずかな注意ミスで数万円の出費となってしまうかもしれません。

 クッションフロアの中には、クッションフロアの利点とフローリングの見かけのよさをともに実現しようとして、「フローリング調クッションフロア」もあります。

 三つ目は、「カーペット(じゅうたん)」です。

 これは、いまさら説明するまでもないものですが、主流であるふつうのカーペットを敷き詰めた物件と、一部のホテルの客室や企業のOAルームなどに採用されているタイルカーペットの物件があります。

 タイルカーペットというのは、35あるいは45センチ角の四角いタイル状のカーペットを敷き詰めて使用するもので、カーペットの一部を汚したり、タバコの火などで焦がした部分のみを張替たりすることができるので、張替費用が安く上がるものです。

 四つ目は、「パンチカーペット」です。

 これは、カーペットよりも毛足が短いフェルト状の薄いカーペットで、廊下などによく使われているものです。丈夫ですが、パンチカーペットのまま使用するというよりも、その上に通常のカーペットなどを敷いて利用することが多いでしょう。

 五つ目は、「Pタイル」です。

 これは、プラスチックタイルの意味で、塩化ビニール樹脂を用いて30センチ角のタイル状にしたものを敷き詰めています。丈夫で、フローリング調のPタイルもあります。

 そして六つ目が、「畳」です。説明は不要でしょう。

7.間仕切りドア

 マンションやアパートなどでは、キッチンや浴室のある部分と居室部分が分かれていることが多いのですが、その間に間仕切りドアがある物件とない物件に分けられます。

 間仕切りドアがないと、宅配便などの配達時に部屋全体が見えてしまったり、友人や知人が来ている時に入浴しようとして服を脱ぐと丸見えになったり、キッチンのにおいが居室にずっと漂ってきたりすることもあります。

8.ロフト

 ロフトというのは、居室の一部分が「中2階」のような構造となっている部分のことで、ロフト付物件は人気があります。ロフト付の場合に注意しておきたいのは次の点です。

 第一に、ある物件に「ロフト付」となっているからといって、すべての部屋にロフトが付いているケースは少なく、通常は、最上階だけの設備となっていることが多いのです。

 第二に、ロフトに上がるための手段がどうなっているのかを確認しておくことです。

 物件によれば、ロフトに上がるのに二段ベッドにあるようなはしごのようなものしかないことがあります。実際にロフトに上がろうとするのがかなり困難なものもあるのです。こういう場合、ロフトの利用法としては物置にしかならないこともあります。

 第三に、ロフトの広さとロフトの床から天井までの高さの確認です。

 ロフトをベッドスペースとして利用しようとした場合、最低限2帖程度は必要ですし、ロフトにベッドマットなどを敷いた状態で、天井までの高さがどれくらいとれるかをチェックしておく必要があります。

 物件の中には、ロフトに寝ようとしたら、天井までの距離が近く、圧迫感を強く感じることもあるのです。人気があるからといって、無理やりにロフトを作った物件にこういう場合があります。

 第四に、最上階の部屋の場合、ロフトの上の天井がきちんと断熱構造となっているかどうかという問題です。

 断熱が不十分な物件では、夏にあまりに暑くてロフトでは寝られないという場合もあります。

 いずれにしても、ロフト付物件の場合、室内の下見をして確認しておかないと、実際には単なる飾りとなってしまうケースも少なくありません。そんな無意味な飾りのために高めの家賃を支払うのはばからしいことでしょう。

9.収納スペース

 収納スペースの種類としては、「クローゼット」、「押入れ」、「吊り棚」、「収納スペースなし」などがあります。

 マンションやアパートでは、その面積の7%程度の収納スペースが必要とされています。

 ワンルームの専有面積は18〜25uほどですので、最低限たたみ1帖程度の収納スペースが必要ですが、実際には、収納スペースが狭小な物件が多いのです。

 収納スペースに関しては、まず、その収納スペースの広さをチェックしないと、狭い居室にさらに収納家具を置かざるを得なくなります

 「クローゼット」は、洋室に設置されている収納スペースです。

 「押入れ」との違いは、押入れよりも奥行が狭いことが多いこと、大きさそのものがバラエティーに富んでいること、中段の仕切がない場合が多いこと、可動式のものがあることです。

 クローゼットの問題点としては、布団の収納ができないことが多いので、ベッドを使わざるを得ないことになりがちだということです。狭い居室の場合には、ベッドそのものを置くことが難しいこともありますので、部屋が狭ければ「押入れ」のある物件のほうがよいでしょう。

 「吊り棚」は、少ない収納スペースを増やすために、壁面上に設置された棚ですが、ワンルームでは非常に重宝するものです。吊り棚が設置されている物件は、学生の住まいをよく考えた物件と言えるでしょう。

 「収納スペースなし」というのは、便宜上名づけたものですが、物件によれば、収納スペースが一切ないというものもあります。このような場合には、居室に収納家具を用意しなければならず、部屋そのものもその分狭くなってしまいます。

 家主の中には、「クローゼット」と「押入れ」の区別をしていないこともあります。

 つまり、押入れをクローゼットと呼んでいる場合や、その反対にクローゼットを押入れと呼んでいることもあるのです。収納スペースに関しては、呼び方だけでなく、その実質的な内容を確認しておく必要があります。
 
10.バルコニー等

 物件の間取図に、「バルコニー」や「ベランダ」がついている場合、1階部分にはついていないというケースがよくありますので、注意が必要です。

 「バルコニー」、「ベランダ」、そして「テラス」などの呼び方の区別としては、一般的に言えば、建物から外に突き出している床部分で、屋根のあるものを「ベランダ」、屋根のないものを「バルコニー」、1階部分にあるものを「テラス」と称しています。しかし、実際には混同して使用されています。

 物件にバルコニー等がない物件には、通常、室内置場もなく、洗濯機が設置できないケースが多いのです。

 コインランドリーや共同洗濯機を使用するのがふつうです。共同洗濯機を使用するような場合には、洗濯したものをどこに干すのかをチェックしておかなければなりません。

 物干し場がきちんと確保されていないと、洗濯したものをどこにも干すことができないということになります。実際に、どこに干したらよいのかがわからない物件が存在しているのです。