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不動産業者や家主との話し方
重要事項説明書
契約の成立時期
手付金・申込(証拠)金・予約金・内金など
手付金の金額
契約残金の支払期限
入居申込書と入居審査
仲介手数料
不動産業者や家主との話し方
これから、いよいよ契約手続について学習しましょう。
まず、具体的な手続に入る前に、一つだけ注意しておきたいことがあります。
それは、不動産業者や家主との交渉に臨むときの「話し方」についてです。
基本は、
「話し方はていねいに、主張すべきことはきちんと正確に」
ということです。
まかり間違っても、「借りてやる」というような態度では、交渉を有利に進めることはできないどころか、交渉そのものが成り立たなくなります。
家主や不動産業者との交渉において、横柄な態度や言葉使いは、何一つメリットとはなりません。
言うべきことはしっかり言いつつも、その言い方はていねいにしたほうがよいでしょう。
重要事項説明書
それでは次に、学生の住まい探しにおける一般的な契約手続の流れを知っておきましょう。
不動産業者を通じて契約する場合には、だいたい、次のような順番になります。
@物件に関する重要事項説明書の説明、
A重要事項説明書への署名・捺印、
B(入居申込書の記入・申込金の支払い)、
C(入居審査)、
D(契約書内容の説明)、
E(契約書への署名・捺印)、
F手付金の支払い、
G業者への仲介手数料の支払い、
H契約残金の振込み、
Iカギの受け取り、
J入居、
というような流れ
です。
なお、()内については、省略されたり、順番を代えて行われたりすることがあります。
「重要事項説明書」という書類は、住まいの借り手である消費者を保護するために作成されています。
法律上は、重要事項の説明は、宅地建物取引主任者が行うこととされています。
ところが、学生の住まい探しにおいては、若干問題が出てくるのです。
大勢の新入生がいっせいにやってくるために、実際問題として、どの業者でも、主任者がきちんと説明しようとすれば、1日に受け付けられる人数を限定せざるを得なくなってしまいます。
しかしながら、地方からわざわざやってきた人に「明日出直してください」などと言えるはずはないのです。
そこで、
どの業者でも、主任者による説明はある程度簡単なものにとどめざるを得ない
のです。
もともと、宅地建物取引業法では、学生の住まい探しというような特殊な状況を想定してはいません。
そのために、法律上の形式を守ろうとすると、かえって、住まいを探しに来た人に迷惑がかかってしまう可能性があるのです。
その上、売買契約に比べると、学生の住まいのような賃貸借契約の場合には、動くお金の大きさが根本的に異なります。
売買契約の時と同じようなレベルで厳密な手続を求めることには無理があるのです。
従って、学生の住まい探しで覚えておきたいことは、重要事項の説明は必ず書面で行われること、重要事項の説明は必ず「契約の前に」行われることの2点です。
中には、重要事項の説明すら行っていないところさえあるので、注意しましょう。
また、重要事項の説明は、「契約の前に」行われるものです。
重要事項の説明中に、納得できないことが出てくれば、契約しなければよいのです。
もし、
万一、重要事項の説明の前に、お金のやり取りを行っていたとしても、それは単に預かり金でしかないはず
ですので、重要事項説明の中で「やっぱり契約するのはやめます」と言えば、そのお金は戻ってくるのです。
「戻らない」と言われれば、その業者は、「契約手続後に重説(業界用語)した」ということで、業法違反になり、罰せられる可能性があります。
なお、重要事項説明書の中で、「抵当権が設定されている」物件であることが判明した場合には、3年を超える契約(例えば卒業までの4年契約など)は行わないようにしなければなりません。
なぜなら、3年以内の契約であるならば、たとえ抵当権が実行されても、「短期の賃貸借保護」の規定によって、入居者が追い出されるというようなことはありませんが、3年を超える契約の場合、法律上の保護規定がないので、トラブルが発生しやすくなるからです。
契約の成立時期
「契約」とは、俗っぽく言えば、「約束」のことです。
そこで、約束がいつ成立するかということを考えてみればわかりやすいでしょう。
ふつう、約束は、2人以上の間で、ある人が何らかのことがらを提案し(「申込み」)、他の人たちが「わかりました」と言えば(「承諾」)成り立ちます。
これを難しい言葉で、諾成契約と呼んでいます
。
そこには、本来、文書は必要ありません。
実を言えば、民法で規定している「契約の成立時期」についての考え方も同じです。
民法では、申込みと承諾という意思表示の一致によって契約が成立するという考え方であり、口頭でもいっこうにかまわないのです。
逆にそうしないと、どんな契約でも文書が必要ということになれば、買い物一つするにも大変なことになってしまいます。
ところで、住まいの契約の場合も、同じように、借主の「借りたい」(申込み)という意思と、家主の「いいですよ」(承諾)という意思の一致だけでも問題ないでしょうか?
いいえ、大きな問題が発生する可能性があります。
そこで、住まいの契約の場合には、民法が定める一般的な規定だけではなく、
手付金というお金を授受することで契約の成立を確認することにしている
のです。
つまり、契約自体は口頭でも成立しますが、その確認のためにお金をやり取りすることにしているのです。
文書については、契約するために必要というわけではありませんが、契約した内容を明確にしておき、トラブルを防止するために、文書(契約書)を作成しておくのです。
手付金・申込(証拠)金・予約金・内金など
それでは、手付金というのはどういうものでしょうか?
手付金は、契約手続の際に納めるお金で、「もし、こちらの都合で契約をキャンセルした場合にはこのお金を没収してもけっこうです」という意味をもつもの(「手付流し」)です。
しかし、借主だけがキャンセルするとは限りません。
そこで、家主の側からキャンセルした場合には、「手付金の倍返し」を行うことになっています
。
例えば、5万円の手付金を支払っていた場合、借主がキャンセルするには5万円の放棄で済み、家主がキャンセルするには預かった5万円に加えてさらに5万円の合計10万円を借主に返却しなければならないのです。
いずれにしても、
手付金を支払った後では、「やっぱり契約するのはやめた」とか、「他にもっと条件のよい物件が見つかったから契約をキャンセルします」と言っても、たとえ1時間後であろうとも、原則としては返金されることはありません
。
この点については十分注意しなければなりません。
手付金とはそういう性格のお金だからです。
こうした手付金を、法律上は解約手付金と呼んでいます。
なお、手付金は、家賃や礼金・敷金などと別途に支払うわけではありません。
つまり、
手付金として支払ったお金は、のちほど、家賃などに充当される
のです。
また、借主にとっては、手付金として有効なのは、法律上の表現でいうところの「契約の履行に着手する」までとなっています。
判例では、「(履行に着手するとは)客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合」とされています。
しかし、賃貸借契約の実態としては、契約金の残金を全額支払ったり、家主からカギを受け取ったりする(物件の引渡し)前までと考えられていることが多いのです。
物件の引渡しを受けたら、もはや手付金を放棄してキャンセルすることはできなくなります。
それでも、キャンセルする場合には、契約期間中の途中解除ということになり、敷金以外は返ってこないことが多い上、違約金まで請求される可能性があります。
ときおり、「たとえ、入居者が契約金の残金を全額支払っていたとしても、相手(家主)が履行に着手(カギ渡し等)をしていなければ手付金として有効なはずである」という人もいます。
法律上の解釈としては成り立たないわけではありませんが、もし、その理屈で押し通すと、契約金が全額入金されていても、実際にカギを渡す直前まで、手付金だけでキャンセルされてしまう可能性もあるのです。
これでは、あまりにも家主に不利になってしまいます。
そこで、実務上は、「契約金を全額支払うことは、契約の履行に着手することになる」という解釈がされているのです。
一方、
申込金とか申込証拠金、予約金、預かり金、内金など、手付金以外の名称で、やり取りされるお金については、手付金とは性格が異なります
。
例えば、入居審査を受けるために、預かり金などを要求されることがあります。
これは、本気で入居したいのかどうかを見きわめるために求められる預り金であり、多くの業者を回って、いくつもの物件を仮押さえしておくのを防止するために求められるものともいえるでしょう。
手付金以外の名称のお金で内金以外は、契約手続をしない場合には、必ず返却されるのが原則
です。
中には、返却を渋る業者も一部にありますが、当然のことながら返してもらうべきお金です。
そのためには、お金のやり取りをするときには、必ず、お金の名称とその性格(何のために支払うお金か?契約しないときに返却されるかどうか)を確認し、預り証などをもらっておかなければなりません。
しかし、「内金」という場合には、手付金でも、単なる預り金でもなく、契約を解除するような原因がない限り解除できない場合があります。
お金を支払う場合には、必ず、その名目と意味を確認しておくことが必要です。
手付金の金額
手付金の金額は、別段、法律で決まっているわけではありません。
一般的には、「家賃の1ヶ月」というのが相場
です。
多額の手付金を求める物件については注意が必要でしょう。
それに、不動産業者が介在する場合には、「手付金は代金の20%以内」とされています。
それ以上納めていたとしても、手付金として認められるのは、契約費用の20%までです。
手付流しをする場合にも20%を超える部分については返金を求めることができるはずです。
しかし、借主が自ら希望して、契約金の全額を支払っても、特別に大きな問題があるとは言えません。
ただし、キャンセルすれば、大金を失う可能性が出てきます。
逆に、低すぎる手付金では、借主もキャンセルしやすいわけですが、家主にとっても同じことなのです。
地方から、何度も住まい探しに来ることは不可能ですし、入居直前に家主からキャンセルされては、すでに条件のよい物件も残っておらず、非常につらい思いをしなければなりません。
そこで、
家主がいくら好意で「手付金はいくらでもいいよ」と言ったとしても、借主も家主もある程度拘束できる金額にした方がよい
でしょう。
契約残金の支払期限
さて、手付金を支払ったあと、契約するための総費用(前家賃・共益費・礼金・敷金・保険料その他必要経費)の残金はいつまでに支払えばよいのでしょうか?
契約残金の支払期限については、法律で特に定められているわけではありません。
学生の住まい探しにおいては、ふつう、次のようになっています。
1月頃や合格発表時までの契約については、「契約手続日の14日〜1ヵ月後」、2月頃の合格発表後の契約については、「契約手続日の7〜14日後」、3月に契約した場合には「契約手続日の7日後」、入居日直前の契約については、「契約手続日の翌日あるいは入居日まで」というような場合が多い
ようです。
注意しておきたいことは、
私立大学と国公立大学を併願受験する人が、私立の合格発表後に、とりあえず、一つの物件に手付金を支払って契約しようとする際に、契約残金の支払期限を確認せずに手付金を支払ってしまわないようにすること
です。
不況が長引く中で、「できれば国公立大学に進学させたいが、不合格になる可能性があるので、私立大学に進学することも考えて、とりあえず、私立大学の周辺の物件を一つ押さえておこう」という人がたくさんいます。
そこで、手付金を支払って物件を押さえるわけですが、進学希望の国公立大学の合格発表日までに契約残金の支払期限が来てしまうと、手付金をみすみす放棄してしまうか、リスクを承知で、契約残金まで支払わざるを得なくなってしまうのです。
そこで、「とりあえず仮押さえしておきたい」というような条件で手付金を支払う場合に、進学希望の国公立大学の合格発表日までに、契約残金の支払期限が来てしまうなら、支払期限を合格発表後まで延長できないかを交渉し、それが不可能なら、別の物件を探すしかないのです。
ところが、現実には、契約残金の支払期限のことをまったく考慮せずに、手付金を支払ってから、あとで契約残金の支払期限を知るケースが多いのです。
いままで、学生の住まい探しの特徴をきちんと把握した上で、解説したガイドブックがなかったために仕方がなかったのですが、読者自身や、身近にそういう人がいたら、みすみす無駄なお金を支払うことがないように、アドバイスをしてあげましょう。
入居申込書と入居審査
入居申込書というのは、入居したい物件が出てきたときに、入居者本人および連帯保証人の職業や収入などをはじめ、家主から見て、入居させてよいかどうかを判断するために、契約前に提出させる申込書です。
実務上の手続としては、重要事項説明書のあとに行われる手続書類です。
このような申込書は、一般社会人を対象とする物件・業者では当然のようにありますが、学生を主な対象とした物件・業者では、比較的まれです。
というのは、学生の場合には、連帯保証人が保護者というケースが多く、しかも、数年で卒業を迎えるために、居座りつづけるということもめったに考えられず、暴力団員の入居ということも考えにくいからです。
入居審査があるような物件・業者においても、学生が入居する場合には、入居審査を簡便にするケースが多いのですが、中には、学生の場合にも、しっかり審査を行うことがあります。
注意が必要なのは、入居審査が即日に終わらない物件です。
なぜなら、
入居審査が即日に終わらないと、もし万一審査に通らなかったとしたら、また改めて他の物件を探すために出直してこなければならない
からです。
学生の住まい探しの都合を一切考えない業者や物件に無理してまで申し込むことはないと思います。
仲介手数料
本来、不動産業者が受け取る仲介手数料は、成功報酬という性格がありますので、契約成立後に支払うのが原則です。
例えば、不動産の売買仲介の場合には、手付金収受(契約手続日)に手数料の半額を受け取り、物件の引渡し時に、残りの半額を受け取るというようなケースが少なくありません。
しかし、賃貸の仲介においては、実務上、契約手続日に、手数料の全額を収受するケースが一般的です。
なぜなら、二度に分けるほどの大金でもないし、業者にとっても、借主にとっても二度手間がかかるのを防止するためです。
仲介手数料の金額は、業法上の規定では、「媒介の依頼を受けるにあたって依頼者の承諾を得ている場合」以外は、0.5ヶ月分が限度となっています。
しかし、実際には、「依頼者の承諾を得ている場合」を拡大解釈していることが多く、
法律上の最大限度額である借賃(家賃)の1ヶ月分(プラス消費税)を請求していることが多い
ようです。
もし万一、それより多額の金額を請求したり、別の名目で請求したりするようなことがあれば、明らかに業法違反となります。
支払う必要はありません。
例えば、
入居者が特別に依頼したわけでもないのに、契約手続の祭、「消毒料」などの名目で数千円〜1万円も請求しながら、実際には、数百円で済むようなダニ退治剤を部屋で焚いておくだけというようなものは、巧妙な詐欺
のようなものです。
仲介手数料以外に余分な費用を請求されていないかどうか、業者が早口で説明しようとするところは、要チェックです。
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